ガンイージ
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ガンイージ(GUN EZ)は、アニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する、架空の兵器。リガ・ミリティアの量産型モビルスーツ(MS)である(型式番号:LM111 E02)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ガンイージ
ガンイージ | |
型式番号 | LM111E02 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 14.9m |
本体重量 | 7.6t |
全備重量 | 18.6t |
ジェネレータ出力 | 4,820kW |
スラスター推力 | 20,460kg×4 |
アポジモーター数 | 29 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
主な搭乗者 | ジュンコ・ジェンコ 以下シュラク隊 |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×1 ビームライフル 2連マルチプルランチャー×1 ビームバズーカ |
[編集] 機体概要
民間のネットワークから発展した組織であるリガ・ミリティアは、宇宙世紀0140年代に勃興したザンスカール帝国の現実的脅威を早くから認識しており、対抗策を講じるよう地球連邦政府へ対して政治筋からの働きかけを行っていた。しかし、当時の地球連邦政府は度重なる戦争で疲弊しきっており、地球上のことだけで手一杯の状態であった。また、政府の高官たちは永きにわたる平和により楽観主義者ばかりで、かつ自身の保身のみを求めるようになっており、その堕落振りを見てリガ・ミリティアの指導者達は連邦政府に早々に見切りをつけ、独自の対抗手段を構想するに至っていた。
ザンスカール帝国は勃興の際にサナリィのサイド2支社を強制的に接収しており、リガ・ミリティア主導部は来るべき地球侵攻は主にMSによるものと見越していたため、リガ・ミリティアでもそれらの戦力に対抗するためにはMSが必要となるであろうことを予測していた。これによりリガ・ミリティアは独自のMS開発計画「V(ヴィクトリー)プロジェクト」を立案、実行するに至る。
本機はそのプロジェクトの中核を担う実戦型MSの基本機として企画された。MSの新規開発にあたり確実な戦力とするため、またその後のMS開発に生かせる様々なデータを得るために革新的な手法は用いず、従来のMS技術の昇華などを中心に信頼性の高い要素で構成された、極めてスタンダードな機体として設計された。 設計は組織のスポンサー企業のうちの一つであるサナリィで開発した機体がベースとなった。機体各所にもその片鱗が見える。機体のシステムはF90IIIY クラスターガンダムとの関連も疑われている(腕部ハードポイント等のシステム)。
また、アナハイム・エレクトロニクス社出身の技術者も製造には関与しているともいわれている。
前述のとおり、元々はこの機体はサナリィ内部の開発番号E01として開発されていた。しかし、サナリィ本社の中にはザンスカールに接収されたサイド2支社に繋がりのある人物もいたために、内部からの機密漏洩の危険性があった。そのため表向きにはサナリィ制式プランであったE01は抹消・廃盤になったように見せかけ、サナリィ管理の元から離れてそのままセント・ジョセフ市郊外の地下工場(元々はサナリィの設備)へ移して開発を継続することとなった(これはエゥーゴのリック・ディアスの開発経緯に類似している)。 セント・ジョセフはフォン・ブラウン市に次いでルナリアン(=月至上主義者)の力が強く、他方からの干渉を受けない独自の行政が行われている地域であったため、ザンスカールの秘密警察からその存在を秘匿するのにうってつけであった。
本機は予めサナリィやアナハイムの正規のMS製造ラインが使用できない事を考慮して設計されている。そのため、基本設計はVガンダムなどその後開発されたMSと共通となっており、部品や武装の互換性が非常に高い。また、補給ラインの確保が困難になったときのことも考慮されており、ジャベリンやジェムズガンといった連邦軍で採用されているMSの部品、武装を現地で小改造で流用できるようになっている。また本機の開発中に、地上での抵抗の際におけるゲリラ構想に基づいた、少規模の製造ラインで柔軟な部品供給を確立するために本機を元にしたマルチプル・モビルスーツ構想が生まれた。これは部品ごとに生産プラントを分散し、供給が絶たれるリスクを抑えるというものであり、この構想を元に製造されたのが後のVガンダムである。
完成した本機はMS単体での生産性と信頼性を重視したため後に開発されたVガンダムのような分離合体変形機構は持っていないが、ジェネレータはVガンダムと同一のものを使用しているために高い出力を誇っている。そのため性能では同時期の連邦軍のMSを上回っており、ザンスカールの主力であるゾロアットに匹敵する。また、Vガンダムの装備は大抵使用することができる(オーバーハングキャノンも、バックパックに装着こそできないが手に持って発射することは可能である)。また、Vガンダムほどではないが簡易的なミノフスキーフライトシステムを装備しており、短時間の飛行も可能である(長距離の移動には輸送機やセッターなどのサブフライトシステムを必要とする)。
まずプロトタイプが2機製作され、各種テストによるデータ収集が行われた。その後プロトタイプの1号機は実戦向けに改修され、固定武装を追加して初期生産型6機と共にリガ・ミリティア初の実戦部隊であるシュラク隊へと引き渡された。その後順次追加生産が進みリガ・ミリティアの各部隊や協力関係にある連邦軍の部隊へと配備されていった。
後に戦場が宇宙に移るとバックパックを高機動タイプ「ツインテール」に換装する改修が行われ、ほとんどの機体がこのタイプへと改修を受けている。
[編集] ハードポイント
両腕に各1つ、両足に各1つ、後腰に1つの計5つ存在する。
[編集] 劇中での活躍
女性ばかりで構成された「シュラク隊」の乗機として登場。劇中中盤まではリガ・ミリティアの主戦力を担っていた。戦役でシュラク隊の隊員が次々と撃墜されていくその姿は演出とあいまって悲壮さをかもし出していた。また、50話ではメカニックであるレオニードとロメロが半壊したガンイージを使ってリーンホース・Jrの艦橋に固定し、砲座として使用した。
[編集] 備考
リガ・ミリティア製の形式番号は従来の連邦軍のMSとは番号付与の方法が大きく異なっている。
- MSガンイージ(LM111 E02)の例
- LM(リガ・ミリティア所属)1(ユニット数=本体の分離パーツ構成の数)1(ジェネレータの数)1(主スラスターシステム数)E02(機体番号 E0=イージ0系2番目の機体 (V0=ヴィクトリー0系の機体/ヴィクトリー、V1=ヴィクトリー1系の機体/セカンド・ヴィクトリー、V2=ヴィクトリー2系の機体/ヴィクトリー2))
- MS以外のサポートディバイス(SD-VB03A)の例
- SD(サポートディバイス)-V(適合MSタイプ V=ヴィクトリー E=イージ)B(機種タイプ B=ブースター)03(分類表示)A(機種用途 A=アタック(攻撃用)他にも爆撃用、巡航用など)
基本的にリガ・ミリティアの生産装備は全てこの方式に則って番号が付与されている。この事から開発にあたってはスポンサー企業の影響が多大にあるにしろ、MS開発に際して表向きは企業自体の直接的な関与は行われていないことが伺える(過去のMSはオールズモビル系MSやマフティーのΞガンダムなどのテロリストの使用した機体であっても、その機体番号からある程度出自が分かることが多かった)。しかし実際には生産設備などはサナリィやアナハイムの協力により確保されていた。
[編集] バリエーション
[編集] E01
サナリィの開発した機体で、E0系の1番機でガンイージの原型機である。しかし、ザンスカール帝国に情報を知られることを恐れ、機体と共にデータも削除したようにみせかけ、地下工場に移動した。 『機動戦士VガンダムNEWモビルスーツバリエーション ハンドブック1』より。
[編集] ガンイージ(プロトタイプ)
E0系の2番機として新たにE01から造り上げた機体。データ収集用に製作された機体。実質のガンイージのプロトタイプである。テスト用なので固定武装が施されていない。2機が製造され、そのうち1号機は実戦向けの改修を行った後にテストパイロットであるジュンコ・ジェンコと共にシュラク隊に配属となり、2号機は増加パーツなどの能力テストに使用され続けた。
[編集] ガンイージ(初期生産型)
プロトタイプの増加試作機でシュラク隊の結成にあわせて製造された機体である。量産型とはリアスカートが異なっており、切り欠き部分が無い。
[編集] ガンイージ(増備型)
リガミリティアの各部隊に配備されたタイプ。Vガンダムとは異なり安価で生産性が高かったため積極的に生産が進められた。
[編集] ガンイージ(後期量産型)
ガンイージの後期量産タイプ。同一ラインでガンブラスターの生産が始まっていたため、カラーリングが明るいグリーン系へと変更となっている。
[編集] ガンイージ(陸戦タイプ)
現地部隊によって陸戦用に特化した改造が施されたタイプ。現地加工MSのため制式番号は付与されていない。
[編集] ガンイージ(ブルーバード隊所属機)
アフリカ戦線で展開していた「ブルーバード隊」所属の陸戦用ガンイージ。AAAA隊に協力してべスパのアフリカ侵攻を抑えていた。
[編集] クラスターガンダム
詳しくはクラスターガンダムを参照。
[編集] ガンブラスター
ガンブラスター | |
型式番号 | LM111E03 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 14.9m |
本体重量 | 7.6t |
全備重量 | 21.3t |
ジェネレータ出力 | 4,820kW |
スラスター推力 | 20,180kg 18,630kg 15,520kg×2 10,870kg×2 |
アポジモーター数 | 47 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
主な搭乗者 | オデロ・ヘンリーク トマーシュ・マサリク |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×1 ビームライフル 2連マルチプルランチャー×1 メガビームバズーカ×1 |
ガンブラスター(GUN BLASTOR)は、アニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する、架空の兵器。リガ・ミリティアの量産型モビルスーツである(型式番号:LM111E03)。
[編集] 機体概要
ガンイージのバックパックを高機動タイプに換装した機体をガンブラスターと呼ぶ。元々ガンイージは空間戦闘も考慮して設計されていたが、次第に高性能化していくベスパの新型量産機に対抗するために戦局が宇宙に移ったのを機会に強化されることとなった。高性能バックパックの搭載により、宇宙空間での機動性や航続距離の大幅な向上が行われている。多数のガンイージがこのタイプへと換装され、リガ・ミリティアの戦争後半の主力となった。また、クラスターガンダムと同型のメガビームバズーカを装備している。当初からガンブラスターとして生産されたものと、バックパックのみを換装したものが存在するが、細部に差異はあれど基本的な性能に違いは無い(ガンブラスターとして生産された機体もツインテールを外す事が出来る)。
[編集] 劇中での活躍
劇中中盤にシュラク隊のガンイージが改装される形で登場。初登場はザンスカール本国での戦闘で、ジュンコ等シュラク隊が搭乗して迎撃に出たゾロアットを圧倒している。その後シュラク隊の主要メンバーはヘキサに乗り替わっていった。戦争後半には月の「セント・ジョセフ市」でリガ・ミリティアの地下工場からリーンホースJr.に数機が補充されており、この内の2機にパイロットとなったオデロ・ヘンリークとトマーシュ・マサリクが搭乗し、各地を転戦する。エンジェル・ハイロゥ攻防戦にてオデロ・ヘンリークがこの機体に搭乗して出撃したが、パイロットがエンジェル・ハイロゥの影響を受けてしまい、その隙を突かれカテジナ・ルースによって撃墜されている。
[編集] 参考文献
- NEWモビルスーツバリエーションハンドブック第1集、第2集
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