阪急3000系電車
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阪急3000系電車は神戸線用の車両であるが現在では神戸線のほかに宝塚線、今津北線、伊丹線で使われている(2005年2月20日 西宮北口駅)
能勢電3100系電車は1編成4両を保有しており、能勢電鉄では最も新しい車両である(2005年2月11日 日生中央駅)
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阪急電鉄の3000系電車(3000けいでんしゃ)は、1964年(昭和39年)から1969年(昭和44年)にかけて114両が建造された、阪急電鉄の通勤形車両である。
本稿では3000系の宝塚線仕様の3100系電車(3100けいでんしゃ)についても記述する。
目次 |
[編集] 概要
神戸高速鉄道への乗り入れを控え、架線電圧600Vから1500Vへの昇圧を考慮して設計建造されたため、制御装置は単純な抵抗制御(東芝製,PE29A)である。昇圧後は電動車が2両ユニットに改造され、一部の車両の運転台が撤去された。また地下線走行中の車内放送反響を防ぐため、阪急電鉄の車両としては初めて車掌台仕切部の窓にガラスが組み込まれ、密閉型の車掌室とされた。1984年までに全車が冷房化されているが、種別・行先表示幕については一部の車両には設置されていない。 また、ごくわずかであるがパンタ下に非冷房時のモニターが残っている車両がある。本線運用の車両は全て撤去されている。起動加速度は2.8km/h/sである。
電動機定格出力は170kW(SE534)で、走行性能は2000年代でも十分通用することから、神戸線では2006年10月28日のダイヤ改正まで特急として運用されることも頻繁にあった。
3000系・3100系の一部の編成は2071系・元2100系の付随車計15両(C#3022を除く→詳細は3100系の項で記述)を組み込んでいる。(数字の前のC#は「車両番号」を意味する)
支線運用編成の一部には、2基搭載するパンタグラフのうち三宮(宝塚)方の片方が撤去された車両が存在する。これは、阪神・淡路大震災の際、パンタグラフの破損した車両の取替え用として、外されたと思われる。本線運用編成については、5000系のリニューアルに伴なう余剰発生品ですべて2基に戻されている。
宝塚線所属の8両編成は、1995年より先頭車にスカートを装備している。ただしこのスカートは6000系~8000系の各制御車につけられているものとは違い、若干角ばっている。
神戸本線の全編成および宝塚本線・今津線の一部の編成は、ATS更新を施工している。工事内容は、CPの移設や、メーターのデジタル化などである。
2007年現在、神戸線は8両編成5本40両、6両編成5本30両、4両編成2本8両、宝塚線は8両編成6本48両の計126両が在籍(他形式付随車を含む)している。 また、3076F(今津線運用6連・C#3151)・3054F(神戸本線運用8連・C#3652)など3100系を組み込む編成もある。
[編集] 2005年以降の動き
2005年(平成17年)1月10日に発生した武庫之荘西踏切での衝突事故(3056F・C#3005)の後、神宝線の8連の3000系の全車に非常ブレーキの改造工事・スタフ切替器の交換がなされた。その後宝塚本線運用の3052F・3062Fと神戸本線運用の3064F・3074Fとが交換された。これは、3000系のうちスイープファン付き冷改車・側面行先表示幕の位置が2位・4位側にある編成を神戸線に、一般冷改車・側面行先表示幕が1位・3位側にあるを宝塚線に集結させ、両線の3000系の仕様を統一するために交換されたものと思われる。転属にあたっては、元々3052Fと3062Fに設置されていたスカートが外され、3064Fと3074Fにスカートが取り付けられた。
ところが、翌2006年に3062Fはスカートを再度取り付けのうえ宝塚線運用に戻された。さらに3050Fに5000系から脱車した2071系を2両編入して8連化し、スカートを取り付けて宝塚線に投入された。その結果、現在は前述の通り宝塚線に6編成が在籍する。
※3050Fのみ、神戸線5000系更新車と同タイプのスカートを搭載。また、5000系に組成されていた2000系を繋いだためクーラーキセや台車形状が不揃いである。
[編集] 3100系
3000系の宝塚線用として建造された車両である。1964年(昭和39年)から1967年(昭和42年)までに40両が建造された。3000系とは歯車比などが違うが、基本構造は同じで混結も可能である。
3000系に比較すると、電動機出力は120kW(SE535)と小さい。昇圧後は電動車は2両ユニットに改造された。起動加速度は3000系と同じ2.8km/h/sである。
1010系・1100系が全車廃車された1989年以降は支線運用車に転じて、2007年現在は今津(北)線、伊丹線、箕面線で運用されている。
本系列のうち1996年に廃車された4両(3156F、3100系最初の廃車)を能勢電鉄に譲渡し、1997年から能勢電鉄3100系電車として運用している。
能勢電鉄に移籍した3100系は、車両番号標記が正面、側面ともに中央下から右上に移動し、車内化粧板が木目から白っぽいものへ変わり、座席モケットは色がゴールデンオリーブのものから青いものに変えられている。前照灯は5000系リニューアル車や8000系と同一品に変更された。2007年現在は3170Fの1編成4両のみが在籍し、阪急電鉄では経年車両である本系列も能勢電鉄では最新車両である。
なお、1995年の阪神・淡路大震災にて伊丹駅でC#3109および2071系のC#2087が被災廃車となり、3000系C#3022(初代)が二代目C#3109となった。(元2071系のC#2171(旧C#2021)が再び電装、C#3022(2代目)となった) また、今津(南)線・甲陽線ワンマン化により6000系3両編成への置き換えとなり、3161F(3両編成)が用途廃止で廃車されている。
2007年現在、神戸線に6両編成2本12両、4両編成3本12両、宝塚線に4両編成3本12両の計36両(他形式付随車を含む)が在籍している。伊丹線運用の3077Fは3077-3611-2076-3100と、3000系と3100系と2071系の混結編成である。
[編集] 編成
矢印は中間に組み込まれる先頭車の運転台(簡易中間化改造車は撤去跡)の方向で、←は梅田向き、→は三宮/宝塚向きを示している。
神戸線3000系
←梅田 | 三宮→ | 備考 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Tc3050 | M3500 | T3650 | M'o3000 | To3050 | M3500 | T2171 | M'c3000 | |
3052 | 3501 | 3651 | 3002→ | ←3057 | 3518 | 2179 | 3007 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'o3000 | To3050 | M3500 | T3650 | M'c3000 | |
3054 | 3502 | 3551 | 3004→ | ←3053 | 3530 | 3652 | 3003 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T2071 | M'o3000 | To3050 | M3500 | T2050 | M'c3000 | |
3056 | 3503 | 2080 | 3006→ | ←3055 | 3517 | 2055 | 3005 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | T2071 | M'c3000 | |
3078 | 3523 | 3558 | 3028→ | ←3079 | 3524 | 2075 | 3029 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | |
3082 | 3527 | 3560 | 3032→ | ←3083 | 3528 | 3550 | 3033 | ATS更新済 |
←西宮北口 | 宝塚→ | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
Tc3050 | M3500 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | M'c3000 | |
3058 | 3504 | 3018→ | ←3069 | 3512 | 3019 | 行先表示幕未設置 ATS更新済 3504はパンタグラフ1基のみ |
3070 | 3513 | 3020→ | ←3071 | 3514 | 3021 | 行先表示幕未設置 ATS更新済 |
3076 | 3515 | 3026→ | ←3151 | 3522 | 3027 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | M'o3000 | Tc3050 | M3500 | M'c3000 | |
3068 | 3511 | 3008→ | ←3059 | 3531 | 3009 | 行先表示幕未設置 ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | M'3000 | Tc3050 | M3500 | M'c3000 | |
3072 | 3515 | 3022 (2代目) |
←3073 | 3516 | 3023 | 行先表示幕未設置 ATS更新済 3022は元2071系2171 3515・3516はパンタグラフ1基のみ |
←塚口 | 伊丹→ | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | |
3080 | 3525 | 3557 | 3030 | 行先表示幕未設置 (かつて3557は側面のみ設置されていたが現在は撤去) |
Tc3050 | M3500 | To2171 | M'c3000 | |
3081 | 3526 | 2176→ | 3081 | 行先表示幕未設置 (かつて2176は側面のみ設置されていたが現在は撤去) |
宝塚線3000系
←梅田 | 宝塚→ | 備考 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Tc3050 | M3500 | T2171 | M'o3000 | To3050 | M3500 | T2071 | M'c3000 | |
3050 | 3500 | 2184 | 3000→ | ←3051 | 3529 | 2085 | 3001 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'o3000 | To3050 | M3500 | To2171 | M'c3000 | |
3060 | 3505 | 3555 | 3010→ | ←3061 | 3532 | 2188→ | 3011 | |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'o3000 | To3050 | M3500 | T2171 | M'c3000 | |
3062 | 3506 | 3556 | 3012→ | ←3063 | 3536 | 2175 | 3013 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | To2171 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | To2071 | M'c3000 | |
3064 | 3507 | 2190→ | 3014→ | ←3065 | 3508 | ←2090 | 3015 | ATS更新済 |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | T2050 | M'c3000 | |
3066 | 3509 | 3559 | 3016→ | ←3067 | 3510 | 2093 | 3017 | |
Tc3050 | M3500 | T3550 | M'c3000 | Tc3050 | M3500 | To2171 | M'c3000 | |
3074 | 3519 | 3561 | 3024→ | ←3075 | 3520 | 2191→ | 3025 | ATS更新済 |
神戸線3100系
←西宮北口 | 宝塚→ | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
Tc3150 | M3600 | M'c3100 | Tc3150 | M3600 | M'c3100 | |
3152 | 3601 | 3102→ | ←3153 | 3607 | 3103 | 改造によって表示幕が設置された阪急最初の編成。 |
3154 | 3602 | 3104→ | ←3155 | 3607 | 3105 | 3602はパンタグラフ1基のみ |
←塚口 | 伊丹→ | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
Tc3050 | M3600 | T2071 | M'c3100 | |
3077 | 3611 | 2076 | 3100 | 行先表示幕未設置 (かつて側面のみ設置されていたが現在は撤去) |
Tc3150 | M3600 | T3650 | M'c3100 | |
3150 | 3600 | 3650 | 3101 | |
Tc3150 | M3600 | To2071 | M'c3100 | |
3159 | 3610 | ←2079 | 3109 | 行先表示幕未設置 3109は元3022(初代) |
宝塚線3100系
←石橋 | 箕面→ | 備考 | ||
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Tc3150 | M3600 | T3550 | M'c3100 | |
3157 | 3605 | 3554 | 3107 | 行先表示幕未設置 |
3158 | 3606 | 3552 | 3108 | 行先表示幕未設置 |
3160 | 3608 | 3553 | 3110 | 行先表示幕未設置 |
能勢電鉄3100系(括弧内は阪急時代の旧車番を示す。)
←妙見口 日生中央 |
川西能勢口→ | 備考 | ||
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Tc3150 | M3600 | T3650 | M'c3100 | |
3170 (3156) |
3620 (3604) |
3670 (3653) |
3120 (3106) |
ワンマン・車椅子スペース設置 |
[編集] 関連項目
阪急電鉄の車両 |
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現用車両 |
神戸線・宝塚線:9000系・8200系・8000系・7000系・6000系・5100系・5000系・3000系・3100系・2000系 京都線:9300系・8300系・7300系・6300系・5300系・3300系・2300系 |
過去の車両 |
神戸線・宝塚線:5200系・2200系・2100系・2021系・1200系・1100系・1010系・1000形・810系・800系・610系 550形・920系・900形・600形・500形・380形・320形・300形・98形・96形・90形・51形・34形・1形 京都線:2800系・1300系・1600系・710系・210系・700系・200形・100形(P-6)・10形(P-4・P-5) |
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