阪急伊丹線
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伊丹線(いたみせん)は、兵庫県尼崎市の塚口駅から兵庫県伊丹市の伊丹駅までを結ぶ阪急電鉄の鉄道路線。
福知山線(JR宝塚線)と並行しているが、こちらが伊丹市の中心地に近い。JRは尼崎市・伊丹市内では工業地帯の中を走るが、阪急伊丹線は塚口駅から新伊丹駅までは住宅地にあり、とても落ちつきのある場所に立地する。終点の阪急伊丹駅へ近づくにつれて周辺は高層マンション、ビルやデパートなどに囲まれ、駅ビルの3階に到着する。
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[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):3.1km
- 軌間:1435mm
- 駅数:4駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:70km/h
- 車両基地:西宮車庫
[編集] 運行形態
線内折り返し運転のみで、神戸本線との直通運転はない。
[編集] 歴史
阪急電鉄の前身である阪神急行電鉄が、1920年に神戸本線と同時に開業させた。
もともと神戸本線は、伊丹および門戸厄神を通る、現在の山陽新幹線に近いルートでの敷設を予定していたが、それが塚口・西宮北口経由に変更となったため、伊丹への連絡を図るための代替線として敷設されたものである。
- 1920年(大正9年)7月16日 塚口~伊丹間が開業。
- 1921年(大正10年)5月10日 稲野駅開業。
- 1935年(昭和10年)3月1日 新伊丹駅開業。
- 1943年(昭和18年)2月1日 全線複線化。
- 1967年(昭和42年)10月8日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1968年(昭和43年)11月9日 伊丹駅高架化。同時に現在地に移転。
- 1978年(昭和53年)3月10日 全線を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に変更。
- 1995年(平成7年)1月17日 阪神・淡路大震災で伊丹駅が倒壊。全線不通に。
- 1995年(平成7年)1月21日 塚口~新伊丹間が運転再開。
- 1995年(平成7年)3月11日 伊丹駅の400m南に伊丹仮駅を設置し新伊丹~伊丹仮駅間の営業再開。伊丹仮駅~伊丹間は休止に。
- 1998年(平成10年)11月21日 伊丹駅再建により伊丹仮駅~伊丹間単線で営業再開。
- 1999年(平成11年)3月6日 複線運転再開。震災4年目にして被災地の鉄道が完全復旧。
[編集] 駅一覧
[編集] 接続路線
- 塚口駅:阪急神戸本線
[編集] 延伸計画
1923年、阪神系列の宝塚尼崎電気鉄道(尼宝電鉄)が尼崎~西大島~宝塚間の鉄道免許を取得した。当初のルートは阪急伊丹線から離れた武庫川沿いであったが、後に、伊丹市街地を通るルートに変更を申請した。これは阪急伊丹線にかなり近いルートであり、阪急ではこれへの牽制として、伊丹線を延伸する形となる塚口~尼崎間3.8km・伊丹~宝塚間7.2kmの軌道特許を翌1924年5月19日に取得した。
しかし、尼宝電鉄の路線は着工はされたものの途中で中止され、道路(兵庫県道42号尼崎宝塚線)に転用された(現在阪神は同ルートを、阪神電鉄バス尼崎宝塚線(宝塚線)として運行中)。阪急の伊丹線延伸線は着工されることはなかった。軌道特許は廃止されることもなく存続されていたが、2005年2月23日に阪急が工事施行認可申請を取り下げ、軌道特許が失効した。