野球場
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野球場(やきゅうじょう)とは、野球を行うためのグラウンドである。単に「球場(きゅうじょう)」と呼ぶこともある。
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[編集] 歴史
[編集] アメリカにおける野球場の歴史
[編集] 日本における野球場の歴史
日本初の野球場は、日本初の野球チームとされる新橋アスレチック倶楽部(新橋鉄道局の職員によって結成)が新橋駅近くに設けた保健場とされる。学生の間で野球が盛んになり学生野球が発展すると、早稲田大学が戸塚球場、慶應義塾大学が三田綱野球場、明治大学が明治大学球場などを作った。また、電鉄会社も沿線開発の一環として、阪神電気鉄道が鳴尾球場、阪急電鉄の前身である箕面有馬電気鉄道、京阪神急行電鉄がそれぞれ豊中球場、宝塚球場を建設している。
我が国初の本格的な野球場は1924年(大正13年)8月1日、兵庫県西宮市にできた阪神甲子園球場である。1936年(昭和11年)にプロ野球が始まった。この年は甲子園球場を基本に鳴海球場や宝塚、戸塚、上井草、洲崎の球場を使用してゲームをしていた。翌年の1937年5月1日に甲子園球場と同じ市に西宮球場が、9月11日に東京都文京区に後楽園球場が完成。この3球場を基礎にプロ野球は興行された。1940年には海を渡り大連、奉天、新京でも試合を行ったが、1944年8月を最後に戦前のプロ野球は中断に追い込まれる。そして戦後1946年にプロ野球が再開された。1949年には愛知県名古屋市に中日球場が完成する。
[編集] 野球場の規格
もともと、アメリカにおいて野球場は街中の空き地に造られていたため、その形状や広さは野球場によってまちまちであった(フェンウェイ・パークはそのような昔の名残を色濃く残している)。
野球場の規格については、公認野球規則1.04に定めがある(野球の概要の項を参照のこと)。この規定には注記があり、1958年(昭和33年)6月1日以降にプロ野球球団が新設する球場は、両翼325フィート(99.058m)、センター400フィート(121.918m)以上なければならないとし、既存の球場を改修する場合もこの距離以下とすることができない旨を定めている。しかし、実際に日本ではホームランの出やすい両翼の狭い球場が多く作られた。中には阪神甲子園球場、明治神宮野球場、阪急西宮球場、京都市西京極総合運動公園野球場、倉吉市営野球場などのように、その規定のグラウンドにラッキーゾーンという金網の柵を設けたこともあった。また藤井寺球場には外野客席とフィールドの間にブルペンが設置(ラバーフェンスはフィールドとブルペンの間に設置)されており、事実上のラッキーゾーンをなしていた。
1984年のロサンゼルスオリンピックから野球が公開競技となることが決まると、既存球場の広さでは将来的なオリンピック開催や選手の野球技術の向上の点で国際的に通用しないとの危機感が浮上した。1981年12月24日、日本野球機構の下田武三コミッショナーは12球団のオーナーらに要望書を送付。新設する野球場は正規の規格で建設するよう訴えた。こうした流れを受けて、1980年代後半以降は国際ルールに適合、またはそれに準ずる球場が続々完成(改修工事を施した球場でも両翼を国際基準、またはそれに準じたサイズに拡大)し、ラッキーゾーンのあった球場も倉吉(ナイター設備がラッキーゾーンの中にあるため撤去が困難)を除いて全て撤去された。なお、神宮はラッキーゾーン撤去後はそれがあった位置にラバーフェンスを移動し、外野観客席を新設している。
日本等多くの国の場合は基本的に両翼・左中間・右中間のサイズは均一されているが、アメリカの場合、ドーム球場全盛期のころは統一されていたが、後の新古典派球場(後述)ブームの到来で、変則的な体裁をとっているスタジアムも少なくない。
[編集] 野球場のフィールド
[編集] 野球場と芝
元々、本場アメリカでは内外野に芝生が敷かれ、野手・走者の動きの激しい塁間のみが土である内外野総天然芝球場が多かった。一方の日本では、内野天然芝は管理が不便であるため、古くは内野が土の野球場が多かった。
後々、人工芝が開発され、ベースの近くを除き、内外野問わず、人工芝を使う野球場が増えていった。人工芝は球場の多目的利用を可能にし、また維持コストも安いことから、次々と野球場に敷設された(詳しくは人工芝の項を参照)。アメリカにおいては、1965年完成のアストロドームを手始めに、1980年代までに人工芝の野球場が次々と建造され、また天然芝の野球場も人工芝に張り替えられるなど、人工芝は一時、隆盛を極めた。
日本においてもアメリカの人工芝ブームに合わせて、1976年の後楽園球場を始め、西宮球場(1978年外野のみ、1990年総人工芝化)、平和台野球場(1979年)、明治神宮野球場(1981年)、藤井寺球場(1985年外野のみ、1996年総人工芝化)、川崎球場(1991年)など次々と天然芝球場が人工芝化した。人工芝は天然芝より雨に強く、雨の多い日本の気候に適しているとされ、プロ野球球団は試合の雨天順延を減らすことによって利益を増やせるため、1970年代後半以降にプロ球団球団の本拠地として新設された野球場のほとんどが人工芝となった。
アメリカでは1992年オリオールズの新本拠地として天然芝、レトロ調、左右非対称、野球専用のオリオールパーク・アット・カムデンヤーズが完成した。この野球場は、人工芝、閉塞感、広いファールゾーンなどの欠点をもった従来の多目的球場に飽きていた多くのアメリカの野球ファンに賞賛された。これをきっかけに天然芝、レトロ調、屋根なし(開閉式を除く)の野球専用球場(ボールパーク)建設ラッシュが始まり、1960-1970年代に建造された近代的な人工芝球場、ドーム球場は次々と淘汰された。一時期はメジャーリーグの本拠地球場の半数近くが人工芝球場であった時期もあったが、現在、30球団のうち人工芝の野球場は3球場のみである。
一方、日本では1990年代以降もドーム球場が次々と建設され、それに合わせて人工芝の野球場も増えていった。1995年の野茂英雄のメジャー挑戦以降、日本の野球ファンの間でも天然芝への認識が高まり、天然芝球場を求める声も強くなっていった[要出典]。2001年ごろ起こった千葉マリンスタジアムのドーム化計画や、横浜での人工芝ドーム球場建設計画にファンが抗議し、逆に既存球場の天然芝化を要求したこと(両球場とも2003年ハイテク人工芝化)、広島ドーム球場計画が市民の声で[要出典]レトロ調ボールパーク建設計画に変更されたこと(2003年に中止された)がこの代表例である。グリーンスタジアム神戸(スカイマークスタジアム)など内外野天然芝球場にする野球場も少しずつながら増えてきているが、球団首脳の間での天然芝への認識は低く、現在のところ全12球団のうち天然芝を採用しているのは、2007年限りでオリックス・バファローズが撤退する見込みのグリーンスタジアム神戸と、広島市民球場、阪神甲子園球場の3球場のみである(詳しくは天然芝の項を参照)。プロ野球におけるドーム球場、人工芝球場の増加は、試合の雨天順延を減らし、天然芝球場を本拠地とする球団も間接的にその恩恵を受け、リーグ全体の試合消化を順調にした。現在のプロ野球は梅雨という日本独特の多雨な季節の存在や交流戦やプレーオフの導入によって日程に余裕がなくなっており、メジャーリーグ並みの数時間にも及ぶ雨天中断、ダブルヘッダーを認めない限り、天然芝球場を増やすことは難しい状況になっている。かつては時折見られた、シーズン終盤のダブルヘッダーや日本シリーズ裏での消化試合を懐かしむファンもいないではないが、これらは球団経営や選手(特に投手)の健康への負担が大きく、復活の可能性は乏しいと思われる。
近年では、天然芝の代替品として、ハイテク人工芝(足腰への負担を軽くし、天然芝の感触に近い人工芝。詳しくは人工芝の項参照)が導入され、2002年の東京ドームを始めとして、京セラドーム大阪、フルキャストスタジアム宮城、横浜スタジアム、千葉マリンスタジアムに次々と敷設された。
[編集] 天然芝
日本では、天然芝を使用するグラウンドの場合、主に外野部分とファウルエリアに芝が敷設されている。洋芝が使用されているケースもあるが、専ら高麗芝が重用されている。
内野のマウンドとランニングゾーンを除く部分にも芝が敷設されている、内外野天然芝の野球場はアメリカなどでは一般的だが、日本ではまだ少数派で、かつて東京スタジアム(1962年完成-1972年閉鎖、現在の味の素スタジアムとは別)や神宮球場(米軍接収時)、後楽園球場(1965年-1975年)、西宮球場(完成当初)では一時、内外野天然芝を採用していた時期もあったが、その後は普及しなかった。
なお、現在国内の内外野天然芝の球場の内、プロ野球公式戦(含二軍)が開催されるのは、鶴岡ドリームスタジアム、スカイマークスタジアム(旧グリーンスタジアム神戸)、サンマリンスタジアム宮崎の3箇所のみとなっている。
- 長所
- 選手の膝への負担が軽く、摩擦をしても火傷をしにくいことから、選手は思い切ったプレーができる。
- 球足が遅くなることから、より内野手の肩力、瞬発力が要求される。
よって観客もプロ野球選手の最上級のプレーを観ることができる。
- 短所
- 管理が難しく、また年間維持費用も人工芝に比べて余計にかかる。
- フィールドの状態を恒常に保つのが非常に困難。特に内野に芝を敷設した場合、打球やスパイク等による損傷が激しくなる恐れがある。
- イベントや他競技との併用が難しい。
もっとも人工芝も張替え時には天然芝以上のコストがかかるとの指摘もある。また、味の素スタジアムなどイベントとの併用を実現している天然芝競技場も存在する。
[編集] 人工芝
- 長所
- 維持管理が簡便であるため、一旦敷いてしまえばランニングコストは低廉であり、フィールドを多目的利用できる
- フィールドの状態を長期間に亘ってほぼ恒常に保つことができる
- 雨に強く、試合の雨天順延を減らせる
- 短所
- 新品を敷設する際のイニシャルコストが膨大
- 天然芝と比較すると概して滑り易く、プレーヤーの足腰に負担
- メーカーや球場によって踏圧やボールのバウンド高がまちまち。品質基準も曖昧になっている部分あり
1976年に後楽園球場に人工芝が導入された当時、守りやすい、見てくれがいい(当時、日本の野球場の天然芝の管理状態は現在に比べて悪かった)など、選手・ファンからは好意的だったが、選手の体への負担の増大や、イレギュラーが少なく、球足が速いことから受身の守備が増えて、野手の守備レベルが落ちるなどの弊害も目立ち始めた[要出典]。アメリカを始め外国では野球場のほとんどは天然芝であり、オリンピック、野球ワールドカップなど国際試合が増えてきた昨今において、日本の野球場の人工芝化が、(天然芝球場が主体の)国際試合での日本の戦績に与える影響を危惧する声もある[要出典]。
日本国内でプロ野球本拠地として使用されている13球場のうち、実に10球場が人工芝を採用しているが、最近では天然芝に近い風合いを持つロングパイル人工芝(通称ハイテク人工芝。芝の長さを天然芝と同じように長めに設定したり、ゴムチップをクッションに使用する)を導入する球場が増加している。
ロングパイル人工芝は従来の人工芝に比べ、体への負担が軽いなど選手からもおおむね好評だが、一方で「所詮、人工芝は人工芝」(松井秀喜)といった否定的な意見もある。ただし、この評価が的を射た客観的なものなのか一個人の主観的意見であるかは、両方の芝を対照実験にて分析した結果を参照する必要がある。
[編集] 土
芝がなく、土が剥き出しになっているグラウンド。天然芝より維持が容易で、人工芝より初期コストが低い。
日本では、外野は天然芝(ごく稀に人工芝)、内野は土という球場が多く、かつてはプロ野球球団の本拠地球場もこの形式が多かった。現在でも広島市民球場、阪神甲子園球場はこの形式である。その他草野球専用の球場では内外野すべて土のグラウンドも多い。
アメリカでは、土のグラウンドの球場は少なく、メジャーリーグの本拠地球場には使用されていない。AA、Aクラスのマイナーリーグなど低いグレードの球場では一部使用されているが、基本的に人工芝以上に評価が低い。
[編集] 付帯設備
おおむね次のようなものがあるが、野球場の規模によって付帯する設備は大きく異なる。
[編集] フェンス
外野及びファウルゾーンに設け、グラウンドとグラウンド外とを区切る柵。プロ野球では、長打を捕りに出てぶつかるプレーヤーのけがを防ぐために、ラバーやウレタンのクッションフェンスを設けることが多い。
[編集] バックネット
本塁の後方に設けられる網で、ファウルボールがグラウンドの外に出るのを防ぐ。支柱を立てて金属製の網を張る。観客席のある野球場では視認性を良くするために、観客席上に張ったロープからステンレスなどの網を吊り下げる方式が多い。
[編集] ファウルポール
打球がフェアかファウルかを判断するため、ファウルラインがフェンスと接する地点に立てる柱。公認野球規則では「白く塗らなければならない」と定められているが、打球の判別の便宜上、他の色でもよいとされており、現在はより判別しやすい黄色や橙色が多く使われている。
打球が直接ファウルポールに接触した場合は本塁打、打球が地面やフェンスに当たってからポールに接触した場合はエンタイトル二塁打となる。
[編集] スコアボード
競技の得点を表示するための設備。通常、外野中堅の後方に設けられることが多い。従来はイニングスコアや選手名をパネルにより掲出する方式が一般的で、鉄や木のパネルに手書きするか、紙に印刷したものを貼付して表示していた。故に表示の際には人力による作業を必要とするため、出場選手が交代する場合等にはパネルの入れ替えや書き換えに手間取ることもしばしばあった。
今では電球や高輝度放電管、発光ダイオード(LED)を使用した電光式のシステムや、電磁石で制御する磁気反転式のシステムを使用して表示部を遠隔操作する方式が主流となりつつある。また1997年以降、日本のプロ12球団が本拠地とする野球場は全て電光式を採用しており、それに加え大型映像装置が設置されている。これによりボールカウント、アウトカウント、プレイヤーの氏名、打順と守備位置、審判名のほか、投手の球速、打者の現時点における打率・本塁打・打点(その打席での結果如何でこれら数値は変動するが、これも演算により変更することができる)、果ては風向・風速などさまざまな情報を表示できる他、映像装置を使用して観客により多くの情報を提供でき、且つ様々な演出が行えるようになった。
1980年代後半から各地で採用されている磁気反転式のスコアボードは、ランニングコストやメンテナンスの低廉さと直射日光下での視認性の高さから主に地方球場で普及したが、表示部が自ら光を発せないため夜間にはスコアボード全体をライトアップせねばならず、また経年劣化すると表示部が帯磁して動作に不具合をきたしやすいという難点があり、老朽化して動作不良を起こすケースがしばしば発生している。近年は地方球場においても、消費電力が少なく且つ昼夜を問わず視認性を確保できるLED式のスコアボードを採用する例が多くなりつつある。
[編集] バックスクリーン
外野の中堅後方に設けられる暗色の板状の部分。打者が投球を視認しやすいように設けられる。公認野球規則に定めはないが、プロ野球球場ではバックスクリーンかこれに類似した措置(それに相当する外野席を暗色にしてその部分には観客を入場させないなど)がとられている。スコアボードと一体化されている野球場も多い。
[編集] ブルペン
投球練習場。内野ファウルグラウンドに多く設けられたが、甲子園球場や藤井寺球場では外野ラッキーゾーンにあった。練習中に打球が当たる恐れなどもあることから、近年、プロ野球球場では観客席下のなどに設けていることが多い。メジャーリーグの球場では外野席と外野フェンスの間、ファウルグラウンドなどフィールド上に設けられている場合が多い。
[編集] プレーヤーズベンチ
両チームの選手、コーチなどの控え場所で、一塁、三塁のファウルグラウンド外側に設けられる。日本では通常、一塁側をホームチーム、三塁側をビジターチームが使うが、野球規則にはどちらをホームチーム側とすべきといった規則は無い。公認野球規則1.08には「ホームクラブは、各ベースラインから最短25フィート (7.62m)離れた場所に、ホームチーム及びビジティングチーム用として、各一個のプレーヤーズベンチを儲け、これには左右後方の三方に囲いをめぐらし、屋根を設けることが必要である」とある。グラウンドよりも低い位置に設けられたものを「ダッグアウト」(dugout)、グラウンドと同じ高さに設けられたものを「ベンチ」(bench)と呼ぶ。プロ野球球場では、観客席を設ける関係でグラウンドよりも低い場所に設けられることが多い。
[編集] 観客席(スタンド)
競技を観覧するための座席を備えた建物。グラウンドに向かって階段状に設けられる。地方では外野は土盛り(芝生席になっている野球場もある。
[編集] 照明
夜間(昼間でも薄暗い時等)に試合を行うためにグラウンドを照らす設備。グラウンド全体を照らすため、電球からなる照明設備を鉄塔など一定の高さの場所に設置する。日本で初めて野球場の照明設備をつけたのは戸塚球場で、1933年7月に完成した。早稲田大学が設置したもので、高さ30.6mの照明塔6基に1.5kwの電球を156個取り付けた。照度は内野で150ルクス、外野で90ルクスしかなかった。現在では、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどが主流である。野球場の照度は硬式、軟式と競技区分別にJIS規格で定められており、プロ野球の場合内野は1500~3000ルクス、外野は750~1500ルクスの平均照度が必要とされている。
[編集] ボールパーク(ball park)
ボールパーク(ball park)とは英語で野球場のことを指す。スタジアム(stadium)と同義。
日本では従来、野球場のことを英語でスタジアム(stadium)と呼び、ボールパーク(ball park)と呼ばれることはほとんどなかった。現在、日本でボールパーク(ball park)という用語が用いられる場合、それは天然芝、狭いファールゾーン、野球専用でプレーが観やすい観客席、レトロ調、左右非対称のグラウンド形状、設計の随所に見られる遊び心を特徴としたアメリカ・メジャーリーグの球場、もしくはその趣向を真似た野球場を指す場合が多い。このような野球場のスタイルは新古典派(ネオ・クラシカル様式)と呼ばれる。オリオールパーク・アット・カムデンヤーズがその先駆けとなった。
日本においてはグリーンスタジアム神戸(スカイマークスタジアム)が2000年ボールパーク計画を発表し、プロ野球本拠地として近年で初めて内野を天然芝化した。その後も低いフェンス、内野にせり出したフィールドシート、1990年代から続くスタジアムDJによる場内アナウンスなど球場をメジャーリーグ風のボールパークへと改革していった。
さらに東京ドーム、宮城球場(フルキャストスタジアム宮城)で相次いでフィールドシートが設置され、千葉マリンスタジアム、横浜スタジアムで内野フェンスが低くされるなど、他球場でもボールパーク化の試みが行われている。
これらの動きは、野茂英雄のメジャーリーグ移籍以降、メジャーが日本国内でも馴染みの深いものとなってから、急速に広がった。
このような新古典派の新球場がアメリカで続々と誕生した背景には、ほとんどの野球場が建設費用の大半を税金でまかなっていることが挙げられる。日本に比べて黒字経営の球団の多いメジャーといえど野球場の建設費用は莫大であり、簡単に調達できる金額ではない。そこで、ほとんどの新球場建設は、住民投票によって地元住民の同意を得て税金投入や特別税徴収、公債発行が行われている。また、税制の優遇や自治体から球団への格安でのリース契約など、制度面での多くの優遇政策がこのような新球場建設ラッシュを生んでいる。1990年代に建設された新古典派球場のなかで住民投票で税金投入が認められなかったのはAT&Tパークのみである。
また、かつて存在した「アメリカの古き良き野球場」を模した球場が、人々に懐かしさという感情をわき起こさせたことが、新古典派球場ブームの根底にある、というアメリカ固有の事情があるということが重要である。
[編集] ドーム球場
グラウンドを屋根で覆った野球場のこと。天候に左右されずにゲームを開催できるという長所がある。世界初のドームスタジアムは1965年アストロズの本拠地として建設されたアストロドーム。日本初のドームスタジアムは1988年完成の東京ドーム。
現在、日本でプロ野球チームの本拠地として使用されているドーム球場は東京ドームのほかに福岡ドーム(福岡Yahoo!JAPANドーム、1993年)、ナゴヤドーム(1997年)、大阪ドーム(京セラドーム大阪、1997年)、西武ドーム(グッドウィルドーム、1999年)、札幌ドーム(2001年)がある。また地方には大館樹海ドーム(2軍戦が開催)、出雲ドームなどが存在する。
ドーム球場は屋根の仕様から大まかに2つのタイプに分類することができる。1つ目のタイプは屋根の素材にテフロンコーティングのグラスファイバー膜材などを使用し、場内を陽圧化することで屋根を持ち上げるタイプである。東京ドームやアメリカのメトロドームがこれにあたる。2つ目のタイプは天井を鉄骨屋根で覆うタイプである。福岡Yahoo!JAPANドームをはじめ日米問わずほとんどの球場がこの方式を採用している。また木造建設の大館樹海ドーム、屋外野球場に屋根をかぶせたグッドウィルドームなど、珍しいケースもある(「西武ライオンズ球場」時代は無蓋だった)。
当初は、屋根で場内を完全に密閉した密閉式のドーム球場が多かったが、青空・夜空の下での野球観戦を希求する声が強くなるにつれて、天候によって屋根を自由に開閉できる開閉式ドーム球場が登場した。世界初の開閉式ドーム球場はモントリオール・エキスポズの本拠地だったオリンピックスタジアムで、1988年改修されて簡易開閉式となった(ただし同球場は設計ミス・故障により屋根を開閉できない状況が続いた)。当初から開閉式として建造されたドーム球場はブルージェイズの本拠地として1989年完成したロジャース・センター(旧スカイドーム)である。このスタジアムは日本初にして唯一の開閉式ドーム球場である福岡ドーム(福岡Yahoo!JAPANドーム)の設計に影響を与えている。
開閉式ドーム球場が生まれた当初はあくまでドーム球場であることを売りとしており、造形的にも屋根の開閉が可能なドーム球場としての色彩が濃かった。現に日照量が足りないこともあり、スカイドーム(ロジャースセンター)、福岡ドーム(ヤフードーム)は人工芝である。しかしアメリカでは1990年代以降、レトロ調ボールパークがブームになるにつれ、開閉式のドーム球場を建設するにしても、悪天候時のみ屋根を閉じる前提の設計とし、フィールドにも天然芝を敷設するなど、ドーム球場色を薄めてむしろボール・パーク色の強いものとなっていった。セーフコ・フィールド、ミラー・パーク、ミニッツメイド・パークなどがその代表例である(なお、このような構造の球場の建設は、日本では建ぺい率の問題から難しい)。
なお日本で唯一の開閉式ドーム球場であるヤフードームは日照量の問題、騒音問題、強風、開閉する際にかかるコストなどの複合的な要因で、ここ数年は屋根を開けて試合を開催できない状態になっている。
また、1999年完成の西武ドーム(グッドウィルドーム)は、屋根を支えるための、客席のみを覆うドーナツ状の鉄傘を取り付ける第1次工事が完了した1998年度に西武ライオンズ球場から西武ドームへと改称したが、グラウンド部分には屋根がなく、降雨時にはもちろん雨天中止となった。このようにドーム球場ではないにもかかわらず、ドームを名乗るという珍しい状況が1年間続いた。
[編集] 特徴のある野球場
[編集] 日本国内
- 阪神甲子園球場 日本で最初に誕生した野球専用競技場。東洋一の規模を誇るマンモス球場。
- 札幌ドーム 日本で唯一、プロ野球とJリーグの本拠地を兼ねる
- 鶴岡ドリームスタジアム、スカイマークスタジアム、サンマリンスタジアム宮崎 プロ野球が行われるスタジアムで数少ない内外野全面天然芝
- グッドウィルドーム 既存の屋外球場にドーム屋根を架設
- ヤクルト戸田球場 内野が人工芝、外野が天然芝
- 東京ドームなど 天然芝に近い感触の人工芝を敷設 また東京ドームは日本初のドーム球場
- 千葉マリンスタジアム 埋立地の人工海浜近くに立地し、強風に見舞われる事が多い
- 川崎球場 外野スタンドが非対称(スタンドは2000年取り壊し)
- 長野オリンピックスタジアム 1998年長野冬季オリンピックの開会式・閉会式会場として利用
- 倉吉市営野球場 現存する主要屋外球場で唯一ラッキーゾーンが設けられている
- 福岡Yahoo!JAPANドーム 硬式野球が開催できるグラウンドでは日本で唯一開閉式屋根を持っている
[編集] 海外
- アストロドーム 世界初のドーム球場、人工芝敷設(現在は閉鎖)
- ロジャース・センター(旧スカイ・ドーム(カナダ・トロント)) 世界初の開閉屋根付きドーム球場
- チェイス・フィールド、ミニッツメイド・パーク、ミラー・パーク、セーフコ・フィールド 開閉式屋根に天然芝グラウンドを併設
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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