ソニー
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | 略称 = |
本社所在地 | 108-0075 東京都港区港南一丁目7番1号 |
電話番号 | 03-6748-2111(代表) |
設立 | 1946年5月7日 (東京通信工業) |
業種 | 電気機器 |
事業内容 | オーディオ・ビデオ機器 テレビ 情報・通信機器 半導体 メディア (主要商品を参照) |
代表者 | 代表執行役会長兼CEO ハワード・ストリンガー |
資本金 | 6241億2436万円(2006年3月31日現在) |
売上高 | 連結7兆4754億円(2006年度連結) |
従業員数 | 連結15万8500人(2006年3月31日現在) |
決算期 | 毎年3月31日 |
関係する人物 | 盛田昭夫(創業者) 井深大(創業者) |
外部リンク | http://www.sony.co.jp/ |
ソニー株式会社(東証1部:6758) (SONY CORPORATION)は、大手電子機器メーカー・電機メーカーの一つである。特に音響・映像(Audio Visual、AV)機器や放送機材では、世界屈指のブランド力を持つ。エレクトロニクスをはじめ、エンターテインメント、金融、流通等多分野の企業を包括するソニーグループの中核企業。創業者は盛田昭夫と井深大。
目次 |
概説
日本初のテープレコーダーやトランジスタラジオを製造販売した実績から、エレクトロニクス系企業でのブランドイメージは(特に世界では)トップレベルといわれる。
高い創造性と技術力で目新しい商品を次々と発表しているが、会社設立趣意書にある「自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」[1]という思想からか、自社開発の技術に固執する余りにユーザーの支持を得る事に失敗した例も多く、特に近年ではその傾向が更に強まっている。
古くから本業であるエレクトロニクス事業の枠にとどまらず、エンターテイメント分野(音楽や映画等)に力を入れて来たほか、ゲーム分野、金融(保険と銀行)、流通(ソニープラザ)、化粧品、健康食品などの異分野にも進出しているが、それらの失敗で巨額の損失を蒙る例も増えている。近年のソニーの利益の大半は映画(ソニーピクチャーズエンタテインメント)と金融(ソニーフィナンシャルホールディングス)と言った具合で、往年を知るソニーマニアから激しい批判を受けている。
エレクトロニクス分野では、技術力の低下に伴い国内の生産現場の外注化や海外生産の割合が増えつつある傾向にある。かつてトリニトロンブラウン管で圧倒的なブランド力を誇ったテレビ市場でも、ブラウン管技術に固執した事や有機ELなどの開発に力を入れていたこともあり、現在のテレビ市場の主力となっているPDPや液晶技術は、共にパネルの自社生産体制構築に乗り遅れて他社に大きく差を付けられる結果を招いた。
一方、ゲーム分野において、コアとなる半導体部品などを自社開発することによって差別化をはかり、斬新なコンセプトにて開発されたプレイステーションやプレイステーション2のヒットにより、本業であるエレクトロニクス事業の不振分以上の利益を得たが、PSXの大失敗などもあって一時期の勢いは失われつつある。
更にはVAIOやMDなどのエレクトロニクス部門の不振が続き、その責任を取り2005年3月7日に出井伸之代表執行役会長兼グループCEO(最高経営責任者)、安藤国威代表執行役社長及び久多良木健執行役副社長兼COOの3人が退任し、ハワード・ストリンガー執行役副会長兼COOの会長兼CEO就任、中鉢良治執行役副社長兼COOの社長昇進となることが発表され、6月22日の株主総会でソニー初となる外国人トップが正式に誕生した。
デジタルオーディオ技術やNEWS、AIBO、QRIOの開発で知られる土井利忠・元執行役上席常務(2006年5月退職、兵庫県出身:先祖は江戸時代の大老土井利勝)は、スピリチュアル系ライター・天外伺朗である。文藝春秋2007年1月号に「成果主義がソニーを破壊した」と題する論文を発表した[2]。
ブランド
SONY のほか、低価格帯を主軸とし、SONYのロゴを使用していないAIWAを持つ。AIWAは元々低価格のオーディオ製品を手掛ける子会社であったがSONYと合併。
これに加えて、ソニーの強みは「強力なサブ・ブランド」を持つことである。他社においてそれは単なるプロダクト・ネーム(商品名)の域を出ないが、ソニーでは明確なブランドとして存在する。VAIO、ウォークマン、プレイステーション などは、それぞれが単独で高いブランド価値を有する。
株式
普通株式は、東京証券取引所(東証)の外、大阪、ニューヨーク、ロンドンの各証券取引所に上場されている。他にも世界各地で上場していたが、名古屋証券取引所は2004年9月6日に、福岡証券取引所は2004年9月7日に、札幌証券取引所は2004年9月10日に、トロントは2005年11月22日に、ウィーンは2005年12月16日に、パシフィックは2006年1月6日に、パリは2006年1月17日に、フランクフルトとデュッセルドルフは2006年2月15日に、シカゴは2006年2月27日に、スイスは2006年2月28日に、ブリュッセルは2006年4月28日に、それぞれ上場廃止となった。
この外、かつては子会社連動株式(トラッキング・ストック)型の種類株式が東証に上場されていた。この種類株式は、ソニー株式会社の子会社であるソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(SCN、現ソネットエンタテインメント株式会社)の業績に連動した配当が支払われるものであった。しかし2005年12月にSCNがマザーズに上場されると同時に終了となった。
事業領域
ソニーは、自らの事業領域を以下の6分野と定義している。
本体であるソニー株式会社が担当しているのは、上記6分野全体の統括と、エレクトロニクス分野の開発・設計である。
関係会社
「ソニーグループ」の項目を参照。
沿革
- 1946年に井深大、盛田昭夫らが東京都中央区日本橋の白木屋 (後の東急百貨店日本橋店、現在の『COREDO 日本橋』の場所) 三階に東京通信工業を設立。これがソニーの前身となる。初めは真空電圧計などを製作していた。
- 1947年、本社および工場を東京都品川区の御殿山地区に移転
- 1950年、日本で初めてテープレコーダーを製作、販売した。
- 1953年、トランジスタの研究を開始。
- 1955年、トランジスタラジオの製造販売を開始。このとき、商標にSONYを採用しアメリカ合衆国などにも輸出し始めた。
- 1958年、ソニー株式会社に社名を改め、東京証券取引所に上場した。
- 1960年、世界最初のトランジスタテレビを発売。
- 1961年、日本の株式会社として初めてADR(米国預託証書)を発行。本格的な資本調達の国際化のはしり。
- 1968年、日本初のカラーブラウン管、「トリニトロン」方式のカラーテレビを開発した。この「トリニトロン」方式のブラウン管は家庭用、放送業務用問わずテレビ・ビデオモニターの全商品で使われている(種類にはFDトリニトロン、放送業務用モニターで使われているHRトリニトロンなどがある)。
- 1968年、アメリカのCBSと合弁でシービーエス・ソニーレコード(現、ソニー・ミュージックエンタテインメント)を設立。
- 1979年、ソニー・プルデンシャル生命保険(現、ソニー生命保険)を設立した。
- 1989年、コロンビア・ピクチャーズ(現、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)を買収。
- 1998年、アメリカ合衆国のプロゴルフツアー・ハワイアンオープンに協賛。「ソニーオープン・イン・ハワイ」として開催。
- 2000年、ベルリンのポツダム広場にソニーセンターをオープン。ヨーロッパ本社をケルンからベルリンに移す。
- 2001年、三井住友銀行と合弁でソニー銀行設立。
- 2004年、MGM(Metro Goldwyn Mayer Inc.)を買収。
- 2005年、出井伸之会長兼CEOらトップ3人が退任、ソニー初となる外国人トップのハワード・ストリンガー会長兼CEOが誕生。
- 2007年、本社を 東京都港区港南に移転。旧本社地区の保有不動産を、積水ハウスに売却予定。
オーディオ分野
- 1950年、国産初のテープレコーダーの試作に成功、発売にこぎつける。
- 1952年、日本初のステレオ・テープ・レコーダーを作り、NHKラジオ第1・第2の2波を使ったステレオ試験放送(当時は立体放送と言っていた)に使われる。
- 1976年、世界初のビデオデッキを使ったPCMオーディオプロセッサー、PCM-1を発売。
- 1978年、世界初の16ビットPCMオーディオプロセッサー、PCM-1600を発売。
- 1978年、実験的高級オーディオブランドSONY ESPRITの展開を開始(のちのRシリーズに受け継がれる。また、現在のESブランドはこの名残である)。
- 1979年、ウォークマンを発売し大人気となった。
- 1982年、コンパクトディスク(CD)を発表、10月1日にプレーヤー(品番:CDP-101、定価¥168,000)を発売。
- 1984年、世界初の携帯CDプレイヤーディスクマンを発売。
- 1987年4月、民生用DATデッキを発売。
- 1992年、ミニディスク(MD)を発表、プレーヤーを発売。
- 2004年、MDの拡張規格であるHi-MDを発表、プレーヤーを発売。
オーディオ・ビジュアル分野
- 1962年、小型VTRを発売。
- 1975年、家庭用VTRであるベータマックスを発売した。
- 1985年、8ミリビデオを発売。
- 1989年、コロンビア映画(現、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)を買収。
- 1995年、家庭用デジタルビデオカメラを発売した。
- 1997年、DVDビデオプレーヤーを発売した。
- 2002年、アイワを株式交換により完全子会社とし、その後合併した。
- 2005年、12月に中国浙江省でサイバーショットが品質基準に満たしてないとして販売停止を行った。
- 2006年、コニカミノルタのカメラ事業撤退に伴い、同社のデジタル一眼レフカメラの資産の一部を引き継ぎ、デジタル一眼レフシステム「α(アルファ)」を発売すると発表。デジタル一眼レフ分野へ参入することとなった。またコニカミノルタのカメラ・デジタルカメラ・写真関連製品のユーザーサポートも引き継ぐ。
- 2007年、世界の液晶テレビの出荷におけるシェア率で初の1位となる。
コンピュータ分野
- 1964年、世界初のオールトランジスタ電卓試作機MD-5号を発表。
- 1967年、オールトランジスタ電卓 Sobax ICC-500を発売。
- 1982年、CP/Mを標準搭載した8ビットPC SMC-70 を発売。
- 1983年、MSXマシンHB-55(HitBit)を発売
- 1986年、BSD系unix NEWS-OSを搭載した32ビットワークステーションNWSシリーズを発売。
- 1990年、手書き文字認識が可能な、日本語PDAの元祖パームトップコンピュータPTC-500発売。
- 1997年、パソコンVAIO(バイオ)を発売。
- 1998年、ジャストシステムに資本参加した。
- 1999年、子犬型ペットロボットAIBOを発売、国内では販売開始から20分で完売するなど人気を誇った。
近年ではフラットブラウン管(平面ブラウン管)で圧倒的なシェアを誇ったが為に薄型テレビの事業立ち上げが大きく出遅れ、その画面パネルの自社開発・生産体制の構築に失敗。それをS-LCDなどの他社から仕入れると言うコスト面等で極めて不利な状況に追い込まれ、テレビ市場におけるシェアが急落した結果、2003年4月25日には「ソニーショック」といわれる株価の暴落が起こった。最近ではソニーを巨大化させた原動力の団塊層世代が引退間近となっている影響なのか、技術のソニーの力が低下しオーディオ部分では2004年度よりiPodキラーと称し、数々のオーディオ機器を開発・販売するもiPodとの差が縮まるどころか広がるばかりで、2005年12月には中国浙江省でサイバーショットが品質基準に満たしていないとして販売停止とされ社会問題化した。2005年からは液晶テレビの新ブランド「BRAVIA」が好調で多少持ち直しつつあるものの、前出の通り完全に自社技術とは言えない面もあり、またソニー製PC用電池やCCDのリコール問題、各研究所・国内事業所の相次ぐ閉鎖や近年のリストラによる技術者の大量流出など、『ソニーブランド』『技術のソニー』の失墜に歯止めがかからないのではといった懸念が持たれている。
(まだ沿革に加わっていない製品)
歴代社長
文字としての「SONY」の資産
ソニーの幹部の言によれば、この会社の最大の財産は SONYの4文字 であるという。東京通信工業(東通工)として名を知られつつあったときに突然ソニーという名称に変更することは、取引先などからも「なぜ」あるいは「やめていたほうが良い」という反応を招いた。社内においてもその声は強かったというが、日本語圏以外でも普通に発音できる、どこへ行っても読み方の変わらないこの名前にしたことが、現在の同社のグローバルな多角化の萌芽であったという。ブランド価値が高まった現在では、生命保険などの異業種に進出する際にも、消費者に訴求する上で有利に機能している。
フランスに赴任していた若き出井が日本に戻ってきて、欧州で学んだブランドの重要性をソニーに持ち込んだ。かつて一度だけロゴマークの変更を検討し、一般公募したことがあった。その選考結果は新聞紙面に発表され、「ブランドは変えないことに決定した」という内容であった。ブランドの普遍性、永続性を再確認したのである。
1982年より90年代後半まで、唯一のビジュアル・アイデンティティ(VI)だったSONYの4文字に加え、SONYの「S」を象ったドットで形成されたマーク(俗に「いくらマーク」と呼ばれた)と、テレビCMではこれに加え「It's a Sony」というサウンドロゴを用い、絵と音で「ソニー」という企業を印象づけた。
1996年から「Digital Dream Kids」 をコピーとして、デジタルシフトとホーム・エンタテインメント路線を明確にした。「It's a Sony」のサウンドロゴも引き続き用いられた。
2000年から2005年までは「Connected Identity」と呼ぶドットから成るVIをテレビCMのみで使用。一定であらず変容し続ける様、双方向といった来るべきネットワーク型社会への想いを込めた。
現在は、2004年からアメリカのみで使用していた「like.no.other」というコピーを全世界で使用している。「異なる視点・考え方から『新しい』を創造する」というメッセージが込められている。
グローバルな経営方針
ソニーは2000年にドイツ首都ベルリン市の都市開発に参加し、ヨーロッパ拠点となるソニーセンター・アム・ポツダマープラッツを建設した。また大型の薄型テレビ向け液晶パネル製造メーカーであるS-LCDを大韓民国のサムスン電子と提携して設立し、サムスンと特許相互利用できるクロスライセンス契約を結ぶなど、グローバルに事業を展開する。しかし、日本の持つ技術の流出が懸念されて、すべての国家主導の開発プロジェクトから除名された。また一方でサムスン電子の技術でのLCDしか出来上がらないという懸念もあり、その場合にはソニーの薄型TVの商品力につながらないということも指摘されている。
ソニーの技術への評価
特に日本におけるソニーのブランドイメージとして、技術力があることを挙げられることが多い。古くはトランジスタラジオやトランジスタテレビ、トリニトロン方式のテレビやウォークマンなど、ユニークな製品をいち早く市場に送り込んだことから、松下電器と比較して「技術のソニー、経営の松下」と呼ばれる。
トランジスタはベル研究所が発明した物であり、トリニトロンはアメリカで発明されたクロマトロンが原型であるが、補聴器にぐらいしか用途がないと思われていた物をラジオやテレビに応用するなど、これらの技術に目をつけ、いち早く取り入れる姿勢がソニーの最大の強みであるとも言える。 加えていわゆる「スタミナ」や軽薄短小な製品作りなど、既存の製品や技術に改良を加えるという観点からの「技術力」は高い。
それだけではなく、最近では小消費電力技術VMEなど、まったく新しい技術も生まれている。
因みにアメリカなどでは日本とは異なり「マーケティングカンパニーのソニー、技術の松下」と呼ばれている。これは、ソニーがユニークで先進的な商品をいち早く市場に送り込むのに対して、松下は多少出遅れても安価で丈夫な製品を大量に送り込むことが可能であるという見方が強いためである。
独自規格へのこだわり
ソニーは独自に開発した規格への拘りが他社とは比べ物にならない程に強い社風で知られる。また規格対立が生じた場合、ライバル規格はシェアがソニーの推し進める規格を大幅に上回らない限り、採用しないことも多い(特に松下電器産業が採用した規格は、登場当初は採用しないことがほとんどである)。この傾向はパーソナルコンピューターで特に顕著である(VAIOの対応の遅れについて参照)。
たとえばウォークマンの場合、1997年頃まではリモコンとヘッドホンとの接続にマイクロプラグという規格を採用してきた。他社のステレオミニプラグとはサイズやプラグ形状が異なるため、一般的なステレオミニプラグヘッドホンをつなぐ場合は変換アダプターが要った。しかし1997年末頃からは他社と同じくステレオミニプラグを採用するようになった。
ビデオのときも自社開発したベータマックスを推し進め、VHSはなかなか採用しなかった。1980年代中盤頃になるとVHSの勝利が決定的となったが、VHSビデオを発売開始したのは1988年であった。
- 旗色の悪いベータマックスに最後まで付き合った互換メーカーは東芝であった。三洋が1985年に完全撤退したのに対し、東芝は1機種のみながら1993年までカタログにラインアップしていた。しかし、現在東芝とソニーは次世代DVD規格をめぐって対立している。
他にも、
- DVDレコーダーではDVD-RAMに対応せずDVD+RWに対応
- 対応メモリーカードはメモリースティックのみ
- ネットワークウォークマンのWMAおよびMP3への対応の遅れ
- パソコンVAIOでは電子楽器メーカー製造の周辺機器との親和性が良くない機種が存在する。
などの例もある。
こうした傾向が、ユーザーからは「独善的」と見なされて同社に対する不信感を増大させた結果、近年の業績低迷の原因になったとの見方が有力である。
その反省からか、近年ではVAIOでSDカードなど他のメモリーカードの採用・ネットワークウォークマンでMP3およびWMA対応機種をリリースなど、オープン規格対応に転じる動きが出てきた。そして、次世代DVD「Blu-ray Disc」では、長年のライバル、松下電器と同じ陣営になり話題となった。
ソニータイマー
同社のコンシューマー向け製品は何らかの要因で品質保証期限が切れた後で壊れるともいわれる都市伝説の一種。詳しくはソニータイマーを参照のこと。リコール問題と結び付けて、何らかの問題の表れとこじつける者もいるが因果関係は科学的に立証されておらず、民間に蔓延る疑似科学の一種である(健康食品などと同様、体験としての遭遇が一般論に拡張できるとは限らない)。
発生した事件・問題
『XCP』問題
海外の合弁会社ソニーBMG・ミュージックエンタテインメントが出した、コピーコントロールCDのひとつである『XCP』というWindows専用ソフトウェアに、マルウェアであるrootkitのプログラムが含まれていた問題。
2005年11月にセキュリティ会社がこの問題を取り上げたのがきっかけである。世界中にこの問題を波及させることになり、アメリカなどでは訴訟問題まで発展した(のちに和解)。日本のソニー・ミュージックエンタテインメントやBMG JAPANで日本版として発売されたCDにはこのXCPというプログラムは含まれていないが、海外輸入盤CD購入者が多く感染し、購入者がこのソフトによる被害を多く受けていることからマイクロソフトが2005年12月のWindows Updateでこのソフトの削除ツールを提供するまでに至った。その後XCPが他ソニー製品にも含まれている疑いがあるとして、ソニー全体の問題ともされる。なお、詳細についてはソニーBMG製CD XCP問題も参照のこと。
ゲートキーパー問題
ゲートキーパー問題とは、ソニーおよびソニー関連会社内部からネット上のブログや掲示板へ、自社製品の宣伝や競合他社製品を批判する書き込みが行われていた問題である。書き込み主は、ネット上では「ゲートキーパー」、(略称で)「GK」などと呼称される。
上記の活動を行っていた社員が、送信元ホスト名が公開される掲示板に書き込みを行い、素性が明らかになったことをきっかけに2ちゃんねるなどの掲示板で批難を浴びることになり、これ以外にも風俗情報に対する投稿なども見つかり、この様子が写真週刊誌などにも掲載された。
この行為を行ったのはモラルの欠けた一部の社員の身勝手な行動であるとの見方が強く、ソニーの見解もそれと同様であるが、会社としての監督責任が問われる一件となった。
2007年3月には、ペットのフェレットを虐待し2ちゃんねるでの公開を行うという事件が発生。公開した男はその後逮捕されたが、勤務先がソニーであると報道された。このために2ちゃんねる内では騒動となった。
ちなみに、ソニー株式会社やソニーと冠名が付く会社内のプロキシのホスト名はGateKeeper**.Sony.CO.JPであり、これが「ゲートキーパー」の語源ともなった。
ちなみにシャープ社内から2ちゃんねるを荒らしていた者もいたが、こちらはさほど話題にはならなかった。
この騒動以後社員や関係者による自社製品の擁護を行う者を総じて「~GK」と呼ぶようにもなっている。なお、最近は同様の行為を事業として行っているピットクルー社をこれに倣い「ピットクルー」「ピックル」などと呼ぶこともある。
アメリカでも2006年12月に匿名を名乗りPSPを絶賛するブログが登場したが、そのブログを調べてみると口コミのマーケティング企業が経営していることが発覚。この行為がアメリカの各種メディアで取り上げられ、騒動となった。その後、ブログは閉鎖された[3]。
この行為がきっかけとなり、2006年12月にアメリカの連邦取引委員会では、このように企業が資金を根回しして他人が製品を絶賛するようなやらせサイトを行わないように規制する法案が提出されることとなった[4]。
CCD不具合問題
2005年までにかけて、ソニー製CCDを採用したビデオカメラ・デジタルカメラで撮影すると画像に異常が見られたり、あるいは全く撮影できないという不具合が発生した。これは複数の要因が重なって生じた不具合であるが、識者からは加速度試験を行えば発見できた可能性が高いという意見がある。この不具合により100機種以上のビデオカメラ・デジタルカメラがリコールされた。詳しくはSONY製CCD不具合問題を参照のこと。
ノートパソコン発火事故
2006年、ソニー製の電池パックを搭載したノートパソコンが発火したりする事故が相次いでおきており、各社が無償交換・リコールなどの対応を行っている。また電池パックが充電・放電しなくなる等といった理由でリコールを行うメーカーも出てきた。ソニー側はこれらの事故に対して特定の製品に起きた軽微な製造ミスであるなどと説明しているが、これらの事故は消費者やメーカーにおけるソニー製電池の信用を著しく低下させた。 詳細は『リチウムイオン二次電池』を参照されたい。
デスマーチ
SONYの社内体制においてハワード・ストリンガーCEOはSony Connectを例にデスマーチがあった事を事実上認めた[1]。そしてそれを改善し、中鉢良治社長兼エレクトロニクスCEOが「はき違えている社員がいる」と言わしめたソニースピリットを強化改善していく事を表明した。
主要商品
- パーソナルコンピュータ
- DVDレコーダー
- PDA
- CLIE(販売終了)
- デジタルカメラ
- Cyber-shot
- Mavica
- α(アルファ)
- ビデオカメラ
- ポータブルオーディオ
- テレビ
- カーナビゲーション
- エンターテインメントロボット
- e-Bookリーダー
- IC記録メディア
- テレビカメラ
- コンシューマーゲーム機(製造はSCE)
- プレイステーション
- プレイステーション2
- プレイステーション3
- プレイステーション・ポータブル
- PSX(SONY本体の製造)
- 半導体
提供番組
★は、終了したもの。
テレビ
- TBS系列(JNN)
- 世界遺産
- BLOOD+★
- JNNニュースデスク(平日で週数回)★
- 日本テレビ系列(NNN・NNS)
- NNNジャストニュース(平日で週数回)★
- 水曜ロードショー→金曜ロードショー
- フジテレビ系列(FNN・FNS)
- ゴールデン洋画劇場→ゴールデンシアター→プレミアムステージ
- 僕らの音楽-OUR MUSIC-
- ソニーオープン・イン・ハワイ
- テレビ朝日系列(ANN)
- 報道STATION(水曜日)
- ニュースステーション(平日で週数回)★
- テレビ東京系列(TXN)
- ワールドビジネスサテライト(金曜日)
- テレビあっとランダム★
- 独立UHF放送局
- SONY MUSIC TV(TVKテレビ(現・tvk))
- ザ・サイエンス→ガリレオチャンネル(東京MXテレビ)
ラジオ
- ニッポン放送系列(NRN)
- SONY Night Square★
- オールナイトニッポン(土曜日ほか 途中で提供終了)
関連項目
- 江崎玲於奈 - ノーベル賞受賞者、元東京通信工業研究員
- FeliCa
- フェレット
- Blu-ray Disc
- メディアージュ - 東京お台場にある ソニーのエンターテイメント施設
- 盛田 - 創業者の一人、盛田昭夫の実家(盛田昭夫は第15代盛田家当主)
脚注
- ^ 東京通信工業株式会社設立趣意書
- ^ 天外伺朗「元常務がつづる危機の本質 成果主義がソニーを破壊した 偉大な創業者、井深大の理想はなぜ潰えたか?」文藝春秋 2007年1月号
- ^ "Sony: PSP Viral Campaign 'Poorly Executed'", Future Network USA, 2006-12-13. Retrieved on 2007-01-20.(英語)
- ^ 野放しだった偽ブログの口コミ広告が、規制の対象に - 米国 AFP BB News - BETA -