のび太の宇宙小戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
![[改名提案]](../../../upload/shared/thumb/f/f3/Crystal_Clear_action_spellcheck.png/35px-Crystal_Clear_action_spellcheck.png){kind=small}
『のび太の宇宙小戦争』（のびたのリトルスターウォーズ）は、月刊コロコロコミック1984年8月号から1985年1月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この原作を元に1985年3月16日に公開された映画作品。大長編・映画ともにシリーズ第6作。
映画監督は芝山努。配給収入11億8000万円、観客動員数240万人。同時上映は『忍者ハットリくん+パーマン 忍者怪獣ジッポウVSミラクル卵』。
映画では第2期絵柄の最後の作品でもある。
目次 |
[編集] 概説
タイトルは東宝の特撮映画『宇宙大戦争』のもじり。『ガリヴァー旅行記』のリリパット国冒険譚をモチーフにしている。また米映画『スター・ウォーズ』に対するオマージュ要素も。
映画作品では通常メンバーが分離する際、「ドラえもん、のび太、（しずかちゃん）」「（しずかちゃん）ジャイアン、スネ夫」という組み合わせが一般的であるが（しずかちゃんは場合によって揺れたり単独だったりする）、この作品は「ドラえもん、のび太、ジャイアン」「しずかちゃん、スネ夫」の珍しい組み合わせが見られる。
しずかちゃんの入浴シーンは予告編でも描かれ、脱衣から湯船に乳首を見せながら浸かるシーン、更に物音がして窓際までヌードで歩くなど、歴代のお風呂シーンでも屈指のお色気振りと言われてる。
本作の主題歌「少年期」は武田鉄矢が手がけた映画ドラえもん楽曲の中でも人気が高く、視聴者対象のアンケート「ドラデミー大賞」で主題歌賞に選ばれている。[要出典]
[編集] 物語の舞台
地球人の指先ほどの大きさの人々が住むピリカ星。小さいながらも、豊かな資源に満ちている。科学技術は地球よりも発達しており、恒星間航法も確立している。年齢よりも実力を重視する社会で、8歳で大学を卒業したり、10歳で大統領に就任する事もできる。人口は約1000万人。首都はピリポリス。
[編集] ゲストキャラ・組織
- パピ （声優：潘恵子）
- ピリカ星の大統領。まだ10歳の少年。高度に発達したピリカ星の学習システムにより、わずか8歳で大学卒業という超エリート。クーデターに遭い、本人は徹底抗戦を望むが、シンパの強引な手引きでロケットで地球に亡命。ドラえもんの「ほんやくコンニャク」と同じ効果を持つ「ほんやくゼリー」により、地球人とも会話できる。また、かなり高度な超能力、催眠術なども使いこなす事ができる。原作のみとはいえ、のび太の両親の前に姿を見せて素性も明かした、数少ない大長編ゲスト。
- ロコロコ （声優：三ツ矢雄二）
- 言葉を話すパピの愛犬。通常の動物の前足に当たる部分が無いが、大きな耳が前足（手）の役割を果たし、この耳を羽ばたかせて空を飛ぶ事も出来る。自称「無口」だが、一旦話し出すと止まらない。その饒舌が原因で話中では危機を招いたり、結果的に皆を救ったりした。ロケットの操縦も行うことができる。大山シリーズ最終作の｢のび太のワンニャン時空伝｣では、何故かこのキャラクターをモデルにした乗り物が登場する。
- のらネコのクロ（声優：不明。途中より潘恵子）
- 練馬区に住む野良猫。パピの超能力（催眠術）によって、静香救出の重要な役割を果たす事になる。もともと原作漫画版及びテレビ版のみであった動物キャラが映画進出する例はクロが初めてであり、以後ミイちゃんやのらイヌのイチらといった動物キャラが映画版に登場した。
- ゲンブ （声優：金井大）
- ピリカ星の元治安大臣。パピをピリカから脱出させる。反政府団体の自由同盟を組織し、ギルモアへの反撃の機会を狙っている。ロコロコによると、趣味は飲酒とカラオケで、髭は黒く染めているらしい。
- ギルモア （声優：八名信夫）
- クーデターによりピリカ星を支配した独裁者の将軍。都市の各所に、監視装置を搭載した自分の肖像を多数設置している。自分の不人気さは承知しており、反乱を恐れて他人を信用していない。自由同盟基地攻撃に空軍主力を差し向けるべきだというドラコルルの進言を「人間は信用できん!」と一蹴するシーンがそれを物語っている。最後は空港から首都を脱出しようとして、高速道路上で反乱を起こした民衆に捕まる。
- ドラコルル （声優：屋良有作）
- ギルモアの設立した情報機関PCIA（ピシア、ピリカの頭文字PにCIAをくっつけたか、あるいはKCIAのもじりか）の長官。知的な策略家であり、様々な罠を張り巡らせてドラえもんたちを窮地に追い込む珍しいタイプの悪役で、読者の中で人気がある。クジラ型の飛行戦艦に乗り込んで地球に来たが、飛行戦艦は最後に海に落とされジャイアンに詰め寄られた。劇場版は原作と服装が異なっており、顔つきも原作のロボットを思わせる顔立ちからより地球人に近い顔立ちに描かれ、性格もやや間抜けになっている。
- 自由同盟
- ピリカ星の周りの衛星の密集地帯（土星のリング状）に基地がある。密集地帯の基地のボスはゲンブ。ピリカ星にも地下同盟がある。ふたつを合わせて自由同盟と言う。衛星基地の隊員は103人、ピリカ星の隊員は519人。戦力差は圧倒的に不利だったが、ドラえもんたちの協力と、立ち上がったピリカ市民達の活動によりギルモア率いるPCIAに勝利する。
[編集] あらすじ
特撮映画を作っていたのび太たちは、ピリカ星から来た小さな少年パピと知り合う。そんな彼らの前に突然宇宙戦艦が現れた。実はパピはピリカ星から亡命してきた大統領で、独裁者ギルモアの手に落ちたピリカ星の情報機関PCIAが、地球まで彼を追ってきたのだ。パピを守ることを約束するのび太たちだが、しずかちゃんを人質に取られた上、のび太たちがスモールライトで小さくなっている間にスモールライトを奪われてしまった。のび太たちに迷惑をかけまいと、パピはしずかちゃんの身柄と引き換えに自らPCIAの長官ドラコルルの手に落ちてしまう。のび太たちはスネ夫のラジコン戦車を武器に、スモールライトを取り戻しパピを救い出すために、ロコロコの案内のもとピリカ星へ向かう。
[編集] スタッフ
- 監督：芝山努
- 脚本：藤子・F・不二雄
- 演出助手：安藤敏彦、原恵一
- レイアウト：本多敏行
- 作画監督：富永貞義
- 美術設定・デザイン：工藤剛一
- 美術監督：川本征平
- 色設計：野中幸子
- 撮影監督：斎藤秋男
- 特殊撮影：原真悟
- 編集：井上和夫
- 録音監督：浦上靖夫
- 効果：柏原満
- 音楽：菊池俊輔
- 監修：楠部大吉郎
- 制作デスク：田中敦
- 制作担当：山田俊秀、田村正司
- プロデューサー：別紙壮一、小泉美明、木村純一、波多野正美
- 制作協力：藤子スタジオ、旭通信社
- 制作：シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] 評価
『のび太の海底鬼岩城』、『のび太の魔界大冒険』、『のび太と鉄人兵団』など、地球全体が危機に陥る作品と同時期の（この作品では地球は危機にならないが）、ファンの間でも「黄金期」と呼ばれる作品の1つである。
しかし、この作品でキーとなる秘密道具「スモールライト」が奪われた時に何故「ビッグライト」を使わなかったのかという指摘や、絶体絶命の場面でスモールライトの効果が切れて形勢が逆転するのは御都合主義だという批判も存在する。但し、スモールライトの効果が切れるという点については、物語中盤においてドラえもんがのび太と口論した際に発した「永久に効く薬がどこにあるんだ!?」という台詞によって伏線が張られている。
[編集] 他作品のパロディ
この映画はタイトルが「リトルスターウォーズ」と言うことで、ハリウッド映画のパロディが随所に散りばめられている。予告編は英語による解説を含めたハリウッド映画のような紹介を「やることがオーバーだ」とドラえもんが突っ込みを入れることで何故か人気がある。しかし、dora-movie.comで公開されている予告編は主題歌を流すバージョンとなっており、前述の予告編を見ることは出来ない（なお、2004年に発刊された「ぼく、ドラえもん。」第1号付録DVDには、「やることがオーバーだ」バージョンの予告編が収録されている）。
また、本編ではジャイアンのMGMオープニングのパロディーに始まり、『未知との遭遇』『フランケンシュタイン』『E.T.』の名場面をドラたちが演じるものが採用されている。また『スーパーマン』の有名な飛行デートのシーンものび太としずかちゃんで再現されている。この中で本物の『スター・ウォーズ』も登場し、のび太とドラえもんがC-3POとR2-D2と競演を果たしている。
本編クライマックスにおいても、ドラえもんがビルに登って戦闘機と戦うという『キングコング』のパロディを行っているが、劇場版では「まるで何かの映画みたい」というドラえもんの台詞があり、これがパロディであることを示唆している。
[編集] 主題歌
「少年期」（作詞：武田鉄矢／作曲：佐孝康夫／唄：武田鉄矢）
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 改名提案 | 出典を必要とする記事 | ドラえもん映画作品 | 1985年の映画
