MD-80/MD-90
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マクドネル・ダグラス MD-80/MD-90
マクドネルダグラス MD-80/MD-90(McDonnell Douglas MD-80/MD-90)とは、マクドネルダグラス社が開発した、2発リアエンジンでナローボディの大型短距離ジェット旅客機である。DC-9シリーズのひとつであり、MD-80とMD-90、MD-95の3つの派生型に分けられる。ベストセラー機のひとつとして、2000機近くが生産された。
MD-80/MD-90の派生型のひとつのMD-95は、開発の最中にマクドネルダグラス社をボーイング社が買収し、開発・製造を引き継いだため、正式名称はボーイング717となった。
目次 |
[編集] 開発までの経緯
[編集] DC-9の誕生
詳細は、DC-9を参照
DC-9シリーズは、1963年4月に開発が決定し開始された。前作のDC-8よりもエンジンをはじめとする性能面の向上が目標とされた。
ライバルのボーイングが開発していたボーイング727と違い乗客数が70名~90名と、DC-9はボーイング727よりも多少小さかったが、DC-9の売上はよく、マクドネルダグラス社は大きな成功を納めた。
[編集] MD-80とMD-90の開発
1980年代に入り、マクドネルダグラス社は新たにDC-9シリーズの一環として、新型旅客機MD-80の開発を開始した。
このMD-80はボーイング727よりも低騒音・低燃費で、パイロットは2人だけで済むなどという利点から、当時まだ勢力を保っていたボーイング727を圧倒した。このことが、ボーイング727の生産終了の決め手となったともいわれている。
こうして、MD-80は1995年に航空会社によって就航が開始された。MD-80は人気が高く、当初の派生型、MD-81に次ぎ、MD-82/-83/87型が開発、製造された。また、コックピットの一部がグラスコックピット化されたMD-88も登場した。
1993年には、MD-80シリーズの後継機ともいえるMD-90型が登場した。乗客数は約160名と、前作のMD-80シリーズよりも多く、MD-80よりもさらに低騒音・低燃費であったが、MD-80シリーズほどの人気は得られなかった。MD-80シリーズは1999年まで、MD-90型は2001年まで生産が続いた。
[編集] MD-95の登場とマクドネルダグラスの買収
MD-90型に次ぐ短距離ジェット旅客機は、MD-95という名称で1991年から開発が始まっていた。MD-90よりも乗客数を減らし、乗客数は100名程度が目標とされた。
だが、開発中にマクドネルダグラス社はボーイングによって買収されたため、開発はボーイングが引き継ぐこととなった。機種名はボーイング717となり、1998年より生産が開始された。
こうしてボーイング717が誕生したものの、2001年のアメリカ同時多発テロの航空旅客一時激減などの影響を受けて、生産は2006年に終了し、生産機数は156機という少数にとどまった。
[編集] MD-80
MD-80シリーズは、中型の短距離旅客機である。
機体後部に2基の小さなエンジンを装備し、高能率な翼、T型の特徴的な尾翼が印象的で、マクドネルダグラス社の前作、DC-9の後継機となった。座席配置は横5列で、エコノミークラスの座席配置に最適だった。乗客数は、70名~90名程度である。
1980年に就航し、DC-9よりも人気が高く、活躍時期も長かった。また、このころに登場したボーイング737-400のライバル機にもなった。
主要な運用者としてアエロメヒコ、オーストリア航空、ノースウエスト航空、アメリカン航空、デルタ航空、スカンジナビア航空、スイス航空、アリタリア航空、フィンランド航空、イベリア航空、日本エアシステム、中国東方航空、中国北方航空アラスカ航空、大韓航空、ミッドウェスト航空が挙げられるが、これらの多くが2000年代に入って引退させている。また、この他にも59の航空会社が少数ながらMD-80シリーズを導入している。
[編集] MD-90
MD-90は、MD-80の後継型にあたる旅客機であり、MD-80よりも近代化されていた。しかし、後継型でありながら乗客数は160名程度と、MD-80よりも圧倒的に多かった。エンジンは、低騒音で低燃費のIAE V2500を搭載していた。
MD-90は1989年に開発が開始され、1993年に初飛行、1995年に路線就航した。
デルタ航空、サウジアラビア航空、日本エアシステム、スカンジナビア航空が主要なユーザーとなった。2006年8月時点で、MD-90は中国東方航空、中国南方航空、日本航空、ライオン・エア、サウジアラビア航空、立栄航空、Blue1、Hello、Nordic Regional、スカンジナビア航空、デルタ航空が使用している。
MD-90は、DC-9ファミリーの中で最も生産機数が少なかった。
日本エアシステムが導入したMD-90は、映画監督の黒澤明がデザインした7種類の虹色塗装のものであったが、日本航空との合併により現在では日本航空標準の塗装に変更されている。
[編集] MD-95
詳細は、ボーイング717を参照
MD-95は、DC-9シリーズの最終作である。MD-90の後継機として開発された。開発途中の1997年にマクドネルダグラス社がボーイングによって買収されたため、正式の機種名はボーイング717である。
新たにロールスロイスのBR715型エンジンを搭載している。また、グラスコックピットが不十分であったコックピットが、大幅にグラスコックピット化されている。
156機のボーイング717が1988年~2006年まで生産された。トランスワールド航空、バリュージェット航空(現在のエアトラン航空)、ミッドウェスト航空、ハワイ航空が主要なユーザーとなった。
[編集] 仕様
MD-81 | MD-82/-88 | MD-83 | MD-87 | MD-90-30ER | |
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乗客数 | 172 (1 クラス制) | 139 (1 クラス制) | 172 (1 クラス制) | ||
最大離陸重量 | 140,000 lb (64,000 kg) | 149,500 lb (67,800 kg) | 160,000 lb (72,600 kg) | 140,000 lb (64,000 kg) | 166,000 lb (70,760 kg) |
航続距離 | 1,570 nm (2,900 km) | 2,050 nm (3,800 km) | 2,500 nm (4,600 km) | 2,400 nm (4,400 km) | 2,750 nm (4,425 km) |
就航速度 | 811 km/h | ||||
全長 | 147 ft 8 in (45.1 m) | 130 ft 4 in (39.7 m) | 152 ft 7 in (46.5 m) | ||
全幅 | 107 ft 8 in (32.8 m) | 107 ft 10 in (32.87 m) | |||
全高 | 29 ft 6 in (9.05 m) | 30 ft 5 in (9.3 m) | 30 ft 6 in (9.4 m) | ||
エンジン (2 x) | P&W JT8D-209 各18,500 lbf (82.29 kN) |
P&W JT8D-217A/C or -219 各20,000 lbf (88.96 kN) |
P&W JT8D-219 各21,000 lbf (93.41 kN) |
P&W JT8D-217C 各20,000 lbf (88.96 kN) |
IAE V2525-D5 各25,000 lbf (111.21 kN) |