Mr.ビーン
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Mr. ビーン(Mr. Bean ミスター・ビーン)は、ローワン・アトキンソン (Rowan Atkinson) 主演のイギリス、タイガー・テレビジョン(後にアトキンソン自身が出資するタイガー・アスペクト・プロダクション)制作のコメディドラマ。14シリーズから成る英国のテレビコメディであり、ローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)演じるキャラクターの名がそのまま題名になっている。ITVで放送された。制作は、アトキンソン、ロビン・ドリスコール (Robin Driscoll) 、リチャード・カーチス (Richard Curtis) 。英国における第1回の「ビーン(Mr.Bean)」は1990年1月1日で、最終回「おやすみ、ビーン(Goodnight, Mr.Bean)」は1995年10月31日に放送された。 アメリカ資本によって映画化もされた。また続編「Mr.ビーンズホリデイ」が公開される予定。
日本ではNHK総合テレビで、1989年から1996年までは、スポーツ中継が早く終了した時など放送時間に隙間が出来た際や、正月3が日の夕方や深夜などに不定期に放送していたが、次第に人気が出始めたため、1997年の4月から毎週金曜の深夜に定期放送を開始した。これは半年間で終わったが、9月にはポリグラムから全8巻のビデオが発売され、12月31日(大晦日)には深夜(実際の日付は1月1日=元日)に、「朝までMr.ビーン」のタイトルで半年間の総集編が放送された。そして、翌年1998年2月のアトキンソン来日、3月の映画「ビーン」公開により、ついに日本にビーン旋風が巻き起こった。来日中はもちろん各局のテレビ番組にひっぱりダコとなった。同年4月からは半年間前年の全話を再放送し、その時アトキンソンの過去の本国での一連出演作やドキュメンタリーも放送された。2002年4月からはまた半年間全話を再放送した。ただ、映画版の放映は他局では行われたが、同局では今のところ行われていない。
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[編集] 作品の特徴
作品において会話はほとんど行われず、ほぼアトキンソンの表情や動作のみでコメディーが展開される。いわゆる「ビジュアル(視覚)・コメディ」である。シリーズが続くにつれ、アトキンソンは日常の出来事の中に起こる、あるいはしばしば起こる厄介事をあらゆる変わった方法で解決することで、成長した大人の中の子供の部分というのを描こうとした。英国では多数の視聴者がおり、1992年のエピソード「ビーンの大脱線(The Trouble With Mr Bean)」では1800万7400人という視聴者数を獲得した。ミスター・ビーンの人気たるや世界的にも高く、世界の200近くの放送局に売られ、そのアニメ化も決定した。
[編集] ビーンの人物像
生年月日は1956年9月15日。職業は事務員で鉛筆削りとクリップ数えとお茶汲みが仕事。ジェットコースターなどの絶叫マシーンが大好きだが乗り始めると常につまらなそうな顔をして、そのあげく眠ってしまい起こされるまで絶対に起きない。大人でありながら、子供のように負けず嫌い、自己中心的で、また破天荒・独創的なアイディアマンでもある。愛車のミニクーパーには自前の南京錠でセキュリティーを固め、運転は極めて達者である。友人は熊のぬいぐるみのテディ。彼女は一応いるが、いつもビーンの行動が原因となり不仲になってしまう。
アトキンソンによって演じられるのは子供じみた、時にはばかげていて、彼のあらゆる計画や行動によって愉快な状況に陥る道化師のようなところもある紳士である。 北部ロンドンにある小さな集合住宅に一人で住んでおり、彼のトレードマークはツイード生地とよれよれの赤いネクタイである。袖やすそ元がいずれも短めでやや体に合わない茶色のジャケット・ズボンを着用しており決して下品ではないが、どこか間の抜けたキャラクターを演出している。ビーンが喋ることは珍しく、話すとしても2,3語程度をぼそぼそと言うものである。彼のファーストネーム(自分で他人に「ビーン」と名乗っている)や職業などは一切明かされていない。尚、映画のパスポートシーンが写るにはファーストネーム欄に「Mr.」、職業は英国立美術館の警備員ということになっていた。 彼はよく問題に遭ったとき、常識一般的に物事を処理する方法に気づかずに、つまり通常なら簡単に処理できそうなこと-水泳や模様替えや受験など-を変わった方法で解決しようとすることが特徴である。そのユーモアは主として彼独特の問題に対する解決方法、解決を試みているときの他人への無関心さ、そしてもちろん時々見られる解決を補助しているが自分と考えが合わない他人への悪意の演技である。 (一説によると、最初のエピソード('Mr. Bean'。パイロット・エピソードでもある)でイギリス式の数学の検定試験などを受験していることもあることから教員免許を持ち、小学校の先生をしていたのでは?という見解もある)
[編集] そのほかのキャラクター
テディ テディ(Teddy)はビーンのテディベア(熊のぬいぐるみ)で一番の親友だと考えている。無生物ではあるが、しばしばビーンの相手になってディッシュ・クロスになったり、ペイント・ブラシが使えなかったりするとその代わりになったりしている。焦げ茶色でニット編み、不気味な目やボタンをしてソーセージのような足をもち、時にはビーンが引き出しに入れるときに首をもがれたり、洗濯して縮ませてしまうなどと酷い扱いをされることもあるが、次の時には必ず元に戻っている。また、時々アニメのような動きをする(ビーンが動かす)場合、例えば催眠にかかって頭を後ろにそらして一瞬で寝たりすることがある。基本的にビーンは、クリスマスプレゼントを買ったり、朝早く起こさないようにするなどしてテディが生き物であるように扱う。
ミニ ミニ(Mini)はビーンの愛車である。車種はMkIII Austin Mini 1000。初めはオレンジ色の69年製Morris Mini Cooperがビーンの愛車として使用された。しかしながらこれはエピソード1で壊れてしまった。それからはライム色ボディと黒色のボンネットを持つの77年製モデルで「The Curse of Mr. Bean」で初めて使われた。屋根に買ったばかりの腰掛け椅子をくくりつけてそこに座って運転したり、運転しながら服を着替えたりする場面などで、ビーンが滑稽な人物を演じるのに大きな役割を担っている。また、ビーンは自動車にかなりのセキュリティを求めており、ボルトラッチと南京錠をドアに取り付け、また時には鍵を掛ける代わりにハンドルを取り外すこともある。Mr.Bean Rides Againでは、鍵をボンネットなどに隠していた。車のドアの鍵はビーンが携帯しているものだけで、Back to School, Mr.Beanでは学校祭のイベントで準備されていた自動車とビーンのとが取り違えられて、戦車でつぶされてしまった。ビーンがシリーズで使用した自動車およびアニメ版で登場した自動車は北イングランドのコンブリア州ケズウィックのスター自動車博物館(Cars of the Stars Motor Museum)に保管されている。
イルマ・ゴブ イルマ・ゴブ(Irma Gobb)はMatilda Zieglerによって演じられるビーンのガールフレンドである。ビーンには、ガールフレンドと言うよりも友達のように扱われ、無関心のようにも見受けられる。しかしながら、ディスコで他の男性と踊っていると焼き餅を焼く面もある(Mr.Bean Goes to Town)。後にアニメ版にも登場する。
その他 基本的にガールフレンドの他の人物がビーンとおおきく関わることは珍しいが、大晦日のパーティーでヒューバートとルパートという友人がビーンの家を訪れた(Do-it-yourself,Mr.Bean)。Richard Briers、Angus Deayton、 Nick Hancock、 Caroline Quentin、 Danny La Rue、 David Schneider や Richard Wilsonなどの英国の有名なコメディアンも多くちょっとした役(カメラ泥棒や散髪屋の客など)で登場する。
[編集] 原点と影響
ミスター・ビーンというキャラクタはアトキンソンがオックスフォード大学在学中に温めていたものであり、80年代初頭にはじめてエディンバラフリンジフェスティバル(エディンバラで開催されるコメディなどの芸術祭)で演じられた。しかしながら、ミスター・カリフラワーなどのネーミングはあったが、それが演じられるまでその名前は考えられていなかった。ビーンのキャラクタに関してアトキンソンはフランスのコメディアンによって演じられた50年代の映画「Monsieur Hulot(「ヒューロットさん」)」の影響を受けているという。また、アトキンソン自身のインタビューによればジャック・タチの映画『ぼくの伯父さんの休暇』『ぼくの伯父さん』からも多大な影響を受けたと語っている。事実、ジャック・タチの演じる無口で少し間抜けなユロ伯父さんのキャラクターと重なる部分は多い。形式としては初期のサイレント映画に似ており、ビーンはたった数語しか喋らない単に身体の動きを笑いに生かしたものと成っている。これが発話の内容を変えられないままに世界に広がった重要な理由である。
[編集] 作品リスト
- Mr. Bean
- The Return of Mr. Bean
- The Curse of Mr. Bean
- Mr. Bean Goes to Town
- The Trouble with Mr. Bean
- Mr. Bean Rides Again
- Merry Christmas Mr. Bean
- Mr. Bean in Room 426
- Mind the Baby Mr. Bean
- Do It Yourself Mr. Bean
- Back to School Mr. Bean
- Tee Off Mr. Bean
- Good Night Mr. Bean
- Hair by Mr. Bean of London
他(THE PICK OF THE NOSE !:イギリスのチャリティ番組のビデオ) 日本版未発売なので字幕無し。Mr.Beanのエピソードは3話収録 エピソード 内容
- ポリスステーション:喋れないふりをして、婦人警官相手に筆談とジェスチャーで会話。
- ブラインドデー: 女性1人、男性3人のパンチDEデートのようなお見合い番組に男性陣の1人として出演するビーン。3人の中から見事選ばれるが、ハチャメチャなデートになって最終的にふられてしまう。
- トービル&ビーン:オリンピックにも出たイギリスのフィギュアスケートペア、トービル&ディーンのショーを観に行くビーン。ディーンを気絶させてしまい、代わりにビーンが出演する羽目に。
[編集] アニメ化
2002年よりITV1にて放送開始。本人によるプロデュースによる作品で、自ら声の演出やキャラクターデザインやモーションキャプチャにより二次元上でも完璧に動きや世界観を再現している。また、日本では現在3巻がDVD化され発売中である。 現在カートゥーンネットワークで放送されている。
[編集] パロディ化
- 現在放送されているニッポン放送系の深夜番組でお笑いコンビのナインティナインがパーソナリティをつとめるナインティナインのオールナイトニッポンでは『ビーン』というコーナーがあり、岡村隆史がモノマネをしていた。
[編集] 主題歌
各ストーリーの最初に歌われる主題歌の歌詞は、"Ecce homo qui est faba"(ラテン語で「見よ、豆である人を」の意味)である。なお、ストーリーの終わりに歌われる歌詞は、"Vale homo qui est faba"(同じくラテン語で「さらば、豆である人」の意味)となる。 エピソードの最初には、空から放射される光のなかにビーンがうつぶせのまま落ちて来るというものであり、終わりはSt.Paul's Cathedral(セントポール教会)のテロップのあとにビーンが空に戻っていくというもの。
[編集] 外部リンク
- Mr. ビーンのホームページ(アンオフィシャルサイト)
- 映画Mr. ビーンズホリデイの公式ホームページ
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