国際単位系
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国際単位系(こくさいたんいけい、仏: Le Système International d'Unités、英: The International System of Units、略称SI)は、十進法を原則とした最も普遍的な単位系である。日本の計量法でも一部の例外を除き計量単位に国際単位系を採用している。略称SIはフランス語からきているが、これは歴史的理由による。
国際単位系(SI)は、それまで広く使用されていたMKS単位系(長さの単位にメートル(m)、質量の単位にキログラム(kg)、時間の単位に秒(s)を用い、この3つの単位の組み合わせでいろいろな量の単位を表現していたもの)を拡張したもので、メートル条約に基づいて1960年に国際度量衡総会 (CGPM) で使用が採択された。
現在ほとんどの国で合法的に使用でき、多くの国で使用することが義務づけられている。アメリカなど一部の国ではそれまで使用していた単位系の単位を使用することも認められている。
日本では、1991年に日本工業規格 (JIS) が完全に国際単位系準拠となり、JIS Z 8203(国際単位系(SI)及びその使い方)に規定されている。
なお、国際単位系はメートル法が発展したものであるが、メートル法系の単位系の亜流として「工学単位系(重力単位系)」「CGS単位系」などがあり、これらを区別する必要がある。
目次 |
[編集] SI基本単位
国際単位系は7つの基本単位を組み合わせて組立単位の定義を行う。基本単位は時間 (s)、長さ (m)、質量 (kg)、電流 (A)、熱力学温度 (K)、物質量 (mol)、光度 (cd) である。
量 | 基本単位 | 定義 | |
---|---|---|---|
名称 | 記号 | ||
時間 | 秒 | s | セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位(F=4,M=0およびF=3,M=0)間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770倍の継続時間 |
長さ | メートル | m | 1秒の1/299 792 458の時間に光が真空中を進む距離 |
質量 | キログラム | kg | 国際キログラム原器の質量 |
電流 | アンペア | A | 無限に長く、無限に小さい円形断面積を持つ2本の直線状導体を真空中に1メートルの間隔で平行においたとき、導体の長さ1メートルにつき2×10-7ニュートンの力を及ぼしあう導体のそれぞれに流れる電流の大きさ |
熱力学温度 | ケルビン | K | 水の三重点の熱力学温度の1/273.16。温度間隔も同じ単位 |
物質量 | モル | mol | 0.012kgの炭素12に含まれる原子と等しい数の構成要素を含む系の物質量。モルを使うときは、構成要素 (entités élémentaires) が指定されなければならないが、それは原子、分子、イオン、電子、その他の粒子またはこの種の粒子の特定の集合体であってよい |
光度 | カンデラ | cd | 周波数 540×1012ヘルツ の単色放射を放出し、所定方向の放射強度が1/683 W・sr-1である光源のその方向における光度 |
かつて、これら単位は原器とよばれる単位の基準を作る事で定義されていたが、現在では質量以外の単位は物理法則を用いて定義されているため、定義が変わらない限り常に一定である。ただし実際に物理現象を計測しなければ得られないため、測定技術の向上による若干の「変化」があるが、それでも定義されている基準が変化しているわけではない。
また、厳密に定義どおりの方法で計測することが困難(あるいは不可能)なものもあるため、現実には必ずしも定義に則った方法で単位を得ていないものもある。例えば電流については、定義の方法では充分な精度が得られず、また安定した状態を維持することが困難であるため、電圧と電気抵抗の値を実現することで電流の値の実現に代えている。
質量に関しては、現在においてもキログラム原器を基準としているため、経年によって基準が変化してしまう。そのため、質量を物理法則を用いて定義する方法が検討されている。(アボガドロ定数を用いる方法などが挙げられている。たとえば、1キログラムがケイ素原子何個分かで定義する。ケイ素を使うのは純粋な結晶を作りやすいため。)
上記表を眺めると、単位の基準に別の単位が現れていることに気づくだろう。これを遡れば、全ての単位の基準は秒とキログラムに行き着く。現在の物理学で基本的な量と考えられているのは時間・長さ・質量の3つであるが、相対性理論の光速度不変の原則によって、光を基準とすることで時間と長さが結び付けられるのである。
[編集] SI接頭辞
詳細はSI接頭辞を参照のこと。
SI基本単位の前につけて用いる。
10n | 接頭辞 | 記号 | 漢数字表記 | 十進数表記 |
---|---|---|---|---|
1024 | ヨタ(yotta) | Y | 一𥝱 | 1 000 000 000 000 000 000 000 000 |
1021 | ゼタ(zetta) | Z | 十垓 | 1 000 000 000 000 000 000 000 |
1018 | エクサ(exa) | E | 百京 | 1 000 000 000 000 000 000 |
1015 | ペタ(peta) | P | 千兆 | 1 000 000 000 000 000 |
1012 | テラ(tera) | T | 一兆 | 1 000 000 000 000 |
109 | ギガ(giga) | G | 十億 | 1 000 000 000 |
106 | メガ(mega) | M | 百万 | 1 000 000 |
103 | キロ(kilo) | k | 千 | 1 000 |
102 | ヘクト(hecto) | h | 百 | 100 |
101 | デカ(deca, deka) | da | 十 | 10 |
100 | なし | なし | 一 | 1 |
10−1 | デシ(deci) | d | 一分 | 0.1 |
10−2 | センチ(centi) | c | 一厘 | 0.01 |
10−3 | ミリ(milli) | m | 一毛 | 0.001 |
10−6 | マイクロ(micro) | µ | 一微 | 0.000 001 |
10−9 | ナノ(nano) | n | 一塵 | 0.000 000 001 |
10−12 | ピコ(pico) | p | 一漠 | 0.000 000 000 001 |
10−15 | フェムト(femto) | f | 一須臾 | 0.000 000 000 000 001 |
10−18 | アト(atto) | a | 一刹那 | 0.000 000 000 000 000 001 |
10−21 | ゼプト(zepto) | z | 一清浄 | 0.000 000 000 000 000 000 001 |
10−24 | ヨクト(yocto) | y | 一涅槃寂靜 | 0.000 000 000 000 000 000 000 001 |
[編集] 固有名称を持つSI組立単位
国際単位系 (SI) では、一つの例外(セルシウス温度、単位はセルシウス度、記号℃)を除いて、全ての組立単位を基本単位同士の累乗を含めてその除乗で表現できる。そのうち、よく使われるものについては、SI組立単位として固有の名称とその記号が与えられている。
[編集] 用途を限定するSI以外の単位
計量法で規定されているもの。
- 長さ
- 質量
- 角度
- 点(航海、航空)
- 面積
- 体積
- トン(船舶の体積)
- 速さ
- ノット(航海、航空)
- 加速度
- ガル、ミリガル(重力加速度、地震)
- 圧力
- 熱量
- カロリー、キロカロリー、メガカロリー、ギガカロリー(栄養、代謝)