石勝線
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石勝線(せきしょうせん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(幹線)。北海道石狩支庁管内の千歳市から空知支庁管内の夕張市を経て十勝支庁管内の上川郡新得町を結ぶ本線(南千歳駅~新得駅)と夕張市内の新夕張から分岐する支線(新夕張駅~夕張駅)からなる。
路線名は、本路線が接続する地域の旧称石狩国・十勝国から採られている。なお、石勝線として編入される以前の追分駅~夕張駅間は夕張線(ゆうばりせん)と称していた(現在でも新夕張~夕張間の通称として用いられている)。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・区間(営業キロ):
- 軌間:1067mm
- 駅数:29(起終点駅及び根室本線との重複区間にある信号場を含む。駅15、信号場14)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 南千歳~新得間 単線自動閉塞式
- 新夕張~夕張間 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 交換可能駅:本線は途中の全駅で交換可能。支線は途中に交換可能駅なし。
- 最高速度:130km/h(南千歳~追分間及び新夕張~新得間)
[編集] 廃止線
- 夕張線 紅葉山(現在の新夕張)~登川 (7.6km)
[編集] 歴史
歴史的に北海道炭礦鉄道により運炭路線として建設され、鉄道国有法により買収・国有化された旧夕張線区間(追分~新夕張~夕張間)と、同線を延伸し、札幌と十勝地方を短絡する幹線として、日本鉄道建設公団により建設された新線区間(南千歳~追分、新夕張~上落合信号場間)とに分かれる。
新線区間のうち、南千歳~追分間は、改正鉄道敷設法第137号に規定する「石狩國白石ヨリ胆振國廣島ヲ經テ追分ニ至ル鐵道(以下略)」の一部(追分線)、新夕張~占冠間は、同第134号「胆振國鵡川ヨリ石狩國金山ニ至ル鐵道及「ペンケオロロツプナイ」付近ヨリ分岐シテ石狩國登川ニ至ル鐵道」の一部(紅葉山線)、占冠~上落合信号場間は同第142号の2「十勝國御影付近ヨリ日高國右左府ヲ經テ胆振國邊富内ニ至ル鐵道」の一部(狩勝線)である。なお、上落合信号場~新得間は、根室本線落合~新得間(狩勝峠)の勾配緩和新線(同第142号の4)の一部として1966年9月30日に開業しており、根室本線と線路を共用している。
新線区間ができるまでは、札幌から道東へ行くには滝川や旭川を経由する必要があった。石勝線の開通によって道東(帯広・釧路・根室方面)への所要時間が短縮された。同時に、根室本線の滝川~新得間はほとんど普通列車しか通らないローカル線になった。
北海道の最奥部を貫くため沿線は無人地帯が多く、本線においては駅の数より信号場の数の方が多い特徴を持つ。信号場の多くは計画当初は駅にする予定であったが、沿線の入植者の離農が進んで無人地帯となりその必要が無くなった経緯がある。
また、日本で最後まで蒸気機関車が牽引する貨物列車が運転されていたことや、蒸気機関車が追分で入換作業に最後まで従事していたことでも知られる(後年の復活運転を除く)。
同線は幹線だが、もし新夕張~新得が開通せず夕張線のままだったとしても幹線になったと言われている。これは美祢線と同様の事情で、1977年~1979年の貨物輸送(石炭)が好調なためである。
[編集] 年表
- 1892年(明治25年)11月1日 【開業】北海道炭礦鉄道 追分~夕張 【駅新設】紅葉山、夕張
- 1893年(明治26年)8月1日 【駅新設】川端
- 1897年(明治30年)2月16日 【駅新設】滝ノ上、清水沢
- 1901年(明治34年)12月1日 【駅新設】鹿ノ谷
- 1905年(明治38年)11月15日 【駅新設】(貨)沼ノ沢
- 1906年(明治39年)10月1日 【買収・国有化】追分~夕張間が官設線となる
- 1907年(明治40年)5月16日 【開業】官設鉄道 紅葉山~楓(貨物営業のみ) 【駅新設】楓(貨物取扱所)
- 1909年(明治42年)7月1日 【旅客営業開始】紅葉山~楓 【貨物取扱所→駅】楓
- 1909年(明治42年)10月12日 【国有鉄道線路名称設定】夕張線 追分~夕張、紅葉山~楓
- 1910年(明治43年)8月16日 【貨物駅→一般駅】沼ノ沢
- 1916年(大正5年)7月11日 【延伸開業】楓~登川 【駅新設】登川
- 1961年(昭和36年)1月15日 【優等列車設定】札幌駅~岩見沢~夕張間を函館本線・室蘭本線・夕張線経由で運行する準急列車「夕張」(ゆうばり)2往復運行開始。
- 1962年(昭和37年)12月25日 【駅新設】十三里、南清水沢
- 1965年(昭和40年)3月1日 【駅新設】東追分
- 1966年(昭和41年)3月5日 【優等列車運行変更】「夕張」、夕張線内を普通列車化。
- 1966年(昭和41年)9月30日 【信号場新設】上落合、新狩勝、広内、西新得(根室本線 落合~新得間新線付け替えによる)
- 1968年(昭和43年)10月1日 【優等列車運行変更】ダイヤ改正により「夕張」急行列車に昇格。
- 1970年(昭和45年)10月1日 【優等列車運行変更】ダイヤ改正に伴い、「夕張」1往復廃止。
- 1972年(昭和47年)3月15日 【優等列車運行変更】ダイヤ改正に伴い、「夕張」廃止。
- 1978年(昭和53年)5月1日 【貨物営業廃止】鹿ノ谷~夕張(-3.4km)
- 1981年(昭和56年)5月25日 【貨物営業廃止】清水沢~鹿ノ谷(-6.6km)、紅葉山~登川(-7.6km)
- 1981年(昭和56年)7月1日 【路線廃止】紅葉山~登川(-7.6km) 【駅廃止】楓、登川
- 1981年(昭和56年)10月1日 【延伸開業】千歳空港~追分(17.6km)、新夕張~新得(89.4km)(上落合信号場~新得(23.9km)は既設) 【線名改称】石勝線 千歳空港~新得、新夕張~夕張(室蘭線の部から函館線の部に移す) 【駅新設】楓(2代)、占冠、石勝高原 【信号場新設】駒里、西早来、滝ノ下、オサワ、東オサワ、清風山、鬼峠、東占冠、滝ノ沢、トマム、串内(上落合、新狩勝、広内、西新得は既設。根室本線所属) 【駅名改称】紅葉山→新夕張
- 1985年(昭和60年)10月13日 【改キロ】夕張駅移設(-1.3km)
- 1986年(昭和61年)3月3日 【信号場廃止】鬼峠
- 1987年(昭和62年)2月1日 【駅名改称】石勝高原→トマム 【信号場名改称】トマム→ホロカ
- 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】北海道旅客鉄道(第1種)、日本貨物鉄道(第2種・千歳空港~上落合信号場、新夕張~清水沢)
- 1990年(平成2年)4月1日 【第二種鉄道事業廃止】日本貨物鉄道 新夕張~清水沢(-8.2km)
- 1990年(平成2年)12月26日 【改キロ】夕張駅移設(-0.8km)
- 1992年(平成4年)7月1日 【駅名改称】千歳空港→南千歳
- 2004年(平成16年)3月7日 清水沢駅の交換設備廃止。これにより北海道から腕木式信号機とタブレット閉塞が消滅した。
- 2004年(平成16年)3月13日 【駅→信号場】楓
[編集] 運転
[編集] 広域輸送
札幌駅~帯広駅・釧路駅を結ぶ幹線ルートの一部で、特急列車が南千歳駅~新得駅間で多数運転されている。また、1997年に高速化改良が完成し、振り子式気動車(キハ283系気動車)が最高速度130km/hで運行されている。
- 列車名
-
- スーパーおおぞら (札幌~釧路)1日6往復
- とかち・スーパーとかち (札幌~帯広)1日4往復/2往復
- まりも (札幌~釧路・夜行)1日1往復
※運行便数は2004年3月13日現在
[編集] 国鉄準急「夕張」と夕張鉄道急行列車
夕張線時代には、1961年~1972年の間、札幌と夕張を結ぶ速達列車として、準急「夕張」(後、急行に格上げ)が「札幌駅~(函館本線)~岩見沢駅~(室蘭本線)~追分駅~(夕張線)~夕張駅」の経路で運行されていた。一方、函館本線野幌駅~夕張本町駅間に路線を有していた夕張鉄道では国鉄のZ形の運行経路に対抗し、野幌(北海鋼機前)~札幌大通間を自社バスで連絡した急行列車を1961年に運行を開始したが、直通バス路線の拡充などにより1967年に廃止した。
[編集] 地域輸送
千歳駅~南千歳駅~追分駅~新夕張駅~夕張駅間では、キハ40系気動車により普通列車がワンマン運転されており、2時間に1本程度である。(千歳駅~南千歳駅間は千歳線乗り入れ)。また1日1便だけ「苫小牧駅→(室蘭本線)→追分駅→夕張駅」という系統がある。追分駅~新夕張駅間において、東追分駅と十三里駅については、一部の列車が通過する。
新夕張駅~新得駅間に運転される普通列車は開業時から設定されておらず、特急列車のみが運転されている。そのため、新夕張駅~新得駅間の各駅相互で特急列車の自由席を利用する場合は、特急料金が不要となる特例が設けられている。
[編集] 駅一覧および接続路線
- 本線
- (石勝線の)駅を持たない市町村は、括弧書きにしてある。
駅名 | 営業キロ (km) |
接続路線 | 所在地 (全て北海道内) |
---|---|---|---|
南千歳駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:千歳線(本線・新千歳空港支線) | 千歳市 |
(駒里信号場) | (5.4) | ||
(西早来信号場) | (11.7) | 勇払郡安平町 | |
追分駅 | 17.6 | 北海道旅客鉄道:室蘭本線 | |
東追分駅 | 21.6 | ||
川端駅 | 27.0 | 夕張郡由仁町 | |
(滝ノ下信号場) | (30.3) | (夕張郡栗山町) | |
滝ノ上駅 | 35.8 | 夕張市 | |
十三里駅 | 40.2 | ||
新夕張駅 | 43.0 | 北海道旅客鉄道:石勝線(夕張支線) | |
(楓信号場) | (48.7) | ||
(オサワ信号場) | (55.7) | (勇払郡むかわ町) | |
(東オサワ信号場) | (59.6) | ||
(清風山信号場) | (67.3) | 勇払郡占冠村 | |
(72.5) | |||
占冠駅 | 77.3 | ||
(東占冠信号場) | (81.3) | ||
(滝ノ沢信号場) | (85.7) | ||
(ホロカ信号場) | (92.6) | ||
トマム駅 | 98.6 | ||
(串内信号場) | (104.2) | (空知郡南富良野町) | |
(上落合信号場) | (108.3) | 北海道旅客鉄道:根室本線(路線上の接続) | |
(新狩勝信号場) | (113.9) | 上川郡新得町 | |
(広内信号場) | (120.1) | ||
(西新得信号場) | (125.6) | ||
新得駅 | 132.4 | 北海道旅客鉄道:根室本線(営業上の接続) |
※上落合信号場~新得駅間は根室本線と重複。
- 夕張支線
- 全駅が夕張市に所在。
駅名 | 営業キロ | 接続路線 |
---|---|---|
新夕張駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:石勝線(本線) |
沼ノ沢駅 | 2.7 | |
南清水沢駅 | 6.7 | |
清水沢駅 | 8.2 | |
鹿ノ谷駅 | 14.8 | |
夕張駅 | 16.1 |
[編集] 廃止区間
[編集] 過去の接続路線
夕張地域の炭鉱から産出される石炭の輸送を目的とした私鉄・専用線が分岐していたが、現在ではその全てが廃止されている。
- 沼ノ沢駅:北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道 - 1987年10月13日廃止
- 清水沢駅:三菱石炭鉱業大夕張鉄道線 - 1987年7月22日廃止
- 鹿ノ谷駅:北海道炭礦汽船夕張鉄道線 - 1975年4月1日廃止