ベルリンの戦い
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| ベルリンの戦い | |
|---|---|
 ソ連国旗をベルリンのドイツ連邦議会議事堂の屋根に掲げる赤軍兵士 |
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| 戦争: 独ソ戦 | |
| 年月日: 1945年4月16日 - 1945年5月2日 | |
| 場所: ベルリン、ドイツ | |
| 結果: ソ連軍の勝利 | |
| 交戦勢力 | |
 ナチス・ドイツ |
 ソビエト連邦 ポーランド |
| 指揮官 | |
| ヘルムート・ヴァイトリンク | ゲオルギー・ジューコフ イワン・コーネフ |
| 戦力 | |
| 歩兵 1,000,000 戦車 1,500 航空機 3,300 |
歩兵 2,500,000 戦車 6,250 航空機 7,500 砲兵 41,600 |
| 損害 | |
| 戦死 150,000～173,000 戦傷 200,000 捕虜 134,000 民間人死者 152,000 |
戦死・行方不明 81,000 戦傷 280,000 装甲車 1,997 大砲 2,108 航空機 917 |
ベルリンの戦い（ベルリンのたたかい）とは、第二次世界大戦中の1945年4月16日のソ連軍のゼーロウ高地攻撃開始から、総統官邸の総統地下壕におけるヒトラーの自殺、ドイツ国会議事堂の陥落、5月2日のベルリン防衛軍の降伏に至るまでベルリン周辺で展開されたソ連軍とドイツ軍の戦闘。
目次 |
[編集] 戦いの背景
ソ連のバグラチオン作戦による猛攻と、西部におけるドイツのアルデンヌ攻勢の失敗で、1944年末のドイツの支配領域は、ドイツ本土（東プロイセンは陥落寸前であったが）及び戦前に併合した領土とオランダ・ポーランド・ハンガリー・ユーゴスラヴィア・イタリアの一部まで縮小していた。
また、ハンガリーの油田地帯の奪回という無意味な作戦になけなしの装甲部隊を消耗したことと（春の目覚め作戦）、ソ連軍の次の目標はプラハと誤認してそこを守る中央軍集団に装甲部隊の主力を配備したために、ソ連軍の迫るベルリン東正面の防衛軍の予備兵力は極めて薄くなっていた。ドイツ軍は補充する兵士もおらず、書類上は師団でも実質上は大隊規模という部隊はざらで、国民擲弾兵師団や武装SSの外国人部隊といった2線級部隊や国民突撃隊といったその場しのぎの部隊で対応しなければならなかった。
[編集] 戦いの経過
1945年4月1日、ソ連で作戦会議が開かれ、ドイツ中部攻略予定の第1白ロシア方面軍のジューコフ将軍と南部攻略予定の第1ウクライナ方面軍のコーネフ将軍の、どちらにベルリンの攻略を任せるべきかが議論された。位置的にはジューコフが攻めるべきであったが、西側連合軍はソ連より先にベルリンまで進撃できないと見たスターリンは余裕綽々で、わざわざジューコフを後退させ、ジューコフ・コーネフ両将軍に功名争いをさせた。
激しい砲撃・爆撃の下、4月16日両将軍はオーデル・ナイセ線を越え、一時、ゼーロウ高地でのヴァイクセル軍集団の第9軍の抵抗でジューコフの攻撃は遅滞したが、コーネフが第9軍の背後を突き、ドイツ第3装甲軍も撃破し、ヴァイクセル軍集団は壊滅、一気にベルリンを包囲した。
4月20日、ベルリンを東西に横切るシュプレー川を境に、北からはジューコフ・南からはコーネフによるベルリン市街への突入が始まった。ドイツも残存の武装親衛隊（ノルトラント師団）・軍学校部隊（ミュンヘベルク装甲師団）・第18、第20装甲擲弾兵師団・第9降下猟兵師団をかき集めて抵抗したが、「師団」とは名ばかりの寄せ集め部隊であり、50万人近いソ連の大軍の前に包囲網は狭まっていった。
この間、ヒトラーは始めはベルリン北東方のシュタイナー兵団、後には西部で米英軍に対峙していたヴェンク将軍の第12軍による反撃によってベルリンが救われることを期待していたが、両軍とも消耗しきって殆ど紙上にのみ存在する戦力となってしまっており、ベルリン救援は不可能だった。
ただ、老人や子供までもが武器を取り、ドイツ人は頑強に抵抗し、4月30日の総統地下壕でのヒトラー自殺後も、武装親衛隊の一部は国会議事堂に立て篭もり抵抗を続けた。5月2日、防衛軍司令官(de)のヘルムート・ヴァイトリンク大将はソ連に降伏を申し入れ、ベルリンは陥落した（なお、ソ連の功名争いはジューコフの勝ちとされた）。
[編集] 東西連合軍の邂逅
ソ連軍はドイツの他にオーストリア・チェコスロバキアにも進撃し、ウイーン、プラハを落とし、4月25日、英米軍もライン川を越え、エルベ川畔のトルガウ(Torgau)で米軍とソ連軍は邂逅し、勝利を喜び合った。
[編集] ドイツ無条件降伏
ドイツ南部には完全武装したドイツ軍部隊が多く、5月1日にヒトラーの後継者として大統領になった海軍のカール・デーニッツ提督の命令の下武装解除が進められた。
しかし、ソ連軍の迫るプロイセン地方からのドイツ人避難民をバルト海を経て海路ドイツ西部に受け入れるまで、降伏は猶予して欲しいとのデーニッツの嘆願は拒否され、5月8日無条件降伏が発効した。多くの避難民はソ連軍の手に落ち、悲劇的な運命をたどることになった。
[編集] ドイツ人への報復
ドイツ占領後のソ連軍の報復は苛烈を極め残虐非道であった。占領下の女性市民の多くがソ連兵により強姦され、数多くの市民が自決した。一説にベルリン市内では50%もの女性がソ連の兵士による性暴行の被害を受けたと言われている[要出典]。
また、アメリカ軍もドイツ軍捕虜を不当に扱い、ライン河畔に野ざらしのまま放置したため、数万のドイツ兵を病死させている。
[編集] 参考資料
[編集] 映画
- 『暁前の決断』： Decision Before Dawn（1951年、アメリカ映画）
- 『ベルリン陥落』： Падение Берлина（1949年、ソ連映画）
- 『ヨーロッパの解放』・『ベルリン大攻防戦』 - ОСВОВОЖЛЕНИЕ（1971年、ソ連映画）
- 『ドイツ零年』： Germania Anno Zero（1947年、イタリア映画）：ロベルト・ロッセリーニ反戦三部作の第三作で敗戦直後の廃墟のベルリンが舞台。病気の父、売春婦の姉、復員した兄は働けない。少年は元ナチ党員の旧師に病人は生きる資格がないと唆されて、父親を毒殺する。絶望した少年は最後に投身自殺している。（第一作の『無防備都市』と第二作の『戦火のかなた』はイタリアが舞台であり、イタリアの戦いを参照）
- 『ブリキの太鼓』： ギュンター・グラス原作、フォルカー・シェレンドルフ監督、（1979年、ドイツ映画）
- 『ヒトラー ～最後の12日間～』： Der Untergang（2004年、ドイツ映画）
[編集] 回顧録
- ワシーリー・チュイコフ 著、小城正訳、『第三帝国の崩壊・スターリングラードからベルリンヘ』 読売新聞社、1973年
- Gerhard Boldt 著、松谷健二訳、『ヒトラー最後の十日間』 1974年
- Christian Graf von Knockow 著、 『女たちの時・ドイツ崩壊の淵で 1944-1947』、平凡社、1991年
[編集] 在留邦人の記憶
- 衣奈多喜男 著（朝日新聞特派員）、『敗北のヨーロッパ特電』、朝日ソノラマ、1973年
- 湯浅年子 著（フランス留学中の物理学者）、『パリ随想』、みすず書房、1973年
- 与謝野秀 著（外交官）、 『一外交官の思い出のヨーロッパ』、筑摩書房、1981年
- 新関欽哉 著（外交官）、『第二次大戦下ベルリン最後の日・ある外交官の記録』、日本放送出版協会、ISBN 4-14-001548-9、1988年
- 藤山猶一 著（外交官）、『一青年外交官の太平洋戦争・日米開戦のワシントンからベルリン陥落』、新潮社、ISBN 4-10-373101-x、1989年
- 邦正美 著（留学生）、『ベルリン戦争』、朝日新聞社、1993年、ISBN 4-02-259573-6
- 江尻進 著（同盟通信特派員）、『ベルリン特電』、共同通信社、1995年、ISBN 4-7641-0347-8
- 館澤貢次 著、『大戦秘史 リーツェンの桜』、ぱる出版、1995年、ISBN 4-89386-474-2
[編集] Pictorials
- Tony Le Tissier 著、 Berlin,Then and Now, Battle of Britain Prints International Limited, ISBN 0-900913-72X, 1997
- 中村雅夫編： 『ベルリン攻防戦』、学習研究社、ISBN 4-05-602060-4、1999年
[編集] ノンフィクション
- Hugh R.Trevor-Roper 著、橋本福夫訳、『ヒトラー最後の日』、雄鶏社、1951年
- Cornelius Rayn 著、木村忠雄訳、『ヒトラー最後の戦闘』、朝日新聞社、1966年
- John Toland 著、永井淳訳、『アドルフ・ヒトラー』、集英社、1979年
- Wolfgang Paul 著、松谷健二訳、『最終戦・1945年ドイツ』、フジ出版社、1979年
- T・プリーヴィエ 著、金森誠也・安藤勉訳、『ベルリン』、論創社、1992年
- Ada Petrova / Peter Watson 著、藤井留美訳、『ヒトラー最後の日；50年目の真実』、原書房、1996年、ISBN 4-562-02861-0
- Antony Beevor 著、川上洸訳、『ベルリン陥落 1945』、白水社、2004年
- Joachim Fest 著、鈴木直訳、『ヒトラー・最後の12日間』、岩波書店、2005年、ISBN 4-00-001934-1
- Henrik Eberle / Matthias Uhl 著、高木玲訳、『ヒトラー・コード』、講談社、ISBN 4-06-213266-4、2006年
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