ハーレムアニメ
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ハーレムアニメ (harem anime) とは、少数の男性キャラクターに対し、数多くの女性キャラクターが対置されているスタイルのアニメを指す。元々1980年代頃の漫画から流行したジャンルであるラブコメの一種であるが、中心人物となる男女の人数比が極端であるためにこのような呼称が使われる。
男女比が逆の、1人・少数の女性キャラクターに多数の男性キャラクターが対置された作品を、逆ハーレム、略して逆ハーと呼ぶことがある。
目次 |
[編集] 定義
少数の男性キャラクターに対し多数の女性キャラクターが対置され、多くの場合は大勢の女性キャラが一人の男性に対し好意を抱く。また主人公はハーレムを構成する女性キャラクターに対して平等に接することも多い。「後宮」としての「ハーレム」の本来の意味「性的倫理の逸脱を未然に保護するための婦人隔離」ではなく、それが転じて生み出された「一人の男性に多数の女性がつくようなシチュエーション」を意味する俗語としての「ハーレム」を「アニメ」に足して生み出されたものである。
[編集] 経緯
ハーレムアニメとして最初に登場したアニメはOVA『天地無用! 魎皇鬼』である。このアニメは、姉御肌、お嬢様、ロリ、天然ボケ、マッドサイエンティスト等々、様々なタイプの女性キャラクターを配置し、主人公に絡ませることでドタバタ系のラブコメを展開させて好評を博した。それまでも三角関係を用いたラブコメは存在したが、大量の女性キャラクターを登場させ、対する男性キャラクターをほぼ主人公のみに絞ってそれを行ったのは『天地無用!』が最初の例であり、それゆえにハーレムアニメというスタイルを確立した作品となった。
ハーレムアニメは、個々の女性キャラクターの個性を極端に際立たせることによって、作品自体に対してのみならず、それぞれのキャラクターに対するファンを獲得することが出来る為、購買者であるファンの側のキャラ萌えの風潮とともに隆盛することとなった。この点、いわゆるギャルゲーや、その一形態としてのアダルトゲームの一部が流行した1990年代後半から2000年代初めにかけての動静と軌を一にしている。
[編集] 恋愛シミュレーションゲームとの関係
恋愛シミュレーションゲームは、プレーヤーキャラクターである1人の男性主人公が、多くの女性キャラと恋愛関係を持つため、アニメ化されるとハーレムアニメになりやすい。原作では1対1の関係が主となるゲームであっても、アニメ化の際に複数の分岐シナリオを1つのストーリーに再構築した結果、主人公が多数の女性と同時に関係を持っている、あるいは、頻繁に相手を取り替えているといった印象を与えることがある。
[編集] ヒロインの典型的属性
ハーレムアニメに登場するヒロインたちは、ほとんどの場合において以下のような典型的な属性を備えたストックキャラクターである。尚、作品によってはこれらの属性をいくつか兼ね備えたキャラクターが登場することもある。
因みにここで示す属性は「1人の男に複数の女が群がる」という図式が同じ事から、多くの男性向け恋愛ゲームにおける攻略対象外を含めた女キャラについても該当する。
[編集] 清純派
明るく優しく清楚で、その上主人公を一途に慕っている。多くの場合ハーレムの筆頭を担うタイプ。幼馴染という立場に立って、最初から主人公に対して積極的にアプローチしてくる場合も多い。学園ものハーレムアニメの典型的パターンにおいては、幼馴染という名目で朝は主人公を迎えに来て起こしてあげたりする。出自が“お嬢様”である事もあるが、その場合も後述の「お嬢様系」とは違い、他人にそれを顕示する事はなく控え目でさえある。正ヒロインとして起用される事が多いが、最近ではこのタイプのキャラを主人公や他のハーレム構成員に対して嫉妬する女性として描く事もある。一人称は「わたし」、髪型は肩または背中までのロングストレートが多い。
[編集] 男勝り系
勝気で積極的な性格であり、男勝りな側面を持っている場合が多い。このため主人公とは男友達のような付き合いをしているか、だらしない主人公に干渉してそのままずるずる付き合っているかのどちらかで登場する事が多い。作品によっては、少しお転婆なキャラから完全に男勝りなキャラ等、複数に分ける場合もある。「強がりを言っているが本当は主人公に対する好きな気持ちを素直に出せないでいる」や、「人間には勝てても、幽霊やオカルト、ホラー等に弱い」等のコンプレックスを持っていたりする。俗に言うツンデレ傾向をもつキャラクターとして示される場合も多く見られる。一人称は「あたし」が多い。稀に「ボク」や「オレ」等、男性的な言葉遣いの者もいる。スポーツが得意なキャラが多く、髪型もショートヘアかポニーテールが多い。
[編集] ツンデレ系
上述した「男勝り系」に似ているが、必ずしも男っぽいという訳ではない。最初は主人公に冷たい態度を取るが、徐々に親しくなっていく、もしくはある出来事が原因で急に親しくなるタイプ。態度が「ツンツン」から「デレデレ」にという事で表される。ある出来事を境に「デレ」の状態に変化するというパターンが多い。詳しくはツンデレを参照。『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーを彷彿とさせるキャラが多い。
[編集] 委員長系
非常に真面目な性格。既存の法体系ないし倫理観に対して従順である為、だらしのない主人公や他のキャラクターを叱咤するという役回りを演じる傾向が強い。「委員長」とは、あくまでも象徴としての名称であり、実際にこのタイプに属する全てのキャラクターが作品中において委員長ないし委員長的役割を担っているわけではない。「清純派」に近いが、堅物な性格が災いしてハーレム内において地味な扱いを受けることが少なくなく、正ヒロインになりにくい。真面目さを強調する為、眼鏡や三つ編み、黒髪という特徴を持つキャラクターが多い。
[編集] お嬢様系
金持ちで上品かつ世間知らずという特徴を持つ。性格は高飛車か大和撫子のいずれか。髪型はロングヘアやハーフの金髪が多く、特に前者はウェーブや縦ロール等、癖のある髪型をしている者が多い。これらの特徴は、アニメ『エースをねらえ!』の登場人物である、「お蝶夫人」こと竜崎麗香に始まるとする説もある。一人称は「わたくし」が多い。
[編集] お姉様系
多くの場合、主人公を含む主要キャラクターより若干高い年齢設定を与えられたキャラであるが、中には主人公と同年齢か年下もいる。主人公を弟や可愛い坊やとして見なし、接していることが多い。年齢の上限は概ね20代前半で、人妻は成人向けのゲームやアニメを除き対象外となる。また、成熟した女性としてハーレムのお色気担当を担わされる場合も多い。面倒見が良い性格が多く、中には我侭な面を兼ね備えた所もある。学園ものハーレムアニメにおいては大抵の場合教師もしくは先輩として登場する。上記のお色気シーンを演出する為、スタイルの良さを強調されたり、艶やかな演技を得意とする声優が担当することが多い。
[編集] 天然ボケ系
ハーレムにおける「ボケ」担当であり、何をやっても今ひとつな「ドジっ娘」として設定されている。「主人公は登場するあらゆる女性キャラクターに対して平等に優しく接する」ことが多いハーレムアニメの特徴故に、このタイプのキャラは主人公の優しさに心を惹かれてハーレムに参加したり、主人公に好意を持つようになる場合が多い。また精神年齢の幼さを自然に見せる為、世間知らずという特徴を持つことの多い「お嬢様系」や、後述する「ロリ系」とタイプが重複することもある。
[編集] 耳年増系
何かと興味を持ち、周囲に話題を提供するものの、勢い余ってデマまで飛ばしてしまう、言わばトラブルメーカー的存在。主人公又はヒロインの親友役に留まる事が多く、正ヒロインにはあまり起用されない。
[編集] ロリ系
幼さを全面に打ち出し、子供っぽい言動を特徴とするタイプ。外見的にも低身長・未成熟という子供のような容貌であることが多い。幼過ぎる少女は倫理上問題があるが、年齢の下限は作品の内容により異なる。「お姉系」の対極に位置するが、主人公より年上でも該当する女性もいる。その場合は、年齢と外見のギャップを主たる特徴とするキャラクター造形である場合が多い。大抵の場合は兄を慕う妹のように主人公に懐いている。尚、あくまでも「妹のような存在」であって、戸籍上の妹(両親が同じ、片親が同じ、親が再婚同士)は対象とは言い難い。一人称は自分の名前を使う者が多い。髪型はツインテールかショートヘアが多い。
[編集] ミステリアス系
寡黙・消極的且つ暗めの性格、真意が分かりにくい言動等を特徴とするタイプ。大抵は孤独な状態で登場し、主人公の積極的干渉によって感化され、ハーレムの輪に参加するようになる。『新世紀エヴァンゲリオン』が一大センセーショナルを巻き起こした際、同作品のヒロインである典型的「ミステリアス系」のキャラクター・綾波レイの人気も大きなものとなり、それと同時に「ミステリアス系」の概念が爆発的に普及したとされる。それ故に、このタイプに位置づけられるキャラクターは、色素の少ない頭髪や肌を持つ等、一見、不健康且つ薄幸そうな特徴の影響を強く受けていることが多い。また、ストーリー上のキーパーソンを務めることもしばしばある。
[編集] 主なハーレムアニメの一覧
設定の特性上(男性キャラクターより女性キャラクターの総人数が多い)ギャルゲーやアダルトゲームを原作とするアニメが多い。
- 天地無用! シリーズ
- 藍より青し
- あまえないでよっ!!
- いちご100%
- いぬかみっ!
- Wind -a breath of heart-
- エイケン
- おとぎストーリー 天使のしっぽ
- 陰からマモル!
- 君が望む永遠
- グリーングリーン
- こいこい7
- これが私の御主人様
- シスター・プリンセス
- SHUFFLE!
- 真月譚 月姫
- 涼風
- すもももももも
- ゼロの使い魔
- D.C. ~ダ・カーポ~
- 月は東に日は西に ~Operation Sanctuary~
- DearS
- ときめきメモリアル Only Love
- To Heart
- To Heart ~Remember my memories~
- ToHeart2
- ながされて藍蘭島
- 花右京メイド隊
- 双恋
- MOUSE
- まぶらほ
- 魔法戦士リウイ
- 魔法先生ネギま!
- まほろまてぃっく
- まもって守護月天!
- ゆめりあ
- ラブひな
この他、少女向けアニメも女性キャラを前面に宣伝しているせいか、ハーレムアニメと間違えられやすい。