霧ヶ峰
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霧ヶ峰(きりがみね)は、八ヶ岳中信高原国定公園中部にあり、長野県茅野市、諏訪市、諏訪郡下諏訪町、小県郡長和町にまたがる。フォッサマグナ沿いに噴出した楯状火山である。最高峰は、車山(1925m)。山地帯夏緑樹林と亜高山帯針葉樹林の境界付近に存在する。
古来、カヤ類が刈り取られ利用されてきたため、山頂部は草原となっている。現在では、わずかずつ樹林面積が増加しつつある。
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[編集] 湿原
- 八島ヶ原湿原(国指定天然記念物)
- 尾瀬ヶ原と並ぶ日本を代表する高層湿原。ミズゴケ類を主として、植物が腐らないで泥炭層として堆積、8,500から10,000年ほど前に形成された。鎌ヶ池と八島ヶ池、鬼ヶ泉水などの池があり、木道が整備されていて、湿原を一周できる。
- 踊場湿原(国指定天然記念物)
- 車山湿原(国指定天然記念物)
[編集] 文化・歴史
八島ヶ原湿原、踊場湿原からは、黒曜石を用いた石器(旧石器時代のものと推定される)が発見されている。
中世になると、御射山(みさやま)の祭りが催され、武士達が狩りや弓矢等の腕比べをしていた(流鏑馬)。現在も元御射山遺跡として、祭りの時に利用されたと推定される祭壇が神社を囲むように三方の丘の中腹に、まるで神社をフィールドとするスタンドのように残っている。野焼きが行われるようになり、草原化していくのもこの頃である。
近世、明治時代になると、美しい花の咲く景勝地として知られはじめる。諏訪出身の歌人である島木赤彦は、「霧ヶ峰登りつくせば眼の前に草野ひらけて花咲きつづく」などの歌を残している。 昭和にはいるとスキー場等、観光地としての開発が始まるが、昭和14年に国指定天然記念物に指定されるなど、環境保護が意識される中で、景勝地霧ヶ峰は現代に至っている。
[編集] 植物群落
高原の涼しい気候で、四季を通じて折々の景色が楽しめる。もとが火山土壌であり、酸性、燐酸欠乏の痩せた土壌という悪条件にもかかわらず、5月下旬には、コバイケイソウ、6月中旬にはレンゲツツジ、7月中旬にはニッコウキスゲといった植物が見頃を迎える。特に、ニッコウキスゲは地元では定評があり、「ニッコウキスゲの道」と呼ばれる遊歩道が整備されている程である。毎年、盛りの時期になると地元紙や市の広報が必ず取り上げる。
秋にはススキの銀色がたなびく姿が美しい。
[編集] グライダー
霧ヶ峰は日本グライダー発祥の地といわれ、土日休日を始め、グライダーが飛行している。滑走路付近には、グライダーふれあい館があり、機体の展示等を行っている。
歴史は古く、大正時代からグライダーの飛行は行われていた。戦後、グライダーに関する全ては破棄されたが、1952年(昭和27年)に再開され、現在も盛んにグライダーの飛行が行われている。
[編集] 交通
[編集] 周辺にある小屋
- コロボックル・ヒュッテ
- ヒュッテ・ジャヴェル
- クルヌプ・ヒュッテ
- ヒュッテ御射山
- 八島山荘
- 奥霧ヶ峰八島高原荘
- 鷲が峰ひゅって
- ロベンド・ヒュッテ
- ヒュッテ霧ヶ峯
[編集] 構成する主な山
- 車山 (1925m)
- 蝶々深山 (1836m)
- 鷲ヶ峰 (1798m)