宇部線
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宇部線(うべせん)は、山口県山口市の新山口駅から山口県宇部市の宇部駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(幹線)である。
周防灘に沿って敷かれた宇部線は、セメント工場や炭鉱を結び、工業都市・宇部の貨物輸送を担ってきた。今では石炭輸送はなくなり、かつて主力であった宇部興産向け石灰石輸送も宇部興産専用道路を使用したトラック輸送に切り替えられ、貨物輸送はセントラル硝子宇部工場への石灰石輸送が残るのみとなり、現在は宇部市中心部および山口市南部(旧阿知須町を含む)と山陽本線の宇部駅・新山口駅との旅客輸送が中心となっている。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):全長35.4km(支線含む)
- 軌間:1067mm
- 駅数:
- 旅客駅:18駅(起終点駅含む)
- 貨物駅:1駅(起終点駅含む、旅客併設駅除く)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 最高速度:85km/h
- 運転指令所:厚狭CTCセンター
※両端の駅を除き西日本旅客鉄道広島支社宇部新川鉄道部の管轄である(両端の駅はともに同下関地域鉄道部が管理)。広島支社独自で与えられているラインカラーは赤紫。
[編集] 運行形態
新山口~宇部間を通して運転されており、大体1時間に1本が運行されているが、一部は宇部新川駅乗り換えとなる。宇部新川~宇部間の区間運転列車もある。ワンマン運転を実施。また、一部は山陽本線の厚狭駅・下関駅との直通運転もある。昼間時間帯に偶数月の第1または奇数月の第3水曜日に運休する列車があり、実施日は4時間ほど列車が運行されない。2003年10月1日から、山陽新幹線に接続する快速「のぞみリレー」が運行されている。主に新山口~宇部新川間で運行されているが、一部の列車が始発する宇部駅では山陽本線を利用した方が早い。
なお、宇部新川~居能間には小野田線の列車が乗り入れている。
貨物列車は宇部駅~宇部岬駅間で運行されている。美祢線の重安駅と宇部岬駅を結ぶ専用貨物列車が1日2往復(水曜日は1往復のみ・厚狭駅で編成が分割されるため美祢線では1往復)運行されている。牽引機はDE10形ディーゼル機関車で、貨車はホキ9500形貨車のみ。
[編集] 使用車両
全て下関地域鉄道部下関車両管理室の所属。一部の列車にはトイレがない。
[編集] 歴史
宇部線は、宇部軽便鉄道(のちに宇部鉄道と改称)によって開業した。全通したのは1925年のことである。宇部鉄道は石炭などの重要物資の輸送路線として1943年に国有化され、宇部~宇部新川~小郡間が宇部東線となった。その後、宇部線と改称。宇部~岩鼻間の経路が藤曲経由から居能経由に変更された。
なお、宇部新川駅は1943年から1964年まで宇部駅を、その間山陽本線の宇部駅は西宇部駅を名乗っていた。
[編集] 宇部軽便鉄道→宇部鉄道
- 1914年(大正3年)1月9日 宇部軽便鉄道により宇部~助田(のちに廃止)~宇部新川間が開業。
- 1921年(大正10年)12月21日 宇部鉄道に社名変更。
- 1922年(大正11年)4月18日 助田~宇部新川間が廃止。
- 1923年(大正12年)8月1日 助田~宇部新川~床波間が開業。宇部新川駅が現在地に移転。
- 1924年(大正13年)8月17日 床波~本阿知須(現在の阿知須)間が開業。
- 1925年(大正14年)3月26日 本阿知須~小郡(現在の新山口)間が開業し全通。
- 1925年(大正14年)6月1日 常盤駅開業。
- 1926年(大正15年) 宇部~岩鼻間の開作駅廃止。
- 1928年(昭和3年)2月25日 江崎駅(深溝~上嘉川間)を周防江崎駅に改称。
- 1929年(昭和4年) 床波~丸尾間に白土駅開業。
- 1929年(昭和4年)10月29日 宇部~小郡間1500V電化。
- 1929年(昭和4年)11月29日 琴芝駅開業。
- 1931年(昭和6年)7月21日 宇部新川~沖ノ山旧鉱(後の宇部港)間の貨物線が開業。
- 1937年(昭和12年)10月1日 宇部新川~沖ノ山旧鉱間の上町駅廃止。
- 1938年(昭和13年)5月1日 常盤~床波間に長生炭鉱駅開業。
- 1941年(昭和16年)6月1日 藤山(後の藤曲)~宇部新川間の助田駅廃止。
- 1941年(昭和16年)11月29日 宇部電気鉄道を合併。宇部~小郡間が本線となる。
[編集] 国有化以後
- 1943年(昭和18年)5月1日 宇部鉄道全線が国有化。西宇部(現在の宇部)~小郡間、宇部(現在の宇部新川)~宇部港間をが宇部東線となる。
- 宇部駅を西宇部駅に、藤山駅を藤曲駅に、宇部新川駅を宇部駅に、沖ノ山旧鉱駅を宇部港駅に改称。
- 常盤~床波間の長生炭鉱駅、床波~丸尾間の白土駅、本阿知須~周防佐山間の岩倉駅、深溝~上嘉川間の周防江崎駅廃止。
- 1945年(昭和20年)6月20日 宇部西線(現在の小野田線)貨物支線として岩鼻~居能間が開業。
- 1948年(昭和23年)2月1日 宇部東線から宇部線に改称。
- 1950年(昭和25年)4月1日 小野田線 岩鼻~居能間1500V電化。
- 1950年(昭和25年)6月1日 本阿知須駅を阿知須駅に改称。
- 1952年(昭和27年)4月20日 岩鼻~藤曲~宇部(現在の宇部新川)間、宇部~宇部港間が廃止、居能~宇部間の新線が開業(1500V電化)。岩鼻~居能間の旅客営業を開始。
- 小野田線の岩鼻~居能間、居能~宇部港~沖ノ山新鉱間を宇部線に編入。
- 1953年(昭和28年)8月15日 周防佐山~阿知須間に岩倉駅開業。
- 1961年(昭和36年)11月1日 宇部港~沖ノ山新鉱間が廃止。
- 1964年(昭和39年)9月15日 宇部駅が宇部新川駅に改称。
- 1970年(昭和45年)7月30日 岩鼻~宇部間に際波信号場開設。
- 1983年(昭和58年)3月8日 CTC化。
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。
- 1992年(平成4年)3月14日 一部列車でワンマン運転開始。
- 1998年(平成10年)4月1日 美祢~宇部港間の石灰石輸送貨物列車が廃止。
- 1999年(平成11年)7月1日 宇部~宇部港間の貨物列車が廃止。居能~宇部港間の貨物支線が事実上休止。
- 2001年(平成13年)7月14日 「山口きらら博」観客輸送のため、小郡~阿知須間に117系電車による臨時列車「きらら号」を9月30日まで運転。
- 2003年(平成15年)10月1日 小郡駅が新山口駅に改称。新山口~宇部新川間に快速「のぞみリレー」運転開始。
- 2006年(平成18年)3月1日 快速「のぞみリレー」一部の運転区間が宇部駅まで延伸。宇部新川~宇部間は各駅停車。
- 2006年(平成18年)5月1日 居能~宇部港間の貨物支線が廃止。
[編集] 駅一覧
- ●:停車、|:通過
- 普通列車は省略:各駅に停車
駅名 | 営業キロ | 快速 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
のぞみリレー | |||||
新山口駅 | 0.0 | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線・山口線 | 山口県 | 山口市 |
上嘉川駅 | 2.8 | | | |||
深溝駅 | 5.9 | | | |||
周防佐山駅 | 7.5 | | | |||
岩倉駅 | 8.8 | | | |||
阿知須駅 | 10.2 | ● | |||
岐波駅 | 12.7 | | | 宇部市 | ||
丸尾駅 | 15.2 | | | |||
床波駅 | 18.9 | ● | |||
常盤駅 | 20.7 | | | |||
草江駅 | 22.5 | | | |||
宇部岬駅 | 23.7 | | | |||
東新川駅 | 25.3 | | | |||
琴芝駅 | 26.0 | | | |||
宇部新川駅 | 27.1 | ● | |||
居能駅 | 28.9 | ● | 西日本旅客鉄道:小野田線 | ||
岩鼻駅 | 30.3 | ● | |||
際波信号場 | (32.0) | | | |||
宇部駅 | 33.2 | ● | 西日本旅客鉄道:山陽本線 |
[編集] 廃止区間
居能駅 - 宇部港駅 - 沖ノ山新鉱駅
- 居能~沖ノ山新鉱間は1952年に小野田線から編入。その際に廃止された上記以外の途中駅は小野田線参照。