騎士
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騎士 (きし、knight) とは、主に中世ヨーロッパにおいて騎馬で戦う戦士に与えられる名誉的称号及びそこから派生した階級を指す。称号としての騎士を騎士号という。これ以外の騎馬部隊については騎兵参照。
もともとは、古代ローマの兵役で経済的に騎兵を提供するほどの財産を持っているものを意味した(エクィテス)。
中世においては重装騎兵が戦闘の主役であり、そのためには優れた技量と精神的、肉体的な鍛錬が必要だとされ、その資格を有するものに騎士という称号を与えるようになった。
騎士になるにはまず、7歳頃から小姓(ページ)となり、主君の元に仕え騎士として必要な技術を学び、14歳頃に元服すると従士(スクェア)となって先輩騎士について実際の戦闘にも参加するようになり、一人前の騎士と認められると主君から叙任を受けることになる。
叙任の儀式は、基本的には主君が、自分の前に跪いて頭を垂れる騎士の肩を長剣の平で叩くというものだが、騎士の戦士としての重要性が薄れると却って、叙任の儀式は複雑化し、宗教色や騎士道精神といったものが強調されるようになった。
当初は騎士は叙任されるもので生まれついての身分・階級ではなかったが、騎士としての装備を維持するには、自然、封建領地をもった階層に固定され、やがて男爵以上の貴族の称号を持っていない者の称号となった(ナイト爵)。
16世紀以降、火器の使用により騎乗戦の意義が薄れ、騎士が戦士としての役割を終えると、純粋な社会的階級となり、現在でも イギリスなどでは、男爵、准男爵に次ぐ爵位として、ナイト爵が勲章システムと結びついて存在している。別称は勲功爵、勲爵士ともいう。
騎士への敬称は主にSir(卿)という。但し、騎士は、 中国や日本の卿に比べてはるかに低い階級(卿、太夫、士)であるため、Sirを卿と訳するのはあまり正しくない。また、貴族の尊称Lordも同じく卿と訳されるため誤訳・誤用を招くこともある。
[編集] 現代の騎士
上記の通り、英王室における爵位として、今日でもイギリス内外の功労者への称号として授与されるケースは多い。(映画「今そこにある危機」でジャック・ライアンが、王族の一人を暗殺から救った功でナイト位を受けた例がこれに該当) 論文等の中で学者の名称が、~卿となっている場合は、こうしたナイト爵を得ている人がほとんどである。 その他、ヨーロッパにおいては、中世以来今日に至るまで騎士団の伝統を受け継いでいる人々が多くおり、中でもワインやチーズなど 食文化の伝道者としての団体として続いているものも多い。また、君主制の国家ではないものの政府として騎士号を授与する国もある。
食文化を守る騎士団としてはフランスのボルドーワインの伝統を守るボンタン騎士団なとが有名であるが、 その他、フランス、ドイツを中心にワイン騎士、ベルギービールの騎士号やフランスチーズ鑑評騎士などの称号があり、それぞれの 食文化において活躍する人材に対してこれらの騎士号が授与されている。 日本でも、とりわけ国内の著名人などが授与されるケースも多い。
日本では、そもそも中国や西欧から導入した爵位の制度はかつて存在したが、国の制度として騎士または騎士団の制度が存在したことはない。 青森県の商工会議所が雪かきの功績者に対して、雪の騎士という騎士号を授与する例や、日本吟醸酒協会が開催する吟醸酒大学校の受講生 の中で一定の要件を満たした人に吟の騎士の称号を授与しているケースもある。(さらにその上級課程を修了すると、吟の衛士の称号が授与される)など、現在では業界団体、ボランティアへの表彰や民間法人の私設カレッジの私的称号として騎士号が愛用されるケースがみられる。
[編集] 関連項目
- 経済
- サイエンス・フィクションにおける「騎士」- SF作品においては、特殊な戦闘能力を持った人物か、兵器のパイロット、もしくはその両方に該当する登場人物、もしくはそうした特殊な能力それ自体の事を「騎士」と称する例が見られる。これらは単純に「兵士」や「戦士」を意味するわけではなく、騎士道精神の様なものと不可分な称号である。