ギョウジャニンニク
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?ギョウジャニンニク | ||||||||||||||||
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![]() ギョウジャニンニクの写真 |
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![]() ギョウジャニンニク(北海道産) |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Allium victorialis var. platyphyllum | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
ギョウジャニンニク |
ギョウジャニンニク(行者葫)(Allium victorialis L. var. platyphyllum (Hultén) Makino)とは、ユリ科ネギ属の多年草。主に水湿地に生育し、強臭を放つ。地下にラッキョウに似た鱗茎をもち、葉は根生、扁平で下部は狭いさやとなる。夏、花茎の頂端に、白色または淡紫色の小花を多数つける。葉茎を主に食用として用いるが、生育速度が遅く、収穫期に達するまで数年を要する。古名、アララギ。
ギョウジャニンニクという名前の由来は、山にこもる修験道の行者が食べたことからとも、逆にこれを食べると滋養がつきすぎて修行にならないため、食べることを禁じられたからとも言われている。ヒトビロ、キトピロ、ヒトビル、ヤマビルまたはヤマニンニクなどの別名がある。おおよそ、5月上旬から中旬頃の山菜として知られており、しょうゆ漬けにして保存したり、生のままやおひたし、卵焼きに混ぜるなどして食べる。まだ葉の開かない状態のものが、味香り共に濃く珍重される。
北海道では、アイヌ民族が古来から料理や政(まつりごと)、薬として用いていたことからアイヌネギ(アイヌ語:プクサ)と呼んで親しんできたが、アイヌネギの呼称はアイヌ差別にあたると主張する意見が聞かれたことから、正式名であるギョウジャニンニクもしくはヒトビロと呼ばれることが多くなった。現在では、アイヌネギの呼び方に差別的な意図はないとされているので、マスメディアなどでもアイヌネギとして紹介されることがある。
本州中部では亜高山地帯の針葉樹林に群生しており、そのほとんどの繁殖地が自然保護区であるため採取が禁じられている。また、播種から収穫までの生育期間が5年から7年と非常に長いことから、希少な山菜とされ、市場に出回っているものは少量にも関わらず高値で取引される傾向にある。
ニンニク同様、アリシンを豊富に含んでおり、抗菌作用やビタミンB1活性を持続させる効果があり、血小板凝集阻害活性のあるチオエーテル類も含むため、血圧の安定、視力の衰えを抑制する効果がある。 ニンニクの成分に近いためか、食べたときの風味もニンニクに近く、独特の臭いを持つ。
西洋でもラムソンズ(ワイルドガーリック又はベアラウフ・熊ネギ)と呼ばれる野生種の植物を食べる習慣があり、形や香りがよく似ていることから、これらをギョウジャニンニクとして紹介する場合がある。しかし、ラムソンズの学術名は「Allium Ursinum」で、ギョウジャニンニクと同じくユリ科ネギ属の植物だが、正確に分類すると別種である。
[編集] 類似毒草の注意
観賞用としても栽培されているイヌサフランやスズランは毒草だが、葉がギョウジャニンニクと似ている。誤って食べないように注意していただきたい。