根室市
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根室市(ねむろし)は、北海道島の最東端にあたる市で、北海道根室支庁の所在地である。
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[編集] 地理
北海道の最東端、東経145°21'から146°11'、北緯43°09'から43°38'の間で、東西に70km、南北に10km、東西に細長く太平洋に突き出た根室半島の全域と、半島の付け根辺り、北方領土の歯舞諸島を市域とする。根室半島の太平洋沖合約3kmにユルリ島・モユルリ島がある。
[編集] 地勢
概ね低平な隆起海食台地で、山岳及び大きな河川はなく、市の中心部は透遠な高原の一部であるため、地形の高低があり、街路は緩やかな坂道が多く北東に紅煙岬が突出し、その西方海面に弁天島が横たわり、自然の港門となって根室港を形取っている。 陸地はほとんど平坦で牧畜に適し、半島の東端納沙布岬は暗礁が多くあり、加えて濃霧が深く航海上の難所として知られ納沙布灯台が設置されており、一方、太平洋側には大小の島が点在し、南東に突出した港の入江にはそれぞれ歯舞、花咲、落石の各港があり重要な漁港としての役割を果たし、冬季間の氷結もなく、沿岸、沖合漁業の根拠地として根室港と表裏をなしている。 更に、内陸部の厚床、和田地区は、大部分が平坦な平原で最高背部で150m、丘陵に小川が入り交じって大きな河川はなく、わずかにオンネベツ川、別当賀川を最大にホロニタイ川の小河川があるに過ぎない。
[編集] 地質
地域の大部分が千島火山系摩周岳に由来する火山噴出物が堆積して形成された風積火山性土で、土性は一般に泥炭土を除き火山灰性土壌である。
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
- 寛政2年(1790年)に松前藩の運上所がノッカマップから根室に移ったのが、集落の起源となった。根室は「子モロ」(子はネの変体仮名)「根諸」などと書き、河口に流木が寄り集まる小川からとられたという。また、アイヌ語のニムオロ(木の繁るところ)からとられたという説もある。根室の前に運上所があったノッカマップは、前年のクナシリ・メナシの戦いの首謀者が処刑された場所であった。そのせいでアイヌに嫌われたノッカマップを避けたのが、移転の理由であったという。寛政11年(1799年)に東蝦夷地が江戸幕府の直轄地になると、根室の運上所は、根室会所と改められた。
- 明治2年(1869年)10月に開拓使の根室出張所が置かれ、これは明治4年(1871年)5月に根室出張開拓支庁と改称、明治5年(1872年)9月から根室支庁と改称した。これら官庁は東北海道の行政を統括する役目を持っていた。1882年から1886年までは、根室県の県庁所在地であった。明治19年(1886年)1月に北海道庁が設置されると、根室県は廃止され、12月まで一時的に根室支庁が置かれた。明治30年(1897年)に、今までのものよりずっと狭い根室支庁が置かれると、その所在地となって今日に至る。
- 明治初めの根室は北海道東部最大の町であった。周辺の海域で働く漁業労働者の一時的な滞在地で、人口の季節変動が大きかった。明治10年(1877年)に漁場持制が廃止され、少数商人の支配がなくなると、根室に永住する人も増え、商店が並ぶようになった。
[編集] 年表(明治以後)
- 1869年 9月、開拓使の松本判官が属僚とともに移住民130人を率いて来住し、開拓使役所を根室に置く。和田地区が根室開拓使役所の管轄となる。
- 1875年 根室町区画が完成し、町名を定める。
- 1880年 戸長役場が置かれる。
- 1900年 一級町村制施行、根室町となる。
- 1957年 同じ根室郡内の和田村と合併、市制を施行し、根室市が誕生する。
- 1959年 花咲郡歯舞村を併合する。
- 1968年 開基100年記念事業を実施する。
- 旧和田村
- 1886年 和田地区に屯田兵440戸が入地し、和田村を建設する。和田村・落石村・昆布村の各村を管轄とする、和田村ほか二カ所戸長役場を設置する。
- 1900年 和田村ほか二カ所戸長役場の管轄に、穂香村・厚別村・幌茂尻村の各村を入れ、和田村ほか5カ村戸長役場と改める。
- 1906年 二級町村制が施行され、和田村となる。
- 1957年 同じ根室郡内の根室町と合併し、根室市が誕生する。
- 旧歯舞村
- 1900年 戸長役場を友知村に設置し、友知以下6カ村を区域とする。
- 1901年 戸長役場を歯舞村に移して、歯舞村ほか5カ村戸長役場とする。
- 1915年 二級町村制施行
- 1945年 ソ連軍の侵攻によって歯舞諸島が占領される。村役場は根室半島側にあったために接収を免れるが、実際の行政権の範囲が同半島側のみになる。
- 1959年 根室市に併合される。
[編集] 行政
- 市長 長谷川俊輔
- 歴代市長
- 初代 西村久雄 1957年(昭和32年)9月16日~1964年(昭和39年)9月5日
- 2代 横田俊夫 1964年(昭和39年)10月4日~1974年(昭和49年)9月1日
- 3代 寺嶋伊弉雄 1974年(昭和49年)9月30日~1986年(昭和61年)9月28日
- 4代 大矢快治 1986年(昭和61年)9月29日~1998年(平成10年)9月28日
- 5代 藤原弘 1998年(平成10年)9月29日~2006年(平成18年)9月28日
- 6代 長谷川俊輔 2006年(平成18年)9月29日就任。
[編集] 地図
[編集] 観光
[編集] 産業
主力の水産業は昭和40年代をピークに、各種の規制により半減。新しい海洋時代に対応するため、沿岸漁業資源の増養殖をはじめ、水産資源の高次加工などの各種振興策を推進。
2005年度の根室港の水揚げ量は、北海道で第一位である。
[編集] 農業
主に酪農。厚床地区に多い。
[編集] 主要企業
- 碓氷勝三郎商店
- カネ共三友冷蔵
- パソコン救援隊トモカツ
- カネコメ高岡商店
- カネヒロ
- 兼由
- 小林商店
- 根室罐詰
- 真壁建設
- マル海光洋水産
- マルタツ
- 渡辺建設工業
- 明治乳業株式会社根室工場
- 永宝冷蔵
- ヤママン食品
[編集] 金融機関
[編集] 特産・地酒
ハナサキガニ・サンマ等水産物、水産加工品、エスカロップ、北の勝(日本酒)、オランダせんべい、ヤママンの花咲かに弁当
[編集] 姉妹都市
[編集] 海外
[編集] 国内
[編集] 地域
[編集] 教育
- 高等学校
- 道立高等学校
- 中学校
- 厚床、落石、啓雲、光洋、柏陵、歯舞、和田
- 小学校
- 厚床、落石、温根元、華岬、共和、珸瑤瑁、昆布盛、成央、花咲、花咲港、北斗、幌茂尻、和田
- 大学施設
- 北海道大学理学部付設根室地震及地殻変動観測所
[編集] 交通
[編集] 空港
[編集] 港湾
- 根室港(重要港湾)
[編集] 鉄道
[編集] 道路
- 高速道路
- 根室道路(計画線)
- 一般国道
- 道道
- 北海道道35号根室半島線
- 北海道道142号根室浜中釧路線
- 北海道道310号花咲港線
- 北海道道312号根室停車場線
- 北海道道313号根室港線
- 北海道道780号花咲港温根沼線
- 北海道道953号別当賀酪陽線
- 北海道道988号貰人姉別原野線
- 北海道道989号豊里歯舞線
- 北海道道1064号友知牧之内線
- 北海道道1123号落石港線
- 北海道道1127号初田牛厚床線
- 道の駅
- スワン44ねむろ
[編集] マスコミ
[編集] イベント
納沙布岬初日詣(1月)、ニムオロ冬の祭典(2月)、港まつり(7月)、金刀比羅神社例大祭(8月)、かに祭り(9月)、さんま祭り(9月)
[編集] 根室市を舞台とした映画・ドラマ・アニメ・小説・漫画
- ドラマ
[編集] 出身者
- 青山義雄(洋画家)
- 赤穴宏(洋画家)
- 飯田三郎(作曲家)
- 遠藤淑子(漫画家)
- 川端元治(実業家)
- 神田たけ志(漫画家)
- 金原亭馬遊(落語家)
- 木幡陽(東京大学名誉教授・生化学)
- 三遊亭金八(落語家)
- すまけい(俳優)
- 徳田修造(元日本衛星放送社長)
- 袴谷憲昭(駒沢大学教授・仏教学)
- 柳瀬尚紀(英文学者・翻訳家)
- 若天狼啓介(大相撲力士・間垣部屋所属)