のび太とふしぎ風使い
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『のび太とふしぎ風使い』(のびたとふしぎかぜつかい)は2003年3月8日に公開された、映画ドラえもんシリーズの作品。および、藤子・F・不二雄プロによって漫画化され、月刊コロコロコミック2003年2月号から3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。映画ドラえもん第24作、大長編ドラえもんシリーズ第23作(まんが版映画シリーズ6)。てんとう虫コミックス6巻収録の短編『台風のフー子』を原案とした作品。
原作は藤子・F・不二雄、監督は芝山努、配給は東宝。興行収入25億4000万円。同時上映は『Pa-Pa-Paザ★ムービー パーマン』。
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[編集] 概説
主題歌を歌うゆずは、本作で声優にも初挑戦。また劇中で登場する巨大凧「ドラ・で・カイト」は、本作の公開を記念して実際に畳40畳分の巨大凧として製作され、東京武蔵野市の「武蔵野カイトフェスティバル」に参加して話題となった。
また総作画監督が、『のび太の宇宙開拓史』以来担当し続けてきた富永貞義から渡辺歩へと交代になった。そのため作風がそれまでの映画とは様変わりし、減少していた観客動員数が盛り返すこととなった。(ただし、渡辺はこれまでの映画でも何度か富永とともに作画監督を務めたり、作画監督補佐を担当している)。なお、富永は併映作の『Pa-Pa-Paザ★ムービー パーマン』の作画監督を担当している。
雑誌「藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん」の誌上で開催された特集記事「ドラえもんなんでもランキング 輝け! ドラデミー大賞」の映画部門では、第1作『のび太の恐竜』、史上最大の観客動員数を誇る『のび太の日本誕生』、最高の配給収入を誇る『のび太の南海大冒険』といった作品群を抑え、ベスト作品賞グランプリを記録。
のび太と銀河超特急に続き、スネ夫が2度目の乗り移られ悪役になる作品でもある。「海底鬼岩城」「鉄人兵団」などと同じくゲストのメインキャラクターが死亡(消滅)する、重量のある物語であるが、この制作時、のび太を演じる声優である小原乃梨子は愛犬を亡くしたばかりであり、のび太がフー子を失う場面でもその愛犬への想いを込めてフー子の名を叫んだという。そうした熱演ぶりが、グランプリを獲得した要因のひとつと言えるかもしれない。また主題歌もタイアップながら比較的ドラえもんにマッチし、しばらくの間TV版でもエンディングテーマとして使われていた。
なお、この作品より、製作方法がセル画からCGへ変更されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 物語の舞台
[編集] ゲストキャラ
- フー子(声優:かないみか)
- のび太を慕う台風の子供。フリーサイズぬいぐるみカメラで作ったぬいぐるみに入っている。実は謎の力を秘めている。
- テムジン(声優:愛河里花子)
- 風の村に住む風使いの少年で、村の少年たちのリーダー的存在。のび太たちと共に嵐族に立ち向かう。由来はチンギス・ハーンの幼名テムジンから。
- スン(声優:西原久美子)
- テムジンの妹。嵐族に襲われたところをドラえもんたちに助けられる。
- トムジン(声優:佐藤ゆうこ)
- テムジンの友人。
- ヤムジン(声優:北川悠仁(ゆず))
- テムジンの友人。
- クンジン(声優:岩沢厚治(ゆず))
- テムジンの友人。
- 長老(声優:穂積隆信)
- 風の村の長老。風の民を率いて嵐族の野望に立ち向かう。
- ストーム(声優:屋良有作)
- 風の村の侵攻を企む嵐族の族長。フー子に秘められた力を狙っている。正体は未来から来た考古学者。
- ウランダー(声優:小林清志)
- 嵐族の邪悪な呪術師。かつて風の民の長ノアジンの力で封印されたが、ストームの手により復活し、スネ夫の体を乗っ取る。
- ヤーク(声優:小林修)
- 風の村の山神。マフーガとフー子に纏わる伝承をのび太に語る。
[編集] 物語のあらすじ
台風一過の朝、のび太は台風の子供と出会い、フー子と名付けて可愛がる。ある日、広い草原でフー子と遊ぼうと、どこでもドアで出かけた。しかし、崖の不思議な洞窟に吸い込まれ、違うところに出てしまう。そして不思議な「風の村」に行き着き、テムジン少年たちと知り合う。そこでは風と共に生きる風の民と、風を利用する嵐族が対立していた。嵐族は古代の風の怪物マフーガを復活させることを企み、そのためにフー子を奪おうとする。しかも突然スネ夫が豹変し、嵐族の陣頭に立って風の民を襲い始めた。スネ夫に何が起きたのか。嵐族が狙うフー子の秘密とは何か。 風の大平原を舞台に、のび太たちの新たな冒険が始まった。
[編集] スタッフ
- 監督:芝山努
- 脚本:岸間信明
- 演出:パクキョンスン
- 原作作画:藤子プロ
- 総作画監督:渡辺歩
- 作画監督:加来哲郎、金子志津枝、藤森雅也、柳田義明
- 美術設定:沼井信朗
- 美術監督:清水としゆき
- 色彩設計:松谷早苗、稲村智子
- 撮影監督:梅田俊之
- 編集:岡安肇
- 録音監督:浦上靖夫
- 効果:庄司雅弘
- 音楽:堀井勝美
- 制作デスク:吉田有希、大金修一
- プロデューサー:小倉久美、大澤正享、梶淳、濱田千佳
- チーフプロデューサー:山田俊秀、木村純一
- 制作協力:藤子プロ、ADK
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] キャッチコピー
- 風のドラえもん、はじまる。
[編集] その他
- 原作ではドラえもんが空気砲を打ってストームとの決着をつけているのに対し、映画版ではジャイアンが決着をつけている。
[編集] 主題歌
[編集] 関連項目
[編集] 出典元
※初版作成当時
[編集] 書籍
- 『藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん』7巻、12巻、21巻 小学館、2004年 - 2005年。
- 藤子・F・不二雄プロ『ドラえもん のび太と翼の勇者たち』 小学館、2001年。
[編集] Webサイト
- 「ドラえもん、大空へと羽ばたく!「ドラ・で・カイト」 in 武蔵のカイトフェスティバル」、東宝WEB SITE、2003年1月19日。