謎の村雨くん
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『謎の村雨くん』(なぞのむらさめくん)は、週刊少年ジャンプで2006年20号~43号に連載していた異色スパイアクション漫画である。作者はいとうみきお。全22話。タイトルの由来は「謎の村雨城」(と思われていたが、ムラサキスポーツが元ネタにあることが単行本2巻にて判明)。
尚、週刊少年ジャンプ2005年52号にプロトタイプとして同名の読切作品が掲載された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
桜坂高校,2年A組出席番号25番、中肉中背、どこにでもいる平凡な高校生村雨クナイ。
ただ一つみんなと違うのは、彼が公儀隠密の時代から国防を担う諜報一族に生まれ育った忍者の末裔であり、修行中のスパイの卵だということである。 彼の正体が周囲にばれる事は、日本の秘密諜報部員である父親の正体もばれるという事。
それすなわち、国防の危機と自身の抹殺をも意味する!?
そのため普段は普通の高校生として平穏な日常を送っているのだが、そのお人好しな性格のためか、今日もこっそり、トラブル解決…?
[編集] 登場人物
[編集] メインキャラ
- 村雨クナイ(むらさめ くない)
- 主人公。どこにでもいる普通(というより地味)な少年。だが正体は忍者の家系に生まれたスパイの卵。マフラーとメガネが特徴。バームクーヘンが好き。
- 父親から忍者教育を受けているため超人的な身体的技術を持つが、普段はそれを隠し平凡な日常生活を送っている。父親の(半ば理不尽な)試練に受難しながらも、なんなくこなし乗り越える。スパイアクション時は眼鏡が吹っ飛ぶことが多い。
- 天守閣のルーキー達からは(局長の息子であることから)「ジュニア」と呼ばれている。
- 名前の由来は『ムラサキスポーツ+忍者』からの連想(原案が体育会系部活ものであった名残。単行本おまけページではバドミントンやサッカーのユニフォームを着た姿も見せている)。
- 花形楓(はながた かえで)
- 桜坂高校一のモテ男。だが、その正体は村雨家の分家忍者。
- 村雨の後継者であるクナイの監視役兼失敗のフォロー役として育てられた事からクナイに対してライバル心を抱いているが、フォロー役という自分に与えられた使命のためか、なんだかんだでクナイの協力者役に回る事が多い。フェミニストであるが、クナイと違い任務のためなら冷酷にもなる。顔を殴られるのは嫌らしい。
- 青葉みちる(あおば みちる)
- この漫画のヒロインで、クナイより1学年上の、桜坂高3年生。
- クナイの正体には気づいていないものの、10年来の幼なじみの縁と勘から、クナイの悩み・異変には敏感。常にトラブルに巻き込まれるという稀有な体質(天然トラブルメーカー体質)であるが、本人はそれを自覚していない(クナイが可能な限りトラブルを処理しているから)。
[編集] 天守閣
- 村雨鉄夫(むらさめ てつお)
- クナイの父で、感動屋で過激で七三分けのヒゲダンディー。江戸の公儀隠密の時代から国防を担ってきた忍者家系・村雨家を継ぐべき息子クナイに(半ば理不尽な)試練を課しつつも、その成長を見守っては感涙する、自他共に認める「ド級の親バカ」。
- 仕事は日本を守る秘密諜報部員。表向きの顔は貿易会社の海外統括部長。愛器はデザートイーグル(愛称は「ボナンザ」)と日本刀(愛称があるのかは不明)。口癖は「ジェノサーイド!!!(本来は「大量殺戮」を意味する英単語であるが、鉄夫は「抹殺」という意味合いで使用している。なお、読切版で最初にこの単語を使った際は、本来の意味どおりの文脈で用いていた)」。
- 日本国の国防を担う秘密諜報組織『天守閣』の局長。
- 鈴木学(すずき まなぶ)
- クナイのクラスに赴任した臨時教師。童顔。プライベートな質問にはノーコメント。担当は英語。言糸(こといと 詳細は後述)合わせによる会話を聞きとり再現することができるなど、言動に謎が多かった。また、舌が異様に長くお菓子のペロペロキャンディをなめていることが多かった。
- 「Q」とは同一人物(しかし、ツバキ・バルト・イチロウらはそれを知らなかった)。ペロペロキャンディーを舐めることで本人の意思に関係なく鈴木学になり、煙草を吸うことで「Q」になる。また、骨格変装によって実力・人格も変わり、鈴木学の時より「Q」の時の方が強い。クナイへの任務終了後は教師を辞めていった。
- Q(キュー)
- ツバキ・イチロウ・バルトの上官。スーツに身を固めた強面の厳つい男。変装の類ではなく骨格自体を変えて姿を変える能力を持っている。代打教師の「鈴木学」としてクナイ達を観察していた。武器は『ブレイド』と呼ばれる豪腕の左手。その左手はコンクリートでできた柱を貫通したり、硬いもので叩かれると金属音がするほど強固なもの。
- 「鈴木学」が本来の人格であり、「Q」は彼がスパイとして非情に徹するため作り上げた姿。
- ツバキ
- 身長162cm / 体重48kg 天守閣のルーキー3人の中ではリーダー格。ロングヘアーの女性。左頬に傷。仲間がモメたり言うことを聞かなかったりすると、自分の舌を噛み切ろうとする寂しがり屋。武器は狙撃銃。男所帯のスパイ社会に居ることからか、(恋愛対象としての)男に免疫が無い。そのため楓の口説き混じりの軽口にあっさり翻弄されていた一面も。
- バルト
- 逆立てた黒髪。相手が一般人でも容赦しない感情的な性格。武器はメリケンサック。愛用のメリケンサックには星模様がついており、それを手につけた状態でものを殴ると相手に星模様の跡が写る。そのため敵などを殴る時「星~個」と言う。クナイに襲い掛かったが、高校生相手に自分が負けるはずが無いと思っていた油断をつかれてクナイに催眠ガスを使って眠らされる。実力的にはクナイより上のようである。
- イチロウ
- 慎重派。それ故にバルトとよく口論する。武器はナイフ。バルトと同じく、高校生であるクナイに油断していた所をつかれて催眠ガスで眠らされたが、こちらも実力的にはクナイより上の模様。
- サリエリ
- 天守閣の外科医。「死人すら治す」と謳われる凄腕の秀才。名前の由来は、映画「アマデウス」で描かれた作曲家アントニオ・サリエリの姿にあると思われる(彼の思想に通ずる言動が見受けられるため)。
[編集] クナイの任務関係者と刺客
- 白海サチ子(しらうみ さちこ)
- 桜坂高校に転校してきた、お金持ちのお嬢様。使用している名字は七波(ななみ)。クナイの初任務により護衛を任せている。屋上でタバコを吸おうとし、クナイをパシリ扱いしたあたり、グレている面がある。しかし、実際には人々を自身の事情による事件に巻き込ませないため、そして優秀な科学者であり唯一の肉親である兄とは会えない寂しさを隠すために感情を押し殺し、兄以外の周囲に対して冷淡な態度を取り、高飛車で冷めている性格を演じているだけだった。名前のニュアンスから、緑川ルリ子が基になっている。
- 「秘密兵器ハットリ」に登場したメインキャラ「美波(みなみ)サチ子」のリボーンキャラクター。
- チャズ・パルミンテ
- レンジャー試験を受け数多の戦場を渡り歩く傭兵。Qから受けた傷が額にある。階級は少佐。「世界を動かす500グラム」の技術を狙う小国の王子に雇われ、白海サチ子の誘拐を実行。
[編集] 桜坂高校の生徒たち
- 木下大和(きのした やまと)
- 壬生怜緒(みぶ れお)
- 上原夏緒(うえはら なつお)
- クナイのクラスの学級委員。活発な女子学生。空手有段者(男子どもをボコボコにするほどの腕前)。「アンコ姫」の異名を持つほどの和菓子マニア。3巻の人物紹介によると、どうやら洋菓子は認めていない様子。サチ子と対等に接しようとするが、ことごとく突き放されてしまい、サチ子がらみの事件に巻き込まれ負傷。
[編集] 武器
[編集] クナイの武器
- ドラゴンスレイヤー
- クナイの使用しているくないの名前。
- なお、この仰々しい名前は、自分の武器に愛称を付けるのが流行っているものと思いこんだクナイにより付けられた。
- しかし、『Q』によって砕かれた。
- ドラゴンスレイヤーⅡ
- 『Q』に砕かれた後の新しいくない。
- 超高性能万能マフラー
- クナイのトレードマークのマフラー。
- 弾丸すら通さない現代の高性能繊維技術と村雨家に伝わる忍者式編み上げ技術の集大成。
- なお、クナイの制服(防弾制服)にもこの技術が応用されているものと思われる。
- スパイダーネット
- マフラーを最大限に広げることで使用可能。
- 蜘蛛の巣のようになる。
[編集] 楓の武器
[編集] 用語
- 記憶の抹殺(ジェノサーイド)
- 忍者言語「言糸合わせ」(こといとあわせ)
- 忍者同士の会話で使用される、通常の7倍速での会話術。
- そのあまりの速さに、一般人にはビデオを早回しにしたような高音(きゅるきゅる音)が周囲に響いている様にしか認識できない。
- 鷹の子
- 幼少の頃よりスパイの英才教育を受けている子供。
- 次世代を担うスパイの卵。
- 鷹狩り
- 次世代を担うスパイの卵である鷹の子を、芽が出る前に潰すという名目のもと、謎の組織により行われた一連の任務。
- Qが上官・下にリーダーのツバキ、バルト、イチロウが続き、命令を遂行した。
- 実際は天守閣が新人スパイ達の訓練を兼ね、クナイに与えた試練だった。
- ワンメートル射撃術エリアゼロ
- ゴールデンボーイ
- 日本を守ってきた伝説のスパイにつけられた異名。
- その正体はクナイの父、村雨鉄夫である。
- 竜宮城
- スパイ組織天守閣の総本部。
- 世界を動かす500g
- 白海サチ子の兄が行っている国の未来を左右する研究。
- 早期に作品が終了したため詳細不明のままとなった。そのため、いわゆるマクガフィンの役割を果たすこととなる。また、初めからマクガフィンとして設定されたものであり、明確な正体を設定する意図がそもそも作者になかったのではないかという説も、いとうが映画フリークである事を知る一部のファンの間に存在している。
[編集] コミックス
1巻 「絶対に秘密」
2巻 「桜坂城攻防戦」
3巻(最終巻) 「スパイですから」
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