違法性阻却事由
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違法性阻却事由(いほうせいそきゃくじゆう)とは、通常は法律上違法とされる行為について、その違法性を否定する事由を言う。日本では、民法上のものと刑法上のものがある。
目次 |
[編集] 日本法
[編集] 民法
不法行為の成立を否定する行為のこと。民法第720条に規定される事由があたる。
- 正当防衛(民法720条1項) - 他人の不法行為から、自己または第三者の権利を守るために行った行為
- 緊急避難(民法720条2項) - 他人の物より生じた急迫の危難から、自己または第三者の権利を守るために、その物に対して行った行為
- 自力救済
正当防衛と緊急避難については、刑法上の概念と異なるので注意が必要である。
[編集] 刑法
刑罰規定の構成要件に該当して、違法性が推定される行為について、その違法性がないとされる事由。刑法35条~37条に規定される事由があたる。
- 正当行為(刑法35条) - 法令行為・正当業務行為
- 正当防衛(刑法36条1項) - 急迫不正の侵害に対して、自己または第三者の権利を守るために行った行為
- 緊急避難(刑法37条1項) - 自己または第三者に対する現在の危難を避けるため、侵害以外に対して行った避難行為
- 自救行為
- 被害者の同意
正当防衛と緊急避難については、民法上の概念と異なるので注意が必要である。
[編集] 超法規的違法阻却事由
超法規的違法阻却事由(ちょうほうきてきいほうそきゃくじゆう)とは、法律上規定されている違法性阻却事由には該当しないが、法律の解釈上、違法性を阻却するされる事由のこと。解釈上の争いはあるが、可罰的違法性を欠くような場合が当たるとされている。