アキハバラデパート
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アキハバラデパートは、かつて存在したデパートである。
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[編集] 概要
1951年11月、株式会社秋葉原会館によって東日本旅客鉄道秋葉原駅の高架下の駅ビルとして開店。以来、55年間に亘って秋葉原の発展を支えて来た。2005年からは東京圏駅ビル開発が運営を行っていた。
3階建てで、1階が秋葉原駅の電気街口に繋がっている他、3階の「デパート口」という改札口があった。
2006年12月31日に閉店した。
[編集] 閉店時のフロア構成
- 1F フードコート、和洋菓子(建物外では実演販売)
- 2F ワンプライスショップ、レストラン
- 3F 衣料品、ファストフード(ハンバーガー等)、デパート口改札
[編集] デパート口
3階の「デパート口」という改札口から直接駅に出入りできる構造になっている。この構造は国鉄の「民衆駅」の典型的な形態である。
デパート口は長らく委託駅員が常駐しており、山手線沿線の駅改札の中では自動改札の設置が非常に遅かった。
2006年12月31日、アキハバラデパート閉店とともに閉鎖された。
[編集] 歴史
[編集] 庶民のデパート
開店当初の秋葉原は青果市場のある街で、近隣住民や市場に通う者を相手にした日用品を販売する一方、食事を手軽に済ませられる店舗であった。その後、秋葉原が電気街として発展しても傾向は変わらず、地域住民や固定客層に重宝がられてきた。隣駅である御徒町駅前にある「吉池」と類似しているが、アキハバラデパートは市場や電気街に通う30代以降の男性客が多かったことから、紳士服や紳士靴の扱いが多いのが特徴である。
その一方で当時3Fにあった書店ではコンピュータやマンガ・アニメ関連の書籍や雑誌の品揃えが豊富だった。90年代中頃までは秋葉原のみならず近隣の街にもこれらのジャンルに強い書店が無く、貴重な存在であった。このように庶民のデパートでありながら秋葉原の店舗らしさも持ちあわせていた。
また、店頭での実演販売は当デパートの名物となってゆき、全国の実演販売人にとって「腕試しの場」となっていった。
[編集] アキデパ フジヤマ
つくばエクスプレスの開業を控え、秋葉原が大きく変貌するにあたり、アキハバラデパートも変わる必要に迫られていた。しかし、経営する泰道グループはバブル経済崩壊後の痛手から抜けられず、リニューアルのための資金を用意できなかった。一方、「駅ナカ」ビジネスを展開するJR東日本は秋葉原の市場性に注目、改装資金を出す代わりに経営権の譲渡を申し入れた。
双方の思惑が一致し、2002年に同デパートの経営権が泰道グループからJR東日本に移った。同時に店舗をマニア向けに改装する「アキデパ フジヤマ」計画が実行され、2Fの約半分と3Fのほぼ全フロアが閉鎖された(「撤退」と表現された)。
同年3月にリニューアルオープン。3月21日にはフジヤマの象徴となる「アキバカフェ」(コスプレ喫茶)がオープン、他にも「ガンダム」「フィギュア」「映像ソフト」などの売り場も設置され、計画は順調かに見えた。
しかし、いずれも専門性が中途半端だったこと、店員が改装前に紳士服や酒を扱っていた者で商品知識もなかったことなどから商品が売れ残り、赤字覚悟の値段で在庫処分を繰り返すなど運営は軌道に乗らなかった。そのような中、アキバカフェがわずか8ヶ月で閉店、公式サイトや通販ページも相次いで閉鎖された。その他の店舗も1年足らずで一般店舗へと再リニューアルされている。フジヤマへの改装以前からの顧客も失い、フジヤマ計画は失敗した。
[編集] 駅ナカ
JR東日本はフジヤマの失敗を収拾するため、他駅で展開している「駅ナカ」と同様の再改装を実施する。ユニクロやマツモトキヨシなど、どこの駅前にもあるような店舗を並べたが、以前のような庶民派デパートとはかけ離れた存在となってしまった。
一方、ヨドバシカメラマルチメディアAkibaなどの新名所にも類似の店舗が入居しており、アキハバラデパートは駅ナカという立地頼みの存在でしかなくなってしまった。フジヤマによる改装を逃れ以前の伝統を残していた1Fのフードコートも、周辺ビルのレストラン街の乱立で存在価値が希薄になり、売り上げが落ち込んでいった。
加えて建物自体も老朽化が進んでいるため、2006年いっぱいで閉店し解体されることが決まった。
一部報道では「建て直し新たに商業施設が開店する」とされている。しかし運営元によると具体的な事は現在未定で、「閉店後の予定については2007年春に発表する」としている。
[編集] 沿革
- 1951年(昭和26年)11月 - 開店。
- 2002年(平成14年)1月 - 2階の飲食店街を除いて閉店。
- 2002年(平成14年)3月 - 3階をオタク向けショップを主軸に据えた『アキハバラデパート フジヤマ』としてリニューアルオープン。
- 2002年~2003年(平成15年)頃 - オタク向けショップが次々縮小・撤退。1年程で元の業態に戻る。
- 2006年(平成18年)12月31日 - 16時をもって閉店。
[編集] その他
- パフォーマンスユニットの「FICE」は元アキバカフェの店員であった。同店の閉店後、「アキバカフェの自力復活を目指す」としていたが、現在も復活を考えているかは不明。
- フードコートで販売されていた「亀屋総本舗」の「あきどら」は長らく秋葉原の名物として知られていたが、デパートの閉店とともに消滅した。