ローカルアイドル
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ローカルアイドルとは、東京に集中しているアイドルに対し、地方に本拠地を構えたまま地元を中心に活動する地域限定アイドルのこと。「ロコドル」と省略されたり、地方アイドル・地方発アイドル・ジモドル・ご当地アイドルとも呼ばれる。
ほとんどの場合において女性アイドルグループの形態を取っているため、1人で活動している者の場合は「ローカルアイドル」の範疇に含まれない(地方に在住して、仕事のときだけ上京するアイドルも含まれない)。
「ロコドル」は、NHKポップジャムの「ローカルアイドル特集」(2004年9月OA)において、メインMCのつんく♂によって命名された(番組出演グループ:Negicco・SHIP・サンフラワー・その他)。
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[編集] 概要
[編集] 背景
1993年に結成された大阪パフォーマンスドールが地域色を押し出したアイドルグループとして誕生した。これは吉本興業が東京パフォーマンスドールのコピーライツを得た上でのブロジェクトであった。そのため、ローカルアイドルとしての認識されることはないが、これを契機として徳島県においてコピーライツを得ていない阿波パフォーマンスドールというグループが結成された。その阿波パフォーマンスドールを基にして、1995年に結成された徳島県のCOCONUT'(ココナッツ)が、ロコドルとしての原型と認めることが出来る。
その後、東京資本では、1995年にMAX、SPEED(ともに沖縄県)、90年代末にZONE、Whiteberry(ともに北海道)、モーニング娘。など、地方出身者であることが1つの特徴である女性グループが全国的にも人気になっており、ローカルアイドルが受け入れられる地盤となっていった。また、東京資本ながら、北海道を主たる活動拠点としていたカントリー娘。も1999年から活動を開始している。
一方、テレビ東京のオーディション・バラエティ番組「ASAYAN」において、プロデューサーによって地方出身者がアイドルに変身していく様や、TBSのジャストの様々な変身企画など、不景気感が漂う世相の中での上昇志向や変身願望の1つの答えとしてアイドルという道が作られていった。1998年に、シャ乱Qのつんくがプロデュースしたモーニング娘。が大いに話題を呼んだことで、アイドルの地方オーディションも盛んに行われるようになり、地方においてアイドルを夢見る者を多く生んだことも、後のローカルアイドルの成り手側の背景になっていったと考えられる。
[編集] 成立
このような地盤の上に1996年に徳島県からココナッツJr.、1999年に広島県からサンフラワー、2000年に青森県からりんご娘.、2001年に山形県からSHIP、そして2002年には大阪府からダンシングBANANA、北海道からTouch、埼玉県からpinkishとこの頃から各地に「地方発アイドル」や「ご当地アイドル」などの称号でローカルアイドルが一挙に出現し始め、いわゆるローカルアイドルのブームが起こる(2004年版のイミダスにも掲載)。
モーニング娘。やSPEEDの影響を受けているため、ローカルアイドルのネーミングには「~娘」「~っこ」や英語が多い。また、グループ名を保持しながらメンバーを入れ替えていく様もモーニング娘。と同様である。
[編集] 収入基盤
- 地方メディア
ロコドルは、地域限定であるがあらゆるローカルメディアに露出しており、全国区であってもメディアが限定されるネットアイドル(インターネット)やグラビアアイドル(雑誌)とは異なる。ロコドルは、地域密着をすることにより、他地域で無名であっても、その地域では独占的支持基盤を持ち得る。しかし、全国を対象とした東京のアイドルビジネスとは異なり、ビジネスサイズが小さいことは否めない。そのため、地元の一般向けの活動の他に、三大都市圏のアキバ系ビジネスに経営を拡大する傾向がある。
- 東京でのイベントやメジャーデビュー
アキバ系ビジネスの特徴は、個々のファンの客単価が異常に大きいが、ファンの絶対数が少ないことである。そのため、東京でのロコドルビジネスは、「まとめ売り」や「抱き合わせ」が基本となっている。東京で、ローカルアイドルのイベントは数多く実施されているが、基本的に単独ライブではなく、複数のグループを一堂に会させている。2004年6月には、当時のロコドルグループから代表格を集結させてROLLING GIRLSなるグループを結成し、シングルCD「ROLLING GILRS ~もっと・・・~」メジャーリリース(コロムビアミュージックエンタテインメント)した。2006年7月には、全国のロコドル15組の代表曲を集めたコンピレーションアルバム「もぎたて アイドル発見伝」がメジャーリリース(ビクターエンタテインメント)されている。その他、数組のロコドルがメジャーデビューしているが、アキバ系から全国区に脱皮したとは言い難い。全国区なるためには、まだまだ個々の質の向上が必要である。
- インターネット
同時期にインターネットが普及したことにより、地方からの情報発信が容易になったことも、ローカルアイドルの存立に影響を与えている。それまでは、あくまで東京に上京し、プレアイドルと称して地道にグラビアや手売りで営業活動するほかなかった全国のアイドル予備軍たちは、インターネットにより地方に居ながらにして全国に情報発信できるようになった。
これらは、「ローカルアイドルの プレアイドル」に該当する者の収入にあたる。インターネットは能動的にアクセスする者にしか情報発信できないため、放送メディア以外の受動的アクセスの場として、地方に増加したコスプレ系飲食店(メイド喫茶)で、地道にファン層を拡大しようとするローカルアイドルのプレアイドルもいる。また、地方でも開催されている同人誌即売会やコスプレイベントで活動するプレアイドルもいる。
[編集] ローカルアイドルの型
ローカルアイドルは、いくつかの型に分けられる。以下、結成された目的や出発点・出自の違いによる分類を示す。他方、活動範囲による分類では、一般的なロコドルの場合、地元一般向けと三大都市圏のアキバ系向けの2つによって支えられているが、販売促進キャンペーン型のロコドルは、「ミス○○」と同様な地方巡業をしており、やや活動範囲が異なる。
[編集] 商店街発
シャッター街という語に代表されるように、地方都市の商店街は構造的な集客力の不足に悩まされている。以前であれば、夏祭りなどの地域イベントにおいて、東京の演歌歌手や駆け出しのアイドルなどを起用して集客力を高める方法が取られていたが、資金不足などによりそれも厳しくなった。一方、地元のローカルタレントやアマチュアバンドなどを代わりに起用しても、思ったほどの効果が得られないことが少なくない。
そんな中、商店街をアピールし集客力を高めようとする「ローカルアイドル」がつくられた。ローカルアイドルを商店街で育てることにより、共同作業という「商店街の横のつながり」が新たに生まれ、また「身近なあの子がアイドルになった!」という話題性も生まれる。すなわち、商店街の集客力のみならず、商店街自体の共同性をも強めることができるというメリットがある。また、「自分たちが育てているアイドル」という自覚を、アイドルに無縁だった地元の人々が持つことにより、アイドルとして洗練されていない部分をもプラスに作用させ得る。この型は、ローカルアイドルが商店街の活性化のための「場」そのものでもあり、ローカルアイドル自体をビジネスにしようとしていない。典型例は、SHIPである。
[編集] 販売促進キャンペーン発
従来、自治体や農協による地場産品の販売促進のための常套手段として、ミスコンを開催し、その受賞者が様々なコスチュームを着て販売促進キャンペーンをしていた。この場合、商品が前面に出るよう、商品の後ろにキャンペーンガール(ミス○○)が存在しており、また、キャンペーンガールは「20代の未婚の女性」と相場が決まっていた。このキャンペーンガールを低年齢化させて女性グループ化したところ、勝手にファンがついてローカルアイドル化した例が出現した。
このタイプのロコドルは、その成立理由により、他の一般的ロコドルと違って、自治体や農協のキャンペーン・スケジュールに従って「地方巡業」するという特徴を持つ。ミスコンと異なり、性差別の問題が少ないロコドルの手法は、地場産品の販売促進や都市セールスにおける新たな手法として注目されている。典型例は、ねぎっ娘およびピンキッシュである。
[編集] ローカル番組発
小泉政権下で地方経済が疲弊してくると、地元企業のCM需要も低くなり、ローカル局の財政基盤が揺らいだ。テレビのローカル番組では、制作費を抑えるためにローカルタレントを起用する例が増え、支出の圧縮を達成した。
しかし、収入増には視聴率を上げる必要があり、リピーター視聴者獲得のため、「ローカルアイドル」創出が試みられた。この場合、「アイドル創出プロジェクト」のようなローカル番組の形態となり、番組にレギュラー出演している。番組専属、あるいは、テレビ局専属となって活動範囲が狭くなるが、テレビというローカルメディアでヘビーローテーションされるため、地域(県域放送エリア内)での認知度は高い。ファン層は、専属ローカルアイドルの存在に、そのテレビ局のコーポレートアイデンティティ(CI)を見出すこともある。典型例は、ばちっ娘!やC-ZONE、プチドル隊などである。類例として、タウン情報誌が同様の動機をもとにロコドルを創出することがある(例 : ハレンチ☆パンチ)。
[編集] 地方の芸能事務所発
萌えビジネスがメジャー化してくると、ローカルアイドルビジネスの収益構造に変化が生じた。すなわち、従来は地元での活動が主体であったが、三大都市圏でのアキバ系イベントに「輸出」して「外貨」を得るようなビジネスモデルが確立した。
すると、ローカルタレントの事務所、地方に存在する(チラシや雑誌広告用)モデル事務所、ダンススクールなどが、経営多角化の1つとしてロコドルの創出を試みるようになった。この型の場合、地元メディアとの関係が薄いことも多く、必ずしも地元での知名度は高くない。場合によっては、ロコドルと冠しながらも、収益性が高く、ライブが盛り上がる三大都市圏のイベントを中心に活動し、地元ではあまり活動していないロコドルも見られる。典型例としてはダンシングBANANA、ネイチャJr.、サンフラワーなど。この形態で地元に密着することができた成功例としてはタッチやりんご娘.などがある。
[編集] 関東ローカル発
東京の芸能界において、全国向けに営業を行わず、東京のみで営業を行ったために、結果的に関東ローカルではある程度認知度があるのに対し、地方では全く無名のアイドルグループが出現した。東京に地盤があり、全国展開を目指したが結局関東ローカルだった、という結果論的なグループのため「ローカルアイドル」の範疇で語られることは少ない。典型例はベイキャニオンズ。従来、関東ローカルのロコドルは「大所帯で短命」であったが、美少女クラブ31のように長続きしているものや、地方のロコドルのような地域密着を掲げるAKB48(秋葉原)のようなグループもある。
[編集] 代表的なグループ
- タッチ(北海道苫小牧市) 2002年夏~
- りんご娘.(青森県弘前市) 2000年7月~
- SOUL MATE(宮城県仙台市) 2000年~
- MASS★COLORz(宮城県仙台市) 2005年夏~
- conomi(宮城県仙台市) 2005年夏~
- SPLASH(宮城県仙台市) 2006年春~
- カラスコクイーン(宮城県仙台市) 2006年春~
- SHIP(山形県酒田市) 2001年夏~
- CEREZA-G(山形県東根市) 2004年7月~
- pinkish(埼玉県大利根町) 2002年9月8日~
- C-ZONE(千葉県千葉市) 2005年~
- D.N.A(千葉県)
- PLIME(東京都八王子市)
- Marine Star(神奈川県) 2005年4月29日~
- ナチュラルポイント(神奈川県横浜市)2005年4月~
- X◇L(ジュエル)(山梨県)
- HAPPY&PAPY(長野県) 2003年8月~
- NEXT GENERATION(長野県) 2005年2月~
- ココロコロン(長野県) 2005年10月1日~
- Negicco(ねぎっ娘)(新潟県) 2003年7月~
- Cross(福井県) 2004年夏~
- ORANCHE(静岡県)
- ハッピーロケッツ(静岡県)
- motion(愛知県名古屋市)
- ハレンチ☆パンチ(京都府) 2004年4月~
- ダンシングBANANA(大阪府) 2002年~
- ミューズ(大阪府)
- プチドル隊(大阪府)
- ペロペロキャンディーズ(大阪府)
- ココナッツ(徳島県) 1995年5月5日~
- ココナッツ Jr.(徳島県) 1996年夏~
- coco's(コニーズ)(徳島県) 2005年1月17日~
- ココナッツ Jr. mini(徳島県) 2005年5月5日~
- Bachicco!(ばちっ娘!)(岡山県・香川県) 2001年6月~
- サンフラワー(広島県) 1999年10月~
- Perfume(ぱふゅ~む)(広島県)
- Brand New World (広島県) ~2003年8月
- Ai-Chi
- AMBER4
- AURA
- Fortune Cookie
- Lady Bug
- Pieace
- Pink