進学校
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進学校(しんがくこう・しんがっこう)は、卒業生が大学、短期大学等の上級学校へ進学する傾向が強い学校のこと。
[編集] 概要
一般的には、普通科で大学・短大等への進学率が高い高等学校、中堅レベル以上の大学・短大等へ進学者を多く輩出する高等学校のことをいう。ちなみに入学の際の学力偏差値が60以上の高校を指して、進学校と言われる。現職教師による教育問題を論じる著作(プロ教師の会の喜入克氏の著作等。)を読むと、進学校と、いわゆる教育困難校と言われる底辺校では、まさに天国と地獄程の差異があると言われる。それだけ生徒の質が違うという意味である。
進路指導では、課外講習や実力把握のための模擬試験など進学指導に大きく力を入れており、就職指導が含まれないケースが多い(但し、何らかの事情で就職を選ぶ際には公務員や、かつての公共企業体を含む特殊会社(1980年代までは銀行や保険会社も多かった)に就く場合が殆どであり、入学偏差値が高くなるにつれて、その傾向も強くなる)。
また、ある地域で難易度の高い公立の進学校を抱えると、成績中位層以下の地域の高校への進学が困難となり、いきおい周辺の難易レベルの低い高校へ進学せざるを得ず、「近くに高校があるにも関わらず、遠くの高校への通学定期代がかさむ」家庭も出てくる。このようなケースが現れないために、総合選抜を採用した県もあったが、現在は、「進路選択の自由」を重視する傾向があるために単独選抜に移行された県が多い。しかし、あくまで進学校と非進学校の区別というのは恣意的なものであり、偏差値や進学率による厳密な数値による定義というものはない。
[編集] 基本的背景
大学は入学者選抜において、普通高校で学ぶ範囲の科目に対して知識が多く、なおかつ判断力や論述力も豊富な生徒を選択する。例えば、専門高校で優秀な成績を収めるような知能の高さを要求することは少ない。大学側の教育指導能力、対応力の制限のために、数学、英語などの知識が豊富な者を選ぶことになり、入試成績が(想定する入学者像に比して)良すぎて不合格になることは無い。理由の一つには、入学した学生には、研究者としての大学教員のサポートが期待されているからである。
僅かながら、工業、農業などの専門高校からの入学枠を設けて専門科目の学習をしたことを前提とする課程を設けている大学もある。高専生が進学(大学編入)において有利になっているのも、高専生自身の努力と相まって、このような大学側の背景があるからである。