70年代風ロボットアニメ ゲッP-X
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ジャンル | 横スクロールシューティング |
対応機種 | プレイステーション |
開発元 | アローマ |
発売元 | アローマ |
人数 | 1人 |
メディア | プレイステーション用CD-ROM 4枚組 |
発売日 | 1999年5月27日 |
価格 | 6,800円(税別) |
『70年代風ロボットアニメ ゲッP-X(ゲッピーエックス)』は、アローマが1999年5月27日に発売したシューティングゲーム。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
魔王デービンの率いる宇宙ビースト軍団の侵略の魔の手から地球を守るために、3種の形態へと変形する巨大ロボット「ゲッP-X」を操り戦う、横スクロールシューティングゲーム。
タイトルの通り70年代のロボットアニメを模したノスタルジーを醸し出す構成・作風となっており、ステージ毎に「オープニングアニメ→ゲームAパート→アイキャッチ→CM→ゲームBパート→エンディング→次回予告」というロボットアニメ風の流れを確立させている。中でもCMは「ゲッP-Xシャンプー」「超X合金ゲッP-X」「たのしいテレビ王(子供向け雑誌)」など架空の関連商品をでっち上げてまで作成するという念の入れようである。
「ゲッP-X」の語感や、「3人乗りで、分離合体の組み合わせで空・陸・海の3形態に変化するスーパーロボット」「ストーリー中盤でロボットとタイトルが変更される」などの要素は明らかに『ゲッターロボ』を意識したもので、原作者の八的あきらは開発の前にまずダイナミックプロへと伺いを立てている(ゲッP-X開発秘話:その1、その2)。また、青島文化教材社が正式に協力しており、「合体巨艦ヤマト」などの各種模型が登場する。アトランジャーはプレイヤーキャラクターとして操作が可能。
シチュエーションからゲームモードからメカの名前、果てはローディング画面やセーブファイル名に至るまで、対象を70年代にもロボットアニメにも限定しない大量のパロディに彩られているため、元ネタを探すのも楽しみ方の一つと言える。
『ゲッターロボ』で主役を演じた神谷明を始めとして、キャラクターデザインには『獣神ライガー』の内田順久、メカニックデザインには『勇者王ガオガイガー』の鈴木竜也・鈴木卓也兄弟、パッケージイラストは“怪獣絵師”開田裕治、主題歌にも『ゲッターロボ』のささきいさお、挿入歌には影山ヒロノブ・MIOなどの豪奢な顔ぶれが揃っており、楽曲やアニメーションパートの質は非常に高い。
反面、シューティングゲームとしての操作感や爽快感・娯楽性は平均を上回っているということは無く、いわゆる広義のキャラゲーの範疇に入る。
[編集] ストーリー
1970年代の地球に、突如として宇宙悪魔帝国の魔王デービン率いる宇宙ビースト軍団による侵略が始まった。
この侵略を予期していた宇宙ロボット研究所の呉石博士は、密かに建造していたスーパーロボット「ゲッP-X」のパイロットを招集した。
熱血漢のケイ(百舌鳥恵一)・クールなジン(放出仁)・力自慢のリキ(天王寺力)の三人は、地球と人々を守るためにゲッP-Xで発進する。
[編集] ゲームシステム
[編集] シューティングパート
左から右への強制横スクロールでステージは進行し、雑魚キャラクターを倒しながら一定時間進むとボスとの対決となる。1ステージは前半パートと後半パートに分かれており、その双方にボスが配置されているので、合計2体のボスと戦うことになる。
自機は状況に応じて性質の異なる機体へと変形することが出来る(ライフやパワーアップは共有している)。分離から再合体するまでの変形中はダメージを受けないが、合体後に硬直が発生する。
ボスを特定の自機で破壊すると絶対フィニッシュシステムが発動し、特殊な必殺技によってボスを破壊するムービーが見られる(発動しなかった場合は通常の必殺技ムービーが流れる)。「特定の形態」のヒントはゲーム中には存在しない。
ライフ・残機併用制を組み合わせたシステムとなっており、敵の攻撃によって自機の装甲値(ARMOR)が減少する。装甲値がゼロになると自機の数(LIFE)が1減少、自機の数がマイナスになるとゲームオーバーとなり、コンティニューを行うか否かの選択となる。他の多くのゲームがそうであるように、コンティニューするとスコアは0になる。
[編集] ストーリー分岐
第4話Bパートのボスを倒した際、自機の形態によってその後のストーリーが3つに分岐する。
シューティングゲームとしては異例のディスク4枚組を採用せざるを得ないほど容量が肥大化した一因がここにあり、第5話以降は一本道のストーリーと比較して最大3倍の手間と容量が掛かることになる(実際にはステージ構成とオープニング・エンディングは共通ではある)。
[編集] エクストラモード
ゲーム中に特定の条件を満たすと、特殊なモードが追加される。劇場版以外のエクストラモードのステージ構成は、「本編」とほぼ同一である。
- BEAST LIBRARY
- ギャラリーモード。倒した敵キャラクターの画像のみならず、一度見たものならゲストでも味方のキャラクターでもムービーでも収録される。
- 劇場版
- 復活したボスと戦う(ボスのみと戦う)モード。総集編ムービーと、「4:3映像の上下を切ってシネスコに収め、それを4:3で放映したために縦横比が狂った」という設定のノンクレジットオープニングが付属している。
- 合体ロボット アトランジャー
- アオシマのアトランジャーが主人公になるモード。アトランジャーは移動速度こそ遅いものの、攻撃力と装甲が非常に高いため難易度は低め。
- THE STAR GEPPYS
- 「もしもゲッP-Xがアメリカで製作されていたら……」という設定のモード。過剰にアメリカナイズされた演技・設定、「勘違いした日本観」の模倣、デモシーンの短さなどが混ざり合って生まれた怪作。
- 荒野のワイルドジョン
- アメリカから来た味方・ワイルドジョンを操作するモード。拳銃主体のマニアックな性能のため難易度は高い。
- B級ロボット大作戦 R-64
- 自衛隊のポンコツロボット・64式を操作するモード。後半では強力な新鋭機の74式に乗り換える。
- マシンのエンジェル クィーンフェアリー
- アイテムを運んでくるロボット・クィーンフェアリーを操作するモード。戦闘用でないため攻撃力が低く難易度が高い。
[編集] メカニック
[編集] ゲッP-X(ゲッピーエックス)
宇宙ロボット研究所によって建造されたスーパーロボット。超合金スーパーブーステッドアーマーXとゲッP物理学理論の高エネルギーにより、非常識な変形機構と強力な武装を持つ。
ファルコン号・シャーク号・パンサー号の3機の戦闘機が合体することでロボット形態となり、合体の組み合わせで三種の異なる性質を引き出すことができる。
「ゲッPエックス」「ゲッPX」「ゲッP-X」など、作中でも表記はあまり安定していない。
- エックス1号
- 恵一の乗るファルコン号を頭部にして合体した姿。身長20メートル、体重40.5トン、飛行速度はマッハ2.5で、空中戦を得意とする。
- 必殺技は、腹のエックスビームと、炎の鳥となって体当たりをするシャイニングバード。
- エックス2号
- 仁の乗るシャーク号を頭部にして合体した姿。身長23メートル、体重37トン、飛行速度はマッハ2で、射撃戦を得意とする。
- 必殺技は、電撃攻撃のエックスショックと、腹のエックスミサイル。
- エックス3号
- 力の乗るパンサー号を頭部にして合体した姿。身長18メートル、体重45トン、飛行速度はマッハ1で、格闘戦を得意とする。
- 必殺技は、巨大な氷を落下させる六甲山落としと、投げ技の六甲山おろし。
[編集] ゲッP-XX(ゲッピーダブルエックス)
破壊されてしまったゲッP-Xに代わって出撃する、試作型ゲッP-X。パワー不足の機体で苦戦する主人公たちに、呉石博士は秘密のコマンド「フェニックス・チェンジ・ダブルエックス」を伝える。それは試作型ゲッP-Xを真の姿へと変身させるものだった。
最新の武装を搭載して生まれ変わったゲッP-XXは、ゲッPエンジンの出力もゲッP-Xと比較して10倍以上となった。
- XXファイヤー号
- 恵一(または今日子)の乗るフェニックス号を頭部として合体した姿。身長24メートル、体重45トン、飛行速度はマッハ5。
- 必殺技は、ファイヤービームと、光輝く機体で体当たりをするゴッドシャイニングクラッシュ。
- XXサンダー号
- 仁(または鈴鹿)の乗るトライトン号を頭部として合体した姿。 身長26メートル、体重41トン、飛行速度はマッハ7.5で、安定性の向上と格闘戦性能の補強が行われている。
- 必殺技は、腕を振り下ろすサンダーカッターと、無数の槍を撃ち出すサンダーイリュージョンスピアー。
- XXトルネード号
- 力(または宏美)の乗るストーム号を頭部として合体した姿。身長23メートル、体重55トン、飛行速度はマッハ2で、格闘性能の向上と運動性能の補強が行われている。
- 必殺技は、背中のエックス大砲と、ものすごい通天閣パンチ。
[編集] その他のロボット
- クィーンフェアリー
- 呉石博士の孫・澪の乗る女性型ロボット。回復やパワーアップなどのアイテムを運んできてくれるボーナスキャラクター。
- ワイルドジョン
- アメリカから来た味方ロボット。本編での活躍は少ない。ガンマン風の外見やインチキ外人風の口調などアニメ版『ゲッターロボ』のテキサスマック(厳密には『スーパーロボット大戦』以降のキャラ付け)がモデルと思われる。
- アトランジャー
- 以前から戦い続けている頼りになる味方。人の乗らない自律型ロボットであるらしい。母艦のタイガーシャークも登場。
- 64式ロボ
- 自衛隊の生み出したロボット。64パンチや64ビームを駆使して戦うが、ビーストにこれといったダメージは与えられない。改良型や水中型などのバリエーションも存在。
- 74式ロボ
- ゲッP-Xの残骸を元に開発されたといわれる自衛隊の新型ロボット。ロケットに変形できる。
[編集] キャラクター
[編集] 宇宙ロボット研究所
括弧内は愛称/読み仮名。
味方の人物の名前は、ほぼ全て大阪の地名を元にしている。
- 百舌鳥恵一(ケイ/もず けいいち) (声:神谷明)
- 17歳。赤を基調色とする熱血漢で、チームの中ではリーダー的存在のはずだが三枚目の役どころが多い。
- 放出仁(ジン/はなて ひとし) (声:速水奨)
- 17歳。青を基調色とするクールな男で、基本的には二枚目。「ゴーゴー喫茶でフィーバーしないか」といった、時代背景のギャップを利用したギャグを言う事はある。
- 天王寺力(リキ/てんのうじ りき) (声:たてかべ和也)
- 17歳。黄色を基調色とする力自慢の食いしん坊で、パイロットスーツの上から柔道着を着ている。恵一の弟分なので、彼を「兄ィ」と呼んでいる。カレーとリサイタルを好む関西人。
- 高槻今日子(キョウ/たかつき きょうこ)(声:岩井由希子)
- 17歳。勝ち気で男勝りな性格をしており、ゲッP-Xチームの補充パイロットとしての訓練を受けてきた。第5話より恵一の補充パイロットとして登場する。
- 千里鈴鹿(スズ/せんり すずか) (声:山川亜弥)
- 17歳。落ち着いた雰囲気の頭脳明晰な少女。ケイのクラスで学級委員長をしている。第5話より仁の補充パイロットとして登場する。
- 堺宏美(ロミ/さかい ひろみ) (声:吉田古奈美)
- 15歳。明るい性格でよく天然ボケをかますアイドル歌手。第5話より力の補充パイロットとして登場する。
- 呉石博士(くれいし) (声:永井一郎)
- 宇宙ロボット研究所の所長。マッドサイエンティストの気がある。フルネームは不明。
- 呉石澪(ミオ/くれいし みお) (声:若菜葉子)
- 博士の孫娘。クィーンフェアリーに搭乗し、甲斐甲斐しく補給を行う。
- 夕子(ゆうこ) (声:吉田古奈美)
- ある日の戦闘終了後に研究所の近くで倒れていた女性。仁が研究所へと連れ帰ったところ、記憶喪失であることが判明する。名前は仁が便宜上つけたもの。
[編集] 宇宙悪魔帝国
- 魔王デービン (声:納谷悟郎)
- 宇宙悪魔帝国からやって来た侵略者の頭領。
- ジャーグ将軍 (声:池田秀一)
- 常に仮面を被っている色男。通称は「赤っぽい彗星」。指からビームを発射するメカに乗り、宇宙空間でゲッP-Xを待ち構える。
- ヒッサー将軍 (声:吉田古奈美)
- ストーリー前半にて侵略を担当する女性。露出度の高いコスチュームに、マントと頭飾りを着けた「如何にも」という女将軍。数重なるゲッP-Xの破壊失敗によって魔王デービンの不興を買う。
[編集] 主題歌・挿入歌
シューティングゲームの部分で流れるBGMは全てボーカル曲である。これらはゲームに先んじて東芝EMIより1999年3月25日に発売されたCDアルバム『70年代風ロボットアニメ ゲッP-Xのうた』に全て収録されている。
- ゲッP-エックスのうた
- 主題歌・ささきいさお
- ゲッP-エックスのバラード
- エンディング・ささきいさお
- ゲッP-エックス発進せよ!
- 第1話挿入歌・ムッシュ吉崎
- 希望の勇者ゲッP-エックス
- 第2話挿入歌・串田アキラ
- 好きだ!ゲッP-エックス
- 第3話挿入歌・ムッシュ吉崎
- 絢爛たる逆襲の救世主
- 第4話挿入歌・MIO
- 蘇れゲッP-エックス
- 第5話挿入歌・串田アキラ
- GEPPY-X THE SUPER BOOSTED ARMOR
- 第6話挿入歌・串田アキラ
- 飛べ!ダブルエックス
- 第7話挿入歌・ささきいさお
- 進め! 宇宙ビースト
- 第1話~第8話Aパートボス戦・ムッシュ吉崎
- 勝利だ! 絶対フィニッシュ!!
- 第1~7話Bパートボス戦・影山ヒロノブ
- ゲッP-エックス'99
- 第8話ラスボス戦・影山ヒロノブ
- 伝説~Gather Darkness
- 最終話ムービー挿入歌・ムッシュ吉崎
[編集] インタビュー
2006年9月発売の雑誌『ゲームサイド』(マイクロマガジン)第2号掲載の「幻のゲームを追え!」のコーナーでは11ページの特集が組まれ、原作者である八的暁のインタビューや、企画だけで発売にはいたらなかった『ゲッP-XX 対 合体ロボットアトランジャー』のシナリオとグラフィックが掲載されている。
また、2007年3月発売の5号掲載の同コーナーでは、やはりアローマが発売できなかった『制服~ハイスクール・カウントダウン~』(セガサターン用ソフト)に関するインタビューに八的氏が回答し、その中のシナリオの一つがゲッP-Xと絡む内容であったと述べている。
[編集] 関連項目
- キアイダン00 - 本作よりも前に発売された、70年代風ロボットアニメを強く意識したゲーム。溜めショットの存在も類似点か
- プロダクションエイト - 原作者のサイト。設定資料やギャラリー、開発秘話など(未成年者は閲覧に注意)
- 公式サイト跡地 - アローマ社(現在は解散)による公式サイト。スタッフリストを確認できる