ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン
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ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、通称UCLは、1826年に創立されたロンドン大学初のカレッジである。UCLは、教員スタッフ数、学生数が21800人にもおよぶ英国最大規模の大学である。
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[編集] 概要
UCLはラッセル・グループ所属大学であり、さらに、その中でも、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE),インペリアル・カレッジ・ロンドンとならび'G5' super-elite大学のひとつとして認められている。TIMESなどによるランキングでもUCLは毎年、英国ではトップ5、世界ではトップ30内にランクインしている。年間収支は550Mポンド(日本円で約1100億円)とラッセル・グループの研究資金の40%以上を占めている。これまで、UCLは卒業生に対し、ロンドン大学からの学位授与を続けてきたが、2005年9月27日になって、UCLからの学位授与も行えるようになった。
主なUCL出身者に、インド独立の父 マハトマ・ガンジー、進化論のチャールズ・ダーウィン、電話の発明で有名なアレクサンダー・グラハム・ベル、フレミングの法則のジョン・フレミングなどがいる。また、現在までに19人のノーベル賞受賞者を輩出している。
また、日本との係わりも深く、日本初の留学生が学んだのもUCLである。1863年には長州藩から三名の留学生を受け入れ、その一人に伊藤博文がいる。さらに、夏目漱石が明治政府から派遣されてきたのもUCLであった。小泉純一郎が留学していたのもUCLで、学位未取得のまま帰国したが、先日UCLの学長が来日した際に、名誉学位を授与された。
[編集] キャンパス
大学の大部分はロンドン中心部のブルームズベリー地区、ガウアー・ストリート沿いに位置している。ブルームズベリー地区周辺は有名な研究施設が集積しており、代表的なものとして大英博物館、大英図書館、英国医師会がある。また、ロンドン大学群に所属する学校・研究施設も多数あり、スクール・オブ・オリエンタル・アンド・アフリカン・スタディーズ(SOAS)、バークベック・カレッジなどがある。地下鉄の最寄駅は、ユーストン駅、ユーストン・スクエア駅、ウォーレン・ストリート駅である。
[編集] 歴史
哲学者ジェレミ・ベンサム(1748-1832)が、UCLの建学の父であり、UCLの発展に大きな影響を与えた。特に、法学部でその影響は現在でも一段と大きい。ベンサムは、高等教育の大衆化を強く唱え、すべての人に開かれた大学を、このUCLがイギリスで初めて実現した。当時のオックスフォード大学・ケンブリッジ大学が、男性、イギリス国教徒、貴族出身者という差別的な入学条件を設けていたのに対して、UCLはイギリスで初めて平等な基準によってに女性を受け入れ、宗教・政治的思想・人種による入学差別を撤廃した。
これに対して、既得権益を失うことを恐れたオックスフォード大学・ケンブリッジ大学は、様々な圧力をUCLにかけ、大学としての地位を剥奪しようとしたことは有名である。UCLは1826年「University of London」の名称で設立された。UCLは当初からUniversity(Collegeとは区別される)として設立されたが、イギリス国教会は当初、学位を授与するのに必要な王立憲章(Royal Charter)をUCLに授与せず、UCLの大学としての地位獲得に反対した。1836年にUCLは王立憲章を獲得し、University of Londonとして改めて法的に学位を授与することのできる大学として認められた。
その後、King's collegeと合併することとなり、最初に設置されたCollegeを意味するUniversity Collegeという名称に改めた。さらに、多くのCollegeがUniversity of Londonの傘下に入り、現在では19のCollege、School、Instituteとからなる、巨大な大学連合となった。その中には、London School of Economics and Political Science(LSE)、Imperial College London、London School of Business(LSB)、Schoool of Oriental and African Studies(SOAS)、Insutitute of Education等が名を連ねている。現在、これらのいづれの教育機関を卒業しても、University of Londonからの学位が授与されている。
また、イギリスではじめて学生自治会(Students' Union)を設けた大学である。また、地理学、動物学、化学、応用化学、エイジプ学、応用電気工学、英文学、フランス語、ドイツ語、イタリア語、 パピルス古文書学、音声学は、UCLがイギリスで初めて大学教育を始めた分野である。
2003年8月グラント教授(Malcolm Grant)が学長に就任した。就任後、それまでイギリスの大学では稀だった、大学献金(Fund Raising)のキャンペーンを行い、8100万ポンド(約170億円)を捻出し、大学の財政状態を大きく好転させた。また同学長は、"London's Global University"を宣言し、UCLをグローバル化を促進させた。今日まで、アメリカコロンビア大学、ニューヨーク大学、テキサス大学、フランスの Ecole Normale大学、日本の大阪大学等、世界中の名門大学との提携を実現させている。
1990年代に入り、巨大化したロンドン大学に不満を持つCollegeが出るようになった。なぜなら、同じUniversity of Londonの学位を授与していながら、それらの教育機関の学術レベル、学生の質に、大きな差が生じるようになったからだ。例えば、Birkbek Collegeは、主に社会人のための夜間大学としての役割が大きくなり、UCL、LSE、Imperial Collegeが常にトップ5に名を連ねるのに対して、他のCollegeの学術レベルが一向に向上しないこと、またそれらの優秀校が、University of Londonに加盟するメリットがないことが理由として挙げられる。2002年にはUCLとImperical Collegeの合併の計画が進められたが、組合からの猛反発にみまわれ、実現することはなかった。そしてついに、理工系でイギリスの最高峰であるという威信をかけて、Imperial Collegeが2007年までに、University of Londonから独立することを宣言した。一方で2005年9月に、UCLはロンドン大学連合から独立して学位を授与する権限をPrivy Councilから許可された。現在その権限は自主的に留保され、UCLからの学位はすべてUniversity of Londonからの学位となっているが、将来的にはロンドン大学連合からの独立を選択する可能性がある。
2006年1月に、UCLはヨーロッパ研究大学連盟 (LERU)の加盟校として招待され認定された。イギリスでLERUに加盟を許可されているのは、UCLを含む、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、エディンバラ大学の4校のみである。
[編集] 評価
2006年度のGuardian発行のランキングでは、イギリス国内で4位。 2005年度のTIMES World's University Rankingでは、世界で28位、イギリス国内で5位。 2004年度のSundayTimes' Good University Guideでは、University of The Yearに輝いた。 UCLは"physically and academically at the centre of the University of London"と賞賛された。 また、イギリスの公的機関による研究成果の評価RAE(Research Assessment Exercise)では、総合ランキングで3位。
[編集] ネットワーク設備
教員および学生は、UCLキャンパス内の各所でRoamNetと呼ばれている有線および無線によるインターネットサービスを利用することができる。RoamNetを利用するためには、Cisco社製のVPNクライアントソフトが必要となるので、Windows,Macintosh,Intel CPU向けLinux以外では利用できない。
RoamNetでのユーザアカウント名は、"ucxxxxx"のようにランダムに割り当てられている。UCL Education and Information Support Divisionによると、学生は以下のネット利用が禁止されているようである:IRC、オンラインゲーム、チェーンメール、ホストサービス(HTTP、mail、FTP、NNTP、telnetなど)、IPマルチキャスト、PC以外の接続など。
[編集] スポーツ・サークル・伝統
[編集] 主な出身者
- チャールズ・ロバート・ダーウィン (1809年 - 1882年、イギリス自然科学者、進化論の提唱者)
- 伊藤博文(1841年 - 1909年、初代・第5代・7代・10代大日本帝国内閣総理大臣)
- アーネスト・サトウ(1843年 - 1929年、イギリス外交官)
- アレクサンダー・グラハム・ベル(1847年 - 1922年、科学者、発明家)
- ジョン・アンブローズ・フレミング (1849年 - 1945年、イギリス電気技術者、物理学者、フレミングの法則考案者)
- オーレル・スタイン(1862年 - 1943年、探検家)
- ラビンドラナート・タゴール(1861年 - 1941年、詩人、思想家、ノーベル文学賞を受賞)
- マハトマ・ガンジー(1869年 - 1948年、宗教家、政治家、法律)
- ネルソン・マンデラ(1918年 - 、政治家、元南アフリカ大統領)
- クリス・マーティン(1977年 -、ロックミュージシャン(コールドプレイ))
- 小泉純一郎(1942年 -、第87・88・89代日本国内閣総理大臣)
[編集] 交換留学提携校
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
ヨーロッパ研究大学連盟 (LERU) |
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