銀河疾風サスライガー
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『銀河疾風サスライガー』(ぎんがしっぷうサスライガー)は、1983年(昭和58年)4月5日から1984年(昭和59年)1月31日までテレビ東京系で毎週火曜日17:55~18:25に全43話が放送された、国際映画社製作のロボットアニメ。
J9シリーズ三部作の第三作目。
ストーリーのモチーフは「80日間世界一周」(ジュール・ヴェルヌ)であるが、世界観やファッション、BGMなどは禁酒法時代を舞台にしたギャング映画を意識しており、前二作に比べてかなりアダルトな雰囲気がある。 また、汽車型メカ「J9-III号」で1話につき1惑星ペース(ただし終盤は1話でいくつもの惑星を回る羽目になる)で太陽系50惑星をめぐるという展開は、先にアニメ化もされてヒットした漫画「銀河鉄道999」を髣髴とさせる。(ちなみにキャラデザインは「999」劇場版の小松原一男。)
ロック役の塩沢兼人は急逝、ブルース役の曽我部和恭は引退したため、スーパーロボット大戦GCではそれぞれ、山崎たくみと置鮎龍太郎が代役として出演している。
J9シリーズ | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第1作 | 銀河旋風ブライガー | 1981年10月 ~1982年6月 |
第2作 | 銀河烈風バクシンガー | 1982年7月 ~1983年3月 |
第3作 | 銀河疾風サスライガー | 1983年4月 ~1984年1月 |
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
30世紀の未来、人類は太陽系全体に居住圏を広げ、植民惑星は50以上を数えていた。
大規模な戦争などは収まったものの、ブラディ・シンジケートをはじめとする巨大な犯罪組織が暗躍、表面的な繁栄と爛熟、堕落と腐敗の時代を迎えていた。
2911年7月8日、主人公のI・C・ブルースは、アステロイドのカジノ星・J9ランドで犯罪シンジケートの大ボス、ブラディ・ゴッドと出会い、新太陽系の主要惑星50個を1年以内で全て踏破できるかという、世紀の大勝負をすることになる。
ブルースとその仲間たちは、800年前の伝説的英雄・コズモレンジャーJ9にあやかってJJ9(ダブルジェイナイン)を名乗り、シンジケートの妨害と戦いながら、蒸気機関車型自家用宇宙トレイン・J9-III号を駆って賭けに挑む。
惑星の数が50個というのは当初の予定放送期間が1年間(52話)だったのを見越した設定だったが、番組が短縮されてしまったために当初は1話につき惑星1のペースだったのが終盤は1話につきいくつもの惑星を巡る展開となってしまった。
余談だが、エノキフィルム(国際映画社の項目にリンクあり)により海外で放映された時の名称は「WONDER SIX」であり、「COSMO RUNNER」(ブライガー)、「COSMO RANGER」(バクシンガー)とは別シリーズの扱いとなっている。
[編集] キャラクター・キャスト
- I・C・ブルース(声優:曽我部和行)
- 本名、ブルース・カール・バーンステイン。JJ9チームのリーダー(も兼ねた資金調達係)にして宇宙最強のギャンブラー。ICの如き頭の冴えを見せるため、「I・C・ブルース」という通り名が付いた。(ブラディに乗っ取られた)J9ランドのカジノで勝ちまくったため、ブラディから世紀のビッグゲームを持ちかけられ、それに応じる。物語終盤、死んだと思われていた双子の兄ヘルムートとの再会を果たしている。上流階級の出身だが、なぜギャンブラーになったのかは不明。両親が健在かどうかも不明。
- 抜きうちロック(声優:塩沢兼人)
- 本名、ロック・アンロック。カナダ人。かなりのガンマニアで、JJ9チームのお抱えガンファイター。父、ジョン・アンロックは元森林警備隊長。警備隊を壊滅に追い込み、父を半身不随にした強盗一味を皆殺しにするために宇宙に上がる。その後、J9ランドでブルースと知り合い、JJ9チームの一員となる。ビッグゲームを手伝いながらも、強盗一味への報復もちゃっかりこなしていた。
- おとぼけビート(声優:森功至)
- 本名、ビート・マッケンジー。J9-III号の運転を主に担当する。J9ランドでブルースと知り合い、JJ9チームの一員に。レーサー稼業に身をやつし、家庭を顧みない父、デニス・マッケンジーに反発していたが、後に和解している。恋人は、ソーラープラネッツポストのカメラマン、プチロッジ。
- 気まぐれバーディ(声優:麻上洋子)
- 本名、バーディ・ショウ。小説家のビンセント・ショウと、女優のダイアン・ハーシーの次女(長女はダンサーのシャロン・ハーシー)。両親は離婚している。自称占いの権威。昔はかなりのお転婆だったらしい。物語終盤ではロックとイイ仲に。
- 人を応援する際「ガンバ!」と言いながらJの形のアクセサリーを打ち鳴らす癖がある。
- D・D・リッチマン(声優:八奈見乗児)
- JJ9チームの情報収集と物資調達、そして経理担当。J9-III号を設計したのはこの人。J9ランドの前オーナーの依頼でJ9-III号を建造するも、当の依頼人が行方不明になったため、ブルースにJ9-III号を売り払ってしまう。が、ブルースがまとまった現金を全部ビッグゲームの掛け金としてつぎ込んだため、持ち逃げ防止のために同行するも、内心はJJ9チームに入れ込んでいたためか、いつの間にか身も心もJJ9チームの一員になっていた。元海軍将校(階級は少尉)だったらしいが、なぜ退役したかは不明。
- ジミー見城(声優:塩屋翼)
- 第2話から登場。J9-III号に密航したのが縁でJJ9チームの一員になった駆け落ちカップルの片割れ。JJ9チームのメカニック担当。父親にかなり鍛えられたらしく、技術屋としては超一流。実家は技術屋関連の会社と思われる。駆け落ちの動機は、(アステロイドの法律上)まだ結婚が認められていない年齢であるため。顔良し、性格良し、更に甲斐性アリと、三拍子そろった好青年。終盤、テレビ中継でJJ9チームの一員になってることが実家にバレてしまった。
- スージー張(声優:三浦雅子)
- 第2話から登場。J9-III号に密航したのが縁でJJ9チームの一員になった駆け落ちカップルの片割れ。JJ9チームの炊事担当。花嫁修業でもやっていたのか、料理の腕前は超一流。実家はかなりの豪商。最終回でジミーと結ばれる。ちなみに、彼女の父親とジミーの父親は、仲は悪くないのになぜか顔をあわせるたびに口ゲンカを繰り返していた。
- ブラディ・ゴッド(声優:蟹江栄司)
- ブラディ・シンジケートの大ボス。自身が経営するJ9ランド内のカジノでブルースが勝ちまくったため、ブルースにビッグゲームを持ちかける。意外にも潔い一面を持っており最終回では報復に来た部下達を戒めていた。当初は影で顔が見えなかったが42話で目の部分、最終話で素顔が判明した。海外版での名称は「Max Girth」であり、「Bloody God」は通り名という扱いになっている。
- ジョアンナ・カーライル(声優:舛田紀子)
- ソーラープラネッツポスト社長。ブルースとブラディの勝負の公正を期すために、経過を太陽系のあらゆる報道機関に知らせることを提案する。両者がこれを受け入れたため、勝負は公然の事実となった。自身は反ブラディ寄りに傾いており、JJ9に仕事を依頼することもある。
- プチロッジ(声優:山田栄子)
- 第2話から登場。ソーラープラネッツポストのカメラマン。JJ9チームのトライマークと特ダネ集めに日々奔走する。そのために事件に巻き込まれることも多く、JJ9と多くの関わりを持つことになる。いつの間にかほとんどお抱えカメラマンとなり、ビートと恋仲になる。
- オーガン警部(声優:徳丸完)
- 300億ボール強奪犯を追う刑事。ビッグゲーム開始の際、ブルースが支払った掛け金の額が、たまたま300億ボールだったため、ブルースを300億ボール強奪犯として追い回す。その後、第42話で300億ボール強奪事件の真犯人は、ブルースの双子の兄ヘルムートであったことが判明。ヘルムートが自首して誤解が解けてからはJJ9チームに協力してくれた。
- フルザ・ゲルナー(声優:四辻たかお(国際映画社スタッフ。本作のチーフディレクター兼録音監督。))
- ブラディに雇われた殺し屋。たびたびJJ9を殺そうと襲ってくる。最終回でブルース達を狙撃しようとするが、ひた隠しにていた病から来る吐血が原因で誤ってブラディを撃ってしまい組織に追われる事に。最後はロックとの差しの対決で倒される。非常に無口な性格で、最後まで誰が演じているのか明らかにされなかったが、近年チーフディレクターの四辻が声を当てたことを告白している。
- カーメン25世(声優:山本圭子)
- 初代カーメン・カーメン(大カーメン)から数えて25代目のヌビア教主。顔や声などが女性的であるが、スタッフの証言によると「少年」であるとのこと。大カーメンの教えに従い、サン・ノブ・ジュピターを太陽系外に移動させ、全太陽系から集まった教徒と共に、大銀河へとはるかなる布教の旅へと旅立つ。超能力が使え、冥王星(サスライガーの放映時期の関係で冥王星は「惑星」とされている)からメッセージカプセルを受け取ったあと、衛星カロンの秘密基地から放たれたブラディ軍の核ミサイルをシールドで跳ね返して、逆にカロンの秘密基地を壊滅させている。
- ナレーター
- 安原義人
- 安原独特のハイテンションな語り口が物語を引き立てていた。
[編集] 用語
- サスライガー
- 蒸気機関車型自家用宇宙トレイン・J9-III号(じぇいないんすりーごう)が「テイク・サスライド・オン」の掛け声で変形する全長22.5m(シンクロンシステムが利用されていない為か歴代主役ロボットの中で一番小さい)の巨大ロボット。「サスライガー」という名前は、「宇宙を流離う」と言う事でブルースが後から命名したもの。
- ブライガーやバクシンガーとは違い、ビームライフルやドラムマシンガンなどが主装備で、接近戦用の武器(この場合は剣や槍などの刃物)を装備していないため、接近戦の際はキックやビンタで敵をなぎ払っていた。また、「ボディカラーは緑」、「顔はゴーグルフェイス」、「変形する際に巨大化しない」など、武器だけでなく設定とデザインも、ブライガーやバクシンガーとは一線を画していた。
- 設定上ではマニピュレータ(手)は赤い4本指だが、変形シークエンス(変形シーンのバンクカット)などでは5本指になってしまうことがあったため、途中で変更された変形シークエンスでは、設定どおりの4本指に書き直されている。
- タカトクトイスが発売していた玩具は商品名が「バトレインC-3」で、当時展開していた「可変メカシリーズ」の一つという扱いであった(だが、サスライガー名義のパッケージも存在する)。別カラーのリアルバージョンなども存在したが、タカトクのTVキャラクター玩具としては最後の商品となった。
- 大勝負 (ビッグゲーム)
- ブラディ・ゴッドがI・Cブルースに持ちかけた賭け。ルールは、ジュピター復活祭当日の2911年7月9日午前0時から次のジュピター復活祭の2912年7月9日午前0時までの1年以内に、ブルースが新太陽系の主要惑星50個を全て踏破できるかというもの。また、ブルースは証拠として訪問先の惑星に「JJ9 I.C.Blues」のサインを書き残し、これをソーラープラネッツポストが確認して初めて踏破が認められる。なお、一部の星では「JJ-9」とサインしてしまったり、名前の綴りを間違えてしまったことがあった(もちろんブルースが間違えたわけではなく、作画スタッフのミスである)。
- この賭けに敗れた方が600億ボールを相手側に支払う事になる。ちなみにこの金額は、ブルースがJ9ランドのカジノで勝った300億ボールに彼の個人資産の300億ボールを加えたもの。ブルース、ブラディとも掛け金は予めソーラープラネッツポストに預けてあり、大勝負が終わるまで凍結されている。つまりブルースはほぼ一文無しの身であり、この為JJ9は日銭を稼ぎながらの貧乏旅行を余儀なくされた(基本的な資金確保法はカジノだがまれにD・Dが依頼をもってくる。また終盤は銀河コンボイの運転手達を筆頭に反ブラディ派の人々が善意で燃料や食料をくれたりする事もあった)。
[編集] 放送リスト
- 世紀の大勝負
- 快走J9III号
- Zアドベンチャー
- 地獄のパスポート
- 虹の大脱走
- マローン星の黄金
- 熱砂の群盗
- 栄光のイヨモンテロ
- マシンガン・ブルース(前編)
- マシンガン・ブルース(後編)
- 情熱のサンタ・マリア
- プレセベ超特急
- さすらいのエンブレム
- 哀愁のベルナー湖
- 悪霊の谷
- 復讐の赤い星
- 奴らに墓標を
- 魔境アナコンダ
- 君よ聖なる翼を見たか
- オーガン警部の憂鬱
- 天使のビターキッス
- ハート・ブレイク・シティ
- コーミャ星大脱獄
- ぶっちぎりアステロイド
- 聖アトウーム祭の異変
- サターンの首飾り
- 聖星はるかなり
- 海王星のクリスマス
- 天王星の決闘
- アステロイド・クィーン
- 悪魔の湖
- ウォンテッド狂騒曲
- 爆走ラブ・チェイス
- ハイウェイ・スター
- 情けは悪のためならず
- ダンディ・ギャング
- 傷だらけのファイター
- 疾風オレンジ惑星海
- 灼熱のインナートライ
- 栄光に架ける星
- 恋人たちの星まつり
- グレイト・タッチダウン
- ハピィ・ウェデング
[編集] スタッフ・主題歌
- 制作:壷田重三
- 企画:壷田重夫
- 原案・シリーズ構成:山本優
- チーフディレクター・録音ディレクター:四辻たかお
- メカデザイン:サブマリン
- メインキャラクター:小松原一男
- サブキャラクター:小山涼
- 美術設定:伊藤岩光
- 音楽:久石譲
- プロデューサー:つぼたしげお
テレビ東京 火曜17:55 - 18:25 | ||
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