輪違屋糸里
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輪違屋糸里(わちがいやいとさと)は浅田次郎の幕末の新撰組を主題とした時代小説およびこれを原作としたテレビドラマ。
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[編集] 小説
文久3年(1863年)9月18日深夜、新選組筆頭局長芹沢鴨が屯所の壬生八木家で試衛館派に襲撃された。芹沢と副長助勤平山五郎は殺され、芹沢と同衾していた愛人のお梅も惨殺される。副長助勤の平間重助は逃亡。平山、平間と同衾していた芸妓の吉栄、糸里は難を逃れた。
『壬生義士伝』(1998年-2000年発表)に続く浅田次郎の新選組物時代小説。『壬生義士伝』では盛岡藩出身の新選組隊士吉村貫一郎を主人公に新選組の最盛期から没落までを扱ったが、本作では京都島原の天神糸里を主人公に、平山の恋人の吉栄、芹沢の愛人のお梅、郷士の女房おまさとお勝の五人の女たちの視点で、新選組初期に起こった芹沢鴨暗殺事件を描く。
- 『輪違屋糸里』上下巻 文藝春秋、2004年 ISBN 4163229507 ISBN 4163229604
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
島原輪違屋の天神糸里が姉と慕う音羽大夫が新選組筆頭局長芹沢鴨に無礼打ちされた。音羽大夫の死体が輪違屋に運び込まれ、壬生浪の非道に島原は騒然となった。新選組幹部の平間重助が土下座して謝る。平間は「爺や」と呼ばれる芹沢の家来筋で、さえない中年男だった。才覚のある土方歳三がこの場を収めた。糸里はかねてから土方と恋仲だったが、土方は糸里を子供扱いして手を出さない。島原の芸妓は芸は売るが体は売らない。だから、16歳の糸里はまだ男を知らない。
芹沢とその一党は商家に押し借りを働き、酒に酔って暴れて京の人々から恐れられていた。新選組は壬生の郷士八木家と前川家を屯所としており、浪士たちに居座られた八木家の女房おまさと前川家の女房お勝は迷惑していたが、浪士たちは意外と礼儀正しく親切で、芹沢も素面のときは折り目正しい武士だった。そして、おまさとお勝つに永倉新八が新選組の成り立ちや、人間関係を説明セリフで語って聞かせる。
お梅は呉服商菱屋太兵衛の妾で、役に立たない正妻を追い出し、傾きかけた菱屋を一人で切り盛りしていた。新選組への掛金の取り立てで屯所に通っているうちに、芹沢と情を通じるようになっていたが、愛してる訳でもない。頼りない太兵衛に愛情を感じていた。前川家は金貸しを営んでおり、嫁のお勝は太兵衛の姉だった。
桔梗屋の芸妓吉栄は芹沢の腹心の平山五郎と恋仲で体を交わす。吉栄は平山の子を宿していた。平山は吉栄を身請けしたいと言う。悲観的に物事を考える吉栄は自分に芸妓の才能はないと信じ、平山と所帯を持てることを夢見たが、浪人の平山が多額の身請け金を払うことなぞできないことも分かっていた。
ある日、芹沢は隊士を率いて生糸問屋大和屋を焼き討ちする暴挙を働いた。同じ日に近藤や土方は壬生で相撲興行を開いており、これが気に入らない芹沢の意趣返しと考えられた。御所近くの大和屋が燃え、京は騒然となる。会津藩主松平容保は現場に駆けつけ怒りを露にする。火事見物をしていたお梅はこれはただでは済まないと思った。
数日後、近藤、土方、山南、沖田、井上、原田、藤堂の試衛館派の幹部が松平容保に密かに呼ばれた。輪違屋で隠れるように裃に着替える近藤たちを糸里は不思議そうに見つめていた。
その直後に八月十八日の政変が起きて、新選組にも出動命令が下る。てきぱきと采配したのは天狗党上がりで実戦経験のある芹沢と新見錦で、百姓上がりの近藤と土方は彼らの言うがままだった。おまさとお勝はやはり芹沢の方が本当の武士だと感じた。芹沢の大和屋焼き打ちのために交替で帰国するはずだった会津藩兵が引き返したことが幸いして、京での兵力が増えて政変は会津の勝利に終わる。
芹沢は土方に糸里と平間の仲を取り持つよう無理難題を押し付けてきた。糸里は愛する土方のためにこれを受け入れる。糸里はまだ男を知らない。糸里が平間の待つ茶屋へ行くと、平間は申し訳ないと泣いて謝る。平間は糸里を見て、郷里に残した同じ年頃の娘を思い出し、芹沢に糸里の名を口にしただけだった。父親を知らない糸里は平間を愛おしく思った。屯所へも帰れないのでこの場で腹を切ると詫びる平間に糸里は思わず抱きついた。
格式の高い島原の天神を恋人の土方から奪い手下に抱かせた芹沢の評判は隊内でも最悪のものになった。
平間と糸里の仲を取り持つよう難題を持ちかけたのは、土方を怒らせた上で腹を割って話し合うきっかけをつくるためだったのに、土方が簡単に受け入れてしまい芹沢の方が戸惑っていた。それに、芹沢が京でやっていた押し借りは隊費調達とともに尊攘派浪士の資金源を断つ方策であり、音羽大夫の無礼討ちも大和屋焼き討ちも理由があってのことだった。それは近藤も会津藩も承知しているはずなのだが・・・
雨の日、平山は身重の吉栄の様子を見に置屋に来た。平山は短く言葉を交わして屯所へ戻る。吉栄は雨降る中を平山を追い自分の本当の名前の「ゆき」と呼んでくれるよう頼んだ。島原の女は他人に本当の名前を教えてはいけない定めだった。平山はその名を呼ばず、そっと吉栄の口を吸ってやった。
近藤、土方ら百姓が、武士である芹沢を斬る。それは武士ではない彼らが武士となるために踏まねばならない踏絵だった。その抗争に女たちは巻き込まれてゆく。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] 輪違屋糸里 (テレビドラマ)
この「輪違屋糸里」は、まだ完結していない作品や番組に関する項目です。ある程度ストーリー・番組内容がまとまってから編集するようにしてください。 |
仮題『輪違屋糸里~女たちの新撰組~』。TBS系で2007年8月に全2夜で放送予定。同年3月に上戸彩主演での制作を発表。浅田次郎原作の新撰組物では隊士吉村貫一郎を主人公とした『壬生義士伝』があり、テレビドラマ化(新春ワイド時代劇、2002年、主演:渡辺謙)、映画化(2003年、主演:中井貴一)されている。
[編集] キャスト
配役不明
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 文藝春秋、糸里が生きた「輪違屋」の魂・・・浅田次郎と輪違屋十代目当主との対談