霧信号所
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霧信号所(きりしんごうしょ)は、航路標識の一種。視界が悪いときに音で船舶に位置を知らせるものである。霧笛(むてき)とも呼ばれる。
多くは灯台に併設され、その鳴り方(周期:音を鳴らす時間と止めている時間の組み合わせ)が信号所毎に異なるため、どこから発せられているものか識別できるようになっている。音の発し方は多くがダイヤフラムホーンとなっているが、犬吠埼灯台ではエアサイレンを採用している。しかし、電波標識の整備に伴い廃止が進んでおり、現在日本には20ヶ所ほどしか残っていない。
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[編集] 種類
音の発し方により区別される。
- ダイヤフラムホーン(電磁式発信器)
- 電磁力により発音板を振動させ吹鳴する。日本で現在主流の方式。
- エアサイレン(圧搾空気方式)
- 圧縮空気によりサイレンを吹鳴する。日本では現在犬吠埼灯台のみ使用。
[編集] 歴史
- 1877年(明治10)11月20日 尻屋埼灯台(青森県東通村)に日本で初めて霧鐘が設置された。
- 1879年(明治12)12月20日 尻屋埼灯台に蒸気式霧笛を採用。これを記念して12月20日が霧笛記念日となっている。
- 1888年(明治21)9月15日 白神岬霧警号にて初めてエアサイレン(圧搾空気方式)を採用。
- 1900年(明治33)2月15日 襟裳岬灯台の霧笛用動力源として、初めて石油発動機関が採用される。
- 1903年(明治36)2月20日 平舘霧警号に、初めてダイヤホーンが採用される。
- 1925年(大正14)4月12日 青森港霧信号所で初めてモーターサイレンが採用される。
- 1954年(昭和29)2月22日 釧路港南防波堤霧信号所に、初めてダイヤフラムホーン(電磁式発信器)が採用される。
- 1965年(昭和40)3月 落石岬灯台 の霧信号所に、初めて自動霧探知装置(バックスキャッター式)が採用される。
- 1974年(昭和49)3月29日 焼尻島霧信号所で霧信号装置の自動遠隔制御が始まる。
[編集] 霧信号所のある主な灯台
- 宗谷岬灯台 (北海道稚内市)
- 稚内灯台 (稚内市)
- 納沙布岬灯台 (北海道根室市)
- 花咲灯台 (根室市)
- 落石岬灯台 (根室市)
- 湯沸岬灯台 (北海道浜中町)
- 襟裳岬灯台 (北海道えりも町)
- 日和山灯台 (北海道小樽市)
- 陸前大島灯台 (宮城県気仙沼市)
- 犬吠埼灯台 (千葉県銚子市)