松下政経塾
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松下政経塾(まつしたせいけいじゅく、The Matsushita Institute of Government and Management)は、松下電器産業の創業者である松下幸之助が、政財界の指導者を養成するために私財を投じて創設した私塾である。
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[編集] 概要
法的には財団法人格を持ち、学校の扱いではない。又、長州の松下村塾(しょうかそんじゅく)に因んだネーミングと思われ易いが、松下の読みは「しょうか」ではなく、幸之助の苗字そのものである「まつした」となっており、松下村塾とは異なる由来である。所在地は神奈川県茅ヶ崎市汐見台5番25号。茅ヶ崎の本部の他に、六本木に東京事務所及び政経研究所を持つ。幸之助の遺産の利子や運用益を財源として運営されている。
塾是として「無税国家」を掲げており、法人税の全廃と代わりの財源として消費税の大幅増税を主張している。新保守主義の政治家を多数輩出していることでも知られる。
近年は選挙に勝つための塾に成り下がったとの批判もある。また幸之助の薫陶を受けた世代と幸之助死後の世代のジェネレーションギャップの存在も指摘されている。かつて首相を務めた細川護煕は、毎日新聞におけるインタビューで自らの政権の失敗の原因を「松下政経塾出身者に頼ったこと」と述べたこともある。また構成員は何らかの理由で官界コースに乗れなかった一群の集まりだと揶揄されることもある。
[編集] 特徴
[編集] カリキュラム
修業年限は原則2年、最長3年間(かつては最長5年だったが、財政難により短縮)。全寮制で、在籍中は1年目に月額20万円前後の研修資金(生活費込み)、2年目及び3年目に月額20万円前後の研修資金に加えて年額100万円程度の活動資金が支給される。入塾資格は22~原則35歳まで(36歳以上も出願・入塾可能。但し難易度は大幅に上がる)。
- 各界講師の講義、卒業生による講話といった講義
- 早朝清掃及び早朝ウォーキング
- 伊勢神宮への参拝
- 書道、剣道、儒教講話など日本の文化や精神の学習
- 英語、中国語などの語学研修
- 製造業、営林活動の体験(松下電器工場での製造作業、店舗での営業販売など)
- 自衛隊への体験入隊
なお、三浦半島100kmを一日で一周するカリキュラム(100キロ行軍と呼ばれる)なども行われている。
[編集] 進路
卒業生の約半数は、国会や地方議会などの政界で、政治家や議員秘書として活動している。約30%は、企業の役員や実業家として財界で活動し、残り20%は大学などの学界や報道界などで活動している。公式サイトに、そのあらましと具体的な所属先の一覧がある。
かつて松下政経塾で、「地域から日本を変える運動(ちにか運動)」が展開され、卒塾生を中心に東京都や京都府に地域政経塾と呼ばれる地方の松下政経塾が開塾された。これらの受講者には研修費が支給されることはなく、入塾料と会費を支払わなければならない。現在は千葉県・岡山県・愛媛県に地域政経塾が置かれている。
[編集] 出身政治家
総じて親米保守・新保守主義・新自由主義・現実主義的な主張を唱える政治家が多く、関連会社PHP研究所の総合論壇誌「Voice」と同じ傾向となっている。一部にはリベラル派・理想主義者の者もいる。近年は、松下政経塾出身の国会議員が自民党・民主党ともに急増しており、従来の派閥とは一線画す一大勢力となりつつあるといえる。地方では公明党に所属する議員もいる。
1992年宮沢改造内閣で1期生逢沢一郎が初の政務次官、2002年の小泉改造内閣において5期生伊藤達也及び高市早苗が初の副大臣、2004年の第2次小泉改造内閣において伊藤が金融政策担当の内閣府特命担当大臣として同塾出身者で初入閣し、2005年には第8期生の前原誠司が民主党代表に就任、野党第一党の党首となっている。
現在、同塾出身者の政治家は衆議院議員28名、参議院議員2名、都議会議員15名、市区町村議会議員13名、知事2名、市長・区長9名である。出身者に対する政治家の割合は、単一の組織としては世界一である。
当初は卒塾生のみによる新党構想があり、1993年には「松下政経塾立志会」、1996年には「志士の会」が結成された。しかし「新党ブーム」により日本新党、新生党、新党さきがけなど、ほぼ同じ政策の新党が相次いで結成された影響から、卒塾生単一新党構想は頓挫した。「志士の会」は今も「勉強会」(派閥)として残っている。
[編集] 主な卒塾生
[編集] 衆議院議員
[編集] 自由民主党
- 逢沢一郎 - 1期生(岡山1区選出)
- 小野晋也 - 1期生(愛媛3区選出)
- 鈴木淳司 - 3期生(愛知7区選出)
- 高市早苗 - 5期生(奈良2区選出)
- 伊藤達也 - 5期生(東京22区選出)
- 河井克行 - 6期生(広島3区選出)
- 赤池誠章 - 7期生(南関東ブロック選出)
- 秋葉賢也 - 9期生(宮城2区選出)
- 松野博一 - 9期生(千葉3区選出)
- 坂井学 - 10期生(神奈川5区選出)
- 小野寺五典 - 11期生(宮城6区選出)
- 山本朋広 - 21期生(近畿ブロック選出)
- 川条志嘉 - 24期生(大阪2区選出)
[編集] 民主党
- 野田佳彦 - 1期生(千葉4区選出)
- 長浜博行 - 2期生(南関東ブロック選出)
- 松原仁 - 2期生(東京ブロック選出)
- 笹木竜三 - 3期生(北陸信越ブロック選出)
- 原口一博 - 4期生(九州ブロック選出)
- 三谷光男 - 4期生(中国ブロック選出)
- 武正公一 - 5期生(埼玉1区選出)
- 前田雄吉 - 5期生(東海ブロック選出)
- 神風英男 - 7期生(北関東ブロック選出)
- 山井和則 - 7期生(京都6区選出)
- 玄葉光一郎 - 8期生(福島3区選出)
- 前原誠司 - 8期生(京都2区選出)
- 市村浩一郎 - 9期生(近畿ブロック選出)
- 松本大輔 - 22期生(中国ブロック選出)
- 三日月大造 - 23期生(滋賀3区選出)
[編集] 参議院議員
[編集] 自由民主党
- 小林温 - 10期生(神奈川選挙区選出)
[編集] 民主党
- 福山哲郎 - 11期生(京都選挙区選出)
[編集] 地方首長
- 横尾俊彦 1期生(佐賀県・多久市長)
- 河内山哲朗 2期生(山口県・柳井市長)
- 山田宏 2期生(東京都・杉並区長)
- 松沢成文 3期生(神奈川県・知事)
- 奈良俊幸 6期生(福井県・越前市長)
- 中田宏 10期生(神奈川県・横浜市長)
- 村井嘉浩 13期生(宮城県・知事)
- 草間吉夫 16期生(茨城県・高萩市長)
[編集] 地方議員
[編集] その他
- 岡田邦彦 1期生(ハーバード大学ケネディスクール研究員)
- 神藏孝之 2期生(イマジニア株式会社代表取締役)
- 前田正子 3期生(神奈川県横浜副市長)
- 古山和宏 3期生(松下政経塾・塾頭)
- 本間正人 3期生(らーのろじー株式会社代表取締役・NPO法人学習学協会代表理事・NHK教育ビジネス英会話講師)
- 小田全宏 4期生(リンカーン・フォーラム代表・NPO法人日本政策フロンティア理事長・株式会社ルネッサンスユニバーシティ代表取締役)
- 的場年昭 4期生(マテックス株式会社代表取締役)
- 水上慎士 5期生(早稲田大学ファイナンス研究センター教授)
- 高島望 5期生(帝國ZX(ザイン)大公爵)
- 大社充 6期生(NPO法人エルダー旅倶楽部理事長)
- 宇佐美泰一郎 7期生(株式会社ニューポート代表取締役)
- 田丸拓也 8期生(青山中央社会保険労務士法人代表社員・不動産鑑定士)
- 荒巻豊志 9期生(予備校講師)
- 加藤政徳 9期生(相模興業株式会社代表取締役)
- 斉藤弥生 9期生(大阪大学大学院人間科学研究科助教授)
- 本多平直 9期生(民主党埼玉県第12区総支部長・前衆議院議員)
- 小峯弘靖 10期生(PHP研究所副主任研究員)
- 加藤芳洋 10期生(ニューヨーク州弁護士)
- 金子一也 12期生(松下政経塾研修アドバイザー・NPO法人文化公益協会理事長)
- 堀本崇 13期生(アジア子供教育基金代表)
- 横江公美 15期生(PACIFIC21代表)
- 白井智子 16期生(NPO法人トイボックス代表理事・スマイルファクトリー代表)
- 関口博喜 17期生 (松下政経塾政経研究所研究員)
- 福原慎太郎 22期生(PHP研究所特別研究員)
- 福田達男 24期生(松下政経塾政経研究所研究生)
- 山中光茂 24期生(医師 衆議院議員政策担当秘書 NPO少年ケニアの友エイズプロジェクト担当医師)