電車大環状線
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電車大環状線(でんしゃだいかんじょうせん)とは、JRの運賃・料金計算および乗車券の効力に関する特例の1つであり、特定のエリアを通過する場合に運賃・料金を実際に乗車した経路にかかわらず必ず最短の経路のもので計算する制度である。なお「電車大環状線」の名称はこの特例の呼称としてよく使われるものではあるが、正式に定められた名称ではない(正式名称は定められていない)。単に「大環状線」と呼ばれることもある。
JR時刻表の運賃特例案内ページでは「東京付近の特定区間を通過する場合の特例」と題されている。
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[編集] 概要
この特例は旅客営業規則第70条および第159条に定められているものである。
- 第70条
- 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
- ※太線区間は、次項にて詳述
- 第159条
例えば東京駅経由で新幹線を利用する場合でも、東京駅を通らない経路で運賃が計算されることがあるのはこのためである(例:東海道新幹線・東北新幹線~東京~新宿~中央線の場合でも、前者は品川から山手線経由で、後者は赤羽から赤羽線・山手線経由で計算する)。
似た制度として経路特定区間があるが、経路特定区間はその範囲の末端駅との相互発着の場合でも適用される(ただし、末端駅両方が含まれる必要がある)のに対し、こちらは「通過」(このエリアを挟んで前後の区間の駅を行き来)する場合の適用であるので、当該区間発着になる場合(発着駅のいずれかのみがエリア内の駅である場合も同様)は第70条および第159条は適用対象外になり、第160条のみ適用となる(ゆえに、「電車大環状線通過」とも)。
- 第160条
- 第70条第1項に掲げる図の太線区間内にある駅発又は着の普通乗車券又は普通回数乗車券を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、迂回して乗車することができる。ただし、別に定める場合を除き、迂回乗車区間内では、途中下車をすることはできない。
即ち、この特例を利用して東京近郊区間外~当エリア内~区間外の駅(東京都区内発着適用となる場合は更にその外)発着の101km以上の乗車券を設定すれば、途中下車制度によりエリア内での乗降の選択肢がかなり増えることになる。
なお、以下の3例については他の特例を適用することで、ほぼ同様の取り扱いを受けることが出来る。
- 東京近郊区間内のみで利用の場合は、運賃のみだが最短経路で計算できる。ただし途中下車は不可能。
- 赤羽駅~池袋駅間を東北貨物線経由で利用する場合(成田エクスプレス、東武線直通特急「日光・(スぺーシア)きぬがわ」など)、および代々木駅~錦糸町駅間を山手貨物線~(品川駅)~横須賀線経由で利用する場合(成田エクスプレスのみ)については、列車特定区間であるため運賃・料金共に最短経路(前者は赤羽線経由、後者は水道橋・両国経由)で計算できる。
- 日暮里駅~赤羽駅間を東北本線(宇都宮線)経由で乗車する場合は、経路特定区間であるため運賃・料金共に必ず京浜東北線経由の短い経路で計算される。
現在は東京のみであるが、かつては大阪環状線およびその周辺にも制定されていた。現在はその代替として大阪駅~天王寺駅が経路特定区間に指定されている。
[編集] 区間
路線の正式名称によって記述する。
- 山手線:品川駅~田端駅(全線全駅)
- 赤羽線:池袋駅~赤羽駅(全線全駅)
- 東海道本線:東京駅~品川駅
- 中央本線:神田駅~代々木駅
- 総武本線:東京駅~錦糸町駅、御茶ノ水駅~錦糸町駅
- 東北本線:東京駅~赤羽駅、日暮里駅~尾久駅~赤羽駅
なお、このエリアはかつて発売されていたトクトクきっぷ「東京自由乗車券」のフリーエリアに相当した。
[編集] 沿革
以下のページに詳しい(外部リンク)。