銀河英雄伝説の登場人物・その他
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銀河英雄伝説の登場人物一覧・その他(ぎんがえいゆうでんせつのとうじょうじんぶついちらん・そのた)は、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の人物の内、銀河帝国/自由惑星同盟のいずれにも所属・分類されない人物の一覧である。
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[編集] フェザーン自治領
[編集] アドリアン・ルビンスキー
- (声:小林清志)
- 第5代自治領主。「黒狐」と呼ばれる野心家。地球教と手を結び暗躍するも、帝国軍(ラインハルト)によるフェザーン占領後は逃亡。悪性の脳腫瘍を煩い、ハイネセンの病院に偽名で入院していたところを捕らえられる。収容後、腫瘍が悪化し病死。生前、頭蓋骨に低周波爆弾の制御装置を埋め込んでおり、彼の死後、それによってラインハルトを道連れにしようとしていた。実際、ルビンスキーの死の直後、制御を外れた爆弾が爆発。ラインハルトは辛くも避難に成功するが、ハイネセン市街はその30%が焼失するなど多大な被害を受けた。本作の女性登場人物の少なさを解消するため、道原かつみ版の漫画では女性(やはりスキンヘッド)として描かれている(名前はアドリアーナ・ルビンスカヤ)。
[編集] ドミニク・サン・ピエール
- (声:平野文)
- ルビンスキーの愛人。初登場は、イゼルローン要塞陥落後、ルビンスキーが帝国の駐在高等弁務官のレムシャイド伯爵に同盟の侵攻を知らせた時。原作小説では、この時に使われた別荘の持ち主がルビンスキーの情人の一人(名称は不明)だと記述されているが、アニメ版ではドミニク・サン・ピエールが姿を現している。女優、ダンサー、歌手などの多彩な経歴を持ちそれに伴う聡明さを兼ね備えている。
- ルビンスキーのプライベートな時間の多くに登場するが、当初は同居していなかった。その為ルパート・ケッセルリンクがドミニクの家を訪ね、デグスビィ司教の懐柔やルビンスキーに対する背信を持ちかける事が出来た。しかしドミニクはケッセルリンクの策謀をルビンスキーに報告し、その結果ケッセルリンクはルビンスキーに殺害される。その直後、ドミニクはルビンスキーとともに逃亡、ルビンスキーが逮捕される寸前まで隠れ家で同居していたと思われる。
- 基本的にはルビンスキーの手助けをする役回りだったが、ルビンスキーに対して辛らつな言葉を向けたり、独断でデグスビイのフェザーン脱出や、エルフリーデ・フォン・コールラウシュをロイエンタールの元に送り届けるなどの行動も起こしており、単なる手足では無い様子が伺える。
- 新帝国暦3年6月に発生したルビンスキーの火祭りの際憲兵隊に逮捕され、旧フェザーン自治政府や地球教に関する幾つかの情報を自白したが、オーベルシュタインが質問した、エルフリーデ・フォン・コールラウシュの行方は話さなかった(知らなかったか、或いは言いたくなかったかは不明)。2か月後、起訴猶予で釈放された後に消息を絶った。
[編集] ルパート・ケッセルリンク
- (声:鈴置洋孝)
- ボルテックが高等弁務官として帝国に赴任した後ルビンスキーの補佐官に就任した。自由惑星同盟のヘンスロー弁務官を利用してヤンをイゼルローンから引き離すようにしむけたり、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐を元駐フェザーン帝国高等弁務官レムシャイド伯爵に提案したり、その実行役としてレオポルド・シューマッハとランズベルク伯爵を用意したりするなど、ルビンスキーの意思の実現化にかなり寄与していた。
- 実はルビンスキーの実子であり、しかも母親を捨てたルビンスキーを憎悪し復讐を企んでいる。その為ドミニクやデグスビィ司教を手駒にしようと画策したが、結果的にはどちらも失敗に終わっている。帝国軍がフェザーンに進駐した日、ルビンスキーを暗殺しようとしたが、それを予期していたルビンスキーの返り討ちに遭い死亡する。
- OVA版での声優は鈴置洋孝だが、彼はこの作品では他にイワン・コーネフの声優を務めている。登場人物が多く、登用された男性声優の人数も多いが(その為、別名「銀河声優伝説」とも呼ばれる)、両者のような重要な役割をもったレギュラークラスのキャラを、同時期に複数務めたのは珍しい。(他では阪脩のフリードリヒ4世とサンフォード議長などか。)なお両者は奇しくも第2期シリーズで死亡する。
[編集] ニコラス・ボルテック
- (声:仁内建之)
- ルビンスキーの補佐官だったが、帝国駐在弁務官として銀河帝国首都オーディンに派遣され、ラインハルトの動きを探る。しかし、逆にラインハルトによってフェザーン侵攻の手駒の一つとして利用される。ボルテック自身、当初はルビンスキーの命に忠実であったがラインハルトとの取引の失敗を契機にルビンスキーの追い落としを画策するようになり、結果的に利害が一致。その後ラングによってシルヴァーベルヒが爆殺されたテロの容疑者として冤罪逮捕され、獄中自殺(事実上ラングによる殺害、OVA版では食事に毒を盛られたように描かれていた)する。
[編集] ボリス・コーネフ
- (声:安原義人)
- 登場時は民間独立宇宙商船「ベリョースカ号」を擁するフェザーンの交易商人。イワン・コーネフの従兄弟(ただし面識は無し)。ヤン・ウェンリーの幼馴染(ただし交友は二、三ヶ月程度)。ヤンの二歳年下で「悪たれのボリス・キッド」と呼ばれていた。この事をルビンスキーに知られた為、半ば強制的にハイネセンの弁務官オフィスでの情報工作員を任じられるが、肝心のヤンがイゼルローン要塞に赴任したままだったため、活躍の機会はほとんどなかった。
- その後、帝国によるフェザーン占領と、それに関連したユリアン達の脱出作戦によって留守にしていたベリョースカ号号が撃沈されてしまい、ハイネセンに帰還したヤンに援助を求めた。キャゼルヌの工作によって新品の軍事輸送船を手に入れる事が出来、ヤンが「親不孝号」と名づけたその船で、ユリアンとマシュンゴ、そして途中で寄港したダヤン・ハーン基地で乗りこんだポプランを連れて地球に向かう。
- 成り行きでワーレン艦隊に協力して地球教本部を壊滅し、オーディンを経由してヤンのいるエル・ファシルまでユリアン一行を送り届けた後は、ヤン一党とフェザーン商人達の橋渡し並びに情報/物資の調達を引き受ける。ヤン暗殺計画の連絡が遅れてヤンの命を救えなかった事を無念に思っており、ヤンの死後もユリアン達に協力を続ける。
[編集] マリネスク
- (声:緒方賢一)
- 民間独立宇宙商船「ベリョースカ号」の事務長。帝国占領下のフェザーンで逃亡中のユリアン達から脱出する手段を依頼された。ユリアンと意気投合し、献身的に支度を整え脱出に成功するが、途中でベリョースカ号を偽装撃沈する事になる。だが、代わりに乗っ取った帝国駆逐艦の所有権を主張するなど、したたかな商人としての面を持ち合わせている。ハイネセンでボリス・コーネフと再会し、カーレ・ウィロックとともに親不孝号に乗りこみ、以後はボリス・コーネフ達と行動を共にする。
[編集] カーレ・ウィロック
- (声:大塚芳忠)
- フェザーンの宇宙船パイロット。マリネスクにスカウトされ、ボリス・コーネフが留守のベリョースカ号に乗り込み、ユリアン達の脱出行で操船を担当する。ユリアンに対しては最初から好意的で、親不孝号になってからも引き続きパイロットとして行動を共にする。
- 自由交易商人である事に誇りを持っており、事有る毎に演説や扇動をしたがる傾向がある。
[編集] フェザーン自治領・その他
- プレツェリ (声:龍田直樹)
- ハイネセンに赴任しているフェザーンの弁務官。同じくハイネセンに赴任しているボリス・コーネフの上司。同盟政府とのリベート操作や談合などで暗躍する、悪徳商人の典型といったキャラクターだが、相応の洞察力も持ち合わせており、査問会におけるネグロポンティの失敗をアイランズから聞かされた時は、政治家の在り様に関して鋭く冷笑的な見解を示してアイランズを閉口させた。その反面、フェザーンが帝国軍に占領された時は、落ち着きの無い態度でハイネセンの事務所から有価証券等を持ち出そうと躍起になっており、ボリス・コーネフをあきれさせた。
- ナポレオン・アントワーヌ・ド・オットテール (声:宮田浩徳)
- ボーメル (声:島香裕[38])
[編集] 地球教
[編集] 総大主教(グランド・ビショップ)
- (声:大宮悌二/笹原大)
- 地球教の最高権力者。地球を再び宇宙の中心とするという考えにとりつかれている。帝国軍の地球教本部攻撃の際、生き埋めとなった。ルビンスキーに強い影響力を持っていた。ルビンスキーの前のフェザーン自治領主・ワレンコフの死に関係があるらしい。
[編集] ド・ヴィリエ
- (声:銀河万丈)
- 大主教。地球教本部壊滅後も、陰謀の限りを尽くす。ヤン暗殺、ロイエンタール叛乱などを成功させるが、最後は臨終間近のラインハルトを殺害しようとして失敗。その場に居合わせたユリアンによって射殺される。他の教徒と違い、狂信的兆候は見られず、あくまで自らの栄達の為に地球教に入り、それを利用しようとしていた。最期はオーベルシュタインの仕掛けた罠にかかって、皇帝暗殺を直接実行しようとするが、ユリアンに射殺される寸前も地球教および反帝国勢力の情報と引き換えに助命されようとたくらんでいた。手段のためなら何でも利用するところは、トリューニヒトと通じる部分がある。
[編集] デグスビイ
- (声:納谷六朗)
- 司教。フェザーンでルビンスキーの監視と地球教との連絡を担当していた。少なくとも表面的には戒律を守る禁欲的な宗教家だったが、ケッセルリンクの謀略により半ば無理やり堕落させられた。帝国軍のフェザーン占領に伴いドミニク・サン・ピエールの手配でベリョースカ号に乗ってフェザーンを脱出。船内で知り合ったユリアンに、ルビンスキーとケッセルリンクの確執と地球教に秘密があるという事を教えた後、ハイネセンに到着する前に死亡した。直接の死因は薬物中毒と思われる。
- 役を演じている納谷六朗は、メルカッツを演じている納谷悟郎の弟であるが二人がからむシーンはない。
[編集] ゴドウィン
- (声:なし)
- 大主教。地球教オーディン支部長。新帝国暦1年7月6日のキュンメル事件の際、支部がラフト准将率いる武装憲兵隊に制圧され、自身も服毒自殺の寸前に逮捕される。取調べの段階で舌を噛み切ろうとして失敗し、更に自白剤を6度注射された後に尋問室の壁に頭を打ち付けて死亡した。
[編集] 歴史上の人物
[編集] アントネル・ヤノーシュ
[編集] シリウス政府
- カーレ・パルムグレン (声:表記なし)
- シリウス戦役における反地球派の精神的指導者で、革命の象徴的存在。戦役終結の2年後の西暦2706年に急性肺炎で死亡。享年41。彼の死によりラグラングループは接着剤を失い、崩壊を始める。
- 西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は25歳、立体TVの放送記者。
- ウィンスロー・ケネス・タウンゼント (声:なし)
- シリウス戦役における反地球派の財政/行政面を担当。戦役終結後はシリウス星系首相に就任。パルムグレンの死後に、自分と意見の対立が生じてクーデターを画策していたフランクールを暗殺し、さらに反逆の可能性がある(と思えた)チャオを殺害。翌2707年、汎人類評議会首席を兼任。同年、極低周波ロケット弾を撃ち込まれて死亡。
- 西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は23歳、金属ラジウム鉱山の会計係で労働組合の書記。
- ジョリオ・フランクール (声:なし)
- シリウス戦役における反地球派の実戦組織「ブラック・フラッグ・フォース(黒旗軍/BFF)」の総司令官。ヴェガ星域会戦以降84回の戦いに勝利した。戦役終結後はシリウス星系国防相に就任。パルムグレンの死後に、自分と意見の対立が生じたタウンゼントを抹殺すべく、クーデターを画策したが、その直前に、自室でタウンゼントの命令を受けたと思われる公安局員に射殺される。
- 西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は20歳、医科大学の付属施設で薬学を学んでいた。
- チャオ・ユイルン (声:なし)
- シリウス戦役における反地球派の情報、謀略及び破壊工作を担当。戦役終結後は政治の第一線から退き、ラグラン市で音楽学校を設立して校長に就いたが、フランクールの死の1週間後、タウンゼントの意を受けた(と思われる)司法省公安局の武装捜査官に殺害された。
- 西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は19歳、音楽学校で作曲を勉強していた。
- 能力と性格が一致せず、それゆえ政治への関与を忌避した。にも関わらず、その功績が味方であるべき為政者に不安を与えて謀殺の対象となった…という点で、ヤン・ウェンリーの先駆的存在と評価する者もいる。
- チャオ・フォン
- チャオ・ユイルンの甥。「ラグラン市事件」で幼くして両親を失い、叔父のユイルンに抱かれて市を脱出、その後は叔父の下で成長したと思われる。タウンゼント暗殺事件の犯人とも言われているが、真相は不明。
- マサーリック
[編集] 地球統一政府
- カーロス・シルヴァ
- ジョシュア・リューブリック
- ハズリット
- コリンズ、シャトルフ、ヴィネッティ
- シリウス戦役時、地球軍を率いていた有名な3人の提督。共に有能な司令官であったが、ヴェガ星域会戦では3人の歩調が合わず、「ブラック・フラッグ・フォース」に惨敗。後、チャオ・ユイルンの巧妙な謀略によって共倒れさせられた。ヴィネッティの部下に殺害されたシャトルフは、「ばか者・・・」と言い残して死亡しているが、自分たちが嵌められたことを察知していたのかどうかは不明。
- クレランボー
- ウェーバー
[編集] クリストファー・ウッド
- (声:アニメでの登場は静止画のみ)
- 銀河連邦による対宇宙海賊部隊の司令官。宇宙暦106年から2年間に渡って本格的な活動を行い、その後は政界に進出して汚職政治家や企業家と対決した。毒舌家として有名。
- 同盟では屈指の英雄として歴史の資料に掲載されている。一方、劇場版アニメ第二作で、帝国軍遠征艦隊がアスターテ会戦で同盟第4艦隊を撃破した後、食事中の将兵達がラインハルトを賞賛する意味で「ウッド提督の再来」と評していた。この事から、帝国でも英雄視されている事が伺える。
[編集] ミシェール・シュフラン
- (声:アニメでの登場は静止画のみ)
- 銀河連邦による対宇宙海賊部隊の司令官。上記のウッド提督と並び賞される英雄。
[編集] レオポルド・ラープ
- (声:アニメでの登場は静止画のみ)
- フェザーンの初代自治領主。地球出身。元は帝国に所属する商人だったが、貴族に膨大な額の金品を贈るなど「異様に熱心な」運動を展開し、フェザーン自治領を成立させる。後年、ユリアン達が地球教から持ち帰ったコンピュータ・データ入りの光ディスクによって、その成立の裏に地球教が存在し、その後一世紀に渡って緊密な関係にあった事が判明した。またアニメ版では、その成立に際して使われた膨大な額の工作資金が、シリウス戦役の時に隠匿された地球の富であったとヤンが語っている。
[編集] その他
- ナレーター 屋良有作