関東バス阿佐谷営業所

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関東バス阿佐谷営業所（かんとうバスあさがやえいぎょうしょ）は、杉並区の中央線以北から練馬区南部・板橋区・北区赤羽にかけてのエリアと、杉並区・中野区から新宿方面に向かう路線を受け持っている営業所である。所在地は、杉並区天沼の早稲田通り沿いである。

関東バスでは、「あさがや」の表記は住居表示と同じ「阿佐谷」に統一しており、本営業所や阿佐ケ谷駅の最寄り停留所もこれに従っている。ただし、こうなったのは1960年代以降のことであり、それ以前については「阿佐ヶ谷車庫」、「阿佐ヶ谷駅」のように、「ヶ」を省略しない表記が用いられていた。

目次 1 沿革 1.1 中野乗合から阿佐ヶ谷営業所へ 1.2 路線の整理縮小 2 現行路線 2.1 新宿線 2.2 野方線 2.3 赤羽線 2.4 阿佐谷線 2.5 石神井線 2.6 日大線 2.7 中野区コミュニティバス 3 参考文献

[編集] 沿革

[編集] 中野乗合から阿佐ヶ谷営業所へ

阿佐谷営業所は、戦時統合により関東乗合自動車に合併した中野乗合自動車の社屋を引き継いだものである。この経緯から、当初は「中野営業所」と称されたが、1948年9月1日に阿佐ヶ谷営業所に改称された。また、合併まもない1945年3月より、関東乗合は本社を小滝橋から「疎開」させており、以後1948年11月までこの地に本社が置かれた。

前身の中野乗合自動車は1929年に設立されており、路線は本線格の中野駅～石神井公園駅間と1930年代の後半に開通した中野駅～鷺ノ宮駅間があった。

戦後の阿佐谷営業所は、これら中野乗合の路線をベースに発展していくこととなるが、物資不足に伴う路線休止により、終戦直後において機能していた路線は、わずかに中野駅～本社前（阿佐ヶ谷車庫）だけであった。しかし、1945年末には早くも新規区間が開業し、新宿西口～小滝橋～本社前間の運行が開始された。この路線は、のちに新宿側の起点が伊勢丹前に変更されて線名も「伊勢丹線」と付き、最盛期には石神井公園駅、荻窪駅、南善福寺の3方へ向けて運行した。また、1948年には、都営バスとの相互乗り入れにより東京駅～高田馬場駅～阿佐ヶ谷車庫間の東京線が開業し、まもなく西武バスも加わって石神井公園駅まで延長された。

鷺宮地区では、戦前に運行されていた中野駅への路線が廃止され、杉並区内の最寄り国鉄駅である阿佐ヶ谷駅と中村橋を南北に結ぶ路線（現在の阿01系統）として、阿佐ヶ谷線が開通した。また、荻窪駅から日大通り方面に運行する日大線（現在の荻06,07系統）も阿佐ヶ谷営業所の受け持ちとなった。

[編集] 路線の整理縮小

以上のような経緯により、1960年代半ば頃には、早稲田通りを経由して都心方面へ向かう伊勢丹線・東京線、鷺宮～中村橋間を軸とする南北ローカル路線の阿佐ヶ谷線・日大線などの路線を主に受け持っていた。しかしこの頃を境に、道路渋滞の悪化や車両制限令適用開始の影響により、路線の整理・縮小が始まるようになった。車両制限令は、道路幅に応じて通行できる車両を制限する趣旨の法令であるが、1966年からバスに対しても適用されることとなり、管内では阿佐ヶ谷駅～第九小学校間の旧・中杉通りが同令に抵触した。このため、ここを走る阿佐ヶ谷線は後述するように大幅なルート変更を行わざるを得なくなった。

また、同年には地下鉄東西線の大手町以西が開業し、中央線荻窪駅までの直通運転も行われるようになった。これをきっかけに早稲田通りの2路線は以後の10年ほどの間に大幅な変化を見ることとなる。

東京線は、落合から大手町までを東西線に沿って走っていたため利用者が激減し、1968年限りで全線が廃止された。また伊勢丹線は同じ頃、日大通り方面に向かう便が廃止されており、以上によって早稲田通りの路線は伊勢丹線の石神井公園駅発着便のみに集約された。さらに、伊勢丹線は1970年代と80年代の2度にわたって行われた路線再編成により分割・短縮され、現在は新宿線と石神井線として運行されている。

[編集] 現行路線

[編集] 新宿線

• 宿08：新宿西口～小滝橋～中野駅前
• 阿45：中野駅前～野方警察署～大場通り～阿佐谷駅北口
• 阿45（出入庫）：中野駅前～野方警察署～大場通り～阿佐谷営業所
• 阿45（出入庫）：阿佐谷営業所～阿佐谷駅北口
• 宿07：新宿西口～小滝橋～阿佐谷営業所

新宿線は、新宿・中野・阿佐谷周辺の早稲田通りを主に運行する路線である。便数のほとんどを新宿西口～中野駅を結ぶ宿08と、中野駅～阿佐谷駅を結ぶ阿45の2つの系統が占め、新宿西口～阿佐谷営業所を結ぶ宿07系統は新宿方面が始発、阿佐谷営業所方面が終発のみで、ともに1本のみの運行となっている。なお、宿07系統の「中野区役所入口」停留所は、同系統の新宿方面行のみが停車する1日1本しかバスが通らない停留所である。この付近では、日中は「区立体育館」停留所が多く利用される。

この路線は、旧・中野乗合の路線をベースとして、終戦直後の1945年12月に新宿西口～本社前（現・阿佐谷営業所）間の運行が開始され、1960年代の最盛期には伊勢丹前を起点に石神井公園駅、荻窪駅、南善福寺の3方向へ向けて運行された幹線路線であった。しかし、もともと中央線との並行区間が多いうえ、地下鉄東西線の開通や道路渋滞の影響もあり、その後は順次路線の縮小が進められていった。まず、1960年代末までに重複路線のある日大通り方面への便が廃止され、伊勢丹前～石神井公園駅およびその折り返し便のみとなった。1972年頃に行われた再編成では、伊勢丹前～阿佐谷営業所と高円寺駅～石神井公園駅（石神井線）に分割され、その後まもなく伊勢丹前への乗り入れも取りやめとなり、線名も伊勢丹線から新宿線と変更された。さらに、阿佐谷駅北口バス乗り場と同駅北側の中杉通りの整備が完了したことから、1983年3月23日に再度分割され、宿08と阿45を中心とする運行となり、宿07系統は終日の運行が取りやめられた。

[編集] 野方線

• 宿05：新宿西口～東中野二丁目～中野駅北口～野方警察前～（→大場通り／中野工高←）～野方
• 中01：中野駅北口～野方警察前～（→大場通り／中野工高←）～野方
• 中01（出入庫）：阿佐谷営業所～大場通り～野方
• 中01（出入庫）：阿佐谷営業所～大場通り～野方警察前～中野駅北口

環七上にある「野方駅南口」「野方駅北口」停留所（高円寺駅～赤羽駅線他が停車）より更に野方駅に近い停留所名を「野方」と称し、新宿駅・高円寺駅経由五日市街道営業所行き等の他系統が発着する小さなバスターミナルでの乗降となる。野方駅南口から商店街をくぐりぬけ、野方停留所へと向かう。

野方線のうち、宿05の「東中野二丁目」バス停は、2006年10月16日より、野方方面の旧「東中野二丁目」バス停を「宮下交差点」に改称し、「宮下交差点」と「堀越学園前」バス停間に、新「東中野二丁目」を新設した。

[編集] 赤羽線

• 赤31：高円寺駅北口～大場通り～野方駅北口～豊玉北～中板橋駅入口～大和町～赤羽駅（国際興業バス赤羽営業所と共同運行）
• 高円寺駅北口～大場通り～阿佐谷営業所（出入庫・関東のみ）

[編集] 阿佐谷線

• 阿01：阿佐谷駅北口～白鷺一丁目～鷺ノ宮駅～中村橋（深夜バス有り）
• 阿01（出入庫）：阿佐谷営業所～白鷺一丁目～鷺ノ宮駅～中村橋
• 阿02：白鷺一丁目→阿佐谷駅北口→天沼→荻窪駅北口→日大二高→白鷺一丁目（循環、午前のみ運行）
• 阿03：阿佐谷駅北口→阿佐谷営業所→下井草駅→中村橋→鷺ノ宮駅→阿佐谷駅北口（片道・朝1便のみ運行）
• 阿04：阿佐谷駅北口～白鷺一丁目（平日夕方のみ運行）
• 阿05：荻窪駅北口～阿佐谷駅北口～白鷺一丁目（午後のみ運行）
• （出入庫）：阿佐谷駅北口～阿佐谷営業所

阿佐谷線は、阿佐谷駅から西武線鷺ノ宮駅を経て中村橋まで、中杉通りをほぼ一直線に走る、阿01系統を本線とする路線である。終戦直後の1947、8年頃に開通し、一時は杉並区役所～豊島園を結ぶ系統が存在したが、阿佐谷駅～中村橋間を主軸としていることは今も昔も変わりない。

かつては阿佐ヶ谷駅～第九小学校の間で旧中杉通り（現行道路の1本西側の通り。通称旧中杉通り）を走行し、一時はこの狭い通りをおよそ1分半の間隔でバスが行き来していた。しかし、1960年代に「車両制限令」が施行され、1966年8月1日よりバスに対しても適用されることとなったため、上記区間が同令に抵触し、バスの運行が出来なくなる可能性が出てきた。これに対し、利用者から路線廃止に反対する多数の署名が寄せられたことから、旧中杉通りをバスの需要に応じて午前は阿佐ヶ谷駅方向へ、午後は第九小学校方向へと変わる一方通行に改め、片道は青梅街道・荻窪駅・日大通りへと大幅に迂回するという苦肉の策で運行を維持した。

また、西武新宿線の踏切渋滞もこの路線の悩みの種となっていた。これについては、時期不明だが阿佐谷駅～白鷺二丁目（のち白鷺一丁目までとなる）の折り返し線が開設され、特に利用者の多い白鷺地区以南の定時性確保に寄与した。

1981年に現在の中杉通りが開通すると、同年4月1日より阿佐谷駅～中村橋便は迂回運行を解消し、新道経由の往復線として運行するようになった。白鷺一丁目便は、新道経由となったものの時間帯別の循環運転を維持したままとなった。なおこの際、両便は系統番号の入れ替えを行っており、前者は阿02から01へ、後者は阿01から02に変わっている。

その後、2001年の改正で運用の効率化が図られ、阿02は午後の運行を中止、正午～夕方は阿05（荻窪駅～阿佐谷駅～白鷺一丁目）、夕方以降は平日のみ阿04（阿佐谷駅～第九小学校～白鷺一丁目）が代わりに運行されている。このとき同時に下井草・南田中地区を経由し中村橋へ向かう阿03が新設されているが、こちらは利用者が定着せず、2004年2月より阿01に本数の多くを吸収され、早朝1便のみに減らされてしまった。

[編集] 石神井線

• 阿50：阿佐谷駅北口～阿佐谷営業所～下井草駅～下石神井1丁目～石神井公園駅
• 阿51：阿佐谷駅北口～阿佐谷営業所～銀杏稲荷前～下井草駅（夜間のみ）
• 阿佐谷駅北口～阿佐谷営業所（出入庫）
• 阿佐谷営業所～下井草駅（出入庫）

かつて高円寺駅北口までの運行であったものを阿佐谷駅までの運行とした為、高50→阿50系統へと変更された。そこそこの運行本数が設定されているが、途中通過する旧早稲田通りが狭隘であったり、環八通過や西武新宿線踏切通過の為、稀に大幅なダイヤの乱れが生じる事がある。

[編集] 日大線

• 荻05：荻窪駅北口～日大二高～白鷺一丁目（夜間のみ）
• 荻06：荻窪駅北口～日大二高～白鷺一丁目～鷺の宮駅～中村橋
• 荻07：荻窪駅北口～日大二高～白鷺一丁目～鷺の宮駅～中村橋～練馬駅前
• 荻07（出入庫）：阿佐谷営業所～白鷺一丁目～鷺の宮駅～中村橋～練馬駅前
• 荻07（出入庫）：阿佐谷営業所～下井草駅～八成橋～中村橋～練馬駅前
• 荻04：荻窪駅北口～日大二高～阿佐谷営業所

中村橋には折返所がないため、荻06は終点付近の往復ルートが一部異なり、中村橋方向にのみ中村公園前バス停がある。この線は、戦前に昭和自動車商会が運行していた荻窪駅～阿佐ヶ谷（現・阿佐谷北六丁目付近）線がベースであるが、戦後は終点が鷺の宮駅、下井草駅、練馬駅と何度か変わっている。

[編集] 中野区コミュニティバス

• K01：中野駅～野方駅北口～都立家政入口～鷺ノ宮四丁目～四谷商業高校～{八成小学校→井草一丁目}（循環）

2005年11月30日に中野区コミュニティバスが開業し、当営業所の担当で受託運行している。⇒詳細はなかのんを参照。

[編集] 参考文献

• 関東バス 『かんとう 創業五十年記念特集号』 関東バス、1981年。
• 高谷義重 『交通詳解大東京案内』 平凡社、1932年。
• 内山模型製図社地図部 『大東京市域全図』 内山模型製図社地図部、1936年。
• 『バス路線表』 友交社、1969年