西村晃
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西村 晃(にしむら こう、1923年1月25日 - 1997年4月15日)は、昭和中期から平成期(1940年代後半~1990年代後半)の俳優、声優。北海道札幌市出身。日本大学専門部芸術科卒。
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[編集] 略歴
日本初のロボットとされる「學天則」を製作した西村真琴の次男(映画『帝都物語』では父・西村真琴を演じた)。
第二次世界大戦中、海軍飛行予備学生、特攻隊員だった。 突撃直前に終戦を迎え命を救われた。特攻隊員時代からの友人に、裏千家15代家元の千玄室がいる。
[編集] 悪役俳優
戦後、劇団東京芸術座の第一期生となった。劇団民芸、日活などを経て、映画、テレビで活躍。1950年から映画に出演し始めたが悪役が多かった。映画、テレビで多数の作品に出演、映画では『赤い殺意』の出演が認められて最優秀男優賞を受賞した。また、アニメや洋画の吹き替え等声優としても活躍した。
なお、テレビドラマでは『水戸黄門』で長く黄門役を演じているが(詳細は後述)、『水戸黄門』降板後は、『家なき子2』や映画『四十七人の刺客』等で再び悪役を演じた。
悪役としては青年期から壮年期は命乞いするシーンが圧巻で、「キェー!」という甲高い奇声を出しながら殺される事が多かった。映画『牡丹燈籠』では妻(小川眞由美)の尻に敷かれ幽霊の手引きを引き受け、破滅していく小ずるい庶民役である。妻に叱りとばされる情けない演技で、本編キーワード「女の怖さ」を(本編ストーリーとは違う形で)強調する引き立て役となった。
熟年期に入ると、上品で知的な印象から怜悧な悪役がハマり役になり、『忠臣蔵 四十七人の刺客』の吉良上野介や『白い巨塔』の滝村恭輔教授等は代名詞とも言われる程に当たり役だった。
[編集] 水戸黄門以後
テレビドラマでは『水戸黄門』があまりにも有名。第14部~第21部まで283回の世直し旅を演じた。悪役から天下の副将軍へと180度転換。 1992年、長年連れ添った則子夫人が亡くなったショックもあり黄門役を降板(夫人は、西村へ光圀役のオファーが来た時に「水戸黄門のイメージがついて、悪役等の役が出来なくなるから」と、反対したと言う)、佐野浅夫にバトンタッチした。その後、西村がゲスト出演した水戸黄門の話は再放送ではいつも欠番扱いになっている(ゲスト出演した西村が、後に黄門役に就任した事がその理由である)。その為通常は、西村の偽黄門役の話を再放送で見る事は出来なかったが、2003年7月25日に放送されたスーパーフライデー(当時の番組名)枠内の水戸黄門スペシャル番組で2代目・3代目の御老公役が起用されるまでの紹介するコーナーがあり、欠番となっている第12部第8話「にせ黄門様の鬼退治」の一部分が唯一放送された。もちろん、完全な再放送は未だに無い。しかし水戸黄門DVDの第3部にゲスト出演した話だけは完全版で見る事が出来る。西村は医者役である。
しかし、同じく偽黄門役を演じた佐野浅夫のゲスト出演した話並びに偽黄門の話の再放送を見る事は出来る。
1995年11月に食道癌の手術を受け、一旦は元気に退院したが、1997年4月15日、心不全の為都内の自宅で死去した。74歳だった。葬儀は密葬で行った。死後、同年に放送されたテレビドラマ『黄落』が最後の出演作品となった。
[編集] エピソード
TBS系列で期末期首特番に放送されていた『クイズまるごと大集合』で、ビートたけしが『クイズ100人に聞きました』パートの司会をした際、『水戸黄門』チームとそのキャプテンだった西村を贔屓していた事はあまりにも有名である。「子供の好きな食べ物は?」という問題に西村は「卵焼き」と答えたが、あえなく不正解(解答なし)となる。この後、『水戸黄門』チームは決勝の『クイズダービー』パートに駒を進めたが、たけしがその司会も担当していた。そして、問題を聞いても中々答えられずにいる西村を見て、たけしが「先生!卵焼きですか?」と冷やかす一幕も。
川口浩が隊長を務め、危険な秘境を探検する「川口浩探検隊」シリーズが始まる以前、「西村晃探検隊」があった。
[編集] 受章・受賞歴
- ブルーリボン賞助演男優賞(1964年)『赤い殺意』
- 毎日映画コンクール男優主演賞(1964年)『赤い殺意』
- 毎日映画コンクール男優主演賞(1982年)『マタギ』
- 紫綬褒章(1987年)
- 勲四等旭日小綬章(1994年)
[編集] 出演作品
[編集] 映画
- 幕末太陽傳(1957年)
- 悪い奴ほどよく眠る(1960年)
- ゼロの焦点(1961年)
- 用心棒(1961年)
- 松川事件(1961年)
- 妖星ゴラス(1962年)
- 天国と地獄(1963年)
- 太平洋の翼(1963年)
- 無法松の一生(1963年)
- 十三人の刺客(1963年)
- 赤い殺意(1964年)
- 散歩する霊柩車(1964年)
- 赤ひげ(1965年)
- 太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年)
- 黒蜥蜴(1968年)
- でんきくらげ(1970年)
- 修羅雪姫(1973年)
- 華麗なる一族(1974年)
- 金環蝕(1975年)
- 泥だらけの純情(1977年)
- 事件(1978年)
- 絞殺(1979年)
- マタギ(1982年)
- 帝都物語(1988年)
- 釣りバカ日誌スペシャル(1994年)
- 忠臣蔵 四十七人の刺客(1994年)
- サラリーマン専科(1995年)
[編集] テレビ
- これが青春だ(1966年-1967年、日本テレビ)
- 樅ノ木は残った(1970年、NHK)
- 春の坂道(1971年、NHK)
- 国盗り物語(1973年、NHK)
- 子連れ狼(1974年、日本テレビ)(柳生烈堂)
- 傷だらけの天使(1974年、日本テレビ)
- 唖侍鬼一法眼 第14話「花の舞台」(1974年、日本テレビ)
- 太陽にほえろ! 第163話「逆転」(1975年、日本テレビ)
- 風と雲と虹と(1976年、NHK)
- 冬の桃(1977年・NHK)
- 横溝正史シリーズ「犬神家の一族」(1977年、TBS)
- 土曜ワイド劇場 江戸川乱歩の「魔術師」より 浴室の美女(1978年、テレビ朝日)
- 白い巨塔(1978年、フジテレビ)浪速大学名誉教授・滝村恭輔役
- 特捜最前線 第86話「死んだ男の赤トンボ!」(1978年、テレビ朝日)
- 不毛地帯(1979年、TBS)
- 午後の恋人(1979年、フジテレビ)
- 虹を織る(1980年、NHK):剣道の師範役
- 非情のライセンス3 第8話「兇悪の天使・舞い降りた殺人」(1980年、テレビ朝日)
- けものみち(1982年、NHK)
- やつらの戦い(1983年、NHK)
- 水戸黄門(TBS・C.A.L.)
- NHK新大型時代劇『宮本武蔵』(1984年、NHK)
- もしも、学校が…!?(1985年、TBS)
- ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟(1989年、TBS)(円谷英二)
- 冬陽の道(1989年7月1日、NHK)
- 炎立つ(1993年、NHK)
- 三軒目の誘惑(1994年、日本テレビ)
- 家なき子2(1995年、日本テレビ)
- 妻の恋(1995年、NHK)
- 大地の子(1995年、NHK)
- 風の刑事・東京発!(1995年、テレビ朝日)
- 土曜ワイド劇場「家政婦は見た!(15)」(1996年、テレビ朝日)
- 黄落(1997年、テレビ東京)※遺作
- クイズダービー(TBS)
[編集] アニメ
- くるみ割り人形(ドロッセルマイヤー、不思議婆さん、森の人形使い、時計商人)
- ジャックと豆の木
- 野球狂の詩(岩田鉄五郎(初代))
- ルパン三世 ルパンVS複製人間(マモー)
- わんわん忠臣蔵(キラー)
[編集] 吹き替え
- 87分署(ロバート・ランシング)
- 小さな目撃者(ライオネル・ジェフリーズ)
- ブラジルから来た少年(ローレンス・オリビエ)
- 権力と陰謀 大統領の密室(ジェイソン・ロバーズ)
- ザ・デイ・アフター(ジェイソン・ロバーズ)
- 刑事ブロンク(ジャック・パランス)
- チャトズ・ランド(ジャック・パランス)
- オクラホマ巨人(ジャック・パランス)
- セルピコ(ビフ・マクガイア)
- 危険な来訪者
- マルコ・ポーロ/シルクロードの冒険
[編集] ラジオドラマ
- 火の鳥 乱世編(平清盛)
- 本覚坊遺文(利休)
- 死に屋ウサーラ
[編集] ナレーション
- にっぽん'69 セックス猟奇地帯
- 大殺陣 にっぽん剣優列伝