みすず監査法人
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みすず監査法人(みすずかんさほうじん、英文名称:MISUZU Audit Corporation)は、日本最大手の監査法人。本部は、東京都千代田区霞が関三丁目の霞が関ビルに置かれている。いわゆる「4大監査法人」の一つ。
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[編集] 概要
監査を担当している会社は5330社にも上り、トヨタ自動車、ソニーなど、日本を代表する超一流企業をクライアントに持っていたが、2006年の業務停止処分によりこれら超一流企業であるクライアントの多くを失った。理事長は片山英木(前理事長は奥山章雄 (前日本公認会計士協会会長) )。世界4大監査法人の1つである、アメリカ合衆国のプライスウォーターハウスクーパースとは提携関係にある。
[編集] 沿革
- 1968年12月 - 監査法人中央会計事務所として発足。中瀬宏通、村山徳五郎の二枚看板(両名とも元日本公認会計士協会会長)の事務所運営のもとに大きく発展した。
- 1988年7月 - その後、準大手だった新光監査法人と合併し、中央新光監査法人になった。
- 2000年4月 - 青山監査法人(グローバルな監査法人)と合併し、名称が中央青山監査法人となった。
- 2001年1月 - 監査法人伊東会計事務所と合併。
- 2006年9月1日 - 名称をみすず監査法人に改称した。
[編集] 粉飾決算関連
[編集] 合併前の中央監査法人での出来事
山一證券、ヤオハン、足利銀行など、粉飾決算をしていた破綻会社の監査を担当していたため、破綻後に就任した新経営陣などから訴訟を起こされており、足利銀行事件では、2005年初めに金融庁から戒告処分を受けている。この他には、破綻した赤井電機をクライアントに持っていたが、中間監査までは意見を表明していたのに、期末監査の際に意見表明できないとして、監査人を下りるという事態になったこともある。
[編集] 合併後の中央青山監査法人での出来事
2005年に発覚したカネボウの粉飾決算事件では、同事務所の公認会計士が粉飾を指南していたことが発覚(2005年10月3日、同公認会計士3名が証券取引法違反の罪で起訴された)。事務所や奥山理事長の自宅を家宅捜索される事態にまで発展。奥山理事長を除く理事の全員が辞任に追い込まれた(理事長は留任したが、報酬を50%カット。のち、2006年5月の業務停止処分を受けて退任)。
2006年に騒がれているライブドアマーケティング(現 メディアイノベーション)の粉飾決算時も監査を担当している。
このように、粉飾決算をしていた会社への関与が他の監査法人に比べて目立っており、信頼性に疑問の声もあがり始めている。司法当局はカネボウ事件について、会計士個人の犯罪として、監査法人の起訴を見送った。しかし、これは監査法人に責任がないと考えたためではなく、こうした事態は想定外であったために金融庁に対応を任せたものともみられている。
2006年5月10日、上記のことを受けて金融庁の公認会計士・監査審査会は、同法人の7月1日から2ヶ月の監査業務停止処分を実施した。これは4大監査法人初の事態である。この処分によってクライアントとの監査契約は7月1日で無効(自動解約)となってしまうため、今後の中央青山の業績、さらには中央青山に監査を依頼している企業に大きな影響が出る(各報道によれば処分で影響を受ける企業は2300社といわれ、代わりとなる他監査法人の確保、切り替えに伴う監査業務引継ぎの問題などがある)と予想されている。
2006年6月1日、海外提携先プライスウォーターハウスクーパースは、日本国内において「あらた監査法人」を新設した。この新設にあたって、中央青山監査法人からあらた監査法人へ一部の社員が移籍した。
2006年12月18日、みすず監査法人が監査を担当していた日興コーディアルグループの有価証券報告書に虚偽記載(利益水増しによる粉飾決算)が発覚。日興の虚偽記載を旧中央青山が見逃していたことに不信感が高まった。みすずは旧中央青山時代に日興の監査を担当し、虚偽記載が問題となった2005年3月期の有価証券報告書に「適正意見」を出していた。
これらの不祥事により信頼性が低下し、多くの公認会計士や職員が離脱するなど混乱が広がった。2007年2月20日、みすずの片山理事長は記者会見を行い、みすずが監査業務から撤退し、他の大手三法人(新日本監査法人、あずさ監査法人、監査法人トーマツ)へ監査業務の移管および公認会計士を移籍させる方針を決めたと発表した。これにより、日本最大級の監査法人だった旧中央青山は解体される模様である。