ACE (ミュージシャン)
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ACE(エース)は、1959年3月9日生まれ、兵庫県神戸市出身のミュージシャン(ギタリスト、歌手、コンポーザー、プロデューサー)。血液型はB型。
1999年に解散した聖飢魔IIの元メンバーで、聖飢魔IIではギターを担当、エース清水 (えーす しみず、Ace shimizu)と名乗っていた。通称「聖飢魔IIの赤い風」。聖飢魔IIの設定に基づくプロフィールによれば、「B.D.100036年3月9日、地獄のGod's Door発生の聖飢魔II初代ドラマー、ドラマー退任後はギタリスト。初期はキーボーディストも兼任していた。元々は魔界に於いて、地獄中央情報局長官の職についていた。」との事である。聖飢魔IIのファン(信者と呼ばれる)や、公式設定ではエース清水長官と、長官の敬称を以って呼ばれる。(実際の日本語の用法としては長官は役職であり、敬称ではない。長官職の者への敬称は長官閣下等、閣下が妥当である。)
以降、混乱を避けるためにエースは人間であるとしての説明とする。
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[編集] 来歴
ACEという名前は、学生時代バレーボール部のキャプテン(エース)だったことに因む。聖飢魔IIに容姿の影響を与えたと思われる、元祖白塗りメイクバンドキッスのエース・フレーリーとは無関係。
早稲田大学高等学院を経て早稲田大学法学部を卒業。ギターを始めたのは中学生時。大学在学時代よりプロ活動を開始。アルバイト感覚で市販バンド・スコアの写譜や譜面起こしを始めるが、センスを買われたのか下書きだけではなく清書まで任され、発展して最終的にはギター、ベースギター、キーボード等の教則本等の執筆を行う。一方で、つのだ☆ひろ&ジャップス・ギャップスのギタリストとして本格的にデビューする。但し、このバンドではレコーディングに参加はしておらず、ステージ上の演奏のみである。
その後、聖飢魔IIのエース清水長官として1985年にCBS/SONYからレコードデビュー。以降は魔界から来た悪魔のミュージシャンという設定の元に音楽活動を展開する。
聖飢魔IIには1982年(聖飢魔II風の暦ではB.D.17)12月の結成時から1983年(B.D.16)10月まで初代ドラマーとして参加。一時脱退するが、1984年(B.D.15)8月に3番目のギタリストとして復帰し、1999年(D.C.1)の解散まで務めた。 2005年(D.C.7)に期間限定で再集結した。
又、聖飢魔II現役時の1987年と1991年には、音楽学校で教えていたこともある。後者の時は、東京レコーディング・スクール。ギターの演奏技術と理論については定評があり、ロング・セラーとなっているギタリスト向けの音楽理論教則本が1999年に発売され、現在は続編合わせて3タイトル刊行されている。
聖飢魔IIとしての活動の他、プロデューサー、ソロアーティストとしても活躍し、1999年の聖飢魔II解散後はACEに改名。人間のミュージシャンとして元グラスバレーの本田海月とユニットface to aceを結成し、ギタリスト兼ボーカリストとして活動中である。
[編集] 人物
オペラ歌手の両親を持つだけでなく、父方の祖父母も浅草オペラの全盛期のオペラ歌手、清水金太郎・静子という音楽一家の生まれ。祖父の金太郎は昭和初期に早世しているため現在の知名度こそ低いが、浅草オペラの歴史にあっては田谷力三と双璧と謳われる名歌手である。これについては当初は聖飢魔IIというバンドの性格上伏せていたが、テレビ番組「徹子の部屋」に聖飢魔IIとして出演した際に本人が明かした。尚、黒柳徹子は「シミキンの孫」と誤解していたが、シミキンとは、清水金太郎の門下生で喜劇俳優の清水金一の愛称であり、金太郎を指すものではない。
日常生活の中でクラシック音楽に慣れ親しみながら育ち、ハードロックに傾倒するようになってからも一音一音のニュアンスやハーモニー、トータリティーを重視してきたギタリストで、いわゆるロック小僧ではなかった。音に対するセンスの良さはコーラス等に顕著であり、聖飢魔IIの中ではアンサンブルの先生といった立場であった。ロックスピリットを強く持った同じギタリストのルーク篁とは、正反対のプレイスタイルであり、互いの個性を尊重しながらも、意識的に異なる持ち味を発揮することで上手く共存し、且つバンドの音楽性に広がりを持たせた。
クリアで艶のある音色のギターが特徴で、彼の奏でるエモーショナルなギターソロは、聖飢魔II後期よりエース節と称されるようになった。速弾きについては不得意であるとインタビュー等で本人が何度か告白しているが、バッキングフレーズの面白さは、ACEならではのものと言える。多くのロック/ジャズ・ギタリストとは異なり、勢いやアドリブ系で攻める事は殆どなく、ギターソロも鍵盤楽器で基盤を作ってからギターに起こすなど、計算派タイプである。その為、音楽雑誌上で「作曲ソロ」と呼ばれる事もある。しかしながら、最近ではface to aceのライブにおいてアドリブを演奏する姿が見られることもあり、元来志向する音楽フィールドで活動していることが影響していると思われる。
作曲においても全体を重視する姿勢は変わらず緻密に計算された曲を作り、その特徴は「構築」とすら表現される。湿り気と空気を感じさせる曲が多く、デーモン小暮閣下は、ACEの作る曲は特にサビが良いと評価していた。
聖飢魔II時代の公式設定では「血液型はB♭m7-5(ビー・フラット・マイナー・セブンス・フラットフィフス)」としているが、これは音楽用語におけるコード(和音)の一種の事で、しかも単純にBmやB△等といったコードを使わず、テンションや♭5を多用したこの設定に、彼の音楽に対するかなりマニアックなこだわりが垣間見える。
聖飢魔IIの初代ドラマーでもあり、face to aceではボーカルを務め、加えてベースギター、キーボードもこなすマルチプレーヤーである。
エース清水名義のソロアルバムTIME AXISは、ACEの強い要望によりサウンドプロデューサーに本田恭之(現本田海月)を招き、ACEはギターとボーカルを担当した。この時の好感触が後年のface to ace結成へと繋がることとなった。よってこのアルバムは、face to aceの原点とも言うことができるだろう。
公式設定ではドラマー~脱退~ギタリストとして再加入という形になっているが、聖飢魔IIデビュー=プロデビューという他の聖飢魔IIメンバー(構成員と呼ぶ)と違い、既にプロミュージシャンとしてのキャリアを持っていたACEは、聖飢魔IIのデビューが決定し、デビューメンバーとしてオファーを受けるまでは「正式メンバーという意識もあまりなく、大学サークルのOBとして後輩のバンドに必要や要請があれば参加していた程度であり、加入・脱退・復帰という感覚もなかった」と近年語っている。田代まさし司会のテレビ番組でデーモン小暮閣下が語ったところによると、ドラマーとしてなら参加してもよい、というACE自らの希望により初代ドラマー就任となったようだ。プロギタリストという立場を考慮してのことだと想像されるが、デーモン小暮閣下曰く「ドラムが叩きたいお年頃だった」とのこと。但し、ACE本人談では多少異なっており、「ダミアン浜田がさ、清水さん清水さん、ドラム叩きまへんか?とか言ってきたんだよ。・・・そうだよ、俺最初ドラム叩いてたんだよな、嫌んなっちゃうよね(笑)」との事である。
また、聖飢魔II在籍時において、他の聖飢魔IIメンバーよりも悪魔であるという設定をあまり気にせずに発言する事が多い。例を挙げればきりがないが「ダミアン殿下(聖飢魔II創始者)のさぁ、あの悪魔組曲とか、モアイとかっていう発想は一体どこから出てくるのかねぇ。それが面白いっていうか、凄いなぁと思って(笑)」等、気にしないどころか自らが悪魔である事を否定するような発言も多かった(また、そういうメンバーの発言ををそれなりに許容してしまうところも聖飢魔IIの面白さであり特徴といえた)。
手先が器用で、聖飢魔IIデビュー当時の衣装(戦闘服と呼ぶ)は自ら材料を集め作成した。エフェクターやボリュームペダルを自作し使用していたこともある。2006年12月にキャパリソンギターズから発売されたギター、ACEシグネチャーモデル「SUSANOH(スサノオ)」には、ACE考案のスペシャルコントロールが搭載されている。
読書家であり、都筑道夫の著作は全て読破するファンである。読むのみならず文筆にも才を示し、シンコーミュージックから出版された『THE SATAN ALL STARS』(雑誌ギグス12月増刊)には、都筑道夫へのオマージュを込めた短編小説「ロシアンブルー」を発表している。また、バレーボール雑誌やエアガン雑誌にもコラム、レポートを連載し好評を得ていた。漫画家とも広い交友を持ち、石渡治とは酒飲み仲間という縁から、石渡治の作品に聖飢魔IIのメンバー(構成員と呼ぶ)が登場したり、石渡治が聖飢魔IIのアニメのキャラクターデザインを担当した。
聖飢魔IIでは、最年長者であることもあり他のメンバーから一定の敬意が払われている。これは単純に大学の先輩だったからという事も非常に大きいであろうが、音楽的素養が極めて高かったこと、プロミュージシャンキャリアとしても先輩である事等が理由であろうと思われる。
余談であるが、ファンの間では絶対音感を持っていると言われる場合が多々ある。事実がどうであるのかは本人が語った事はない為、不明である。彼が絶対音感があると思われた根拠としては「音楽一家の家庭で育ち、ハーモニーの基礎を幼少時から学んでいた為」、「音楽理論に造詣が深い」、「ミサでBig Time Changesではデーモン小暮の即興スキャットをその場でギターで再現出来る為」等がある。しかし、これらは絶対音感に直接繋がるものではない。音楽一家で育ったからと言って、必ず絶対音感が身につくとは言えない訳であるし、ハーモニーの基礎と絶対音感は異なる概念である。当然、音楽理論は音楽の要素の形体化した知識と知恵であり、これも身に付けるのに絶対音感などは不要である。デーモンの即興スキャットの瞬時再現にしても、Big Time Changesの演奏時であり、キーに変更はない為、即興再現に必要なのは相対音感、ある程度のスケールの知識、ギター演奏のキャリアであって、絶対音感は関係がない。
[編集] ディスコグラフィ
[編集] 聖飢魔II
詳細は聖飢魔IIのディスコグラフィ参照
- 聖飢魔II~悪魔が来たりてヘヴィメタる (1985)
- THE END OF THE CENTURY (1986)
- 地獄より愛をこめて (1986)
- BIG TIME CHANGES (1987)
- THE OUTER MISSION (1988)
- 有害 (1990)
- 恐怖のレストラン (1992)
- PONK!! (1994)
- メフィストフェレスの肖像 (1996)
- NEWS (1997)
- MOVE (1998)
- LIVING LEGEND (1999)
[編集] エース清水
- TIME AXIS (1993年)
[編集] face to ace
- 1st single『MISSING WORD』(2001年10月24日発売)(c/w BLIND FLIGHT-無視界飛行- / ANGEL SMILE-BONUS TRACK-)
- 1st ALBUM『FACE TO FACE』(2002年1月1日発売)
- 1st video『As Cubic Eyes』(2002年2月14日発売)
- 2nd single 『...I KNOW』(2002年2月21日発売)(c/w オルフェウスの朝 / がらすのゆめ / オルフェウスの朝-SweetTenderMix- / ...I KNOW-Inst-)
- 3rd single 『CLOUDY DAY』(2002年7月24日発売)(c/w 残像 / Bring you back to me-live atSHIBUYA AX- / CLOUDY DAY-Inst-)
- 4th single『RAIN』(2002年11月21日発売)(c/w パンドラの空/RAIN-Inst-)
- 2nd video『AFTER THE RAIN』(2002年11月21日発売)
- 2nd ALBUM『a new day』(2003年1月22日発売)
- 1st DVD『notescape』(2003年2月21日発売)
- 5th single 『ノンフィクション』(2003年4月23日発売)(c/w ノンフィクション-KURAGE mix- / 桜 / ノンフィクション-Inst-)
- 80'S洋楽カバーアルバム『SONGS MAKE MY DAY』(2003年7月24日発売)
- 6th single『KALEIDO-PARADE』(2004年6月4日発売)(c/w 流星雨 / INTO THE BLUE)
- 限定DVD 『THE DOCUMENT』(2004年12月27日発売)
- 3rd ALBUM『FIESTA』(2005年1月21日発売)
- 7th single『TOUGH!』(2005年7月8日発売)(c/w 風の向こうへ)
- ベスト盤/DVD付『the best of face to ace』(2005年10月21日発売)
- 弦楽五重奏を迎えたセルフ・カバーMini Album『fuse』(2005年12月9日発売)
- 8th single 『ヒグラシ/GET MY DAY』(2006年9月8日発売)
- 9th single 『雪化粧/街の灯』(2007年1月26日発売)
- DVD『5th Anniversary MASTER PLAN“MAJESTY”』(2007年2月9日発売)
[編集] プロデュース作品・他
- 清水玲子イメージアルバム『Milky Way』「Silent Eyes」「Emotion」曲提供 (1988年2月25日発売)
- 小笠原ちあき 『ちゃきちゃきはうすのサウンド・カーニバル』「Dog Days~真夏日~]曲提供(1988年6月1日発売)
- 小暮伝衛門『好色萬声男』「AQUARIUS~LET THE SUNSHINE IN ~帰墟~」ギター参加(1990年4月21日発売)
- 角川映画サイレントメビウス シングル『イメージソング~XY』「Wing of Heart」曲提供 (1990年12月21日発売)
- 大西結花『HEARTLESS DANCE』(1991年)
- 大西結花『ONE WAY CALL』曲提供(1991年)
- サイレントメビウスドラマアルバム『WARNING』曲提供 (1991年2月25日発売)
- イメージアルバム『うしおととら』「英雄不要論序説」」「パンドラの箱」曲提供 (1992年6月24日発売)
- 八木田麻衣シングル『逢いたい人の名を(Dear BOYS)』(1994年2月2日発売)
- 八木田麻衣シングル『キスと流星』(1994年6月22日発売)
- 東京パフォーマンスドール『NEVER STOP』「DOUBT~今日の貴方はよく喋る」 (1994年8月1日発売)
- デーモン小暮『DEMON AS BAD MAN』「WILD LIFE」曲提供 (1995年9月21日)
- 佐竹雅昭WITH林原めぐみ『覇王咆哮』(1996年8月28日発売)
- ダミアン浜田『照魔鏡』「TEARS IN THE RAINBOW」ボーカル参加(1996年11月20日発売)
[編集] 教則ビデオ
- エース清水のロック・ギター・フォー・ビギナーズ (VHS)(1996年1月12日発売)
- エース清水のパワー・アップ・ザ・ロック・ギター (VHS) (1996年10月21日発売)
- ACE直伝 ダイアトニック・コード活用術 (DVD)(2004年1月24日発売)
[編集] 教則本
- ギタリストのための音楽理論研究~鉄人への道~byエース清水 (1999年12月10日発売)
- ギタリストのための音楽理論研究 鉄人への道 Part2 ACE著 (2006年3月23日発売)
- ギタリストのための音楽理論研究 鉄人への道 Part3 ACE著 (2006年3月23日発売)