熊本・藤崎台県営球場
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藤崎台県営野球場 | |
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Kumamoto Fujisakidai Baseball Stadium | |
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施設統計 | |
所在地 | 熊本県熊本市宮内4-1(熊本城公園内) |
開場 | 1960年(1996年改築) |
所有者 | 熊本県 |
管理・運用者 | 熊本県スポーツ振興事業団(指定管理者) |
グラウンド | 内野:クレー舗装 外野:天然芝 |
照明 | 照明塔:6基 最大照度:投捕間2000Lx 内 野1500Lx 外 野1000Lx |
設計者 | |
使用チーム、大会 | |
収容能力 | |
24,000人 | |
規模 | |
グラウンド面積:13,699m² 両翼:99.117 m 中堅:121.92 m |
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フェンスの高さ | |
1.8m |
藤崎台県営野球場(ふじさきだい・けんえいやきゅうじょう)は、熊本県熊本市の熊本城公園内にある野球場。単に藤崎台球場という通称でも呼ばれる。施設は熊本県が所有し、熊本県スポーツ振興事業団が指定管理者として運営管理を行っている。
目次 |
[編集] 歴史
現在藤崎台球場がある熊本城西側にはかつて、藤崎八旛宮があった。1877年の西南戦争で、クスノキ群を残して社(やしろ)が焼け落ちた。藤崎八旛宮が東に約3km離れた現在地に再建された一方で、藤崎台には藤崎台陸軍病院ができ、戦後には熊本大学付属病院藤崎台分室が建てられた。
1960年の国体開催を機に、高校野球の試合会場として野球場の建設が計画され、こうして建設されたのが現在の藤崎台球場である。完成以後、高校野球、社会人野球などをはじめとするアマチュア野球公式戦が行われている他、プロ野球公式戦も開催されている。プロ公式戦初開催は1972年4月29日の西鉄ライオンズ対阪急ブレーブス戦。
藤崎台球場は完成当時、まだ国内でも例の少ない国際試合開催規格(両翼約97.6m、中堅約121.9m。プロ野球開催規格は両翼が更に広く、約99.06mを必要とする)を充足するフィールドを有する野球場で、プロ野球界でも「本塁打が出にくい野球場」として知られた。1981年の県議会では、本塁打への危機感を煽って好投手の育成につなげようという思惑とあいまってラッキーゾーンの設置も検討されたほど。しかし県外の野球関係者などから「日本には国際ルールに則した野球場が少なく、安易に狭くするべきではない」と批判が寄せられ、縮小は見送られた。1996年にはメインスタンドの全面改築など大規模な改修を受け、現在も熊本県の野球の殿堂として機能し続けている。
外野フェンスが低いため、プロ公式戦では試合終了後に観客がグラウンドに乱入するのが半ば恒例行事と化してしまっている。かつては読売ジャイアンツ(巨人)が毎年1試合、九州シリーズ3連戦の初戦を藤崎台で行うのが恒例となっていた。しかし1990年代に入ると当時のオーナー・渡邉恒雄が、地方開催については観客収容力の多いドーム球場を中心に行う方針を執るなどしたため、1992年を最後に巨人主催の公式戦はしばらく開催されなかったが、2006年8月29日に14年ぶりの公式戦、対広島東洋カープ16回戦が行われた。セ・リーグではこの他ヤクルトスワローズが1998年に1試合、横浜ベイスターズが不定期で年1試合開催しているが、パ・リーグの福岡ソフトバンクホークスは、本拠地を福岡に移転したダイエー時代の1989年に1試合を開催したのみ。しかし2007年には18年ぶりとなる公式戦1試合が予定されている。この他、毎年3月には巨人などがオープン戦を開催している。
[編集] クスノキ群
外野スタンドのバックスクリーン横(左翼側)には7本のクスノキが立っており、球場のシンボルのようになっている。かつてそこにあった藤崎八旛宮の名残で、7本のうちの数本は芝生の外野席に日陰をつくり、夏に外野で野球を見る人に心地よい場所を提供する。球場が小高いところに位置しているため周囲から良く目立ち、森の都・熊本の象徴のようになっている。
[編集] 主なエピソード
- 1980年7月に行われた全国高等学校野球選手権大会・熊本大会決勝戦では、エース・秋山幸二を擁する熊本県立八代高等学校と、捕手・伊東勤を擁する熊本県立熊本工業高等学校の両校が対戦。ともに本塁打を放ち、一躍プロなど上位球界からの脚光を浴びた。試合は6-4で熊工が勝利。この決勝戦は熊本県の高校野球史上、伝説の試合のひとつに数えられる。その後2人は西武ライオンズでチームメイトとなるが、秋山は同年秋にドラフト外で、伊東は翌年、埼玉県立所沢高等学校の定時制に通いながら西武球団職員を経てプロ入りしている。
- 1987年6月11日に行われた巨人-中日12回戦の7回裏二死二塁、中日投手・宮下昌己が打者・ウォーレン・クロマティに死球を与え、怒ったクロマティはマウンドに駆け寄って宮下に右ストレートを浴びせた。これをきっかけに大乱闘に発展。当時中日監督だった星野仙一が巨人監督王貞治につかみ掛からんばかりの剣幕で詰め寄る一幕もあった。
- 広島・前田智徳は高校時代に、この藤崎台球場でいくつもの伝説を残している。詳細は前田語録を参照。
[編集] 施設概要
- 両翼:99.117m、中堅:121.920m
- 内野:土、外野:天然芝
- スコアボード:得点表示部のみ電光式(白色電球)、チーム名・選手名・審判員名等はパネル式
- ナイター照明設備:6基
- 収容人員:24,000人(内野:座席、外野:芝生)
[編集] 交通
- 熊本市電・蔚山町(うるさんまち)電停から徒歩約10分
- JR熊本駅からの場合、熊本駅前停留所から健軍町行き(第2系統)に乗り、辛島町(からしまちょう)にて上熊本行き(第3系統)に乗り換え
- JR熊本駅・熊本交通センターから路線バス利用
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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