傷だらけの天使
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傷だらけの天使(きずだらけのてんし)は、1974年10月5日から1975年3月29日まで、毎週土曜日22:00 - 22:55に日本テレビ系で放送されたテレビドラマ。全26話。当時の若者の風俗に鮮烈な印象を与え、当時の視聴者のみならず、その後の日本のテレビドラマ界に与えた影響も大きい作品である。しかし視聴率は20%に届くことはなく、当時の評価は必ずしも高くはなく、放送関係の、いかなる賞も受けることはなかった。記録よりも記憶に残る番組であった。
いまだに伝説的なドラマとして名高く、ファンも多い。恩地日出夫、深作欣二、神代辰巳、工藤栄一ら当時の日本映画界を代表する監督陣が参加し、市川森一がメインライターを務め、毎回豪華なゲストが出演しており、各話の完成度も高い。反面、作品中に過激なシーンが多く登場することから、放送当時は「有害番組」のレッテルを貼られた。「あまりにふざけている」「下品である」「ストーリーがわからない」「テーマがない」などの批判を受けた。井上堯之バンドによる軽快なタッチのオープニングテーマ曲も有名で、いまだにテレビCMなどで流用される。 CM版は、大野克夫バンドによるもの。
目次 |
[編集] 登場人物
- 木暮修(萩原健一)
- 綾部探偵事務所の調査員。エンジェルビルの屋上にあるペントハウスに住んでいる。死別した妻との間に一人息子の健太がいるが、妻方の実家に預けている。粗暴な性格だが、仁義に厚く、非情に徹しきれない。事務所からの指示に背いて独自の行動を取ることも多い。
- 綾部貴子(岸田今日子)
- 綾部探偵事務所の所長。表向き、事務所の評判は良いが、裏では悪事にも手を貸し、非合法な取引なども行う悪徳探偵事務所でもある。非情な性格であり、プライドも高い。
- 乾亨(水谷豊)
- 修と同じく綾部探偵事務所の調査員。修を兄貴と慕い、修に張り付いて身の回りの生活をみている。お金を貯めて、将来は修と健太の3人で暮らすことを夢見ている。頭にはポマードをべったりつけ、スカジャンをいつも着ている。当時の設定としては時代遅れのスタイルとしてこの格好をしていたが、放送終了後に真似する若者が急増し、第二次ブームを迎えた。劇中、ショーケン(木暮役)を「兄貴ぃー!」と呼んで登場し、ある時は連呼する。この台詞のインパクトは多大で、「水谷=チンピラ」というイメージを当時の若者に強く印象づけた。後に、水谷はこのイメージを払拭することに多くの努力と長い時間を必要とすることになる。
- 辰巳五郎(岸田森)
- 綾部の片腕として働いている事務所のナンバー2。クールな性格を装うも、実はスケベで見栄っ張り。修達へのギャラ(たいてい1回20万円)の一部をピンハネする。綾部に想いを寄せている。胃下垂。
- 浅川京子(ホーン・ユキ)
- 綾部探偵事務所の電話受付。綾部を尊敬している。
- 海津警部(西村晃)
- 綾部の悪事の証拠を掴もうとしている刑事だが、反面で綾部とは内通しており、金品と引き換えに捜査情報を漏らすこともある。
[編集] あらすじ・設定
メインである修と亨の何の目的もないような日常を描く。基本的な方向性は無いに等しく、謎解きをしたり、弱者が権力者に対して反抗をしたりと、内容、メッセージはその回によって違っており、後に脚本を担当した市川森一は「13人の脚本家と監督による壮大な実験劇」と表している。
[編集] 放送リスト
回 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト |
---|---|---|---|---|
1 | 宝石泥棒に子守唄を | 柴英三郎 | 深作欣二 | 金子信雄、真屋順子、船戸順、坂上忍、加藤和夫、八名信夫、桐生かほる |
2 | 悪女にトラック一杯の幸せを | 永原秀一 峯尾基三 |
恩地日出夫 | 緑魔子、江原達怡、上野山功一、北村総一郎、相原巨典、和久井節緒 |
3 | ヌードダンサーに愛の炎を | 市川森一 | 深作欣二 | 中山麻理、室田日出男、都家かつ江、伊達三郎、大木正司 |
4 | 港町に男涙のブルースを | 大野靖子 | 神代辰巳 | 池部良、荒砂ゆき、田島義文、二見忠男 |
5 | 殺人者に怒りの雷光を | 市川森一 | 工藤栄一 | 加藤嘉、松山省二 |
6 | 草原に黒い十字架を | 山本邦彦 | 神代辰巳 | 高木均、船戸順、大村千吉 |
7 | 自動車泥棒にラブソングを | 市川森一 | 恩地日出夫 | 川口晶、高橋昌也、蟹江敬三、奥村公延 |
8 | 偽札作りに愛のメロディーを | 柴英三郎 | 工藤栄一 | 有島一郎、近藤宏 |
9 | ピエロに結婚行進曲を | 市川森一 | 児玉進 | 滝田裕介 |
10 | 金庫破りに赤いバラを | 渡辺由自 | 鈴木英夫 | 小松政夫、加納典明、浜田寅彦、川崎あかね |
11 | シンデレラの死に母の歌を | 渡辺由自 | 土屋統五郎 | 平田昭彦、服部妙子、浦辺粂子 |
12 | 非常の街に狼の歌を | 鎌田敏夫 | 児玉進 | 土屋嘉男 |
13 | 可愛い女に愛の別れを | 高畠久 山本邦彦 |
土屋統五郎 | 吉田日出子、加茂さくら、船戸順、田口計 |
14 | 母のない子に浜千鳥を | 市川森一 | 恩地日出夫 | 桃井かおり、石山雄大 |
15 | つよがり女に涙酒を | 篠崎好 | 恩地日出夫 | 松尾和子、渡辺文雄、稲葉義男 |
16 | 愛の情熱に別れの接吻を | 鎌田敏夫 | 鈴木英夫 | 高橋洋子、山下洵一郎 |
17 | 回転木馬に熱いさよならを | 高畠久 渡辺由自 |
鈴木英夫 | 江夏夕子、中原早苗、橋本功、磯部勉 |
18 | リングサイドに花一輪を | 柏原寛司 | 児玉進 | 中谷一郎、ファイティング原田、今井健二、梅津栄 |
19 | 街の灯に桜貝の夢を | 市川森一 | 恩地日出夫 | 関根恵子、森幹太、阿藤海 |
20 | 兄妹に十日町小唄を | 篠崎好 | 児玉進 | 渡辺篤史、犬塚弘 |
21 | 欲ぼけおやじにネムの木を | 宮内婦貴子 | 工藤栄一 | 内田朝雄、亀渕友香 |
22 | くちなしの花に別れのバラードを | 篠崎好 | 児玉進 | 篠ヒロコ、久保明、家弓家正 |
23 | 母の胸に悲しみの眠りを | 田上雄 | 工藤栄一 | 根上淳、下條アトム、西尾三枝子、本山可久子 |
24 | 渡辺綱に小指の思い出を | 市川森一 | 児玉進 | 坂口良子、前田吟、天本英世、吉田義夫、真山知子 |
25 | 虫けらどもに寂しい春を | 宮内婦貴子 大野武雄 |
工藤栄一 | 小松方正、根岸明美 |
26 | 祭りのあとにさすらいの日々を | 市川森一 | 工藤栄一 | 下川辰平、森本レオ、石田太郎、柴田美保子 |
[編集] スタッフ
[編集] エンジェルビル
修と亨が暮らしていたビル。 綾部探偵事務所からビルの屋上にあるペントハウスを借りていた。 実際にロケが行われたのは、代々木駅隣にある代々木会館で、現在も当時のまま残っている。
[編集] オープニング
恩地日出夫監督が演出。皮ジャンを着て、ヘッドフォンを付け、水中眼鏡を付けた修が眠りから目を覚まし、冷蔵庫の扉を開き、新聞紙をナプキン代わりに首から下げ、トマト、コンビーフ、ナビスコリッツ、ソーセージに次々とかぶりつき、口で栓を開けた牛乳で喉に流し込む。
強烈な印象を残したため、その後バラエティ番組などでオマージュやパロディが作られた。当初は最後に牛乳を画面にぶっ掛ける趣向であったが、オープニング完成後に下品であると判断され、本放送では牛乳噴射のシーンをカットし、その直前の画面をストップモーションにすることで対処された。
[編集] 女探偵
岸田今日子演ずる女探偵綾部貴子は探偵だった佐藤ゆかりの母がモデルとの報道があった。
[編集] 備考
広島県域では、本来の日本テレビ系列局である広島テレビが、当時フジテレビ系列とのクロスネット局だった関係で、この時間帯にフジテレビ系列の番組を編成していたことから、系列外の広島ホームテレビ(テレビ朝日=当時NETテレビ系)が遅れネットで放送していた。
[編集] 参考文献
- 傷だらけの天使 傷だらけの天使脚本グループ 日本テレビ放送網 1974
- 傷だらけの天使 市川森一 大和書房 1983
[編集] 外部リンク
日本テレビ系 土曜22時台 | ||
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