威風堂々 (行進曲)
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『威風堂々』(いふうどうどう、英語:Pomp and Circumstance)作品39は、イギリスの作曲家エドワード・エルガーが作曲した管弦楽のための行進曲集である。全部で5曲があるが、第1番から第4番は1901年から1907年までに作曲され、第5番のみは晩年の1930年に作曲された。また、遺作の第6番も見つかっており、ペインによる補筆もなされている。原題“Pomp and Circumstance”は、シェイクスピアの戯曲『オセロ』第3幕第3場の台詞から取られたものである。
特に第1番の中間部が有名であり、単に「威風堂々」と言った場合はそこのことを指すことが多い。そのほか、第4番も比較的よく知られている。
イギリスでは「第2の国歌」と称されるほど愛されている曲。
目次 |
[編集] 各曲について
[編集] 第1番
ニ長調
1901年に作曲され、同年の10月19日にリヴァプールにてアルフレッド・ロードウォルドの指揮で初演された。友人のアルフレッド・ロードウォルドとリヴァプールの管弦楽団に捧げられた。全5曲中最も有名である。
初演から3日後の1901年10月22日、ロンドンのクイーンズホールでの演奏会では、聴衆が2度にわたるアンコールを求めたことが逸話として伝えられている。
エドワード7世からの歌詞をつけてほしいという要望に従い、翌年、国王のための『戴冠式頌歌(Coronation Ode)』を作曲、最後の曲「希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)」で同じメロディーを採用した。
- 楽器編成
- ピッコロ2(第2は任意)、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、コルネット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、小太鼓、大太鼓、シンバル、トライアングル、鈴、ハープ2、オルガン、弦五部
[編集] 第2番
イ短調
第1番と同じ時期に作曲され、同じコンサートにて初演された。
- 楽器編成
- ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、コルネット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、小太鼓2(第2は任意)、大太鼓、シンバル、トライアングル、鈴、グロッケンシュピール、弦五部
[編集] 第3番
ハ短調
1905年に作曲され、同年3月8日、ロンドンのクイーンズホールにて、エルガー自身の指揮により初演された。
- 楽器編成
- ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、小太鼓、テナードラム、大太鼓、シンバル、ハープ、弦五部
[編集] 第4番
ト長調
1907年に作曲され、8月24日、ロンドンのクイーンズホールにて、エルガー自身の指揮により初演された。
- 楽器編成
- フルート3(ピッコロ1持ち替え)、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、小太鼓、大太鼓、シンバル、ハープ、弦五部
[編集] 第5番
ハ長調
1930年9月18日、ロンドンのキングズウェイホールにて、エルガーの指揮でロンドン交響楽団が初演。
- 楽器編成
- ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、小太鼓、大太鼓、シンバル、弦五部
[編集] 第6番(遺作)
1934年の作曲者の死後、スケッチのみの状態で見つかった未完の作品で、アンソニー・ペインen:Anthony Payne(同作曲家の交響曲第3番も補筆した)による補筆版がある。この補筆版の初演は、2006年8月2日、アンドルー・デイヴィス指揮でBBC交響楽団によって第26回BBCプロムスで演奏された。
[編集] 「希望と栄光の国」
イギリスの詩人アーサー・クリストフファー・ベンソンが国王の提案を受けて、戴冠式の歌曲「戴冠式頌歌」の最後に、第1番の中間部の旋律を使用し、歌詞をつけた。
しかし、1902年に楽譜出版社が独立した曲として売り出そうとしてベンソンの別の歌詞がつけられたのが、「希望と栄光の国」である。
[編集] 決定稿
題名:希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)
- 作曲:准男爵エドワード・エルガー卿
- 作詞:アーサー・クリストファー・ベンソン
[編集] 1番
- Dear Land of Hope, thy hope is crowned.
- God make thee mightier yet!
- On Sov'reign brows, beloved, renowned,
- Once more thy crown is set.
- Thine equal laws, by Freedom gained,
- Have ruled thee well and long;
- By Freedom gained, by Truth maintained,
- Thine Empire shall be strong.
- 愛でるべき希望の国、汝は戴冠せり。
- 神は汝を偉大にしたり!
- 愛され、偉大なるその君主たる額に
- いまひとたび、汝が冠を戴け。
- 自由のよりて得たる、汝の等しき御法よ、
- そは汝を良く、長く統べたり。
- 自由により得られし、真実によりて、保たれし、
- 汝の帝国は強盛となるべし
[編集] 2番
- Land of Hope and Glory,
- Mother of the Free,
- How shall we extol thee,
- Who are born of thee?
- Wider still and wider
- Shall thy bounds be set;
- God, who made thee mighty,
- Make thee mightier yet
- God, who made thee mighty,
- Make thee mightier yet.
- 希望と栄光の国
- 自由の母よ
- 汝をいかに称えようか?
- 広く、一層広く
- 汝の土地はなるべし
- 神、汝を偉大たらしめし者
- もっと、汝を偉大にせよ
- 神、汝を偉大たらしめし者
- もっと、汝を偉大にせよ
[編集] 3番
- Thy fame is ancient as the days,
- As Ocean large and wide
- A pride that dares, and heeds not praise,
- A stern and silent pride
- Not that false joy that dreams content
- With what our sires have won;
- The blood a hero sire hath spent
- Still nerves a hero son.
- 汝の名声は時の如く古く
- 海の如く巨大にして広大なり
- 恐れず、賞賛も求めぬ誇り
- 厳格にして無口な誇り
- 父祖が勝ち得たものの夢で満たされる
- 偽りの喜びにあらず
- 英雄たる父祖の流した血は
- 英雄たる息子を元気付ける
[編集] 第1番の中間部について
第1番の中間部は非常に有名であり、オーケストラの演奏会をはなれて、さまざまなところで演奏されたり、さまざまな編曲がなされたりしている。
例:
- イギリス保守党党大会の最終日の党員の退場のBGM(エルガーは保守党のみの使用を許可し、自由党、労働党での使用を認めていない)
- 学校の卒業式で「卒業生入場」の際にBGMとして使用(1905年にエルガーがイェール大学の音楽博士号を授与されて以来、同大学の卒業式で使用されたのが広まった)
- サッカーイングランド代表のサポーターが試合の合間に応援のために歌う。
- ベイ・シティ・ローラーズ:コンサートの開演時にメンバー登場のBGMとして使用
- ゴダイゴ:ステージでのレパートリーで「平和組曲」としてCD発売している
- アニメ『あたしンち』のエンディング曲『来て来てあたしンち』(歌:平山綾)
- 三谷幸喜のドラマ『合い言葉は勇気』のテーマ曲などにもアレンジ
- 1980年代~1990年代のアメリカの人気プロレスラー、”マッチョマン”ランディ・サベージの入場曲
- プロレス・イベント『ハッスル』における、高田総統登場時のテーマ曲
- 味の素『CookDo』のコマーシャル
- コナミデジタルエンタテインメントのゲーム『GUITARFREAKS&Drummania』シリーズの収録曲「正論(歌手:鈴木 愛)」(この曲のサビにメロディーの引用がされている)
- 映画『交渉人 真下正義』のエンディング曲。
- KRYZLER&KOMPANEYの楽曲『カプリス』は、パガニーニ作曲『24の奇想曲 Op.1』と『威風堂々』の第1番の中間部を用いたメドレーである。
なお、演奏時に歌詞をつけるときは、「希望と栄光の国」のうち2番が歌われるケースがほとんどである。また、サッカーの応援に歌われるケースもこれに倣っている。
[編集] サンプル
- 威風堂々(説明ページ) — ブラウザで視聴 (beta)
- ソフトウェア
- うまく聞けない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Elgar.org: Pomp and Circumstance Marches nos 1-5, Op 39 (1901-1930) (英語)
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