八戸線
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八戸線(はちのへせん)は、青森県八戸市の八戸駅から岩手県久慈市の久慈駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。 八戸駅~鮫駅間は、うみねこレール八戸市内線という愛称が付けられている。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 軌間:1067mm
- 駅数:25駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 運転指令所:盛岡輸送指令室
- 閉塞方式:
- 八戸~八戸貨物間 単線自動閉塞式
- 八戸貨物~本八戸間 自動閉塞式(特殊)
- 本八戸~久慈間 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 廃止区間:本八戸~(貨)湊(2.7km) - 1985年3月14日廃止
[編集] 運転
9往復が八戸駅~久慈駅間の全線通しの列車、11.5往復が八戸駅~鮫駅間の区間列車である。また、下りのみいわて銀河鉄道線・青い森鉄道線から乗り入れの一戸駅→鮫駅、三戸駅→鮫駅の系統が1日各1便ずつ運転されている。1990年代前半までは、東北本線への乗り入れ列車(二戸・三戸・三沢・野辺地・青森)が多数設定されていたが、1996年に東北本線盛岡以北にも701系導入されたことにより次第に減っていった。久慈線が廃止されるまでは、1日2本程度が久慈線直通で普代駅まで運転されていた。車両はキハ40形・キハ48形(一般形)(八戸運輸区所属)を使用。
八戸駅~久慈駅の列車のうち1日1往復は、ジョイフルトレイン「うみねこ」(キハ48形気動車改造)を利用して運転される。ただし、普通車両で運転される場合もある。
[編集] 歴史
日本鉄道により1891年に開業した本線が、八戸の中心市街から離れてしまったことから、1894年に尻内から分岐して八ノ戸を結ぶ支線を敷設したのが始まりである。同年中に八ノ戸から湊へ延伸され、この状態で日本鉄道は1906年に公布された鉄道国有法により1907年11月1日に買収され官設鉄道に編入後、1909年に八ノ戸線と命名され、1924年に八戸線と改称された。1924年より、八戸(現:本八戸)から分岐して種市への延伸工事が行なわれ、翌年には陸中八木、1930年に久慈まで延長されて八戸線が全通した。1975年に当線の実質的延長線である久慈線が普代まで開業したが、こちらは国鉄再建法の施行により特定地方交通線に指定され、1984年に第三セクターの三陸鉄道へ転換されている。
陸中八木駅にはJR線における最後の腕木式信号機があったが、2005年6月28日に色灯化され廃止された。タブレット閉塞式を用いて運転していたが、本八戸~久慈間で軌道回路検知式化の工事が進められ、2005年10月には同区間の特殊自動閉塞化が完成し、2005年12月のダイヤ改正時にCTC化された。
- 1894年1月4日 - 【開業】日本鉄道尻内(現在の八戸)~八ノ戸(現在の本八戸) 【駅新設】八ノ戸
- 1894年10月1日 - 【延伸開業】八ノ戸~湊 【駅新設】湊
- 1906年11月1日 - 【買収・国有化】官設鉄道
- 1907年11月1日 - 【駅名改称】八ノ戸→八戸(初代)
- 1909年10月12日 - 【国有鉄道線路名称設定】八ノ戸線
- 1924年11月10日 - 【延伸開業】八戸~種市 【駅新設】鮫、種差、階上、種市 【線名改称】八戸線(尻内~種市・八戸~湊)
- 1925年11月1日 - 【延伸開業】種市~陸中八木 【駅新設】陸中八木
- 1926年7月11日 - 【駅新設】陸奥湊
- 1930年3月27日 - 【延伸開業・全通】陸中八木~久慈 【駅新設】陸中中野、侍浜、陸中夏井、久慈
- 1934年6月1日 - 【駅新設】長苗代、小中野、白銀
- 1944年4月1日 - 【旅客営業休止】八戸~湊
- 1954年8月5日 - 【駅新設】角の浜、玉川、宿戸
- 1956年11月19日? - 【仮乗降場新設】大久喜、金浜、大蛇
- 1956年12月10日 - 【仮乗降場→駅】大久喜、金浜、大蛇
- 1959年2月5日 - 【駅新設】平内
- 1961年4月15日 - 【駅新設】陸奥白浜
- 1961年12月25日 - 【駅新設】有家
- 1961年12月 - 久慈市・野田村・種市町・普代村が830万円の鉄道債券を引き受け、久慈~盛岡間の直通列車(準急)の運行開始
- 1966年3月25日 - 【信号場新設】北八戸(青森県営専用線(後の八戸臨海鉄道)の分岐点として設置)
- 1970年10月1日? - 【信号場廃止】北八戸(青森県営専用線が八戸貨物駅へ延長されたため)
- 1971年2月1日 - 【駅名改称】八戸→本八戸
- 1971年4月1日 - 【駅名改称】尻内→八戸(2代)
- 1972年10月28日 - C58239によるSLさよなら列車運転
- 1975年7月20日 - 【開業】久慈線(久慈~普代)
- 1982年11月15日 - 【貨物営業廃止】鮫~久慈
- 1984年2月1日 - 【貨物営業廃止】陸奥湊~鮫
- 1984年4月1日 - 【廃止】久慈線(三陸鉄道に転換)
- 1985年3月14日 - 【廃止】本八戸~湊
- 1986年8月1日 - 【臨時乗降場新設】プレイピア白浜
- 1986年11月1日 - 【貨物営業廃止】本八戸~陸奥湊
- 1987年4月1日 - 【承継】東日本旅客鉄道(第1種・八戸~久慈)、日本貨物鉄道(第2種・八戸~本八戸) 【臨時乗降場→臨時駅】プレイピア白浜
- 1993年12月1日 - ダイヤ改正により、全列車が気動車での運転となる
- 2002年12月1日 - 【駅名改称】種差→種差海岸
- 2003年4月1日 - SLうみねこ号運転
- 2004年10月16日 - 種市駅・侍浜駅での列車交換廃止、交換設備撤去、侍浜駅無人化
- 2005年7月6日 - 階上~久慈間特殊自動閉塞化
- 2005年10月 - 本八戸~階上間特殊自動閉塞化
- 2005年12月10日 - CTC化、小中野・白銀・階上・陸中八木駅無人化
[編集] 優等列車の沿革
- 1959年7月 - 盛岡駅~大鰐駅間(青森経由)を運行する準急「八甲田」の一部車両を鮫駅発着とする。八戸線内は普通列車。
- 1960年12月 - 秋田駅~鮫駅間を結ぶ準急「白鳥」が運行開始。奥羽本線・東北本線・八戸線経由で運転。
- 1961年9月 - 準急「白鳥」を改称して準急「岩木」とし、青森駅で系統分離が行われた。
- 1961年10月1日 - 準急「八甲田」を改称し準急「しもきた」誕生。八戸線内は普通列車。
- 1962年7月1日 - 久慈駅~盛岡駅間を結ぶ全線準急の「うみねこ」が運行開始。
- 1965年10月1日 - 鰺ヶ沢駅~鮫駅を結ぶ準急「岩木」が運行開始。
- 1966年3月5日 - 「うみねこ」を準急から急行列車に格上げ。
- 1966年10月1日 - 久慈~上野間直通急行列車「三陸」運行開始。2両編成12時間半で久慈・上野間を結ぶ
- 1966年10月1日 - 急行「うみねこ」廃止。
- 1967年12月 - 鮫駅→上野駅間で臨時夜行急行「はちのへ」運転。
- 1968年3月25日 - 「岩木」が急行列車に格上げされ、上り列車の始発駅を深浦駅に変更。
- 1968年8月 - 鮫駅→上野駅間で臨時夜行急行「はちのへ」運転。常磐線経由。
- 1968年10月1日 - 久慈~上野間の急行「三陸」を急行「八甲田」に統合。青森駅~鮫駅間に急行「なつどまり」運転開始(青森-大湊を運転する編成を青森~野辺地間で併結)。急行「岩木」を急行「深浦」に改称。
- 1970年10月1日 - 急行「八甲田」の久慈編成廃止、久慈~盛岡間の急行「うみねこ」復活
- 1971年7月 - 盛岡駅~陸中八木駅間で臨時急行として「たねさし」運転開始(八戸線内は普通列車)。
- 1972年3月15日 - 久慈~盛岡間の急行「うみねこ」廃止。急行「深浦」の運転区間を陸中八木駅まで延長(ただし、八戸線内は普通列車)。
- 1972年7月 - 「たねさし」運転区間を盛岡駅~種市駅に短縮。八戸線内は普通列車として運転。以降、1974年までの夏季に運転。また、八戸駅~久慈駅間臨時快速「久慈」運転開始。
- 1973年2月1日 - 快速「久慈」定期化。
- 1975年7月 - 「たねさし」全区間急行列車として、盛岡駅~種市駅間で運転。
- 1976年7月 - 「たねさし」臨時快速へ格下げ。以降、1980年までの夏季に、盛岡駅~種市駅間で運転。
- 1978年10月2日 - 急行「なつどまり」が快速列車に格下げ(運転区間・併結運転はそのまま)。
- 1981年7月 - 「たねさし」運転区間を盛岡駅~久慈駅間に延長。以降、1991年までの夏季に運転。
- 1985年7月 - 快速「うみねこ」として盛岡駅~久慈駅間臨時運転。
- 1988年3月13日 - このときのダイヤ改正により、三戸駅→久慈駅・久慈駅→三沢駅間を運行する快速列車の名称を「久慈」から「こはく」に変更。また、快速「なつどまり」の鮫編成を快速「うみねこ」に変更。青森駅~野辺地駅間における併結運転は上り列車のみ実施。
- 1989年12月 - 盛岡駅~鮫駅間で臨時快速「エーデルワイス」運転。
- 1990年5月 - 盛岡駅~鮫駅間で臨時快速「はるかぜ」運転。
- 1991年4月 - 盛岡駅~鮫駅間で臨時快速「エーデルワイス」運転。
- 1992年7月 - 「たねさし」運行区間が一戸駅~久慈駅間に短縮。
- 1993年7月 - 「たねさし」この年の運転をもって廃止。
- 1993年12月 - 「こはく」運行区間を三戸駅→久慈駅、久慈駅→八戸駅間に。
- 1994年12月 - 「こはく」運行区間を三戸駅~久慈駅間に固定。
- 1995年12月1日 - 「こはく」運行区間を八戸駅~久慈駅間に短縮。
- 1996年3月16日 - 快速「うみねこ」八戸駅~鮫駅間廃止。
- 1997年2月1日 - 快速「うみねこ」を電車化、701系での運転に。
- 1999年7月30日 - 夏に久慈駅~仙台駅間で運転されていた快速「リアスシーライナー」が八戸駅発着に延長(以後、毎年運転)。
- 2000年12月2日 - 快速「こはく」廃止(普通列車へ格下げ)。
- 2002年12月1日 - 快速「うみねこ」廃止。愛称は、キハ48を改造した「ジョイフルトレインうみねこ」に引き継がれる。
- 2004年7月17日 - 盛岡駅~青森駅間(山田線・北リアス線・八戸線経由)で臨時快速「キハ58ぐるっと北リアス号」運転。
- 2004年7月18日 - 青森駅~鮫駅間で「なつかしの急行なつどまり号」が復活運転。
- 2004年7月19日 - 青森駅~盛岡駅間(山田線・北リアス線・八戸線経由)で臨時快速「キハ58海の日号」運転。
[編集] 駅一覧
愛称 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
八戸市内線 | うみねこレ|ル | 八戸駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:東北新幹線・東北本線 青い森鉄道:青い森鉄道線(直通あり) |
青森県 | 八戸市 |
長苗代駅 | 3.4 | |||||
本八戸駅 | 5.5 | |||||
小中野駅 | 7.3 | |||||
陸奥湊駅 | 9.0 | |||||
白銀駅 | 10.3 | |||||
鮫駅 | 11.8 | |||||
(臨)プレイピア白浜駅 | 16.2 | |||||
陸奥白浜駅 | 17.5 | |||||
種差海岸駅 | 19.6 | |||||
大久喜駅 | 21.8 | |||||
金浜駅 | 24.8 | |||||
大蛇駅 | 25.8 | 三戸郡階上町 | ||||
階上駅 | 27.5 | |||||
角の浜駅 | 29.5 | 岩手県 | 九戸郡洋野町 | |||
平内駅 | 32.1 | |||||
種市駅 | 34.2 | |||||
玉川駅 | 38.1 | |||||
宿戸駅 | 40.0 | |||||
陸中八木駅 | 43.1 | |||||
有家駅 | 45.8 | |||||
陸中中野駅 | 48.4 | |||||
侍浜駅 | 54.4 | 久慈市 | ||||
陸中夏井駅 | 61.7 | |||||
久慈駅 | 64.9 | 三陸鉄道:北リアス線 |