駅長
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駅長(えきちょう)とは、鉄道駅における最高責任者・管理者である。 国土交通省令である鉄道係員職制によれば「駅長は、運輸長の命を受け、駅務を統括し、構内の秩序を保持し、その所属係員を監督する」鉄道係員である。
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[編集] JRの駅長
JR(旅客鉄道会社・旧国鉄)においては駅長室のある方からプラットフォーム(いわゆるホーム)を1番線と名付けた。また駅構内における運転取り扱い業務(分岐器の転換や場内信号機・出発信号機の現示など)も本来は駅長が行うが、大規模駅では駅長1人での操作は到底出来ないので、駅長に代わってこの業務を行うことを命ぜられた駅員も駅長と呼ばれる(この場合の駅長は、役職名を指しているのではない。社内では当務駅長と呼ばれる)。またローカル線の駅で、業務を外部に委託している駅では、駅長にあたる人を駅務長と呼ぶ場合もある。このようなローカル線では、近年のCTCの普及により、全国的に無人駅が増加しているため、複数の駅を一つの管区として一管区に一人の駅長が配置される。この場合の職名は管理駅長と称される。
東京駅(在来線および東北・上越・長野新幹線-JR東日本、東海道新幹線-JR東海)のように複数のJRやほかの鉄道事業者にまたがっている場合は、それぞれの駅長がいる(東京駅の場合はさらに東京地下鉄丸ノ内線の駅長がいる)。
[編集] 私鉄の駅長
民鉄(私鉄)の場合も同じように、通常全駅に駅長がいるわけではなく、主要駅にのみ配置されていることが多い。この場合、複数の駅を一人の駅長が管理する。小田急電鉄などはさらに細かく、「○○管区○○管内」と称して、その管区の中での各駅の管理駅が決められているような事もある。この場合の職名は鉄道事業者により異なるが、管区長と称している会社もある。その下に駅長がいる場合もあり、一概には言えない。(前述の小田急の場合、藤沢管区を例に挙げれば「藤沢管区管区長」と「藤沢管区藤沢管内藤沢駅長」が存在している。)
[編集] 他の係員との区別
駅長の制帽には大抵、赤地ないし無地に金帯が二本入っているので判別できる。助役は一本である。
[編集] 駅長の業務
大規模・中規模駅の駅長は基本的に日勤と呼ばれる勤務(8時30分から17時15分が主流)で、土曜休日は休みのことが多い。主な業務は駅長室での執務の他、朝礼や主任会議、会合などへの出席が挙げられる。
小規模駅の駅長は、駅自体の配置要員が少ないため一般職と共に勤務ローテーションに入り、出札・改札業務、運転扱いなどのほか、駅舎清掃も行う。また地域の会合へ出席することもある。そのため、大規模・中規模駅の駅長と比べると業務量は多く、当直勤務になることもある。
[編集] 駅長への昇級
通常は、各社で独自に実施する昇級試験を受けて昇進する。ただ駅長への昇級試験を受けて合格したからと言って、駅長に着任する訳ではない。副駅長や総務助役などを経験して駅長になる場合もある。小規模な駅の駅長は大規模な駅の総務助役に相当するものとされている支社も多く、一度駅長に着任したが、次の異動先で総務助役・副駅長に着任することも少なくはない。JRの傾向では現場出身者(助役昇級)よりも支社出身者(課長級)が駅長になるケースが多い。
民鉄においては、昇級試験により登用する会社もあるし、年功により登用する会社もある。小規模な会社の場合、登用試験の制度が整っていないため、年功や抜擢により登用される会社が多い。
[編集] 一日駅長
有名人などを招き、一日駅長としてイベントを行うことがある。特別なたすきなどで飾られた制服や制帽を身につけ、通常の駅長が受け持つ複雑な業務ではなく、利用客や地域住民とのふれあいを目的とする。一日署長などと同様のイベントである。
稀に犬などの動物も一日駅長とすることがある。和歌山電鐵貴志川線の貴志駅は猫の「たま」が駅長に任命されており、一日だけでなく終身雇用である。
[編集] 関連項目
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