攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
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『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』(こうかくきどうたい スタンドアローンコンプレックス ソリッドステートソサイエティ)は、前作の『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』から2年後の西暦2034年。草薙素子の失踪から2年後、トグサが組織を率い、メンバーも大幅に増員された新生公安9課と超ウィザード級ハッカー『傀儡廻(くぐつまわし)』との戦いを描く約105分の長編作品。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
「個別の11人事件」後、草薙素子が公安9課を去って2年。メンバーも増え、少数精鋭ではなくなった新生公安9課。素子の失踪や9課の変化と共に古くからの9課のメンバーもそれぞれ少しずつ変わっていっていた。そんな中、シアク共和国残党によるテロ計画が判明。義体化し実質的リーダーとなったトグサ率いる9課は捜査を開始。ところが当のテロリスト達が次々と謎の自殺を遂げる。ある現場では9課の目の前で一人のテロリストが「傀儡廻が来る!」と謎の言葉を残して自殺する。
一方、単独でテロ事件の捜査を行っていたバトーは素子と再会する。素子はバトーに「Solid State には近づくな」と謎の警告をする。捜査が進むにつれ、バトーは素子が「傀儡廻」ではないかと疑い出す。
[編集] 公開方法・媒体
[編集] 作中用語
- 傀儡廻
- 正体不明の超ウィザード級ハッカー。名前や能力、作中での役割や描写はコミック版・映画での「人形使い」を思わせる。
- 聖庶民救済センター
- 孤児や難民を保護し教育や職業訓練を施す授産施設。漫画版では収容者たちに強制労働や洗脳を施していたが(そのエピソードの冒頭は「2nd GIG」ラストの原型でもある)、本作ではこれとは異なる裏の顔が出てくる。
- Solid State
- 大阪の病院で素子が「近づくな」とバトーに警告した謎の言葉。その正体は、コシキタテアキが構築した、ソリッド・ステート・システムという、虐待を受けている子供たちを電脳化したうえで合法的に聖庶民救済センターに送り込むためのインフラであった。
- 本来の意味は、ダイオード、IC等の固体の半導体素子。
[編集] 社会情勢と物語の背景
- 新生公安9課
物語としては攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGの「個別の11人事件」が解決した後に草薙素子が失踪してから2年後の世界である。「エスパーよりも貴重な能力」を持ち、9課を引っ張っていた草薙素子という才能の喪失が、組織運営のあり方も、9課を纏める荒巻課長の方針も大幅に変化させることとなり、以前は少数精鋭部隊であった9課も、新しい人材を多く投入し、トグサが新しいリーダーとなった。「10割の力で1件解決するのでなく、8割で3件解決する」ための組織作りを進めており、トグサを9課のリーダーに抜擢したのもその一環である。 組織の変化は冒頭などの突入シーンに顕著で、以前は「独断と個人プレイで繋がった優秀な組織」を身上としたような少人数で行っていた9課独特の制圧も、通常の特殊部隊のように大勢で行っている。
現実の日本社会と同じように作品世界でも少子高齢化が進んでおり、家族を持たないで老年を迎える人口の増加によって、介護の問題が大きくなっている。その解決のために家庭から医療ネットにアクセスし、全自動介護装置による介護を国が誰にでも最低限保証し、貧困・富裕層のどちらでも機械による介護が一般的になっている。だが、このシステムは結果的に老人達の寝たきりを助長する結果となり、世間は「体のいい遺産回収システム」と揶揄する。1人でも生活が可能になってしまった科学の発達が、逆にこの問題に拍車をかけているとも言える。ひからびて孤独死していく老人達を、ワインに使う貴腐葡萄にひっかけて、「貴腐老人」と呼んでいる。
[編集] 漫画・映画との相違
攻殻機動隊のテレビシリーズ、映画版の両方は漫画版のストーリを軸にしているものが多く、今回も士郎正宗原作の漫画版の様々なエピソードからストーリーができあがっている。結末部分での傀儡廻と素子のやり取りは、漫画版や映画版での人形遣いとの会話と対になっており、漫画版や映画版とは違う「素子の決断」と「バトーの恋の行方」の新しい形を提供している。
[編集] 登場人物
[編集] 公安9課メンバー
メンバーの詳細については、攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX#登場人物の欄を参照のこと。
- 荒巻大輔(声優:阪脩)
草薙素子失踪後も、運営方針を転換して9課の発展に身を捧げている。
草薙素子が失踪し、トグサが9課のリーダーとなった後から「個人的推論にのっとった捜査方針」による単独での行動が多くなった。その軋轢から、「訓練教官の職に専念するか、俺の指示で傀儡廻の捜査に加わるか」とトグサに窘められる場面も。失踪から2年が経った今も素子への想いを断ち切れずにいる。素子こそが傀儡廻の正体なのではないかと疑念を抱きながらも、大阪の病院で素子と出会ったことをトグサに報告しなかったりと、個人的な感情と職務の間で苦悩している。
9課のリーダー就任後、電脳化だけでなく体に義体化を施し(機械と生身の割合は定かでない)、家族にも仕事の内容を打ち明けた。その仕事振りは辣腕のバトーも高く評価する。幼い子供が2人おり、そのため事件に子供が絡むと感情的になる部分もある。
傀儡廻の捜査には当初は参加しておらず、国外での活動を終えた後に合流。彼もまた義体を増設している。
[編集] その他の登場人物
9課から離れて以来、2年間ずっと単独で行動している。その卓越した能力から、今回の事件の黒幕である傀儡廻の正体なのではないかと、バトーに怪しまれている。複数の義体を操り、様々な組織と内通して活動している。
- タチコマ・トグサの妻(声優:玉川紗己子)
- 茅葺よう子(かやぶき ようこ)(声優:榊原良子)
- トグサの娘(声優:山内菜々)
- 中村(声優:玄田哲章)
- 外務省条約審議部(通称:公安6課)部長。素子を殺し屋として雇い、シアク共和国軍事政権の元トップ、カ・ルマ将軍の暗殺を指示した。
- 久保田(声優:鈴木泰明)
- 殿田(声優:たてかべ和也)
- 元自衛軍情報部大佐で、荒巻や久保田の恩師。汚職問題で失脚し、現在は病床にある。
- コシキタテアキ(声優:内田夕夜)
- 総務省官僚。聖庶民救済センターの職員。ソリッド・ステート・システムの構築を主導した。
- ムネイヒトシ(声優:石田圭祐)
- 衆議院議員。救済センターの所長。センターの設立にも関わった。純血の日本人による支配階級の形成を公約に掲げている。外務省に影響力を持つ。
[編集] スタッフ
- 原作:士郎正宗
- 企画:石川光久、渡辺繁
- 脚本:神山健治、菅正太郎、櫻井圭記
- 絵コンテ:神山健治、吉原正行
- 設定:後藤隆幸、西尾鉄也
- 音楽:菅野よう子
- 音楽監督:若林和弘
- 監督:神山健治
- 演出:吉原正行、橘正紀、河野利幸
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ
「player」
詞:Origa
曲:菅野よう子
唄:Origa with Heartsdales
- エンディングテーマ
「date of rebirth」
詞:Origa
曲:菅野よう子
唄:Origa
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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キャラ | 草薙素子 | バトー | トグサ | フチコマ | タチコマ | 笑い男 |
地理 | 出島 | 新浜市 | 米帝 |
技術 | 電脳化 | 義体化 | 光学迷彩 |
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