アントニオ・グラムシ
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アントニオ・グラムシ(Antonio Gramsci, 1891年1月23日-1937年4月27日)は、イタリアのマルクス主義思想家、イタリア共産党創設者の一人。
戦間期のイタリア、ムッソリーニ政権下で投獄されたが、その獄中で執筆した「ノート」で展開したさまざまな思想概念、例えば「ヘゲモニー」は、イギリスの「カルチュラル・スタディーズ」の論者や、ガヤトリー・スピヴァクらインドの歴史研究者らの「サバルタン・スタディーズ」グループ、そして、国際関係学のロバート・コックスやスティーヴン・ギルといった「グローバル政治経済学」などにまで大きな影響を与えている。
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[編集] 生涯
サルデーニャ島のアレス生まれ。小学校卒業後、家庭の経済的事情により苦学しながら、1911年、奨学金を得てトリノ大学文学部近代言語学科に入学する。このころにはすでにイタリア社会党機関紙『アヴァンティ !』を購読していた。なお、大学入学以来の友人にトリアッティがいる。
1913年、イタリア社会党トリノ支部に入党。1915年、『アヴァンティ !』トリノ支局に入る。1919年、トリアッティ、アンジェロ・タスカらとともに社会主義文化週刊紙「オルディネ=ヌオーヴォ」を発刊し、労働者による自主管理を軸とする工場評議会運動を展開。工場占拠闘争をはじめとするトリノの労働運動に積極的に参加。
1921年、イタリア共産党の結成に加わり中央委員会委員に選出され、1922‐23年までイタリア共産党代表としてモスクワに滞在し、コミンテルン執行委員をつとめる。また、この地でロシア人のジウリア・シュヒトと結婚した。
翌1924年、下院議員に選出されると、既に22年に成立していたムッソリーニ政権との対立姿勢を鮮明に示した。しかし、1926年にファシスト政権に逮捕され、20年4か月の禁固刑判決。幼児期より身体に障害を背負い、また病弱でもあったが、獄中においても本や雑誌の講読を続け、また執筆の許可も得て書き始めたノートの数は33冊にのぼった。この様な獄中生活の中で、ヘゲモニー論などのグラムシの思索の大部分がなされた。1937年4月、釈放直後に脳溢血で死亡。
[編集] 著書
- 『グラムシ選集(全6巻)』(合同出版社、1960年-1964年)
- 『愛と思想と人間と - 獄中からの手紙』(合同出版社、1962年/大月書店、1982年)
- 『現代の君主』(青木書店、1964年/新編、1994年)
- 『グラムシ問題別選集(全4巻)』(現代の理論社、1971年-1972年)
- 『ファシズムと共産主義』(現代の理論社、1972年)
- 『グラムシ獄中ノート』(三一書房、1978年/大月書店、1981年)
- 『グラムシ政治論文選集(全3巻)』(五月社、1979年)
- 『知識人と権力 - 歴史的-地政学的考察』(みすず書房、1999年)
- 『ノート22 アメリカニズムとフォーディズム』(同時代社、2006年)
[編集] 関連文献
- J.ジョル(河合秀和訳)『グラムシ』、岩波現代選書、1978年(原著は、James Joll, GRAMSCI , Fontana Modern Masters, 1977)
- イタリア共産党中央委員会教育部編(松田博、ロベルト・マッヂ訳)『グラムシ入門』、合同出版、1982年
- 伊藤成彦・片桐薫・黒沢惟昭・西村暢夫編『グラムシと現代』、御茶ノ水書房、1988年
- 松田博編『グラムシを読む - 現代社会像への接近』、法律文化社、1988年
- 松田博・鈴木富久編『グラムシ思想のポリフォニー』、法律文化社、1995年
- グレアム・ターナー(溝上由紀ほか訳)『カルチュラル・スタディーズ入門 - 理論と英国での発展』、作品社、1999年(原著は、Graeme Turner, British Cultural Studies : An Introduction , Second Edition, Routledge, 1996年)
- ノルベルト・ボッビオ『グラムシ思想の再検討』、御茶の水書房、2000年
- アウレリオ・レプレ『囚われ人アントニオ・グラムシ』、青土社、2000年
- 松田博『グラムシ研究の新展開―グラムシ像刷新のために―』、御茶の水書房、2003年
- 財団グラムシ研究所『グラムシ思想探訪―市民的ヘゲモニーの可能性―』、同時代社、2005年
[編集] 関連項目
- フォーディズム
[編集] 外部リンク
- Gramsci's writings at MIA
- Gramsci resources, including bibliography
- The International Gramsci Society
- Fondazione Instituto Gramsci
- Roberto Robaina: Gramsci and revolution: a necessary clarification
- Gramsci's contribution to the field of adult and popular education
- The life and work of Antonio Gramsci
- An overview of Gramsci's life and work, with suggestions for further reading
- Rare: a picture at the age of 15
- Gramsci's wife and sons
- The Praxis Prism – The Epistemology of Antonio Gramsci
- audio and video resources on Gramsci
- Gramsci Links Archive
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