エイリアン2
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エイリアン2 Aliens |
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監督 | ジェームズ・キャメロン |
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製作総指揮 | ゴードン・キャロル デイヴィッド・ガイラー ウォルター・ヒル |
製作 | ゲイル・アン・ハード |
脚本 | ジェームズ・キャメロン |
出演者 | シガニー・ウィーバー マイケル・ビーン ランス・ヘンリクセン |
音楽 | ジェームズ・ホーナー |
撮影 | エイドリアン・ビドル |
公開 | 1986年7月18日 ![]() |
上映時間 | 137分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $18,500,000 |
前作 | エイリアン |
次作 | エイリアン3 |
『エイリアン2(原題:ALIENS,Alian 2,Alian II)』は、1986年に製作されたアメリカ映画。「エイリアン」シリーズの第2作。監督はジェームズ・キャメロン。シガニー・ウィーバー主演。上映時間137分(ディレクターズカット版は154分)。キャッチコピーは「This time is war」〈今度は戦争だ〉。1986年のアカデミー賞では視覚効果賞、音響効果編集賞を受賞。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
ノストロモ号の惨劇発生から57年、惑星LV-426で化石宇宙船が発見された直後、惑星を開拓していた一団が連絡を絶った。ノストロモ号唯一の生存者リプリーは、救助に向った宇宙海兵隊のアドバイザーとして、あの惨劇の悪夢に立ち向かうべく同行する。無人化した開拓団コロニーで海兵隊が見たものは、奇妙に破壊された施設や標本として保存されたフェイスハガー、絶望的に追い詰められた開拓団の残した痕跡、そしてただ1人生き残った少女だった。
強力な火器で重武装した海兵隊は、生存者と思われる反応を追って、惑星大気を製造する環境システム内部に突入する。しかし、そこは既に異星生物の巣窟と化していた。襲いかかる異星生物との戦闘で、海兵隊は大きな損害を受け、救助に向った惑星降下船までも失ってしまう。
さらに、交戦時の誤射によって環境システムの冷却系が損傷し、暴走をはじめていた。行き着く先は、植民地もろとも消失する核爆発。新たに軌道上から降下船を呼び寄せたリプリーたちは、降下船を待つ間、開拓団コロニーに篭城する。だが、そこにも異星生物の姿が迫ってきた。生死をかけた本当の戦いがここから始まる。
[編集] スタッフ
- 製作総指揮 ゴードン・キャロル、デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
- 製作 ゲイル・アン・ハード
- 監督 ジェームズ・キャメロン
- キャラクター創作 ダン・オバノン、ロナルド・シュゼット
- 原案 ジェームズ・キャメロン、デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
- 脚本 ジェームズ・キャメロン
- 撮影 エイドリアン・ビドル
- 美術 ピーター・ラモント
- 音楽 ジェームズ・ホーナー
- 提供 20世紀フォックス、ブランディワインプロダクションズリミテッド、SLMエンターテインメントリミテッド
[編集] キャスト
- エレン・リプリー:シガニー・ウィーバー
- ニュート(レベッカ・ジョーンズ):キャリー・ヘン
- ドゥウェイン・ヒックス:マイケル・ビーン
- ビショップ:ランス・ヘンリクセン
- バーク:ポール・ライザー
- ハドソン:ビル・パクストン
- バスクエス:ジュニット・ゴールドスタイン
- ゴーマン:ウィリアム・ホープ
- フェッロ:コレット・ヒラー
- スパンクマイヤー:ダニエル・キャッシュ
- アポーン:アル・マシューズ
- ドレイク:マーク・ロルストン
- ウィズボウスキー:トレバー・スティードマン
- クロウ:ディック・ディッピング
- フロスト:リッコ・ロス
- ディートリック:シンシア・スコット
端役であるニュートの兄役(ティミー・ジョーンズ)にキャリー・ヘンの実の兄であるクリストファー・ヘンを起用したり、アポーン軍曹役に実際にベトナム戦争で従軍経験があり元軍曹だったアル・マシューズを据える等、随所にお遊びとも言えるキャスティングが見られる。
[編集] 寸評
前作とは打って変わって、当時全盛を誇ったSFアクション映画の様相を呈している。重火器で武装し、訓練された海兵隊はノストロモ号クルーのようには簡単に殺されないが、増殖し、人(?)海戦術を展開するエイリアン達の前には成す術も無く殺害されていってしまう。前作では本能のままに行動する非情な殺戮者の様に描かれたエイリアンだが、今作品では生んだ卵に銃を突き付けられ、エイリアン・クイーンが怯む等、知性的な一面を見せており、一部ではロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』の影響を挙げる声もあるが、「凶暴なエイリアンv.s.獰猛な人類」の対比は、アクション映画の王道である。しかし前作で好評を博した「静と動」の対比も随所に見られ、ニュートがさらわれるシーンや、標本エイリアンが突然動くシーンは、判っていてもドキッとさせられる物がある。
なお、前作では暗躍する悪役として描かれていたアンドロイドだが、今回は一変して肯定的に扱われ、人間の良き友人として描かれている。これは前作が冷戦時代に最先端技術として扱われた原子力が人類を死滅させかねないというテクノロジー否定論的な社会背景があり、2作目である本作の時代では冷戦終結(核の恐怖の軽減)と情報処理技術の発達で新しい未来が予感されていたという背景もあり、テクノロジー肯定論的な風潮も関係しているという解釈が映画評論筋から出ている。この「テクノロジーの否定論 / 肯定論」の変化の影響で1作目と2作目で大きくテクノロジーの扱いが転換した作品としては、他にターミネーターシリーズが挙げられる。
映画作品としての評価では、構成・進行のテンポなどバランスの高さ、緻密な模型やセットを使った高度な撮影技術は、作中の演出なども含めSFの世界観及び模型とは思えない臨場感を一層高めており、前作よりも攻撃的な展開であるエイリアンVS人間という分かりやすい図式がSFアクション娯楽作品として、高い評価を受けている。なお映像面では、この当時はCG技術がまだ高度ではなかったため、それらの映像は職人芸的な映像スタッフによって制作されており、一部にはわざと低解像度のビデオ画像を使用することで、リアリティを演出している。
作品としての高い完成度からもエイリアンシリーズの最高傑作として上げられる事も多く、SFアクション(恐怖→反撃)である本作は、コアなファンが好むSFスリラー(恐怖→逃避)である1作目と人気を二分している。評論筋ではSFスリラー映画として一つの時代を形成した前作にやや及ばない評価を受ける作品ではあるが、万人受けと言う意味では米国興行収益8184万ドル(1は2177万ドル)と、同作品の人気の高さを物語っている。
[編集] ディレクターズ・カット
映画館での上映時間(キャメロン監督曰く"一日あたりの上映回数が収益に関わる")という制約を受けないヴィデオならではの企画として、公開当時にカットされた場面を復刻した「完全版」が1991年末にリリースされた。
- リプリーには娘がおり、リプリーの漂流中67歳で亡くなったとバークが告げる。
- LV-426の入植者に調査指令が下り、ニュートの両親がスペース・ジョッキーの遺棄船を発見。ニュートの父がフェイスハガーに寄生される。調査指令を出したのがバークであることも明らかになる。
- 自動迎撃兵器「セントリー・ガン」設置と、居住区に襲来したエイリアンの大群への発砲。
- リプリーがヒックスにパルス・ライフルの操作を教わる場面、また彼と密接になった結果としてお互いのファースト・ネームを教える。
などの他にも細かい描写が加わり、劇場公開時より17分長くなった。前作では明らかでなかったリプリーらの会社についてWeyland-yutani社のロゴが初登場したのもこの「完全版」で、3作目以降の世界観が決定付けられた。
[編集] 日本語吹替
- TBS「正月特別ロードショー」
- 1989年テレビ朝日「日曜洋画劇場」
- 1993年テレビ朝日「日曜洋画劇場」※特別編
- 2004年テレビ朝日「日曜洋画劇場」
- DVD「エイリアン2 完全版」
[編集] 関連項目
- 「エイリアン」(1979年) リドリー・スコット監督
- 「エイリアン3」(1992年) デイヴィッド・フィンチャー監督
- 「エイリアン4」(1997年) ジャン=ピエール・ジュネ監督
- 「エイリアンVSプレデター」(2004年)
- 「エイリアン5」