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常磐緩行線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

常磐緩行線(じょうばんかんこうせん)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)常磐線複々線区間(綾瀬駅北千住駅)~取手駅)間における緩行線である。

常磐線各駅停車・地下鉄千代田線で使用される203系車両
常磐線各駅停車・地下鉄千代田線で使用される203系車両

目次

[編集] 概要

同区間の運転系統の案内上の呼称でもあるが、一般には「常磐線各駅停車」の方が多く使われている。

元々は上野駅~取手駅間を運転していたが、複々線化に際して営団地下鉄(現・東京地下鉄千代田線相互直通運転を行う現在の形態となった(後述)。また、東京地下鉄所有の車両を使用した一部は千代田線を介して、小田急小田原線多摩線まで直通している。

東京都区内のJR線としては唯一都心(山手線)に至らないため、快速線の支線のような役割の路線であるが、直通先の千代田線が都心部まで直結していることや快速停車駅での連絡性の悪さもあって長区間利用する乗客も少なくない。また、千代田線の北千住~西日暮里を経由しJR線に乗り継ぐ場合に通過連絡運輸の特例も設定されている(後述)。

なお、小田急電鉄のダイヤ改正に伴ってJR東日本のダイヤ改正時以外に運行時刻の変更が行われることがままある(ただし運用や行先の変更が主で、線内での時刻変更は基本的にない)。

[編集] 運行

早朝~朝方、夕方~夜・深夜にある一部の線内のみ運用の電車を除き、全ての電車が東京地下鉄千代田線に、さらに一部の列車は小田急小田原線経由で小田急多摩線唐木田駅まで直通運転する。3社に跨る列車は、平日朝の小田急側からの2本が急行である以外は全て多摩急行である(相模大野駅本厚木駅発着の列車2007年3月現在は東京地下鉄綾瀬駅発着の運用のみで、JR線内発着の運用は2003年3月29日以降設定されていない)。実態として、千代田線とほぼ一体化した運転系統をなしているといえる。

なお、例外的に早朝・深夜に北千住駅発着の電車が1往復ずつ運行されているが、このうち早朝の上り1本と深夜の下り1本については、国鉄国電)常磐線と営団地下鉄千代田線の相互直通運転開始前から運行されていた、松戸発上野行各駅停車の始発と上野発松戸行各駅停車の終電が直通運転開始により快速化されることにより、通過駅となる綾瀬・亀有・金町3駅で始発時刻の繰り下げ・終電時刻の繰上げが発生するのを防ぐために設定された運用である(※1)。このため、いずれの電車も北千住駅で上野発着の快速電車に接続しており、車内放送でその旨のアナウンスもなされている。
※1 営団地下鉄千代田線建設史

我孫子駅~取手駅間は朝・夕の一部時間帯のみ運行されている。朝・夕にはこのほかに、松戸駅柏駅発着の電車もある。これ以外は、殆どが我孫子~綾瀬(~代々木上原)の区間で運転されている。ちなみに運転時間帯が限定される我孫子~取手間では、営業運転のない時間に試運転や訓練などに使われることがある。また、2002年1月には、快速線E231系の一般公開が、取手駅の緩行線ホームで行われたこともあった。

信号システムはATCで、東京地下鉄千代田線と同一のシステムを用いている(車内信号式。快速線はATS)。なおJR東日本保有車両は、小田急小田原線・多摩線と直通運転が出来ない。これはJR車は小田急のATSと列車無線、小田急車はJRの列車無線に対応していないためである。この関係で小田急保有車両も綾瀬以遠JR線と直通運転が出来ないため、3線にまたがっての直通運転が出来るのは東京地下鉄保有車両のみである。

また、小田急線へ直通する上り列車は代々木上原から多摩急行となり、千代田線内で種別表示も行うが、常磐線内は各駅停車であり、綾瀬までは種別の表示もない。また、車内案内でも種別案内は放送しない。これはJR線では急行料金の制度があり、現在、料金の不要な列車に「急行」の表示が行われることはないためでもある。他方、小田急線から千代田線・常磐緩行線へ直通する電車(多摩急行、急行、綾瀬行準急)は、千代田線・常磐線内は各駅停車のため、下北沢を発車すると種別を無表示に変えて終点まで運転する。なお、最近ではJRのホームや改札階の発車案内表示器で小田急線の障害情報が表示されるようになっている(他社の障害情報の発信については、近年拡大傾向にある)。

[編集] 女性専用車両

2006年5月15日より女性専用車両を導入した。平日7時10分から9時30分までに綾瀬駅を発車する電車で、代々木上原寄りの一番前の車両(1号車)に設定されている。千代田線内代々木上原駅まで実施、9時30分を以って一斉に終了となる。

JR東日本では埼京線中央快速線に次ぐ3例目の導入であった。また、1号車に設定されているのは、前年5月より導入していた小田急線に合わせたものと見られる(千代田線内では両方向でに導入している)。ただ、千代田線内の19駅中13駅が、この1号車付近に出入り口や乗換口への通路があることから反発も見られる。

[編集] 運行頻度・状況

[編集] 運転間隔

  • 上りは平日朝は約3分間隔、土休日朝は約6分間隔、日中は平日・土休日とも約12分間隔、夕方は平日は約5分間隔、土休日は約7分間隔、夜は平日が約6~8分間隔、土休日が10~20分間隔で運行されている。
  • 下りは平日朝は約5分間隔、土休日は約6分間隔、日中は平日・土休日とも約12分間隔、夕方は平日は約4分間隔、土休日は約6分間隔、夜は平日が6~8分間隔、土休日が10~15分間隔で運行されている。
    • ただし、区間列車の影響などにより、それを含まない区間での間隔は多少前後がある。特に、我孫子~柏間は朝や夕方の時間帯でも昼間以上に間隔が空くことがある。
    • 時間帯によっては、平日と土休日では形態が大きく異なる。平日は9時台には本数が落ち着くのに対し土休日は10時台まで6分間隔での運転がある。また、夕方以降のピークは平日が18~19時台であるのに対し、土休日は16~17時台である。夜間に至っては土休日の本数は平日の半分程度である。

[編集] 複々線化の沿革と問題

[編集] 複々線化以前

元々常磐線は上野駅取手駅間の各駅に停車する国電近距離電車)と主要駅のみ停車の中距離列車急行・特急などが同じ線路を並走していた。当時は中・長距離輸送を担う列車に対して地域輸送を担う電車(国電)という棲み分けが明確であった。過去には、一部の国電が上野・東京経由で有楽町駅まで乗り入れていたこともあった。また、南柏駅終着・始発の電車の設定もあった。

しかし、高度成長期を迎えると共に沿線のベッドタウン化が進んで人口が急増し、常磐線の混雑率も非常に高くなったので、いわゆる「通勤五方面作戦」の一環として複々線化を行うことになったが、上野駅~北千住駅間の複々線化が難しかったので、北千住駅から我孫子駅までを複々線化し、複々線のうちの緩行線を地下鉄千代田線と直通運転させることで複々線化事業を解決しようとした。さらに当時、北千住駅~綾瀬駅間は日本国有鉄道(国鉄・現:JR東日本)の路線であったが、複々線化・千代田線との乗り入れに際して建設費用を抑えたい国鉄と、車庫用地(現在の北綾瀬駅の先にある)を確保したい帝都高速度交通営団(営団・現:東京地下鉄)の思惑が一致し、北千住駅~綾瀬駅間の緩行線を営団の路線の扱いにして、複々線化と千代田線との直通運転が同時に行われることとなった。ただし、運賃計算上は北千住駅~綾瀬駅間は従来どおり国鉄運賃として計算される特例が設けられた。なお、この工事完成時は綾瀬駅は国鉄・営団の共同管理駅であったが、北綾瀬駅開業に際して営団へ管理を移管している。

また複々線化に際し、従来の常磐線国電(近距離電車)を「各駅停車」と「快速電車」の2種に分け、各駅停車を緩行線に、快速電車を従来どおり日暮里・上野方面へと向かう快速線に振り分けることとした。複々線化区間から外れた中電通過駅の三河島駅南千住駅天王台駅(複々線化開業と同時に開業)には快速電車のみが停車し、快速線のホームは複々線区間の両端の北千住駅・我孫子駅と車両基地のある松戸駅にのみ設けられることになった。これによって快速停車駅以外の従来の利用客は乗り換えなしで日暮里駅や上野駅まで行けなくなるため、不便を解消するために旧営団・旧国鉄の双方に乗換駅として西日暮里駅を新設するとともに、同駅を経由する通過連絡運輸の特例が設けられることとなった。

しかし、工事予算や工事年数を考慮した結果、利便性が高い方向別複々線での建設が見送られ、他の首都圏主要路線と同様の線路別複々線となった。その結果、常磐線経由での乗車時の際に我孫子駅・松戸駅・北千住駅での乗り換えは階段を使用してホーム間を移動することになるため、不便を強いられる形となる(このことは、後に天王台駅利用者が同駅の快速通過化を反対する要因となった)。特に北千住駅では、地下の営団線のホームから地上の国鉄線のホームまで移動しなければならなくなる。また、西日暮里駅へ乗り継ぐにも北千住駅~西日暮里駅間の営団線運賃を払う必要があるなど多くの弊害が付き纏うこととなる(次項詳述)。

複々線化の前後では、運転種別や停車駅が以下の表のように変遷している。

停車駅の変遷
普通列車 × × ×
各駅停車(国電) × × ×

複々線化以前
第一期複々線化直後
上野 日暮里 三河島 南千住 北千住 綾瀬 亀有 金町 松戸 北松戸 馬橋 新松戸 北小金 南柏 北柏 我孫子 天王台 取手
普通列車
国電 快速電車
各駅停車
●○:停車(○は管轄外) ▲:一部停車 ―:通過 ×:駅開業前 =:経由せず
※柏駅の快速停車は1972年10月から。当初の停車は快速電車のみ。新松戸駅は1973年開業。

[編集] 複々線化後

1971年4月20日に複々線化と緩行線の千代田線乗り入れが実施されたのであるが、国鉄は当初、快速通過駅利用客の多くが北千住駅や松戸駅の乗換えを嫌って地下鉄経由へ移行すると考え、常磐快速線の列車本数を少なめに設定していた。しかしその予想は大幅に外れてしまった。当時は国鉄の運賃の方が安く、地下鉄経由では都心へ向かうとなると運賃が高くなることが嫌われたために、利用者の多くは松戸駅や北千住駅での乗換を選んだことで快速電車は殺人的な混雑となってしまったのである。

更に、当初は当時から乗客数の多かった柏駅に快速が停車しなかった(快速停車駅となったのは翌1972年から)ため、特に松戸駅の混雑は殺人的なものとなった。そのため、乗り継ぎの不便さ・激しい混雑・地下鉄経由の運賃の高さなど、利便性が向上するどころか逆に従来より悪化したため、この直通運転・複々線化は「迷惑乗り入れ」とまで揶揄される事態となってしまった。これに対し国鉄は、混雑対策として103系電車の投入によって引退するはずであった旧型の72系電車を再使用して臨時の快速電車を設定し輸送力を増強、当面の間をしのぐ事にした。しかし応急策で満足しているうちに、今度は藤代駅土浦駅間の交流電化区間までがベッドタウン化し、手の打ち様がない状態に追い込まれてしまった。そこで、72系快速を撤退させて403系電車、後に415系電車を大増備し、その分を中距離電車の増発に充て、これに快速電車運転区間の輸送力も負担させることで解決しようとした(元々国鉄時代の中距離電車はデータイム1時間に1本、ラッシュ時でも2本程度だったのがつくば博直前の1985年3月の改正で大増発されほぼ現在の本数になった)もはやあらゆる意味で手遅れであり、最終的に中距離電車の15両化、近郊形電車としては空前となるオールロングシート車415系500・1500番台の投入、快速電車の15両化と泥縄的施策が続く。

更に計画の安直さ・お役所仕事ぶりが浮き彫りになる事態が発生した。営団の労働組合ストライキに突入したのである。これにより綾瀬駅~北千住駅間は営団の路線であったことから電車の運行ができなくなり、やむを得ず綾瀬駅と、そこから松戸駅の間にある亀有駅金町駅の3駅の乗客は松戸駅まで一旦戻って上野方面へ向かうようにできる特例を設けて対処した(この特例は、その後も東京地下鉄千代田線区間が運転見合わせになった時にも使用されている)。しかし、前述のように松戸駅自体が元々混雑していたため、同駅はパニック状態に陥り、長蛇の列が駅の外にまでできる有様となった。このような事態に対して再び「迷惑乗り入れ」だと叫ばれたのである。

ただし、これは逆に営団側から見ても「迷惑乗り入れ」であった。千代田線は初期に営団5000系が使用された以外には電機子チョッパ制御営団6000系を採用し、トンネル内の発熱を抑えると同時に、その秀逸で先鋭的なデザインを売りにしていた。しかし国鉄は車両新製費抑制の為、東西線直通の際は301系を新設計したのに対し、千代田線乗り入れにおいては既存路線において大量増備が行われていた103系の仕様を一部変えた1000番台を投入した。抵抗制御の国鉄車は、台車はオールコイルバネで騒音は大きい上に乗り心地は悪く、しかも発電ブレーキのため大量の発熱をトンネル駅内に吹き上げたうえ、千代田線には単線トンネルが多く、空気の流動が少ないためトンネル内で抵抗器の冷却が充分にできないことから電車の床に抵抗器から発生した熱が伝わり、車内は異常なまでの暑さになった。その結果103系に「鉄板焼き電車」の異名が付いたのは有名な話である。

この事態は、既に301系が乗り入れていた東西線においては、複線トンネルが多い上に地上区間もあり、さらに当時の営団車(5000系)も抵抗制御車であったためにさほど問題にならなかった。

これら悪条件が重なり、103系は故障が多発しダイヤにまで影響が出た。制御機器の配線が熱で蒸し焼き状態になったことが故障の原因であり、修理には配線の総取替えが必要なため労使闘争の材料にされたほどである。103系は走るだけで車内が高温になることや、故障の多さで営団線での信頼を失った結果、利用者は「国鉄車が来たら見送り」をするものまでいたほどである。これにより、発熱を抑えようとする営団の努力は水泡に帰してしまう事になった。また電気消費量も格段に違うため、相互乗り入れに関する車両貸与料の相殺に関しては、会計検査院からの指摘もあり、営団は電気代の分を加算した距離で計算していた。1978年の千代田線代々木上原全通時に、反対側から乗り入れてくる小田急界磁チョッパ制御9000形を投入したことから、この国鉄車の問題はさらに顕著になったといわれる。このため営団側から国鉄に対し、早期のチョッパ制御化を望む申し入れが行われていた。問題が解決したのは、1982年以降に国鉄が電機子チョッパ制御203系を投入した時であった。

更に1970年代後半以降は、順法闘争や車両の整備状態の悪さから常磐線の遅延も常態化し、国鉄の度重なる運賃値上げで営団との料金は逆転し、今度は北千住駅で快速線から地下鉄へと乗り換える乗客が増加した。これの巻き添えとなったのが、常磐線の乗客が当時の営団日比谷線に流れ込んできて、自社のホームから転落者が続出するほどの混雑を捌かなければならなくなった東武鉄道であった。

1973年には馬橋駅北小金駅間に新松戸駅が開業し、武蔵野線との乗換駅となった。しかし同駅が快速通過駅であり、かつ武蔵野線の列車が大幅に増発された現在に至るまで、常磐緩行線との接続がよいものと言えないこと等の理由から、同駅での乗換えは不便な状況が続いている。そのため、埼京線開通や武蔵野線東京駅乗り入れ開始、東武伊勢崎線新越谷駅への準急(のちの急行)停車と東京地下鉄半蔵門線直通開始、さらに首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線開通などにより、これらの路線への逸走が生じている。

また、1982年に我孫子駅~取手駅間の複々線化が完成した際には、当初は途中の天王台駅を快速通過駅に変更する予定であった。しかし北柏・南柏といった快速通過駅の不便さ加減(快速線との乗換駅で階段の上下を強いられる上に長時間待たされる等)を見せつけられたことに起因し地元から通過反対の声が強くなったこと、最寄のNEC我孫子事業場への大量の通勤客が存在する予定であったこと等の事情から、快速停車駅として残る事になった。しかしそうなれば複々線化の意味は薄れてしまう。そのため同区間の活用手段として朝夕の混雑時間帯のみ緩行線電車を運行する事にした。この快速停車駅の合理化に失敗した結果が、過去の普通列車と似た停車パターンの特別快速が今日になって設定されることに繋がったとも言えよう。

以上のように、常磐線関係の輸送改善計画は失敗する事が多かったので、方角から「常磐線は国鉄の鬼門」とまで揶揄されることがあった。

常磐線の運転系統が複雑になっている原因として、最も大きいのが柿岡地磁気観測所の存在である。これの為に取手駅以北の直流電化は不可能であり、そのため中電・通勤電車の車両統合が出来ないのだが、JR化後、快速線に交直両用の通勤型電車E501系電車、後にE531系電車を投入するなどの施策を打った。また、SuicaPASMOの相互利用開始に伴い西日暮里経由の割高運賃問題が多少解決される見込みではあるものの、JR西日本のICOCAが千代田線内で利用できないなど、依然根本的な解決にはまだ至っていない。

[編集] 他線との接続

[編集] 常磐快速線乗換

線路別複々線であり、ダイヤも独立していることから、通勤ラッシュ時以外での接続についてはお世辞にもよいとはいえない。もっとも、これは当線に限らず、関東における同形態の他路線にもいえることだが、常磐緩行線の場合は他の路線と比べて運転本数がさほど多くない(綾瀬駅以北は昼間時は12分ヘッド)為に問題が大きくなる(典型例として、一方が到着したと同時にもう一方が発車という状況になった時に、待ち時間が長くなる)。また、乗り換え案内の不徹底ぶりも目立つ(次の快速駅まで先着する…など)。

なお、2006年3月18日のダイヤ改正では、松戸駅柏駅で各駅停車と特別快速との接続を図るダイヤに変更されている。具体的に、松戸駅では下りは特別快速→各駅停車、上りは各駅停車→特別快速へ2~3分で接続する乗り換えが可能になっている。一方、上り特別快速→各駅停車、下り各駅停車→特別快速の乗り換えは9分ほどである。柏駅では下りが各駅停車→特別快速、上りは特別快速→各駅停車へ2~3分で接続する。一方、下り特別快速→各駅停車、上り各駅停車→上り特別快速へは9分ほどの接続となっている。

[編集] 武蔵野線乗換

新松戸駅で接続する武蔵野線についても、接続の悪さが指摘され続けてきた。昼間は常磐線各駅停車・武蔵野線とも12分間隔での運転だが、一方の到着とほぼ同時(厳密には、1分差があった)にもう一方が発車するというダイヤのために接続が全く図られていなかった。しかし、2006年3月18日の改正でこの点も若干改善された。具体的には常磐線側を上りを1分ずつ早く、下りを1分ずつ遅く(それぞれ12分間隔運転の時間帯のみ、全区間で同様の措置が取られた)して乗り継げるようになっている(常磐線各駅停車上り→武蔵野線下りと、武蔵野線下り→常磐線下りの乗り換えがこれに該当する)。ただし、これでも乗り換えによっては最大10分を要すものがあり、根本的な解決には程遠い(上記の逆の場合の乗り換えが該当する)。尚、このダイヤ改正の効果は実質平日日中のみである(近年、土休日の武蔵野線は10分間隔での運転のため、現状のダイヤではどう動かしても必ずズレが生じる)ため、土休日やそれ以外の時間帯の接続は相変わらず非常に悪いままである。特に、平日夕方16時~17時台は、両線とも本数がそれほど多くない(常磐線が6~9本、武蔵野線が5~7本)上に、同時発着の電車が多いために、ドアが開くと同時に乗客は走っての乗換えとなり、階段、エスカレーター付近は両線の乗換え客でごった返し、ぶつかったりなどのトラブルが発生しやすい。又、同時発着である為に両線は駆け込み乗車となりやすく、電車の停車時間増大に伴う遅延もしばしば発生している。

[編集] 所要時間

取手~柏間が約12分(快速と殆ど変わらない)、柏~松戸間が約14分、松戸~北千住間が約12分(松戸~綾瀬間は約9分)であり、柏~松戸で約5分、松戸~北千住間で約4分快速より時間を要する(ただし、時間調整などによる停車は除外)。

[編集] 最終電車

千代田線からの直通終電は北千住発0時37分発の我孫子行き(北千住駅発我孫子行の最終は0時45分の快速である)だが、その後に北千住始発で1時04分発の松戸行きがある。これは下り快速の松戸行終電が上野駅0時51分発と遅いことから、緩行と格差を作らないために快速から乗り継げるように設定されているもので、国鉄時代から運転されている(前述)。比較的終電の早い東京地下鉄にあってこれは異例である。逆に上り終電(北千住行)は、東京都区内のJR線としてはやや早めである(北千住0時30分着)。

また、終電間際の時間帯には緩行線の運転がない天王台駅・取手駅までの終電に乗り継ぐ場合は、我孫子行最終の1本前の電車に乗る必要がある。

[編集] 停車駅

常磐緩行線の停車駅および接続路線等の詳細はこちらを参照のこと。

[編集] 車両

[編集] 自社車両

すべて松戸車両センターに所属。

JRの車両(3系列とも)にある路線駅案内は、長らく快速電車(~成田線我孫子支線)のものと全く同じものが使用されており、千代田線内については駅名のみが列挙されているだけで接続路線が全く記載されていなかった。2004年秋頃より独自のものになり、千代田線内の接続路線や駅番号まで記載されたものに変更された。さらに2006年には、簡素ながら運賃計算に関する注記も加えられている。
なお、方向幕には各系列とも運用開始時点で既に終着運用のなかった「上野」「代々木公園」の幕がある。

[編集] 乗り入れ車両

[編集] 過去の車両

[編集] 運賃計算の特例

[編集] 北千住~綾瀬間の特例

[編集] 千代田線北千住~西日暮里間を経由する場合の特例

亀有駅取手駅までの各駅と、山手線内各駅および近傍の駅との間を、千代田線の北千住~西日暮里間を経由して乗車する場合には、特例が適用される。連絡乗車券を購入する場合とIC乗車券を使用する場合では、計算方法や適用範囲が異なる上、どちらの方法が安いかについても駅によっては異なるので注意が必要である。

[編集] 連絡乗車券

連絡乗車券の場合は、千代田線をはさんだ前後のJR線区間の営業キロを通算する通過連絡運輸の特例が適用される。切符は、「連絡会社線」パネル(券売機左側)を押した上で一番右上のタッチパネル「北千住・西日暮里乗換え(JR線→千代田線→JR線)」にタッチし、目的地の下に書かれている金額にタッチすることで購入できる(この際、ICカードを使用することも可能)。なお、西日暮里経由JR駅までの運賃表はJR線旅客運賃表ではなく連絡会社線運賃表に掲載されている。

【例】南柏から池袋 (経由:北千住・千代田線・西日暮里・巣鴨)

JR線運賃 南柏~北千住の営業キロ 19.3km と、西日暮里~池袋の営業キロ 6.0km を通算。
→合計キロ数 25.3km を運賃表に当てはめ、450円。
東京地下鉄運賃 北千住~西日暮里の営業キロ4.3km160円。

両者を合計して、乗車券は610円となる。

乗車券の発売範囲

[編集] IC乗車券

2007年3月18日の首都圏ICカード相互利用サービス開始に伴い、PASMOSuicaで利用の際は、北千住までのJR運賃と西日暮里以遠のJR運賃の個別の合算額から100円を差引く方式を採用している。なお、運賃は西日暮里の改札を通った時点で西日暮里までの運賃が差し引かれ、乗り継いだJR線の特例適用範囲内で下車した場合に西日暮里から下車駅までの運賃から100円引いた額を差し引く。

上記連絡乗車券の場合と同様の経路で考えると、

  • 南柏~北千住(19.3km、290円)
  • 北千住~西日暮里(4.3km、160円)
  • 西日暮里~池袋(6.0km、150円)

となり、合計額600円から100円を引いた500円がIC乗車券使用時の運賃となる。

特例の適用範囲
  • 北千住口 常磐線(亀有~取手)
  • 西日暮里口 東北本線(東京~・日暮里~尾久~赤羽)、東海道本線(東京~品川)、山手線(品川~田端間/全線全駅)、赤羽線(池袋~赤羽/全線全駅)、中央本線(神田~代々木)、総武本線(御茶ノ水~秋葉原)

[編集] その他

  • ICカードを利用して、北千住・綾瀬以遠(南千住・亀有方面)と中野以遠(東中野高円寺方面)或いは西船橋以遠(船橋下総中山船橋法典南船橋市川塩浜方面)のJR線の駅間を途中改札を通らずに乗車する場合、千代田線・東西線経由の方が低廉である場合でも全線JR線乗車と扱われるので注意が必要である。
    • なお、西船橋駅にはJR線と東京地下鉄・東葉高速鉄道の連絡通路に自動改札機が設置されたものの、経路の判別方法については殆ど変更されていない。したがって、西船橋経由の方が安い経路を乗車する場合には、同駅の改札通過に関わらず西船橋駅経由の運賃が適用される。

[編集] ラインカラー

本系統のラインカラーは、基本的には車体の帯と同じエメラルドグリーンであるが、快速電車と同一であるため区別のために異なる色を使うことがある。また、相互乗り入れを行う千代田線はほぼ近い緑であるが、本系統の方がやや青みががっている。

  • 東京近郊路線図では快速電車がエメラルドグリーン、各駅停車が地下鉄千代田線、東西線など地下鉄直通に使用している、グレーであり、これは快速線のE231系・E501系(上野口運用当時)に掲出している停車駅案内と同じである(なお、E531系はこの配色ではない)が、緩行線の車両(203系・207系・209系)ではこれが逆になっている。
  • 複々線区間の緩急併設駅(松戸・柏・我孫子・天王台・取手)のサインは、緩行線ホームのサインがエメラルドグリーンであるのに対し、快速線ホームのサインはブルーである(ただし、両色併記のものもある)。

[編集] 呼称について

常磐線各駅停車は地下鉄千代田線と直通運転していて、またかつては常磐線の電車特定区間内において「普通列車」と「各駅停車」が並立していたために、各駅停車は地下鉄区間とあわせて国鉄/JR線区間も俗に「千代田線」と呼ばれる場合がある。なお、2004年10月16日のダイヤ改正より、中距離の普通列車は上野・取手間に限り「快速」と案内している。

一方で、常磐緩行線はいわゆる「常磐線(常磐快速線)」とはダイヤ上は別系統での運転であり、複数の系統が同一路線を名乗るのは合理的ではなく、更に常磐の名前の由来である「常陸国」と「磐城国」に行かない(取手は茨城県だが、旧下総国である)ので、緩行線が常磐線を名乗るのは実態に即しておらず、少なくとも緩行線は旅客案内上は常磐線以外の名前を名乗るべきであるという指摘もある。

余談だが、緩行の定義は一般的に「各駅に停車する列車≒列車速度が遅い列車」であるが、常磐線内では「鈍行」という言葉は常磐快速線を走る普通列車、いわゆる中電、松戸駅・取手駅などの標記では「列車」とも称される取手駅以北まで運行されるものを指す。これと関連して常磐線の藤代以北は普通列車を「各駅停車」と表現するのが一般的であり、地域間のギャップが生じている。

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