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日産・シルビア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シルビア(SILVIA)は、日産自動車で生産されていた2ドアノッチバックタイプのクーペ(3代目、4代目にはハッチバックが存在する)。名前の由来はギリシャ神話に登場する清楚な乙女の名前から。その語源はラテン語で「森」を意味する。なお、この「シルビア」という名前は元々ホンダが商標を持っていた。日産はプレリュードという商標名を持っており、ホンダ日産はお互いの商標名を交換したという説がある。

2005年の北米(デトロイト)モーターショーでFFの「アズィール」を発表し後継車だと噂されたが、同年東京モーターショーではFRの「フォーリア」が発表され、現在ではこちらが後継車との説が多い。

尚、レース用やドリフト用の車としてレーサーや走り屋にも人気は高いが、とりわけ走り屋と呼ばれる人たちが公道で無謀な走行をして事故を起こすことが多かったために、任意自動車保険の保険料率が国産車の中では一番高い(2006年現在)。

目次

[編集] 歴史

[編集] 初代(CSP311型 1965-1968年)

初代シルビア
初代シルビア

1964年第11回東京モーターショーに「ダットサン クーペ1500」として出品された後、1965年4月発売。ダットサンフェアレディ(SP310型)のシャーシに、SUツインキャブ付R型1600cc OHVエンジンを載せ、クーペボディを架装して作られた。日本車初採用の4速フルシンクロのトランスミッションドイツ人デザイナー、アルブレヒト・ゲルツによるクリスプカットと呼ばれた美しいデザイン(実際には当時日産デザイン室に在籍した木村一男がゲルツの指導の下にデザインしたもの)、継ぎ目を極力減らしたボディパネルなど意欲作であったが、美しいルックスには不釣合いなタフな乗り心地や、相対的な割高感に加え、兄貴分のスカイラインオープン版のフェアレディの影に隠れて、商業的には成功したとは言えなかった。そのため1968年6月に554台のみで生産を終了、一旦は絶版となった。

神奈川県警では高速隊のパトカーとして採用された。

社団法人自動車技術会の「日本の自動車技術180選」に選出されている。


[編集] 2代目(S10型 1975-1979年)

1975年10月発売。日本国内の車名は「ニューシルビア」で、バッジにも「New」の文字が見られる。 コンセプトは初代とはうって変わり、北米市場向けの「セクレタリーカー」として開発された。 プラットフォームはB210型サニーをベースとしており、サスペンションはフロントがストラット式、リアがリーフリジット式を採用している。ハードウエアの面でも初代との繋がりは全く無い。 開発当初はロータリーエンジンの搭載も検討されていたが、オイルショックの影響により見送られ、当時ブルーバードUに搭載されていた、1800ccの4気筒SOHCエンジンであるL18型(105ps)を搭載した。 直線的な美しいデザインを持つ初代とは対照的に、北米うけを狙った2灯式ヘッドランプや、うねりの強い2代目のスタイルは、日本の顧客には理解不能で、国内販売は不振だった。

ちなみに、この世代の北米向けモデルで初めてSXの名が使われた。 名称は200SX。通称5マイルバンパーと呼ばれる大型のバンパーを前後に装着していた。


[編集] 3代目(S110型 1979-1983年)

S110型シルビア
S110型シルビア
S110型シルビア
S110型シルビア

1979年3月、S110が発売。 プラットフォームは先代S10型と同じくサニーがベースであるが、310型となったことで、リヤサスペンションが4リンクコイル・リジッドサスペンションとなった。 先代ベースの輸出仕様車である初代200SXの手応えから、さらにアメニティーに振ったコンセプトとなり、日本初のドライブコンピュータや、アメリカ車並みのムーディーな室内イルミネーションを採用し、夜のドライブが楽しいデートカーとして人気を博すことになった。

ちなみに、米国仕様車の名称は200SXを継承している。

エンジンは当初、1800ccのZ18型、2000ccのZ20型の2種が設定され、のちのマイナーチェンジでFJ20E型が追加設定された。FJ20E型はスカイラインRSに搭載されたDOHCエンジンである。

サニー系のパワートレインのため、5速MTは5速がオーバードライブではなく、直結となっており、1速が左手前にくるシフトパターンであった。そのため、発進時のシフトミスを防ぐため、リバースポジションでは警告ブザーが吹鳴するようになっていた。後に5速MTは6気筒車と共通の、4速プラスオーバードライブ式に変更された。

ボディタイプはハッチバックに加えてクーペが追加された。

また、このモデルと次のS12型には日産モーター店扱いとなる、姉妹車ガゼールが設定された。 ちなみに、石原プロモーション製作の「西部警察」にて故・石原裕次郎が搭乗しているS110型のオープンカーは、姉妹車のガゼールである。

1980年11月、マカオグランプリ・スーパーサルーンクラスおよびギア100に参戦。 スーパーサルーンクラスでは優勝を飾り、ギア100では5位を記録する。共にドライバーは星野一義

1982年 生産拠点を九州工場へ移す。 この年の第30回サファリラリーでは、LZ20B型(215ps)を搭載したグループ4仕様車が総合3位を獲得した。

1983年 生産終了。S12型にバトンタッチ。 


【スーパーシルエットフォーミュラ・シルビアターボの存在】
1981年富士GCの併催レースであるスーパーシルエットクラスレースに参戦。ドライバーは星野一義。 ハッチバック(KS110型)をベースに車体の一部をパイプフレームとするノバ・エンジニアリング製のシャシーに、大型のフロントスポイラー、およびリアウイングを備えるムーン・クラフト製のカウルをまとうスーパーシルエットフォーミュラ・シルビアターボが好戦績を残した。 メインスポンサーは一貫して日本ラジヱター(現・カルソニックカンセイ)。 スーパーシルエットクラスレースには、同じ形状のカウルで1982年1983年と連続参戦した(ただし、1983年途中からは同じシャーシにS12型風のカウルの組み合わせだった)。 なお、シルエットフォーミュラのエンジンは1981年度は直列4気筒DOHCのL20B型ターボ、1982年度はサファリラリー等で活躍したPA10型「バイオレット」に搭載されていた直列4気筒DOHCのLZ20B型(2082cc 570ps/7600rpm、55kgm/6400rpm)にエアリサーチ製T05Bターボチャージャー、およびルーカス製メカニカルインジェクションシステムを組合わせたものだった。

日産の意向により同様のレーシングカーがスカイライン(KDR30型)及びブルーバード(KY910型)でも製作され、それぞれ長谷見昌弘柳田春人がドライブした。

【主な戦歴】

  • 1981年3月 富士GC 第1戦 富士300キロスピードレース大会 優勝
  • 1982年3月 富士300kmスピードレース GCクラス 優勝
  • 1982年5月 富士グラン250kmレース GCクラス 2位
  • 1983年5月 富士グラン250kmレース 優勝


【コンペティションマシン・240RSの存在】
1983年、海外ラリー競技向けにS110型ベースの「240RS(BS110)」というホモロゲーションモデルが登場。当時グループBで争われていたWRCに参戦した。 ボディタイプはノッチバッククーペが選ばれた。生産台数は200数台といわれている。 1983年から1986年まで参戦したWRCでの最高成績は2位。 240RSのホモロゲーションマシン及びカスタマー・スペック車に使われたのは2400ccのFJ24型(240ps)である。さらに、240RSのワークスカーにはFJ24改(275ps)を搭載するエボリューションモデルが存在した。 ちなみに、FJ24型は国内で販売されていたFJ20E型とは設計・構造が異なるため、共通パーツがほとんどない競技専用エンジンだった。 2006年NISMOフェスティバルでは、日産自動車の有志の手でレストアされたワークスマシンが完成し、デモランを行った。現在この車両は日産の座間事業所内にある座間記念車庫に保管されている。 また、ローカル競技ではあるが、240RSは日本のあるエンスージアストの手により近年のタルガ・タスマニア・ラリーに参戦し、好成績を収めている。

[編集] 4代目(S12型 1983-1988年)

1983年8月、S12型発売。 このモデルからリアサスペンションがセミトレーリングアームの独立式となる。 また、リトラクタブル・ヘッドライトが採用された。 機能面では、日本初のチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフが搭載された。 ちなみに、米国仕様車の名称は200SXを継承(RVS12型)した。

エンジンはデビュー当初、1800ccのCA18型3種(キャブレター/EGI/EGIターボ)と2000ccの自然吸気エンジンであるFJ20E型(150ps)、ターボを搭載したFJ20ET型(190ps)が設定された。 同じくFJ20ET型を搭載していたDR30型スカイラインでは、空冷インタークーラーを追加した205ps仕様が設定されたが、S12型には採用が見送られた。

1984年2月、1800ターボR-L FISCO追加。中級グレードのR-LにFJ20E/ET搭載車と同じタイヤ、アルミホイール等を装備したもの。

1986年2月、マイナーチェンジ。 FJ20E/FJ20ET型エンジン搭載車が廃止され、全車CA型エンジン搭載車となった。トップグレードにはCA18DET型DOHCターボエンジンが搭載された。 同時に兄弟車のガゼールがモデル廃止。このため、日産モーター店では代替としてシルビアを扱うことになった。

1986年 生産終了。S13型にバトンタッチ。


CMは下記の様なラリー車としての位置付けに相反し、いたって地味で(キャラクターの起用は一切無し)男女が歌うスキャット調の曲に、雨上がりの朝の家庭で日差しが射す窓際に(人は映らない)雨の水しぶきを上げるカナリヤのいる鳥かご(スタンド式)があるという情景で「シルビアの朝です」というファミリカーを連想させる様なソフトに仕上げてある。ただナレーションでは「FRの力強い走り」とも謳っており、類稀なFR車であることを強調していた。


【スーパーシルエットフォーミュラ・シルビアターボの存在】
シルエットフォーミュラにも引続き参戦したが、車両自体は先代S110型のシルエットフォーミュラ仕様のボディパネルをS12風に変更したモデルである。 現存しているシルビアのシルエットフォーミュラ仕様車はこのS12風カウルをまとったもので、2005年のNISMOフェスティバルでは、レストアされたこのマシンを当時のドライバーである星野一義がドライブした。

【主な戦歴】

  • 1983年9月 富士GC 第3戦 富士インター200マイルレース大会 2位
  • 1983年10月 スーパーカップレース SSクラス 優勝


【WRC・グループAクラスへの参戦】
S12型の北米向けモデル200SX(RVS12型)には、V6・3000ccのVG30E型を搭載するモデルも存在した。 日産はこれをベースにラリー仕様車を製作、1987年1988年の2年間、WRCのグループAクラスに参戦した。 WRCにおける最高成績は2位。

【主な戦歴】

  • 1987年 第35回サファリラリーに北米向け200SXをベースとするグループA仕様車が参戦。
  • 1988年 第36回サファリラリーに参戦。総合2位・A4クラス優勝および総合3位を獲得。

[編集] 5代目(S13型 1988-1993年)

S13型シルビア
S13型シルビア

1988年5月、S13型発売。
このモデルで当時大人気だったホンダ・プレリュードの牙城を崩し、若者を中心に爆発的に売れた。> 当時としては未来的なデザインで、CMでも「アートフォース・シルビア(ART FORCE SILVIA)」と語っていた。 足回りには新開発のリアマルチリンクサスペンションが採用された。 CMソングは前期型にはプロコル・ハルムの「青い影」、後期型にはクライズラー&カンパニーの「動物の謝肉祭・水族館」が起用された。

日産はこのS13シルビアをデートカーとして位置づけていたが、当時すでに少なくなっていたミドルクラスのFR車であり、ターボエンジン搭載グレードなどのスポーツ走行も可能な設計であったため、メーカー側の予想に反して、スポーツ走行用の様々な改造パーツが開発された。 現在でもサーキットや峠などで走るための車として使用されることも多い。これはS13型だけに限った話ではなく、その後のモデルであるS14型やS15型にも受け継がれた。

デビュー当初は1800ccエンジンのみで、自然吸気エンジンのCA18DE型(135ps)とターボのCA18DET型(175ps)が搭載されていたが、1991年のマイナーチェンジで2000ccのSR20DE型(140ps)とSR20DET型(205ps)に変更された。グレードは、J's、Q's、K'sの3種で、トランプを意識した構成になっていた。 オプション装備では、プロジェクターヘッドランプ、四輪操舵装置のHICAS IIや、HUDであるフロントウインドウディスプレイなどが用意され、未来的なイメージを後押しした。

1988年7月、オーテックジャパン製の「コンバーチブル」を追加発売。
K'sを改造。製造はオープン構造の車の生産を得意とする高田工業に委託されていた。

1989年4月、姉妹車180SX(RS13型)が発売。
リトラクタブルライトを採用したS13型の北米輸出仕様車240SXハッチバックボディの日本仕様車であり、車名の「180」は排気量の1800ccにちなんでいる。 エンジンはシルビアと異なり、ターボモデルのCA18DET型のみ設定していた。 この180SXはS13シルビア同様に人気が高く、S13シルビアの販売終了後もS14シルビアと共に販売が続けられた。

1991年1月、マイナーチェンジ。
1800ccのCA18DE/CA18DET型から、2000ccのSR20DE型(140ps)とSR20DET型(205ps)に変更された。姉妹車の180SXも同時期にSRエンジンに変更されたが、名称は180SXのままであった。 そのほか、トランクリッドのキーホールカバー、プロジェクターヘッドランプが4連からフォグランプも含めた6連に変更されるなどの細かい点も変更が行われている。

マイナーチェンジ前の型式がS13、マイナーチェンジ後はPS13となっているが、通称としてどちらもS13と呼ばれることが多い。

モデル末期にはそのころ発足したばかりの全日本GT選手権のGT2クラス(後のGT300クラス)に参戦し、クラスチャンピオンを獲得している。

1993年、生産終了。S14型にバトンタッチ。


【S13型の輸出仕様車とバリエーション】
輸出仕様車として、欧州仕様の200SX(搭載エンジンは日本仕様と同様、2000ccのSR20DE/SR20DET)と、北米仕様の日産系トラック用の2400ccエンジン(前期型はKA24E、後期型はKA24DE)を搭載した240SXが存在する。 北米仕様の240SXは、現地のヘッドライト位置の法規に対応するため、フロントのデザインに180SXと同様のリトラクタブルライトを採用している(ちなみに、日本でもS13シルビアのフロントを180SXのものに換装した改造車、通称・「ワンビア」が少数ながら存在する)。

バリエーションとしては上記の姉妹車180SXのほか、光岡自動車がS13型シルビアをベースにクラシックカーのようなボディを換装した初代ラ・セードを発表している。 また、180SXがベースではあるが、フロントパネル一式をユーザーの手によってS13シルビアのものに換装した(後に一部の日産系ディーラーで正式に販売された)通称・シルエイティが存在する。


【チューニングベースとしてのS13型】
S13型の弱点としては、左側のメインフレームが何故か途中で切れているため、その部分に補強する必要がある(実際、補強用パーツ等が複数存在する)。

また、マイナーチェンジ後に搭載されたSR20DETエンジンは極端に燃料系のキャパシティが少ないため、ブーストアップ程度でも強化燃料ポンプ(R32/R33スカイラインGT-Rに搭載されるRB26DETT用のポンプを加工流用するのが定番)への交換とインジェクター(ブーストアップ止まりならS15用、それ以上まで視野に入れるのならNISMO等の社外品(550cc~)を使うのが定番)に交換する必要がある。 また、横Gが強く掛かる運転を続けていると燃料タンク内の仕切り板が外れ、燃料を吸えなくなってエンジンブローするなど、なかなかクセの強い車であるため、サーキット走行やドリフト走行では注意や対策が必要といわれている。

ちなみに、PS13型はNA車とターボ車間のコンバートが非常に楽に出来る設計になっている。後継モデルのS14型、S15型と進むにつれ、コンバートが難しくなっている。


[編集] 6代目(S14型 1993-1998年)

1993年10月、S14型が発売。
ボディサイズを大きくして3ナンバーボディとなった事や、この年の前後に発売された一連の日産車(C34型ローレル、W30型ラルゴ、R33型スカイライン、B14型サニーなど)に共通して外観デザインが不評であった事、4ドアスペシャリティー車の台頭により人気が低下し、販売面で苦戦したモデルである。 販売テコ入れのため、1996年にビッグマイナーチェンジを敢行。主にフロント周りのデザインを一新したが、前期型と同様S13型と比べて肥大化し、不評だったボディサイズはいかんともしがたく、大幅な人気回復には至らなかった。

現在では珍しくなったターボエンジンを搭載したマニュアルミッション設定のあるFRクーペモデルであること、登場から10年以上経過していることにより中古車価格も下がっていること、などの理由からいわゆる走り屋層には人気があり、一部の愛好家には未だに支持されている。

エンジンは自然吸気、ターボ共に改良され、SR20DE型は160ps、SR20DET型は220psにパワーアップした。

デビュー当時のキャッチコピーは「アイ・ハント・シルビア(eye hunte SILVIA)」。 CMソングはティアーズ・フォー・フィアーズの「シーズ・オブ・ラヴ」が起用された。

マイナーチェンジ後のキャッチコピーは「Ready Go FR」。 CMには宝生舞が出演している。 CMソングはザ・ハイロウズの「相談天国」と「Happy Go lucky」が起用された。

1996年6月、後期型へマイナーチェンジ。
曲線の多かった前期型から、ヘッドライトを角ばった、いわゆる「ツリ目」の形状にするなど主にフロント周りのデザインを一新し、全体的にシャープなデザインの外観に変更した。

1997年10月、「オーテックバージョン K's MF-T」が追加。
オーテックジャパンによって各部をファインチューニングされており、特にエンジンはチューニングされたSR20DETにIHI製の専用ターボチャージャーを組み合わせ、フジツボ技研製の専用エキゾーストシステムと相まって、最高出力250PS/6,400rpm、最大トルク28.0kgm/4,800rpmを発生した。 外観上の特徴は、大型リアスポイラー、専用フロントバンパー、アローエンタープライズ製の16インチアルミホイール。 205/50R16・90VのブリヂストンポテンザRE710Kaiを履き、専用スポーツサスペンションを装着していた。 内装はホワイトメーター、 電圧・油圧・ブーストの3連ホワイトメーター、MOMO社製SRSエアバック付きスポーツステアリング、本革巻シフトノブ、専用専用シート地&ドアトリムクロスが装着されていた。

1998年 生産終了。S15型にバトンタッチ。


【チューニングベースとしてのS14型】
ターボの潜在ポテンシャルはS13型に比べて上がったものの、過給圧をノーマルの設定から上げると、そのような改造を想定していない為か、S13と同様に燃料系が弱く、燃料系パーツの強化を行わないと簡単にエンジンブローする。 ただし、S13型と比べてボディ剛性と燃料タンクの問題は解消されている。 S14後期型の販売当時、ドリフト界ではハチロク180SXと5ナンバー車が主流だった為に「デカい、カッコ悪い」とのイメージが前期型から続いていた。 ところが、織戸学イカ天統一戦を豪快なドリフト走行で勝利した事から、速い上にドリフトアングルが付けられる車として、デザインはさておき一時的なブームとなり、「ハチロクや180SX、4ドア車のポテンシャルを全て引き出してもS14に勝つのは難しい」と言われるほどになった。 批判の根源であった大柄なボディも、裏を反せば車体の安定感が高いということであり、一部の層からは後継モデルのS15型以上に重宝されている。


【JGTC・GT300クラスへの参戦】
S14型は、全日本GT選手権JGTC)のGT300クラスに、前期型と後期型が共に参戦した。1997年シーズン、織戸学/福山英朗組の駆る後期型フェイスのRS・Rシルビアがチームタイトルを獲得した。

【S14型の輸出仕様車】
輸出仕様車としてS13型と同様、欧州仕様車と北米仕様車が存在した。 欧州仕様は日本仕様と同様のSR20DE/SR20DETを搭載したS14型が新型200SXとして販売された。 北米仕様車は1996年にS14型の北米仕様へモデルチェンジし、エンジンは引き続きKA24DE(155ps)が搭載された。


【NISMO 270Rの存在】
S14型には、前期型をベースにNISMOがチューニングを行った「NISMO 270R」というコンプリートカーが存在した。 ボディカラーはスーパーブラック(#KH3)のみ。 開発にはレーシングドライバーの木下隆之が関与した。 車名はNISMOの手でファインチューニングされたSR20DETの最高出力である270馬力にちなんでいる。


[編集] 7代目(S15型 1999-2002年)

S15型シルビア
S15型シルビア

1999年1月、S15型が発売。
キャッチコピーは、「ドライブしよう」(spec.S、spec.R)、「Open Your World」(ヴァリエッタ)。

最大のトピックは、S14型で拡大し不評だったボディサイズを、再び5ナンバー枠に戻したことである。 また、グレードはS14型までの「J's、Q's、K's」から、「spec.S、spec.R」とした。 エンジンはさらに改良され、spec.SのMT車用SR20DE型が165ps、spec.RのSR20DET型は250psとなった(AT車では、それぞれ160ps、220ps)。 また、ターボモデルであるスペックRにはトヨタ系列部品会社、アイシン精機が製造した6速MTが装備され、更にターボにはS14から引き続きボールベアリングタービンが採用され、レスポンスアップを図りつつ、下からストレスなく回る仕上がりになっている。(ただし、生産終了間際のモデルにおいてはボールベアリングではなくフローティングメタルが採用されている)。

スタイルも洗練された物となり、ブースト計または油圧計が右Aピラーに配置されたり、エアロ仕様には運転席中央部にホップアップ式5.8インチ液晶モニターを採用するなどの装備で登場。スタイル、機能共に好評で、S14型の不評を払拭し、人気を回復した。

販売は日産レッドステージで行われた。

また、S15型登場に合わせて、S14型の販売不振により思わぬ長寿モデルとなった180SXが生産終了・モデル廃止された。

1999年10月、オーテックジャパンが開発を手がけた「オーテックバージョン」を追加。
spec.Sをベースとして各部にファインチューニングを行い、自然吸気エンジンのNVCS付きSR20DE専用エンジンは圧縮比アップによる燃焼効率の向上や背圧低減による高回転域の排気効率向上、狙いのトルク特性を引き出すためバルブタイミング&リフト量のチューニング等、内部を見直す一方、フジツボ技研製の専用エキゾーストマニホールドを採用し、最高出力200ps、最大トルク21.8kgmを発生した。
ボディ補強、前後ブレーキ、6速MT、リヤヘリカルLSDなどはspec.Rと共通である。 外観上はボディサイドエンブレム程度の相違しかなく、内装も専用シルバーメーター、赤ステッチ入りの専用フロントシート・ドアトリム生地など、大変控えめなものであった。

2000年5月、国産初のフルオープンタイプ電動メタルルーフのオープンカー(クーペカブリオレ)の「ヴァリエッタ」を発表。7月に発売開始した。
1999年の第33回東京モーターショーに出品された、オーテックジャパンと高田工業の共同開発車である。
搭載エンジンはSR20DE型のみで、詳細はspec.Sに順ずる。 フロントシートに、帝人および田中貴金属工業と共同開発した、モルフォチョウの鱗粉の発色原理を応用する繊維「モルフォテックス」を織り込んだ、帝人および川島織物と共同開発した布地「モルフォトーンクロス」を採用した。

2000年10月 オーテックジャパンにより内外装に手を加えた「style-A」を追加。
ちなみに、2000年には光岡自動車がS15シルビアをベースに2代目ラ・セードを発表している。

2002年8月 生産終了。
2ドアクーペ受難の時代において、希少な小型FRスポーツとしてそれなりの人気を得たが、排気ガス規制や新衝突安全基準の強化に対応することが出来ず、自動車ファンから惜しまれつつも二度目の絶版となった。


【S15型の輸出仕様車】
S15型は先代のS14型までのように欧州向けや北米向けには輸出されず、オーストラリアニュージーランド向けが少数輸出された。


【チューニングベースとしてのS15型】
S14後期で生まれたシルビアブームのおかげもあり、いわゆる走り屋層にはヒットではあったが、一部のユーザーからは「フロントライトやリアのコンビネーションランプがかっこ悪いが、性能がいいから仕方なく乗る」さらに土屋圭市からは「ヘッドライトがバカボンに出てくるオマワリさんみたいだ」等の声があった。 S13、S14同様、ドリフト仕様の通称・ドリ車の代名詞としても有名になり、全日本プロドリフト選手権(通称・D1)でも人気車種の一つに挙がる。

しかし、新搭載された6速ミッションがノーマル馬力にしか対応していない事が走り屋の間では問題となってしまい、全国各地で3速ギアが壊れるというトラブルが相次いだ。 しかも、S14系列までのミッションと違い、ギアが壊れると3速から抜けなくなってしまい、自走不可能になってしまうという非常に深刻なトラブルであった。 そのため、対策としてS14の5速ミッションをベースにクロスミッションを組み込むという、ある種デチューンとも言える改造がチューニングとして行われていた。 その他、HKSTRUSTのドグ6速ミッションへと積み替えるという手段もあったが、これは価格が相当高い物である。安価な値段でNISMOが強化6速ミッションを販売しているが、これも許容馬力は350psと言われている。

そして、新デザインのピラーメーターは視認性こそ良かったものの、ブースト1.0Kg/cm以降針が動かないため、インタークーラーアクチュエーターのトラブルで予期しないブーストが掛かってしまっても気付かず、タービンエンジンをブローさせるというトラブルも相次いだ。結局、安全のためには社外品のブーストメーターを取り付けるしかなく、無意味にブースト計が2つ装着されている車両も多い。

燃料系は、SRエンジン3代目にしてやっと強化されたため、ブーストアップレベルでは強化の必要はなくなった。


【JGTC・GT300クラスへの参戦】
S15型は全日本GT選手権JGTC)のGT300クラスにデビュー直後から参戦した。2001年シーズン、大八木信行/青木孝行組のダイシン・シルビアがチーム及びドライバーズタイトルを獲得している。また、2004年シーズンからは日産のGT300クラスの主力の座をZ33型フェアレディZに譲り、翌年第一線から退いた。

【主な戦歴】

  • 2001年 JGTC GT300クラスに参戦。チーム・ダイシン・シルビアがチーム及びドライバーズタイトル獲得
  • 2003年8月 第5戦 富士スピードウェイ GT300クラス2位、8位


【全日本ラリー選手権・2輪駆動部門への参戦】
2001年、2002年には全日本ラリー選手権2WD部門に参戦した。 チームはNRSで、連続で年間ドライバーズタイトルを獲得している。

[編集] シルビアのモータースポーツ活動

[編集] 関連項目

[編集] シルビアを所有している(いた)有名人

[編集] シルビアが登場する作品

[編集] 漫画

  • ナニワトモアレ - S13が主人公・グッさんの愛車と、ユウジの愛車として登場。ちなみに、グッさんが使用していたのは、Q's(NA車)で、ユウジが使用していたのはk's(ターボ車)。
    • 作者の南勝久もS13を所有している。
  • 頭文字D - S13~S15が登場。余談だがS13ベースのシルエイティも登場している。
  • ジゴロ次五郎 - 妖車のS13が主人公の愛車として登場。
  • 半分の月がのぼる空 - S15が主人公が入院する病院の看護師・谷崎亜希子の愛車として登場。
  • オーバーレブ! - S13及びS14が登場
  • 月詠 -MOON PHASE- - S14後期が主人公の従兄弟・御堂成児の愛車として登場。

[編集] 映画

[編集] 外部リンク

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