ケチャップ
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ケチャップ (Ketchup) とは、トマトなどを原料にした調味料。特にトマトを用いたものはトマトケチャップとも呼ばれる。
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[編集] 歴史
歴史的に「ケチャップ」という言葉は、必ずしもトマトケチャップのみを意味してきた用語ではない。過去にはキノコで作られたソースや魚醤などソース全般を指していた言葉であった。現在でもイギリスなど一部の国ではキノコのケチャップが手に入る。その他の初期のケチャップはカキ、アンチョビ、ロブスター、クルミ、インゲンマメ、キュウリ、ブルーベリー、クランベリー、レモンそしてブドウなどが材料に使われた。
[編集] 語源
ケチャップの語源は、福建語の「鮭汁、 kechiap 」だという説が有る。この場合の「鮭」は「塩辛」を指す方言字で、サケとは無関係。「鮭汁」は小魚に塩を加えて煮てから醗酵させ、濾過して取れるアミノ酸や核酸を豊富に含んだ液体、すなわちタイのナンプラー、ベトナムのニョクマム、秋田のしょっつるの様な魚醤である。これがマレー半島に伝わって「 kichap 」または「 kecap 」と呼ばれ、さらにこれがヨーロッパに伝わる中で、代用の材料が使われたり、さまざまなスパイスが加えられたりして変化しながらバリエーションを増やしていった。その後、アメリカでトマトを使ったタイプのケチャップが瓶詰めで売られるようになり、普及した結果、ケチャップの代表になったといわれている。
福建語と非常に近い台湾語でも塩辛を「鮭」( ke または koe )と呼ぶ。ほかに、トマトケチャップを指す kiat-chiap-puh (キエッチアップッ)という語彙もあるが、これは日本語もしくは英語からの借用語と見られる。
マレー語の「 kechap 」は、現在魚醤以外に醤油の意にまで広がっている。
[編集] トマトケチャップ
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トマトケチャップは、現在ケチャップを代表するものとなっている。
基本的なトマトケチャップの作り方は完熟トマトを加熱してこし、さらに低温で煮詰めてトマトピュレをつくる。それに、砂糖、食塩、酢、オールスパイス、クローブ、シナモンなどを加える。玉ねぎ、セロリ、その他の野菜がしばしば加えられる。トマトケチャップは、ホットドッグ、ソーセージ、オムレツ、ハンバーガー、フライドポテトなどに架けて使用される。
イギリスやオーストラリアなどアメリカ以外の多くの国では酢が入っていないトマトケチャップをトマトソース、レッドグレイビー、レッドソースなどの名前で販売している。
[編集] 主なメーカー
世界最大のケチャップメーカーはハインツ (H. J. Heinz Company) 、デルモンテ (Del Monte Foods) 、コンアグラ・フーズ (ConAgra Foods) などアメリカに集中している。この事からも分かるように米国のトマトケチャップ消費量は4000万リットルで、世界のほかの国と比べ抜きん出て多い。一説によれば世界のケチャップ生産量の半分はアメリカの若年層により消費されている換算になる。