南風 (列車)
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南風(なんぷう)とは、JR四国が岡山駅~高知駅・中村駅・宿毛駅 間を、宇野線・本四備讃線(瀬戸大橋線)・予讃線・土讃線・土佐くろしお鉄道中村線・宿毛線経由で運行するエル特急。
目次 |
[編集] 運行概況
- 2007年3月改正現在で、14往復が運転されている。
[編集] 運転本数
[編集] 使用車両
現在は、2000系気動車・N2000系気動車(いずれも振り子式)が2~4両編成で運転されている(多客時には最大8両)。一部列車は宇多津駅で「しまんと」・「うずしお」との分割・併合も行われる。
「しまんと」併結時、下り基準で「南風」が先に宇多津駅に入る。
[編集] 停車駅
- ●:停車、▲:一部の列車が停車、|:通過。
駅名 | 累計 キロ |
停車駅 |
---|---|---|
岡山駅 | 0.0 | ● |
児島駅 | 27.8 | ● |
宇多津駅 | 45.9 | ▲ |
丸亀駅 | 48.5 | ● |
多度津駅 | 52.7 | ▲ |
善通寺駅 | 58.7 | ● |
琴平駅 | 64.0 | ● |
阿波池田駅 | 96.6 | ● |
大歩危駅 | 118.2 | ▲ |
大杉駅 | 139.9 | ▲ |
土佐山田駅 | 164.0 | ● |
後免駅 | 168.9 | ● |
高知駅 | 179.3 | ● |
旭駅 | 182.9 | ▲ |
朝倉駅 | 185.4 | ▲ |
伊野駅 | 190.7 | ▲ |
佐川駅 | 206.9 | ● |
須崎駅 | 221.4 | ● |
土佐久礼駅 | 232.4 | ● |
窪川駅 | 251.4 | ● |
土佐佐賀駅 | 272.2 | ● |
土佐上川口駅 | 280.6 | ▲ |
土佐入野駅 | 285.7 | ● |
中村駅 | 294.4 | ● |
平田駅 | 309.7 | ● |
宿毛駅 | 318.0 | ● |
※「しまんと」併結時、大歩危駅・大杉駅において駅ホームの長さが不足するためドアカットが行われる。
※土佐上川口駅において、駅ホームの長さが不足するためドアカットが行われる場合がある。
[編集] 利用状況
- 高知自動車道の開通や、1998年に土讃線の新改・繁藤間で起こった路盤崩落で約3ヶ月間不通になったことで自家用車や高速バスに利用者が流れ、また、高知空港~伊丹空港間の航空機の小型ジェット機からコミューター機への機種変更に伴う増便や同じJR四国バスの京阪神方面への高速バスの充実ぶりなどにより、利用者は減少を続けていた。その対策として、2000系車両にアンパンマンのキャラクターを描いた「アンパンマン列車」を運行したり、京阪神方面の利用回復を狙った「阪神往復フリーきっぷ」などの割引きっぷの発売、岡山駅での新幹線接続の改善などを行い、減少には一応の歯止めがかかってきている。しかし、高知道開通前に比べるとかなり落ち込んでおり、同じく四国と本州を結ぶ特急「しおかぜ」(宇和島・松山・伊予西条~岡山間)と比べると利用者は4割程度となっている。
- 高知駅~岡山駅間には高速バスも運行されており、所要時間はこの列車と同じか少し短い約2時間30分で、運賃はかなり安い(大人1人片道=バス:3,500円/JR:5,280円(普通車自由席))。四国山地を3kmを越える長大トンネルを何本も掘り、ほぼ一直線で貫く高知道に対して、振り子式の2000系気動車を導入して高速化を進めたが、昭和初期の土木技術で造られ、小さなトンネルでくねくねと山を越し、吉野川を縫うように進む土讃線では、やはり競争するには苦しいといえる。
- 長距離を走る特急列車であるにもかかわらず車内販売は廃止されジュースの自動販売機はグリーン車のみに設置されている。弁当や雑誌などは、乗車前にあらかじめ買っておくか高知駅で数分間停車する間に買うしかない。また、カード式の公衆電話がかつては2000系グリーン車のデッキに設置されていたが携帯電話の普及等による利用減少のため、現在は撤去されている。
[編集] 車窓風景
- 四国の玄関口・始発の岡山を出発してから、高知県の最西端・終点の宿毛まで、所要時間はおよそ4時間40分、新幹線を使えば、岡山から宇都宮まで行くことのできる時間である。走行距離は318km、岡山からだと大垣までの距離に匹敵する。長距離を走るだけあって、車窓も様々に変化する。岡山を出て約30分後に渡る瀬戸大橋から眺める瀬戸内海の多島美、ため池となだらかな小山が点在する讃岐平野、琴平を過ぎ、讃岐山脈を猪ノ鼻トンネルで超えると徳島県三好市の町並みを眼下に眺めつつ山を下り吉野川を渡る。この後は吉野川に沿って四国山地に分け入り、真下に小歩危・大歩危峡、急峻な山の上にへばり付くように建つ家々が見える。この辺りは急なカーブが連続し振り子式車両は左右に何度も傾く。高知県に入り、大杉を過ぎると吉野川と別れ、四国山地を小さなトンネルを幾つもくぐって越えると、米の二期作も行なえる南国、香長平野に入り、15分ほどで高知に到着する。高知を過ぎると、土佐和紙の町伊野や漁業基地のある須崎を過ぎ、トンネルをいくつか抜けると、窓いっぱいに太平洋が広がる。窪川からは土佐くろしお鉄道に入り、それから約1時間で、終点宿毛に到着する。
[編集] 沿革
- 1950年10月1日、高松桟橋駅~須崎駅間を運行するSL牽引の客車準急列車として「南風」の名称が使用される。
- 1958年11月1日、「南風」運転区間を窪川駅まで延長。
- 1962年、「南風」上り列車のみキハ58系により気動車化され、スピードアップする
- 1965年10月1日、「南風」急行列車に格上げ。急行「黒潮」を統合して2往復となる。
- 1966年10月1日、急行「浦戸」を吸収して「南風」3往復となる。
- 1968年10月1日、、高松駅~窪川駅間急行の名称を「あしずり」に変更し、「南風」の名称を西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)・宮崎駅~鹿屋駅間を運行する急行列車に使用。
- 1972年3月15日、「南風」181系による特急列車として、高松駅~中村駅間に1往復登場。「しおかぜ」と共に、四国初の特急列車設定。
- 1975年3月10日、「南風」3往復に増発。
- 1986年11月、「南風」185系投入。併せて4往復に増発。
- 1988年4月10日、瀬戸大橋線開業により、同線を通って岡山駅へと発着駅を変更。3往復に。
従来の高松駅発着列車は「しまんと」に改称。 - 1989年3月11日、「南風」2000系試作車「TSE」を岡山駅~高知駅間1往復の臨時列車として投入。181系、185系特急の瀬戸大橋での減速運転開始、一部列車は児島駅を通過するようになる。
- 1989年7月、「南風」2往復増発、5往復に。
- 1990年7月30日、一部列車に2000系量産車を先行投入。ダイヤは従来のまま。
- 1990年11月21日、2000系量産車を増備。「南風」1往復増発、6往復に。同系列車での運行便が大幅にスピードアップされる。
- 1991年11月、2000系量産車を増備。「南風」1往復増発され、7往復に。全列車が2000系になる。
- 1992年7月、「南風」全列車 児島駅停車になる。
- 1993年3月、「南風」1往復増発され、8往復に。
- 1997年10月1日、「南風」土佐くろしお鉄道宿毛線開業により一部列車が宿毛駅発着となる。
- 1998年3月、多度津駅~高知駅間で「しまんと」と併結となる列車が2往復でき、2往復増発、10往復に。
- 1999年3月、「しまんと」と併結となる列車2往復が「南風」単独となる。
- 2001年3月3日、岡山駅~宇多津駅間で岡山駅~徳島駅間運転の「うずしお」と併結となる列車が2往復、多度津駅~高知駅間で「しまんと」と併結となる列車が下り3本、上り2本できる。2往復増発し、12往復に。
- 2002年3月、「しまんと」と併結・分割を宇多津駅に変更する。
- 2003年 10月、宇多津駅~高知駅間で「しまんと」と併結となる列車が上り2本増え、下り3本、上り4本に。2往復増発し、14往復に。
- 2005年3月2日、宿毛駅構内にて「南風17号」(JR四国2000系気動車3両編成)が暴走し先頭車と中間車が大破、乗客・乗員合わせて11人が死傷(土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故)。これにより宿毛駅~中村駅間が運休となる。
- 2005年6月13日、宿毛駅の線路のみ使用可能になったので、宿毛駅~中村駅間の運転を再開(但し、宿毛駅の改札が使用出来ないので、宿毛駅~東宿毛駅を回送扱いとして東宿毛駅以東で営業運転を実施。東宿毛駅は臨時停車扱い)。
- 2005年11月1日、宿毛駅~東宿毛駅間営業運転を再開。東宿毛駅臨時停車を終了。
- 2007年3月18日、宿毛発着の列車が下り2本、上り1本となる。
[編集] 外部リンク
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