韓国のインターネット
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韓国のインターネット(かんこく- )は大韓民国のインターネットの現状や特色について述べる。
結論から言えば、1990年代中盤からの1年程の間、韓国はインターネットインフラにおいて、比較的先駆的な役割を果たしたが、その後の投資や開発が全て滞り、基礎開発を軽視する文化的側面によりその傾向が加速され、完全なIT後進国と化した。
そのツケは、現在も解消されておらず、当初の先駆的な役割を持った時点のプライドだけが暴走している状態である。
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[編集] IT振興政策とその現状
[編集] 90年代後半~00年代中盤の発展期
当初、韓国は1997年から1998年のアジア通貨危機で経済が大打撃を受けたため、金大中政権はIT産業振興を経済再生の中核政策に掲げ、1999年「サイバーコリア21」計画を策定して情報インフラ整備、ベンチャー企業の育成、国民へのパソコン普及を積極的に進めた。
各学校には全教員、全教室にパソコンが導入され、KTなどが低額の高速インターネット接続サービスを提供した。また政府機関の電算化も急速に進められた。このため、韓国のインターネット利用者数は1998年末の310万人から1999年末の1086万人、2000年末には1904万人と急激に増加した。またIT産業の雇用者数も1998年10月から2000年10月までに18万人増加している。2003年6月現在のインターネット利用者数は3,000万人に達し、そのうち1,000万人はxDSLによる高速インターネット利用者であった。
しかし、韓国のインターネットが先進的であったのは、わずか2年程度であり、他国の猛追により追い抜かれ、後進国の仲間入りさえしてる。
[編集] 停滞期(現状)
90年代当時の安価な高速(当時)ネットワークであったxDSL系の全国的な普及以降、他国では00年代本格的に展開されている光回線によるブロードバンド移行などは遅々として進んでおらず、既に世界の趨勢(先進各国)よりはるかに遅れた低速ネットワークによる構成を持つ国に分類される状況となっている。
この理由として、韓国国内の土地などに対する投機的要素とそれを基にしたバブルが、インフラストラクチャに対する投資ではなく、さらなる土地投機へ流れ、日本などからの融資も再度投機的な投資にまわされている現状がある。この流れの中、インフラへの投資意欲はさらに減退し、xDSL以降の大きな金額が必要となる投資自体に国家が逃げている現状もある。
また、世界で唯一、2007年初頭における経済的危機状況を抱える国であり、韓国の経済状況は急速に悪化しており、IMFによる緊急融資を受けた金融崩壊直後以上にインフラへの投資が行えない状況となっている上、自国の勝手な論法により、世界のインターネット基盤への過剰な寄り掛かり体質から、韓国のインターネット自体を切り離して対応する案などが持ち出されている現状がある。
[編集] インターネット文化
インターネットはグローバルなテクノロジーであるとはいえ、それに盛り込まれるコンテンツは国情や規制環境に応じて様々な特色がある。特に世界的に普及している英語などに比べ、日本語や朝鮮語は比較的孤立した言語であり、このような言語で構成されるWWWは特徴的なのが前面に出る。これをインターネット文化と呼ぶとすれば、韓国は極めて特色あるインターネット文化を構築しているといえる。
[編集] 知的所有権・著作権関連
韓国ではインターネットの普及以前から著作権や肖像権の管理が比較的緩い環境にあり、とくにテレビ局やレコード会社の立場が強く芸能人の立場が弱いため、日本では考えられないほど無料の音楽や動画コンテンツが普及している。KBS、MBC、SBSなどの主要テレビ放送局のみならず、一部ケーブルテレビ局までインターネットテレビのストリーミング放送サービスを実施しており、またインターネットラジオの聴取者のほうが通常ラジオより多くなっている。
しかし2003年7月から著作権法が改正され、デジタル環境下での出演者などの権利が強化されたため、これまで自由にリンクできたバグス・ミュージックやKBS国際放送のオーディオやMVが2004年10月から11月にかけてリンクできなくなった。バグス・ミュージックは新著作権法違反で訴えられ、ソウル地方裁判所で損害賠償命令を受けている。
[編集] 電子政府
日本の電子政府化構想は住民基本台帳ネットワークシステムで躓きをみせたが、韓国では住民登録番号制度が早くから根付いており、政府の積極的な電算化の実施もあって電子政府化が進展している。日本の自治体サイトでは市民の批判や荒らしを恐れて公開掲示板を設けないところがほとんどだが、韓国では市民の意見も大半が公開されている。政治面でも2002年の大統領選挙では盧武鉉候補を支持する若者たちがインターネットを通じて支持団体「ノサモ」を結成したほか、盧武鉉候補寄りの報道をしたオーマイニュースなどが強く作用した。インターネットを通じて支持を集め当選を固めた盧武鉉大統領は、史上最初のインターネット大統領と呼ばれる。
[編集] 言語インプリメント
韓国経済は中国、米国、東欧に積極的に投資するなどグローバル化が進展している反面、朝鮮語は日本語以上にマイナーな言語である。このためインターネット・コンテンツの多言語化も急速に進展している。日本でも都道府県レベルのウェブサイトでは多言語サイトが見られる。韓国自治体サイトの大部分は朝鮮語、英語版に加えて、日本語版や中国語版をそろえており、多言語化が徹底している。
[編集] 携帯
- 通信インフラ
- 日本も携帯電話の普及率は70%を超えたレベルだが、韓国の携帯電話普及率は80%超と日本以上であり、国民の大部分は携帯電話なしでは生活できない状態になっている。さらに高速ワイヤレス規格のWiMAXに含まれる韓国中心とした拡張規格であるWiBroの展開や、国土の狭さにより投資費用が必要ないTVの地上波デジタル化などが進められている。
- しかし、WiBro導入から1年半経過した2007年2月現在、WiBroサービス加盟者が韓国全体で976人という実情が公表され、サービスとして機能していない点や価格が非常に高価なままで回収に目処が立たないという現実が露呈している。このため、WiBroサービス自体を停止するという判断を迫られている。
- 携帯機器端末
- 操作面で言えば韓国の携帯電話は2000年春からJAVAによるアプリケーション実行環境が搭載され、動画・音楽の利用が可能となった。2004年1月から番号ポータビリティが開始されKTF、LGテレコム、SKテレコムの大手3社の加入者の間で2004年には約300万人が移動した。
- 携帯電話の製造会社は、SamsungやLGなどデザインは日本の物と比べると独創的なものもあるがノキアのデザインに近いのが多い。
- ただし、最終製品の製造元会社は韓国のものだが、実情として、内蔵機器・部品及び電池を含む基幹部品は、ほぼ全て日本製であり、"日本の代理携帯組立工場"と呼ばれる状況となっている。
- そのため、貿易黒字の6割以上を日本からの部品購入費として使用している。
[編集] その他
インターネットの日韓関係についていえば、日本語と朝鮮語は言語構造が近く、漢語からの借用語が多い点でも似ているので、自動翻訳が相当程度有効であり、NAVERなど日韓自動翻訳掲示板なども現れている。
また、「カフェ」と呼ばれる同好の仲間が集まる会員制の掲示板も普及している。簡易的に友人向けの個人のサイトを開設できるサイワールドが行っているminiHP(ミニホムピ)サービスは1000万人を超える会員を持ち、政治家や芸能人までもが利用している。このサービスはSNSのさきがけと言える。
[編集] 問題点
基本的に韓国は、インターネットを活用する手法において、自らの行動の結果により国際的な信頼を失墜しつつある。
[編集] 文化面
- ゲーム・マルチメディア
- 早くからブロードバンド環境のインターネットが整備されたために、インターネットを介して不特定多数と共通のサーバ上で遊ぶオンラインゲーム(代表的なものにMMO)が発達。熱中する若い世代が話題になっている。充分な休養を取らずに長時間プレイを続け、プレイ中、または直後に死亡したケースもある。
- 犯罪・ネット詐欺
- 通信環境が早くに発達した分、インターネットを利用した犯罪もまた早くに広がった。電子掲示板上での誹謗中傷が問題化した際には「掲示板実名制」が実施され、一部大手ポータルによる掲示板は本名による登録が必要となった。またスパムメールの氾濫も問題化している。
- また、電子掲示板による売春行為も盛んであり、女子高生が自らを性奴隷として時間売りするような掲示板が摘発されたり、80代の老女を強姦するための掲示板が存在するなど、モラル的にも非常に崩れた状況となっている。
- 外国人や障害者への対応
- 韓国に在住する外国人にとって韓国のインターネット利用は、韓国国民が全て保持している住民登録番号を基に本人であるかどうかを確認するため、特にオンラインショッピングや有料・無料加入の会員制のサイト利用に大きな支障をきたしている。韓国政府は外国人長期滞在者に住民登録証に似た外国人登録証を発行、似たような体系の外国人登録番号を付与しているものの(2002年ごろに新外国人登録証の発行を契機に同番号の体系を住民登録番号の体系と同じくしたというが、今でもネット上では拒否される場合が多い)一部サイトを除き外国人登録番号に対応しているサイトは少ない。
- また、身体障害者に厳しいという韓国の国状を反映し、身体障害者の場合、利用できないサービスが存在する。
- 排他的国民の特異性による対外攻撃
- 対外的な面として、組織的なものではVANKなどや個人レベルでも、ナショナリズムを煽るような根拠の無い(または薄い)一方的な、かつ排外的・侮蔑的な表現を含む主張(特に反日的主張)を日本を含めた海外のオンラインコミュニティにおいてしばしば展開しているという点が、各方面では問題視されている。例えば、政治的なアンケートで組織的に票を入れ続けたり、2ちゃんねるにアクセスを殺到させた他、google Earthの日本海表記に組織的に抗議したり、FIFAワールドカップ2006では、スイス戦で敗れた後に「抗議すれば再戦になる。」というデマが流れ、韓国からFIFAのHPへのアクセス数が爆発的に増えたため、韓国からのアクセスが一時遮断されるという事態が起きたこともあった。[1]
- この他、英語版Wikipediaにおいて「In other languages」(他の言語)の配列を言語コード(ISO 639-1)のアルファベット順でなく、各言語においてその言語を意味する単語のローマ字表記(「日本語=Nippon-go」・「フィンランド語=Suomi」など)を基準に並べ替えているのは大半が韓国から「ハングル=Hangeul」を日本語よりも上位に表示させるために行っている編集である可能性が疑われている(日韓問題#アルファベット表記問題や朝鮮語の呼称問題も参照)。
- 事実捏造・歪曲
- 韓国の儒教的な文化の歪みの発露として、信用のおけるサイトの情報ならば、事実ではなくとも真実として会話や主張に使用し、相手を論破すれば、"嘘でも真実になる"という文化がある。
- そのため、竹島領土問題などをアメリカ・イギリス・フランス等の主要なWikipediaの項目内容を現地に在住する韓国人利用者が、自国有利な内容に書き換え、それを基に多くの主張を行うという行動が多く見られ、現在も書き換えが行われている状況である。
- また、韓国起源説による剣道の起源や空手の起源を捏造する行為も行われ、世界各国で日本固有の文化を韓国人が自国のものとして捻じ曲げて主張する行為が目立っており、日本と韓国の新たな火種になりかねない状況となっている。
[編集] 技術面・政策面
- システムアーキテクチャ面
- 韓国の各種ネットワークサービスの基になるサーバ群も、他国のUNIXやLinuxを主体とし、Java技術を使用したWeb3層構造のシステム設計ではなく、単純なWindowsサーバによるActiveXを中心とした1層若しくは、CGIとして使用したWeb2層による、非常に簡易な構成を取られている場合が多い。
- これは、Web3層構造のようなスケールアップ/スケールアウトを考慮したものではなく、初期投資を抑えて安価ではあるが、拡張性・メンテナンス性の非常に低い簡易Webシステムである。この形態の国家的浸透により、システム障害への対応がほぼ困難な、ある意味、鉛に金メッキを施したような虚栄心を満たすためだけの出鱈目なシステム構築がまかり通っている現状がある。
- システムプラットーホーム面
- 2007年のWindowsVistaの発売の際、システムアーキテクチャ面での不備により韓国内ではVistaへの更改には相当年掛かるとの推測も出ている。この状況の回避策として、急遽、オープンソース製品への傾注を進めているが、オープンソースの文化的中心であるアメリカや欧州、日本のように継続的な開発と、基盤技術への投資を全く行っていなかったツケが露呈しており、まともなバグフィックスや対処が取れるエンジニアが払底し、独力で何も出来ない状況に陥っている。そのため、Linuxなどでは日本と中国が主導的な対応を進めるAsianLinuxなどを利用しようとしている。
- ネットワークインフラ面
- 前述のように儒教中心の文化とインターネットによるより開放的な文化の狭間で生じた、文化的な負の面を押さえ込むために取った、インターネット上での記名性保持やネットワークインフラへの使用的制限により、個人レベルや企業レベルでのルータの使用・所有に制限を掛けたため、プライベートネットワークとその上のIPの使用に制限をかけられており、IPv4のアドレス資源枯渇につながるようないたずらなIPアドレスの濫費も指摘されている。
- 一方、サムソンやETRIが主導的な役割を果たしたWiBro(WiMAXの一部規格)による高速ワイヤレスサービスの提供を世界に先駆けて開始するなどの努力は続けられている。しかし、基幹ネットワークの強化やセキュリティ面の不備を放置するなど本末転倒な対応を続けており、インターネット文化の中心であるアメリカや日本からあきれられている。
- 電子商取引やセキュリティ
- 韓国では電子商取引の企業と一般消費者間の取引が極めて充実している反面、企業間取引の利用があまり進展していない。またeコマースの決済制度は依然銀行振り込みが多いため、政府が音頭をとってクレジットカードの普及を図った。この行為により、国民一人当たりの借入額が世界1位であり、法律的に合法な利率が69.5%と、後進国でも特異な状況もあり、個人破産の発生が日本の十数倍という、クレジット大国となりつつある。
- セキュリティの面でも、安価なWindows系サーバを基幹業務に使用するというITを軽視した文化が浸透しているため、KlezやNimdaなどのワーム類に感染したサーバ群が同時期に大量に発生し、それにより韓国国内のインターネット接続が事実上ストップした。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 大木登志枝「アジア・インターネット白書」(アスキー)