学力偏差値
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学力偏差値(がくりょくへんさち)とは、偏差値を応用したものの一つであり、学力検査の結果を偏差値に換算したものである。
一般に偏差値という場合、特に学力偏差値を指すことが多い。
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[編集] 入学試験の偏差値
学校の入学試験では、合格可能性を表すものとして偏差値が広く使われている。偏差値を判定するのは、学習塾や予備校が大規模に受験生に対して行なう模試などである。
(得点-平均点)×10/標準偏差+50
で求められ、得点と平均点が一緒だった場合は「偏差値50」となる。
[編集] 高校受験
高校受験では、教師の桑田昭三が受験生にどれくらいの合格確率があるかを、ある模擬テストによる点数や順位よりも正確に判断するため、独自の研究により「偏差値」を編み出した。以後、かなり広く使われ、教育現場では重宝していたが、'80年代になって「偏差値」=「その生徒の存在価値」かのような位置づけとして悪用をされ、教育委員会等で問題となった(開発者、桑田昭三は偏差値が悪者扱いされてしまったことを心底残念に思っている)。
やがて文部大臣鳩山邦夫や文部官僚寺脇研の提案により、公立中学校での進路指導時に使うことが禁止され、ほぼ同時期に一斉業者テストも廃止された。
廃止前は、実業系高校志望者を「君は偏差値が高いから」などと半強制的に普通高校志望に変えさせたりするなど、偏差値輪切り指導が行なわれていたという問題があったが、逆に廃止後は志望校の合格可能性が分かりにくくなり、結局は偏差値指導に制限のない塾などに進学指導を頼ることになった。
[編集] 中学受験
中学入試でも偏差値は広く使われている。首都圏での代表的な模試業者は全国中学入試センター模試事務局、日能研、四谷大塚、首都圏模試センターである。なお首都圏模試センターは中小規模の学習塾が共同して設立したものである。
注意すべきなのは、高校受験の偏差値は、中卒者の97%に及ぶ高校進学者の大部分が模試を受けた者であるのに対し、中学受験の模試を受けるのは小学生のごく一部であり、平均的な小学生よりも学力の高い受験生が主体であるため、同じ併設型中高一貫校・同じ生徒であっても、中学受験時の偏差値の方が高校受験時の偏差値よりも低くなりがちということである。例えばA学園中学校の入学偏差値が40だったとすると、併設のA学園高校の偏差値は52であるという風になる(上位校はこれほど変わらない)。ただし河合塾などの高校模試受験者は中学生の上位成績者が母体なのでこれに当てはまらない。
[編集] 大学受験
偏差値導入初期~昭和末期には大学進学率自体が低く、平均的模擬試験受験者の学力水準も現在と比較して高かったため、偏差値50程度の学生でも現在でいう有名大学に進学できた。当時は東大でさえ、偏差値60程度であった。 しかし、現在においては大学進学率の飛躍的向上とともに、低学力層の模擬試験受験が増加し、その結果従来と同じ大学に入学するために要求される偏差値が高く出る傾向にある。概ね、現在の有名予備校の偏差値65は昭和時代の偏差値55程度であると言われる。
但し、近年は少子化に伴う志願者の減少のため、中位ランクの大学を中心に偏差値が下落している傾向にある。
なお、偏差値というのは受験者の平均成績に対してどの程度離れているかを表す数値であるため、平均点が低く、かつ多くの受験生の得点がその付近に集中しているというようなテストで高得点を取った場合には、偏差値が100を超えることも稀にある。通常は75を上回ったり25を下回るのは非常に稀である。
偏差値というのはその模試の受験者の平均学力によって大きく上下するので、異なる模試の偏差値を比べることはできない。さらに受験科目が少ない大学ほど、一般的に実質的な入試難易度が下がるにも関わらず偏差値は上がってしまうと考えられているが実際はそうではない。科目数を増やして偏差値が上がるケースや減らして下がるケースも多いため、一概には言えず、関係性は無いと思われる。入学辞退率が高い私立大の偏差値が見かけ上高くなると考えられる。よって同じ偏差値であれば国立大の方が私立大より入学者の学力が高い。さらに文系と理系の偏差値を同じものさしで比べることも不可能である。もはや大学受験において偏差値とは予備校の作った大迷信であるという声まで聞かれる。