減力放送
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減力放送(げんりょくほうそう)とは、放送局の送信施設の修理・調整などのメンテナンスのため、本来使用する送信機の使用を停止し、出力がやや弱い予備の送信機を使って放送を行うことをいう。その場合、本来のサービスエリアであっても受信状態が若干劣る場合もある。減力放送の送信場所は原則として通常の送信所と同じ位置だが、東京では通常の送信所とは別の場所に予備(非常用)送信所がある。なお、実際に出力が下がるのは基幹送信所のみでほかの中継局は減力放送であっても通常の送信出力のままで放送される。
NHKの場合、総合テレビ(アナログ放送のみ)、ラジオ第1放送、FM放送の24時間放送を行う地上波放送で、主に日曜日の深夜~月曜日の未明(特に第1、第3日曜深夜~月曜未明が多い)と年2回程度(年度上半期は9~10月、下半期は2~3月)の特定された期間にそれを行うことがあり、実施する場合は放送でそれの開始直前に告知を行う。これにより大掛かりな点検以外の時は停波しなくなり、災害の時や臨時ニュースの時すぐ放送できるようになっている。
民間放送の場合、放送休止中に出力1kW位の予備送信機(予備送信所)の点検の為行う。本放送の時は行わない。
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[編集] NHK各地域の対応
[編集] 北海道地方
北海道地方の総合テレビの場合は札幌放送局からお知らせがアナウンサーまたは地域女性キャスターからの告知により入り次の番組に入る直前に予備送信機に電波を切り替える(ジャンクション=君が代や動物のショート映像=は放送されない)が東京のように一瞬画像が途切れたり、乱れたりすることはない。ラジオ第1放送の場合は送信機切り替えの際、一瞬音声が途切れる。
また、札幌放送局のラジオ第2放送の場合は毎月1回、日中の時間帯(10:35~16:00)に減力放送を行っている。お知らせの対象地域は北海道内全域となる。(総合テレビ、教育テレビ、ラジオ第1、FM放送共通で音楽が入る)ただし、札幌放送局からの放送休止・減力放送のお知らせで該当地域が札幌局のみの場合、札幌以外の北海道内の各放送局(函館・旭川・帯広・釧路・北見・室蘭)にはおしらせは放送されない(そのかわりにネット送出の映像・音声の放送となり、テレビではジャンクション映像が。ラジオ第1はラジオ深夜便の世界の天気のBGMが。FM放送は名曲スケッチが時報寸前まで放送される)。放送休止中に臨時放送が入った場合は臨時放送の終了後、しばらくしてから番組を一時中断し、再度放送休止・減力放送のお知らせが入る(ラジオ放送のみ)。
尚、現在、札幌放送局から北海道地方向けに流れる放送休止・減力放送のお知らせ(告知アナウンスは事前に収録したもの)はラジオ・FMでは今でも北海道ローカルで流れているが、テレビでは東京からのジャンクション映像に札幌放送局からの告知テロップの表示にのせておこなっている。北海道地方のテレビ放送での「減力放送中(一部地域のみ)」のテロップ表示は実施地域に関係なく札幌放送局から出している。
[編集] 関東地方
東京のテレビチャンネルでは告知の後、ジャンクション映像として君が代の演奏を一旦挟んで予備送信機に電波を切り替えてから(この間数秒画像が途切れる)次の番組が放送される。ラジオ第1放送の場合でも送信機切り替えの際、一瞬音声が途切れる(告知は当日担当の「ラジオ深夜便」のアンカーから入る。ただし関西、地方発の時は全国ニュースの宿直担当アナがコメントする)。ラジオ第2放送では月2回朝5時の試験電波発射より放送開始7分前から入る音楽(インターバル・シグナルという)の終了となる朝6時まで減力放送が行われている(NHKホームページのラジオ第2放送の番組表に「ラジオ第2開始音楽・減力放送のことわり」と書かれている時間帯で実施)。また、日中の時間帯(9:00頃~16:00頃)でもラジオ第2放送で減力放送を行う場合があるが、その場合はインターバル・シグナルを早めに切り上げ、告知にはいる。
[編集] 近畿地方
大阪放送局でも年に数回減力送信を行う場合がある。
始めに大阪放送局のアナウンサーから減力放送について告知があり、その後他府県のUHF放送で休止がある場合も大阪放送局から休止について告知した後でジャンクション映像(君が代演奏、動物などの映像)を挟まないで次の番組を始める。テレビの場合は送信アンテナの切り替えで数秒乱れたりする場合もある。またラジオについても減力送信開始時は電波を一旦数秒程度停波した後で次の放送が始まる。
※なお、減力放送を行うのはアナログ放送のみで、デジタル放送は通常の送信出力での放送または放送休止となる。
※場合により番組中またはジャンクション映像にテロップ表示にて告知が入ることがある(テレビのみ)。
[編集] NHKの減力放送実施局
[編集] 北海道地方
- 札幌放送局(総合テレビ:10kW→1kW、ラジオ第1:100kW→10kW、ラジオ第2:500kW→250kW)
- 函館放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 旭川放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 帯広放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 釧路放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 北見放送局(総合テレビ:1kW→200W、ラジオ第1)
- 室蘭放送局(総合テレビ:1kW→200W)
[編集] 東北地方
- 仙台放送局(総合テレビ:10kW→1kW、ラジオ第1:20kW→3kW)
- 青森放送局(総合テレビ:5kW→500W)
- 秋田放送局(総合テレビ:5kW→500W、ラジオ第2:500kW→250kW)
- 盛岡放送局(総合テレビ:3kW→300W)
- 山形放送局(総合テレビ:3kW→300W)
- 福島放送局(総合テレビ:3kW→300W)
[編集] 関東・甲信越地方
- 東京・放送センター(総合テレビ・教育テレビ:50kW→10kW、ラジオ第1:300kW→200kWまたは10kW、ラジオ第2:500kW→250kWまたは10kW、FM:10kW→1kW)
- 新潟放送局(総合テレビ:5kW→500W)
- 長野放送局(総合テレビ:1kW→200W、ラジオ第1:5kW→1kW)
- 甲府放送局(総合テレビ:3kW→300W)
[編集] 東海・北陸地方
- 名古屋放送局(総合テレビ:10kW→1kW、ラジオ第1:50kW→10kW)
- 静岡放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 富山放送局(総合テレビ:3kW→300W)
- 金沢放送局(総合テレビ:3kW→300W)
- 福井放送局(総合テレビ:3kW→300W)
- 岐阜放送局(総合テレビ:5kW→1kW)
- 津放送局(総合テレビ:5kW→1kW)
[編集] 近畿地方
- 大阪放送局(総合テレビ:10kW→1kW、ラジオ第1:100kW→10kW、ラジオ第2:300kW→150kW)
- 大津放送局(総合テレビ:1kW→100W)
- 京都放送局(総合テレビ:10kW→1kW)
- 奈良放送局(総合テレビ:1kW→100W)
- 和歌山放送局(総合テレビ:1kW→100W)
- 神戸放送局(総合テレビ:10kW→1kW)
[編集] 中国地方
- 広島放送局(総合テレビ:10kW→1kW、ラジオ第1:20kW→3kW)
- 岡山放送局(総合テレビ:10kW→1kW)
- 鳥取放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 松江放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 山口放送局(総合テレビ:1kW→200W)
[編集] 四国地方
- 松山放送局(総合テレビ:5kW→1kW、ラジオ第1:5kW→1kW)
- 高松放送局(総合テレビ:10kW→1kW)
- 徳島放送局(総合テレビ:1kW→200W)
- 高知放送局(総合テレビ:1kW→200W)